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スピーカー 1
えっと、ちょっと想像してみて欲しいんですが。 はい、何でしょう。
あなたは今、この世で一番美しくて絶対に変わりがきかない特大のガラスの花瓶を両手で抱いています。
スピーカー 2
えーっと、特大のガラスの花瓶ですか? なんかもう嫌な予感がしますけど。
スピーカー 1
しかもですね、目隠しをされた状態で、ラッシュアワーのスクランブル交差点を渡れって言われてるんです。
いやー、それはきついですね。
スピーカー 1
さらに周囲から、「絶対に落とすなよ。落としたら全部お前の自己責任だからな。」っていう無言のプレッシャーを全身に浴びながら歩くわけです。
スピーカー 2
うわー、それは想像しただけで胃が痛くなりますね。絶対に失敗が許されない極限の緊張状態じゃないですか。
スピーカー 1
そうなんですよ。実はこれ、現代の日本における子育ての現状を言い表しているんです。
スピーカー 2
なるほど。確かに今の状況にぴったりな例えかもしれません。
スピーカー 1
今、これを聞いているあなたが親であってもなくても、この社会の空気感にはどこか心当たりがあるはずです。
スピーカー 2
ええ、そうですよね。
スピーカー 1
今回の深ぶりでは、育児本の著者にへのインタビューやNPO法人の活動、1万人規模のアンケート調査、
さらには赤獅子や大野上司など自治体の最新の取り組みといった豊富な資料をベースにしていきます。
スピーカー 2
かなり幅広いデータが集まっていますね。
スピーカー 1
はい。今回のミッションは、現代日本を覆うこの子育て、つまり孤立した子育てという密執状態からどう脱却して、
社会全体で子育てを再構築していくのかを探求することです。
スピーカー 2
非常に重要なテーマです。
スピーカー 1
よーし、これを紐解いていきましょう。
まず、なぜ私たちがこんなにも息苦しい状況に陥っているのか、その根本的なバグについてお話ししたいんです。
スピーカー 2
バグですか?
スピーカー 1
ええ。離島経済新聞の記事でNHKスペシャルのすごく興味深い科学的見解が取り上げられていまして、
私たち人類って70万年の進化の過程でチンパンジーなどの霊長類から枝分かれして以来、ずっと共同育児をすることで繁栄してきた生き物なんですよ。
スピーカー 2
つまり集団で育てるのが本来の姿だと。
スピーカー 1
そうなんです。本来はみんなで育てるのがデフォルト設定のはずなのに、現代の日本は各家族化が行き着くところまで行ってしまって、これ、進化の歴史に完全に逆行しているんです。
スピーカー 2
それは一つ重要な問いを投げかけていますね。
スピーカー 1
と言いますと?
スピーカー 2
つまり、私たちの生物学的なハードウェアは集団で育てるように設計されているわけです。
なのに、現代社会というソフトウェアは親だけで完璧に育てろと要求している。
スピーカー 1
ああ、なるほど。
スピーカー 2
ハードとソフトがあっていないんだから、システムエラーが起きて当然の状況なんですよ。
スピーカー 1
まさにシステムエラーですよね。そして、この孤立した密室の中で親をさらに追い詰めているのが、生界という呪縛なんです。
スピーカー 2
生界の呪縛ですか?
スピーカー 1
はい。滋賀県倉津市で活動するNPO法人草津未来プロジェクトのレポートを読むと、現代の親たちがいかにデータや平均値に縛られているかがよくわかります。
スピーカー 2
データに縛られている。
スピーカー 1
例えば、3歳半の献身までにおむつを外さなければならないとか、平均体重のグラフから外れているとかですね。
スピーカー 2
ああ、よく聞く話ですね。
スピーカー 1
そうやって無数の正解を突きつけられて、それに少しでもつまずいた親は、はぜしく挫折して自信を失ってしまうんです。
スピーカー 2
実はそこで一番恐ろしいのは、親がパニックになることそのものよりも、それが子供の心理状態をどう書き換えてしまうかという点なんですよ。
スピーカー 1
え?子供の心理状態が変わるんですか?どういうことでしょう?
スピーカー 2
心理学の選択理論に、上質世界という概念がありまして。
スピーカー 1
上質世界?
スピーカー 2
教科書的な説明だと少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに脳内にある自分専用の理想のインスタグラムのアカウントみたいなものだと考えてください。
スピーカー 1
理想のインスタのアカウントですか?わかりやすいですね。
スピーカー 2
親はSNSや育児書で正解とせれる完璧な子育てのキラキラした画像をどんどんその脳内アルバムに保存していくんです。
スピーカー 1
はいはい。見栄えのいい正解ばかりはついたわけですね。
スピーカー 2
そうです。そして、現実の自分の子供をその高すぎる理想のアルバムに無理やり当てはめようとしてしまう。
スピーカー 1
なるほど。それって例えるなら、マニュアルも研修もないまま新しい職場に放り込まれて、いきなり脳内の完璧な評価基準だけを押し付けられているような状態ですよね?
スピーカー 2
まさにその通りです。
スピーカー 1
親がそのプレッシャーに負けて守りに入ってしまうと失敗するからやめておきなさいとか、どうせ無理って言って無意識のうちに子供の可能性まで奪ってしまっているんじゃないでしょうか?
スピーカー 2
ええ、だからこそ単一の正解を押し付けるんじゃなくて、異なる価値観を持つ多様な大人たちと出会うことが大事なんです。
スピーカー 1
多様な大人ですか?
スピーカー 2
はい。あ、こういう生き方もあるんだと、子供自身に自分の上質世界のアルバムを広げさせることが不可欠なんですよ。
スピーカー 1
完璧な正解なんてないんだと?
その通りです。
スピーカー 1
でも社会からのプレッシャーがそこまで巨大だとしたら、私たちは一体どう立ち向かえばいいんでしょうか?
スピーカー 2
気になりますね。
スピーカー 1
ここでまずは一番ミクロな視点、つまり家庭内での戦い方について見ていきたいと思います。
スピーカー 2
はい。
ライターのヨッピー氏が書いた育児ハックという本からの試験が非常に視差に富んでいるんです。
スピーカー 2
ヨッピーさんですね。どんな内容ですか?
スピーカー 1
彼は親がどう動くかという徹底的な効率化にフォーカスしているんです。
例えば離乳食は無理に手作りにこだわらず、栄養価が計算されたレトルトをバンバン活用しろと。
スピーカー 2
一見すると冷たい合理主義のように聞こえますが、リソース配分の観点から見ると非常に理にかなっていますよ。
スピーカー 1
ええ、そうなんですよ。彼はそこで浮いた時間を共同期のキャリア、つまり稼ぎに投資するべきだと言っているんです。
なるほど、現実的ですね。
スピーカー 1
そして彼が提示する二つのアナロジーがすごく面白いんですが、一つ目が、育児は山登りであるというものです。
スピーカー 2
山登りですか?
スピーカー 1
ええ、山登りって当事者には圧倒的な達成感があるじゃないですか。
でも外から見ている人には、なんでわざわざあんなしんどいことをするのって理解されない。
スピーカー 2
確かに、未経験者から見ればただの重労働や苦行にしか見えないこともありますからね。
スピーカー 1
だからこそ、事前の準備、つまり体力作りや家事の圧縮が絶対に必要だと彼は言っているんです。
スピーカー 2
準備なしで山には登れないと。
スピーカー 1
そして二つ目のアナロジーが、育児は車の運転であるというものです。
スピーカー 2
今度は車の運転。
スピーカー 1
例えば、長時間の運転で疲労困敗の時に、助手席の人が疲れたでしょ?ウインカーだけ出してあげるねって手を出してきたらどう思います?
スピーカー 2
いや、それはちょっとイラッとしますね。逆に危ないですし。
スピーカー 1
ですよね。だから育児を手伝うというのは、助手席からちょこちょこ口当てを出すことじゃなくて、運転席に座って完全にハンドルを握ることなんだと彼は語っています。
スピーカー 2
ここで非常に興味深いのは、その完全にハンドルを握るという部分なんですよ。
いやーでもここで重要な落とし穴があります。もし父親がその車を一度も運転したことがなかったらどうでしょう?
スピーカー 1
あー、ペーパードライバーってことですか?
スピーカー 2
はい。助手席に座らされた母親は、いつ事故るかとヒヤヒヤして恐怖で休むどころではありませんよね。
スピーカー 1
確かに。ウインカー出すよって言われるより怖いかもしれないです。
スピーカー 2
だからこそ、男性が最低でも1ヶ月以上の育休を取って、申請時期にメインで世話をする経験が不可欠なんです。
なるほど。そこで1ヶ月という期間が出てくるんですね。
スピーカー 2
ええ。女性には妊娠中の10ヶ月間という、親になるための身体的青春的な準備期間がありますよね。でも男性にはそれがありません。
スピーカー 1
はい。いきなりスタートラインに立つわけですからね。
スピーカー 2
だから父親が最初の1ヶ月でたっつりとコミットするということは、単に運転を変わるということじゃないんです。
スピーカー 1
というと?
スピーカー 2
その赤ちゃん専用の運転免許を取得するということなんですよ。
スピーカー 1
赤ちゃん専用の運転免許。それめちゃくちゃしっくりきました。
スピーカー 2
この免許がないとその後の20年間ずっと助手席から口出しするだけの存在になってしまいますからね。
スピーカー 1
最初の1ヶ月で体で覚えないとダメなんですね。
そういうことです。
スピーカー 1
でもちょっと待ってください。仮に父親が運転免許を取って家庭内で完璧にタスクをシェアできたとしてもですよ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
結局は育休が終われば仕事に戻りますよね。都市部のマンションの一室で家族という孤立した島に取り残される現実は変わらない気がするんです。
スピーカー 2
まさにそこです。
スピーカー 1
この家と地域社会の断絶をどうやって埋めればいいんでしょうか。
スピーカー 2
ここがまさに失われた共同育児のシステムを現代にどう実装するかという社会的なフェーズの話になってきますね。
スピーカー 1
そこで資料に出てくるのがアスママというシェアエコノミーのサービスなんです。
アスママ、アズママですね。
スピーカー 1
これ顔見知り同士で1時間500円から700円というワンコインで子供を預け合うことができるシステムなんです。
スピーカー 2
ワンコインで預け合いができると。
スピーカー 1
ただですね私このデータを見た時に正直いやいや無理でしょうと思ったんですよ。
スピーカー 2
と言いますと。
スピーカー 1
だって現代の都市部ですよ。
私だって隣に住んでる人の名前もろくに知らないのにいくらアプリでマッチングしたからってたった500円で自分の子供を見ず知らずな人に預けますか。
スピーカー 2
まあ確かに心理的ハードルが高すぎると。
スピーカー 1
そうなんです。
アプリというテクノロジーの力だけでさあ預け合いましょうと言われても人間の感情が追いつかないのは当然ですよね。
スピーカー 2
ですよね。
スピーカー 1
でもここからが本当に面白いところなんですが。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
アスママは単なるマッチングアプリじゃなかったんです。
彼らはママサポーターというちゃんと研修を受けたリアルな人間を地域に配置しているんですよ。
スピーカー 2
リアルな人間を配置している。
スピーカー 1
ええこの人たちが間に入ってよかったらお供がになりませんかと人と人をつなぐ接着剤の役割を果たしているんです。
スピーカー 2
なるほどテクノロジーの冷たさを意図的にアナログな人間の尾のぬくもりでハックしているわけですね。
スピーカー 1
はいまさにその通りです。
でもさらに謎なのがこのサービス会員からの手数料がゼロなんです。
スピーカー 2
手数料ゼロなんですか。
そうなんです。
スピーカー 1
しかの最高5000万円の保険までついている。
ボランティアならわかりますけどこれどうやってビジネスとして成立しているんですか。
スピーカー 2
これには非常に巧妙なからくりがあります。
実は彼らの収益権は企業からの協賛金なんですよ。
スピーカー 1
企業がお金を出すなぜですか。
スピーカー 2
企業側からすればアスママが主催する地域の交流イベントってマーケティングの宝の山なんですよ。
スピーカー 1
ああなるほど。
スピーカー 2
子育て世代という特定の購買層がピンポイントで高密度に集まる場に直接アクセスできるわけです。
年間400回もイベントがあるそうですから。
スピーカー 1
年間400回も。
スピーカー 2
企業がスポンサーとしてお金を出すことで親同士の預け合い自体は無料で維持できるという見事なエコシステムが構築されているんです。
スピーカー 1
そういう仕組みがあったんですね。
沖縄のタラマ島などにはオイッシェネと呼ばれる地域のみんなで子供を見る文化が残っているそうですが、
アスママはまさにその島の知恵を企業のマーケティング予算を使って現代の都市部に再現しているわけですね。
スピーカー 2
これをより大きな視点全体像と結びつけてみると、アスママの社長であるコータ氏の哲学が見えてきます。
スピーカー 1
どんな哲学ですか?
スピーカー 2
彼女は、働くということはポボトを助けるつまり他者を助けることだと語っているんです。
スピーカー 1
ポボトを助けるですか?
スピーカー 2
はい。そしてこのシステムは子育て世代だけのものではないんです。
今、子供を預けている親が10年後には預かる側になり、将来的には高齢者のちょっとした生活支援など、
世代を超えたライフシェアのインフラへと進化していく設計になっているんですよ。
スピーカー 1
型を楽にする素晴らしい哲学ですね。
ええ。
さて、家庭内のハック、そして地域コミュニティと見てきました。
スピーカー 1
では最後に、社会のインフラそのものを担う自治体、つまりマクロな視点ではどう動いているのかを見ていきたいと思います。
スピーカー 2
自治体の役割ですね。
赤ちゃん本舗が行った1万人規模のアンケート調査で、子育て満足度1位に輝いたのが愛知県の安城市でした。
スピーカー 2
愛知県の安城市ですか。これも単に補助金の額が多いからという理由だけではないはずですよね。
スピーカー 1
その通りです。調査結果を見ると評価の理由は、公立保育園内の支援センターが月曜日も開いているといった痒いところに手が届くアクセスの良さなんですよ。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
そして何より、町全体が子育てを応援している雰囲気が市民にしっかり伝わっていることなんです。
スピーカー 2
雰囲気ですか。
スピーカー 1
はい。福岡県の大野上市のポノモーション動画でも、助産師さんや壁の店員さんが親に対して温かく声をかけるシーンが強調されていました。
つまり、立派な箱物・施設を作ること以上に、町の空気感をどう醸成するかが問われているわけですね。
スピーカー 1
ええ。そしてその空気感の醸成を、ものすごい熱量でやりきったのが赤獅子なんです。
赤獅子、よく話題に上がりますね。
スピーカー 1
泉保保市長、当時の市長ですね。彼と元バレーボーン日本代表の荒木恵理香市の対談資料が非常に熱を帯びているんですが、
スピーカー 2
ええ。
スピーカー 1
赤獅子は、医療費や給食費など5つの無償化で有名です。でも、泉市長の真の担いは、お金を運ぶことではなかったんです。
スピーカー 2
お金じゃないとすると何だったんですか。
例えば、ゼロ歳児におむつを無料配達する資料があります。これ、おむつというものを運ぶのが目的じゃないんですよ。
スピーカー 2
というと、おむつはあくまで問いの浮間だということですね。
スピーカー 1
まさに、配達員が定期的に玄関先まで行くことで、孤立してノイローズ気味になっている母親と会話をする、それが相談に乗る体制を作るための巧妙な口御礼なんです。
なるほど。素晴らしい仕組みですね。
スピーカー 1
市長の秋獅子に住んでいる子供は全員私の子供だという哲学が、街のインフラとして機能しているんです。
スピーカー 2
荒木氏も対談の中で、イタリアでプレーしていた時の経験を語っていますよね。
スピーカー 1
イタリアですか。
スピーカー 2
はい。イタリアのプロバレー界では、現役のプロ選手でありながら、モデルや経営者を両立し、同時に母でもあるという多様な姿が当たり前に受け入れられていたそうです。
へー、それはすごいですね。
スピーカー 2
アカッシのような、誰かが必ず助けてくれるというインフラがあれば、日本の親たちも、母親はこうあるべきという見えない枠から解放されるはずだと語っています。
スピーカー 1
なるほど。つまりこれは全体としてどういう意味を持つのでしょうか。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
行政の本当の役割とは、単なる現金のばらまき政策ではなくて、もしもの時にいつでも頼れる場所や人がいるという絶対的な安心感を社会の基盤としてインストールすることなんですね。
スピーカー 2
ええ、まさにその通りです。ただ、ここで浮かれてばかりもいられません。
スピーカー 1
と言いますと?
デレタが示すシビアな現実についてもしっかりお伝えしておく必要があります。
スピーカー 1
現実ですか?
スピーカー 2
はい。アカシ市や安城市のように子育て満足度が高い、いわゆる人気自治体では、今深刻な副作用が起きてしまっているんです。
スピーカー 1
副作用?何ですかそれは。
スピーカー 2
特定の市だけが手厚い支援をするとですね、近隣から子育て世代が急激に流入してくるんです。
スピーカー 1
ああ、まあそうなりますよね。
スピーカー 2
その結果、インフラ整備が追いつかなくなって、保育園に入れない隠れ待機児童や保留児童が大量に発生してしまっているんですよ。
スピーカー 1
えーっと、そんなことになっているんですか?
スピーカー 2
特定の自治体だけが頑張ってオアシスを作っても、そこに人が殺到してパンクしてしまっては意味がありません。
確かに。
スピーカー 2
だからこそ、一部の疲労的な自治体に頼るのではなくて、国全体で支援のフロア、つまり底上げを行わなければ、根本的な解決にはならないんです。
特定の自治体への人口集中は、新たな問題を生むだけですから。
スピーカー 1
なるほど。オアシスを作るんじゃなくて、砂漠全体に緑を植えないといけないわけですね。
スピーカー 2
その通りです。
スピーカー 1
さて、今回は本当に幅広く深掘りしてきましたね。
ええ、盛りだくさんでした。
スピーカー 1
ヨッピー氏の車の運転免許を取るような家庭内の超現実的なハック。
はい。
スピーカー 1
アスママの企業協賛を巻き込んで、リアルな人間関係を再構築するビジネスモデル。
ええ。
そして、アカシ氏のオムツを口実にした孤立対策。
スピーカー 2
本当に多様なアプローチがありました。
アプローチは全く異なりますが、これらはすべて子育てという密室を打ち破り、社会全体で親と子を包み込むという一つのゴールに向かっています。
スピーカー 2
7千万年の進化の歴史が求めていた共同育児を、現代のテクノロジーと知恵を使ってどうやって取り戻すか、その壮大な実験の最前線を見ているようですね。
スピーカー 1
そうですね。今これを聞いているあなたにお伝えしたいことがあります。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
あなたが今子育ての真っ最中であっても、すでに子育てを終えた世代であっても、あるいは子供を持つ予定が全くなくても、これは決して他人事ではないんです。
スピーカー 2
ええ、社会全体の問題ですからね。
スピーカー 1
これは私たちが生きる社会がどれだけ寛容で持続可能であるかという、私たち全員のサバイバルの物語なんですよ。
スピーカー 2
おっしゃる通りです。
スピーカー 1
どうせ社会は変わらないと諦めるのではなくて、資料にあった草津未来プロジェクトのロケット教室が掲げる言葉、
思うは招く、望めば道は開けるという姿勢で日常を少しだけ変えてみませんか。
スピーカー 2
精度が変わるのを待つだけではなくて、私たち自身の少しの意識の変化が、街の空気を作っていく一番の特効薬になりますからね。
スピーカー 1
そうですね。最後に、あなたに一つだけ想像してほしいことがあります。
スピーカー 2
何でしょう。
明日、あなたが電車に乗った時、あるいはスーパーのレジに並んだ時、目の前でパニックになりながら泣き叫ぶ子供を抱えて、申し訳なさそうに縮こまっている親を見かけるかもしれません。
スピーカー 2
よくある光景ですね。
スピーカー 1
その時、スマートフォンの画面に目を落とすのではなくて、少しだけ視線は寝てみてください。
私たちの700万年前の祖先なら、絶対にスマホなんて見てみぬふりはしませんでした。きっと一緒にその子をあやしていたはずなんです。
スピーカー 2
間違いないですね。
スピーカー 1
未来の最大のイノベーションは、画期的な新しいアプリを作ることでも、莫大な補助金を吐くことでもないのかもしれません。
スピーカー 2
では、何だと。
スピーカー 1
それは、あなたのすぐ隣にいる人の顔を知り、物理的な家族という定義をほんの少しだけ拡張することではないでしょうか。
次にあなたが人生で大きな決断をする時、それは自分一人で何を成し遂げるかではなく、誰の荷物を一緒に背負うか、つまりどうやってパダエを楽にするかになるはずです。
冒頭でお話ししたあのスクランブル交差点で、目隠しをして震えながら特大のガラスの花瓶を抱えている人に、一緒に持ちましょうかと声をかける社会。
それこそが私たちが目指すべき進化の次のステップなのかもしれない。