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日本全国のプレイパークの現状と課題:プレイパークと子どもの居場所(プレイリーダーから見るデジタルゲーム)
2026-08-12 18:33

日本全国のプレイパークの現状と課題:プレイパークと子どもの居場所(プレイリーダーから見るデジタルゲーム)

プレイリーダーから見るデジタルゲームと子どもの遊び:包括的ブリーフィング・ドキュメント

エグゼクティブ・サマリー

本資料は、提供された資料に基づき、プレイリーダー(プレイワーカー)の視点から見た子どもの「遊び」の価値、およびその文脈におけるデジタルゲームの捉え方についてまとめたものである。

主なポイントは以下の通りである。

  • 遊びの定義: 遊びは「やりたい!」から始まる本能的な「いのちの仕組み」であり、子どもの自発性と主体性が核心となる。
  • デジタルゲームの役割: デジタルゲームは、現代の子どもたちにとって他者とつながるための重要な「コミュニケーション・ツール」の一つとして位置づけられている。
  • プレイリーダーの姿勢: 大人の都合で禁止事項を設けるのではなく、子どもの「やってみたい」を尊重し、安心して失敗できる環境を整えることがプレイリーダーの主たる役割である。
  • リスクとハザードの区別: 成長に必要な「リスク」は許容し、予測不可能な「ハザード」は除去するという明確な安全管理基準の下で遊び場が運営されている。

1. プレイワークの哲学とデジタルゲームへの視点

プレイワークとは、1980年代にイギリスで生まれた専門分野であり、子どもが自ら遊び育つニーズを支えるための「アートとサイエンス」である。この視点において、デジタルゲームは特定の否定的な対象ではなく、子どもの世界を構成する要素の一つとして扱われる。

1.1 コミュニケーション・ツールとしての受容

「川崎市子ども夢パーク」等の実践現場では、デジタルゲームを単なる娯楽としてではなく、以下の側面から評価している。

  • 他者との接続: ゲームをやり続ける子どももいるが、それは誰かとつながるための「コミュニケーション・ツール」の一つとして機能している。
  • 「何もしない」ことの保障: カリキュラムやプログラムを持たず、何をしたいかを自分で決める自由(ゲームを含む)が、子どもの安心感に寄与する。

1.2 「やってみたい」の尊重

遊び場の基本理念は、子どもたちの「やってみたい」という気持ちを最大限にカタチにすることにある。デジタルゲームを選択することも、子ども自身の主体的な意思決定の結果として尊重される。

2. プレイリーダー(プレイワーカー)の本質的な役割

プレイリーダーは、単に遊びを指導する存在ではなく、子どもの遊びを「見守り、支える」専門家である。

2.1 プレイリーダーの定義

項目内容
専門性哲学、心理学、生物学、教育、福祉などの知見を土台とする。
主な役割遊びの環境づくり、場のコーディネート、子どもの関心の引き出し、安全の見守り。
関わり方余計な口出しをせず、子どもの声に寄り添う「第3の大人」として存在する。

2.2 子どもとの関係性

  • よき相談相手: 遊びを通じて信頼関係を築き、子どもが困ったときに相談できる存在となる。
  • 肯定的なまなざし: 子どもを信じ、ただ傍らにいることで、子どもが自ら成長していく過程を支える。

3. 安全管理における「リスク」と「ハザード」

自由な遊び(デジタルゲーム外の身体的活動も含む)を保障するために、プレイリーダーは「リスク」と「ハザード」を厳格に区別している。

3.1 リスク(Risk)

  • 定義: 子どもが判断可能な危険性であり、事故を回避する能力を育むために必要なもの。
  • 価値: 遊びの楽しみの要素であり、冒険や挑戦の対象。小さなリスクへの対応を学ぶことで、将来的な事故回避能力が養われる。

3.2 ハザード(Hazard)

  • 定義: 子どもが判断不可能な危険性、あるいは遊びの価値に関わりのないところで事故を引き起こす恐れのあるもの。
  • 対応: プレイリーダーや管理者は、ハザードを極力取り除く義務を負う。

4. 子どもの居場所としての機能

プレイパークやフリースペースは、家庭でも学校でもない「第3の居場所」として、子どもの権利を保障する役割を担っている。

4.1 「川崎市子どもの権利に関する条例」に基づく保障

以下の権利を具現化する場として運営されている。

  1. 安心して生きる権利
  2. ありのままの自分でいる権利
  3. 自分を守り、守られる権利
  4. 自分を豊かにし、力づけられる権利
  5. 自分で決める権利
  6. 参加する権利
  7. 個別の必要に応じて支援を受ける権利

4.2 不登校児への支援(フリースペースえん等)

  • 同調圧力からの解放: 学校の一斉教育や同調圧力に馴染めない子どもたちが、自分の「好き」を温め、休息できる場所を提供。
  • 自己決定の尊重: いつ来るか、何をするか(勉強、木工、焚き火、ゲームなど)をすべて自分で決める。

5. 遊び場の創出と運営の現状

日本国内各地(世田谷、川崎、横浜、千葉、仙台、埼玉など)において、住民、NPO、行政が連携した遊び場づくりが進められている。

5.1 運営形態と特徴

  • 官民協働: 川崎市子ども夢パークのように、条例に基づき行政が施設を提供し、NPOが運営を担う「公設民営」モデルが増加している。
  • プロボノの活用: 専門知識を持つ社会人(プロボノ)が、団体の課題(広報や資料作成など)を「見える化」し、運営を支援する事例も見られる。
  • 研修事業: 「千葉県冒険遊び場ネットワーク」などの団体が、プレイワーカーの養成研修(BASICコース等)を定期的に実施し、専門性の向上を図っている。

5.2 遊び場の基本原則

多くの遊び場で共有されているモットーは**「自分の責任で自由に遊ぶ」**である。これは、怪我や失敗を大人が過剰に恐れるのではなく、子どもが挑戦できる環境を社会全体で保障しようとする姿勢の表れである。

感想

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サマリー

本エピソードでは、現代の徹底的に管理された公園とは対照的な「プレイパーク(冒険遊び場)」の哲学と、それを支える「プレイリーダー」の役割を深掘りします。子どもたちが本物の道具を使い、泥だらけになって遊ぶ自由な環境は、2000年代初頭の社会的な危機を背景に、学校や家庭とは異なる「第三の居場所」として誕生しました。プレイリーダーは、デジタルゲームを含む子どもの「やってみたい」という自己決定権を尊重し、成長に必要な「リスク」と排除すべき「ハザード」を厳密に区別することで、子どもが安心して挑戦し、小さな失敗から学ぶ環境をデザインしています。この哲学は、過保護な管理が人間の適応力や生きる力を奪う現代社会への問いかけであり、職場や家庭におけるマネジメントにも通じる本質的な洞察を提供します。

プレイパークの衝撃と現代の公園の課題
スピーカー 2
あのー、ちょっと想像してみてほしいんですけど、はい。 子供たちがですね、本物のノコギリをギュンギュン振り回してたり、ドラム缶でガンガン火を燃やしてたり。
へー、なかなかハードな光景ですね。 そうなんですよ。でもって、全身も泥だらけになって走り回ってて、入り口にはケガと弁当は自分持ちっていう巨大な看板がドーンとある公園。
スピーカー 2
インパクトありますね、それ。 これなんか、映画のポストアポカリプスとかそういう世界の話じゃないんですよ。
スピーカー 1
現代の日本に実際に存在している遊び場なんです。 そうなんですよね。
いや、最近の公園ってあなたもよく見かけると思うんですけど、ボール遊び禁止とか、自転車乗り入れ禁止とか。
あー、多いですよね。あと、大声禁止とかもありますね。 そう。まるで息を潜めてベンチに座っていることしか許されてないみたいな場所ばかりじゃないですか。
スピーカー 2
まあ、管理する側からすればどうしても安全第一とか、近隣への配慮が最優先になっちゃうんでしょうけど、結果として子供が自発的に何かを生み出す余白みたいなものが、現代の公園からはほとんど排除されちゃってるんですよね。
そこで今回の深掘りなんですが、そんな現代の徹底的に管理された公園事情とはもう完全に対局にあるプレイパークについてです。
スピーカー 1
日本語だと冒険遊び場とも呼ばれる空間ですね。 はい。そしてその環境を裏でデザインしているプレイリーダーという専門職の人たちの頭の中をがっつり解き明かしていきたいと思います。
非常にスリリングなテーマだと思います。今回、川崎市子供夢パークの記録とか、現場のプレイワーカーの実践日誌なんかの資料を読み込んでいったんですけど。
スピーカー 1
いかがでしたか?
スピーカー 2
これ、パンなるドロンコ遊びっていいよね、みたいな話かと思いきや全然違いました。
スピーカー 1
そうなんですよ、もっと深いんですよね。
スピーカー 2
はい。大人のマネジメントとか、今の社会のあり方を根底から揺るがすようなとんでもない哲学が隠されていて驚きました。
スピーカー 1
私たちが普段職場や家庭で当たり前のように振りかざしている安全とか良かれと思った管理が、いかに人間の適応力を奪っているかという本質的な議論につながっていきますからね。
スピーカー 2
ですよね。で早速なんですが、そもそもの疑問として。
プレイパーク誕生の背景と「自分で決める権利」
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
今の日本の公園って、ちょっとでも危ない遊具はすぐ撤去されるぐらいルールでガチガチじゃないですか。
スピーカー 1
まあ、クレームが来たらすぐに対応せざるを得ない状況ですからね。
スピーカー 2
なのに、なんでそんなマットマックスみたいな無法地帯な遊び場が川崎市みたいな都市部に作れたんですか。
スピーカー 1
それをひも解くには、この川崎市子ども夢パークが作られた2003年という時代背景を見る必要があるんです。
スピーカー 2
2003年っていうと、今から20年くらい前ですね。
スピーカー 1
ええ。当時の日本社会が抱えていた構造的な危機が関係しています。
2000年代初頭って、過酷な受験戦争とか徹底した管理教育の弊害がピークに達していた意義なんですよ。
スピーカー 2
ああ、なんか切れる10代なんて言葉が連日ニュースで報道されてましたよね。
スピーカー 1
まさにその時期です。17歳の少年によるすっさまじい事件が立て続けに起きたり、小中学校での不登校がもう爆発的に増加していたんです。
スピーカー 2
なるほど。社会全体がピリピリしていたというか。
スピーカー 1
そうです。子どもたちが学校というカリキュラムに押しつぶされて、家庭でもいい子でいることを求められて息をする場所がなくなっていたんですね。
スピーカー 2
逃げ場がなかったんですね。
はい。そこで社会がようやく気づいたんです。
スピーカー 1
学校でも家庭でもない大人の評価とかカリキュラムが一切存在しない第三の居場所を作らなければ子どもたちが完全に壊れてしまうぞと。
それが行政をもう動かしたと。
スピーカー 1
ええ。プレーパークの設立へとつながった最大の要因はそこにあるんです。
スピーカー 2
いや、すごく腑に落ちました。
今の一般的な公園って、例えるなら進むマス目と正解が決まっているボードゲームみたいだなって思ったんですよ。
ボードゲーム、なるほど。
スピーカー 2
このブランコは座って漕ぎなさいとか、滑り台は下から登っちゃダメですよみたいな。
遊び方が決められているわけですね。
スピーカー 2
ええ。でもプレーパークって目的もルールもなくて、ゼロから自分たちで世界を作っていけるマインクラフトみたいなサンドボックス型のデジタルゲーム空間に似てるなって感じたんです。
スピーカー 1
その例えすごく的確だと思いますよ。
マインクラフトで言うなら、子どもが遊んでいる横から大人がコントローラーを奪って、ほらこうやって家を建てるのよって指示した瞬間。
スピーカー 2
ああ、一気に冷めますね、それ。
スピーカー 1
ですよね、ゲームは一気に面白さを失います。
プレーパークが徹底しているのはまさに大人がコントローラーを奪わないということなんです。
プレイパークにおけるデジタルゲームの受容
スピーカー 2
でもここが今回読んでて一番の驚きだったんですけど。
スピーカー 1
はい、なんでしょう。
スピーカー 2
その大自然のマインクラフト空間であるはずのプレーパークで、なんとベンチに座ってずっとニンテンドースイッチとかスマホでデジタルゲームをやっている子どもたちがいるって書いてあったんですよ。
スピーカー 1
ええ、実際にいますね。珍しい光景ではありません。
スピーカー 2
正直親の目線化したら、せっかく外のプレーパークに来たんだから、ゲームなんかやめてノコギリで木を切りなさいとか、ドロンコになって遊びなさいよって絶対に取り上げたくなりますよ。
スピーカー 1
そう、そこなんです。大人はすぐに自然の中で体を動かして遊ぶことイコール善、画面に向かってゲームをすることイコール悪という価値観のレッテルを貼ってしまいがちです。
スピーカー 2
いや、貼っちゃいますよ。だって自然の遊び場ですよ。
スピーカー 1
でも現場のプレイリーダーたちの記録を読むと、彼らはゲームをしている子どもを決して否定しないんです。外遊びを強要することもありません。
えー、じゃあ放置するんですか?せっかくのプレーパークなのに。
スピーカー 1
放置ではないんです。積極的な肯定と彼らは呼んでいます。
スピーカー 2
積極的な肯定ですか?
スピーカー 1
はい。学校や家庭に居場所がなくて傷ついてプレーパークにやってきた子どもにとって、デジタルゲームの世界は自分を保つための安全なシェルターかもしれないじゃないですか。
スピーカー 2
あー、なるほど。ゲームの世界に避難しているというか。
ええ、あるいは過労死亡で誰かとつながるためのコミュニケーションツールの一つかもしれない。プレーリーダーはその背景にある心理的なメカニズムを深く理解しているんです。
スピーカー 2
つまり大人が自然の中で遊ぶのが素晴らしいことだっていう自分の価値観を押し付けて、ほらゲームをやめなさいって言った瞬間。
スピーカー 1
そう、言った瞬間に。
スピーカー 2
そこはもうカリキュラムのない自由な居場所ではなくなってしまうということですか。
スピーカー 1
まったくその通りです。プレーパークの根幹は子どもが自分で決める権利を完全に保障することなんです。
スピーカー 2
自分で決める権利。
スピーカー 1
ええ、火起こしをすると決めるのも自由、何もしないでぼーっとするのも自由、そしてずっとデジタルゲームをするのも自由なんです。
スピーカー 2
なんか大人の度量が試されますね。
スピーカー 1
大人が用意した正しい遊びの枠に押し込めないからこそ、子どもは初めてここでは何をしても否定されないんだという絶対的な安心感を得られるんですよ。
スピーカー 2
なるほどなあ。
スピーカー 1
そしてその安心感の土台があって初めて、彼らは自分のタイミングでゆっくり現実世界の泥とか火に手を伸ばし始めるんです。
スピーカー 2
いやあ、痛いところ疲れました。
良かれと思って提案することが、実は子どもの自己決定権を奪っていたんですね。
スピーカー 1
大人としては耳の痛い話ですよね。
遊びの安全管理:リスクとハザードの区別
スピーカー 2
ただですね、ちょっと現実的な疑問なんですけど。
スピーカー 1
はい、どうぞ。
スピーカー 2
ゲームの中なら高いところから落ちてもボタン一つでリセットできるじゃないですか。
でも現実のプレイパークで火や刃物を使って遊んでいたら大怪我をしますよね。
スピーカー 1
もちろんです。現実世界ですから。
スピーカー 2
大人の管理なしでどうやってその自由と安全を両立させているんですか。
毎日救急車が呼ばれまくる事態にはならないんでしょうか。
スピーカー 1
そこで鍵になるのが安全管理の専門用語であるリスクとハザードの決定的な違いなんです。
スピーカー 2
リスクとハザード。
スピーカー 1
この二つをどう区別するかがプレイパークという空間を成立させる最大のメカニズムになっています。
スピーカー 2
どちらも危険っていう意味の言葉に聞こえますけど、具体的にどう違うんですか。
スピーカー 1
簡単に言うとですね、リスクとは遊びの価値そのものであり、子供の挑戦を促す目に見える危険のことです。
スピーカー 2
目に見える危険、例えば。
スピーカー 1
例えば、高い木に登ることとか、マッチで火をつけることですね。
スピーカー 2
子供自身が危ないかもって認識できるものですね。
じゃあ、ハザードは?
スピーカー 1
一方のハザードは遊びの価値とは全く無関係で、子供には予測不可能な隠れた危険のことです。
スピーカー 2
予測不可能?
スピーカー 1
はい。一見丈夫そうに見えるけど、中が腐っている優遇の木材とか、土の中に埋まって見えないガラスの破片などですね。
スピーカー 2
なるほど。つまり、大人は子供に気づかれないように、ハザードだけを徹底的に排除して、子供が自分で見て判断できるリスクは、あえてそのまま残しておくわけですね?
スピーカー 1
その通りです。プレイリーダーにとって、リスクとは、たどえるならワクチンのようなものなんですよ。
ワクチンですか?病気を防ぐための?
スピーカー 1
はい。知識的な本物の危機に直面したときに備えて、安全な危機回避の免疫システムを心と体に作るために、あえて少量のコントロールされた危険を取り込ませるわけです。
スピーカー 2
ワクチンね。でもちょっと待ってくださいよ。
はい。
スピーカー 2
資料の中に、港区の熟練プレイリーダーの日誌があったんですけど、信じられないエピソードがありましたよね。
ああ、S1君の話ですね。
スピーカー 2
そうです。S1君という男の子が、自転車で斜面を降りて、わざとぶつかって倒れる遊びをしたいと言い出したって。
スピーカー 1
ありましたね、その記録。
スピーカー 2
これ普通の親なら、バカなこと言ってないで絶対やめなさいって即座に止めますよ。
ワクチンどころか、自分から怪我というウイルスに感染しに行ってるじゃないですか。
スピーカー 1
まあ、大人の常識的な目線からすれば完全に無謀な行為にしか移りませんよね。
スピーカー 2
ですよね。
スピーカー 1
しかし、プレイリーダーの分析は違うんです。S君は、ただむやみに自傷行為をしたいわけではないんですよ。
スピーカー 2
違うんですか?
スピーカー 1
はい。自分でもびっくりするくらい突然倒れるにはどうしたらいいか。
そして、どうすればギリギリ大怪我をせうに転べるかを彼なりに真剣に試行錯誤しようとしているんです。
スピーカー 2
なるほど。ギリギリのラインを探っていると。
スピーカー 1
これがまさに自分の限界値を知るためのリスクへの挑戦なんです。
わざと転ぶことで、致命傷にならない転び方を体で学習しているってことですか?
スピーカー 1
ええ。川崎市子ども夢パークの初代所長である西野氏は、現代社会への強い継承としてこんな言葉を残しています。
スピーカー 2
はい。
大人が子どもに完璧を求め、一切の怪我をさせまいと過保護になることで、小さな失敗をする機会をこねこそぎ奪ってしまっていると。
スピーカー 2
失敗を先回りして全部排除しちゃうんですよね、今の社会は。
スピーカー 1
はい。その結果どうなるか。
子どもの頃に安全な転び方を学ばなかった人間は、年齢が上がって社会に出てから初めて大きな失敗に直面した時に、その衝撃を吸収できないんです。
スピーカー 2
うわあ、それは怖いですね。
再起不能なほどの深い挫折感を味わってしまう。
スピーカー 1
怪我と弁当は自分持ち、というルールは、突き詰めれば、ここでは致命傷にならない小さな失敗をいくらでもしていいんだよ、というメッセージなんです。
スピーカー 2
つまり、社会を生き抜くための究極のセーフティーネットなんですね。
まさにその通りです。
スピーカー 2
リスクを排除しすぎることが、逆に将来の最大のハザードを生み出している。すごく腹落ちしました。
スピーカー 1
ええ、逆説的ですが真理です。
プレイリーダーの「介入しない見守り」と親への支援
スピーカー 2
でもその致命傷にならない小さな失敗を見極めて、ハザードだけをこっそり取り除くって、現場ではとんでもないバランス感覚が必要ですよね。
スピーカー 1
熟練の技ですね。
このプレイリーダーという人たちは、一体どうやってその空間をコントロールしているんですか?
スピーカー 1
興味深いのは、彼らが遊びを教える先生として振る舞うことは絶対にない、という点です。
スピーカー 2
先生じゃないんですね。
スピーカー 1
はい。彼らの心骨頂は、子供たちに介入しないための計算しつくされた見守りにあるんです。
介入しないための計算。これ資料を読んでいて、私が一番驚いたのがまさにそこなんですよ。
スピーカー 1
ほう、どの部分でしょう。
スピーカー 2
彼らって、ただニコニコ微笑んで見守ってるんじゃなくて、頭の中で高度な4Dチェスをやってるみたいですよね。
日誌に、プレイリーダーはその場から最短で抜けられる方法を中心に考えている、って書いてあって。
スピーカー 1
ああ、はいはい。メタ認知の記述ですね。
スピーカー 2
最短で抜けるってすごい発想だなと。
スピーカー 1
普通、大人が子供の遊びに入っていくと、こうやったらもっと面白いよ、と場を盛り上げたり、つい自分が中心になってしまいがちじゃないですか。
スピーカー 2
なりますなります。貸してごらん、おじさんがやってあげるよ、みたいな。
スピーカー 1
そうです。しかし、プレイリーダーは違います。
例えば、子供たちが火起こしに苦戦しているとき、ここに枯葉を入れなさい、とは絶対に言いません。
スピーカー 2
じゃあ、どうするんですか。
同率狩りに、さりげなく乾いた小枝の束を近くに落としておいて、子供たちが気づいたときには、もうその場からいなくなっているんです。
スピーカー 2
うわあ、かっこいい。完全に国威ですね。
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
つまり、子供たちからすれば、自分たちの力で枝を見つけて、自分たちで火を起こせたぞ、っていう成功体験になるわけですよね。
その通りです。大人の影を感じさせないんです。
スピーカー 2
これ、ちょっと聞いているあなたも思い当たらないですかね。ビジネスの現場でも全く同じだと思いませんか。
と言いますと。
スピーカー 2
優秀なマネージャーって、部下に手取り足取りを教えるマイクロマネジメントはしないじゃないですか。部下が自分で考えて動ける環境だけを整えて、すっと身を引く。
スピーカー 1
全く同じ構造ですね。介入しすぎないことで、相手の当事者意識を育てるわけですから。
スピーカー 2
ですよね。
スピーカー 1
そしてもう一つ、プレイリーダーの極めて重要なスキルに、保護者へのポジティブな通訳というものがあります。
スピーカー 2
ポジティブな通訳ですか。
スピーカー 1
はい。実は、子供が自由に遊べる環境を作るためには、子供以上に親の心理的ハードルを下げる必要があるんです。
スピーカー 2
親の不安を取り除くってことですか。
スピーカー 1
資料にあったエピソードを思い出してみてください。プレイパークの手作りウォータースライダーで、小学3年生の男の子が大はしゃぎして、周りに水しぶきをあげながら遊んでいた時の話です。
スピーカー 2
ありましたね。それを見たお母さんが思わず、「下の子がいるんだから気をつけなさい!」ってきつく怒っちゃった場面ですね。
はい。
いやー、これ親心としてはすごくわかります。本当に危ないと思ったというより、周りの親からしつけがなってない家だと思われないかっていう世間体とかプレッシャーでつい先回りして怒っちゃうんですよね。
スピーカー 1
まさにそこなんです。親は常に社会の目にさらされていますから、その親の焦りやプレッシャーを察知した時、プレイリーダーはさっと前に入って、お母さんに口行為をかけました。
はい。
スピーカー 1
何が楽しいかは遊びの壺がわかってますね。すごくハマって遊んでますよ、と。
スピーカー 2
いや、魔法の言葉ですね、それ。
スピーカー 1
そうなんです。
その一言で、お母さんの、周りに迷惑をかけているダメな子っていうネガティブなレンズが、遊びの本質をつかんで豊かに育っている子っていうポジティブなレンズにパッと切り替わる。
スピーカー 1
その通りです。危険じゃないか、迷惑じゃないかという不安を、こんなに豊かな育ちをしていますよ、と言葉に翻訳して伝えてあげる。
スピーカー 2
なるほどな。
そうやって、親自身の緊張を解きほぐして、社会の目から守ってあげることで、結果的に子どもがのびのびと遊べる環境が守られるんです。
子どもの自発的な成長と社会への問いかけ
スピーカー 2
その大人の見守る余裕ができると、子どもたち自身の世界が爆発的に広がっていく様子も記録されていましたよね。
スピーカー 1
ええ。面白い記録がたくさんありました。
スピーカー 2
ある女の子が、ダンボールで警察署を作っていたのがきっかけで、いつの間にか周りの子たちにお家作りの大流行が起きたりとか。
あとは、社面で秘密基地を作っていた小学4年生の男の子たちのところに、いつの間にか小さな子たちが集まってきて、社弟として働き始めていたというエピソードもありましたね。
スピーカー 2
そうそう、小学生の社弟。あれ笑っちゃいました。
スピーカー 1
大人から見たら、上下関係なんて作らず、みんなで平等に仲良く遊びなさいって口出ししたくなる場面ですよね。
スピーカー 2
絶対言いたくなります。お兄ちゃんなんだから優しくしなさいとか。でもプレイリーダーはそれも、お前も後から家に来いよなんていうやり取りを見て、面白がっているんですよね。
スピーカー 1
ええ。大人が無理やりコミュニティを設計しなくても、子どもたちはリスクと自由の中で、勝手に社会性を身につけていくんです。
スピーカー 2
彼らは子どものやってみたいっていう心の動きを肯定して、それが自然に発展していくための土壌を耕すプロフェッショナルなんですね。
スピーカー 1
その通りです。ノコギリを使っている時も、社弟ごっこをしている時も、そして、ただ黙々とデジタルゲームの画面を見つめている時でさえも、
ああ、なるほど。
スピーカー 1
すべてはその子の今必要なプロセスとして見守るのです。
スピーカー 2
プレーパークって単に昔ながらのドロンク遊びができる公園だと思ってましたけど、根本から認識が変わりました。
単なる解雇主義ではないんですよね。
スピーカー 2
株に管理された現代社会が失いつつある、自分の人生を自分で決定し、そして失敗する権利を取り戻すための壮大な実験場だったんですね。
スピーカー 1
そして重要なのは、このプレイリーダーたちの哲学をどうやって私たちの日常に応用していくかということです。
スピーカー 2
本当にそうですね。さて、ここまで聞いてくださったあなたはどう感じたでしょうか。
スピーカー 1
職場やご家庭の状況と重ねてみると、いろいろ見えてくるものがあるかもしれません。
スピーカー 2
私たちは今、あらゆる場所から目に見えないハザードだけでなく、成長に必要なリスクまで徹底的に排除しようとする社会を生きています。
公園の看板面持ちろん、学校のルール、あれば職場のコンプライアンスとかマニュアルもそうかもしれません。
でも、もしリスク、つまり挑戦と小さな失敗を許容しない完璧に安全な環境こそが、結果として人間の適応力や生きる力を奪う最大のハザードだとしたらどうでしょう。
非常に恐ろしいことですよね。
スピーカー 2
私たちはよかれをもって過保護になりすぎ、部下や子供の自己決定権を奪っていないでしょうか。
明日からは少しだけ、大人の都合でコントローラーを奪うのをやめて、彼ら自身に、そして自分自身にもリスクを許す遊び心を持ってみてはいかがでしょうか。
スピーカー 1
その小さな余白から思いもよらない成長が生まれるかもしれませんね。
失敗できる環境をデザインし、すっと立ち去る。それが真のマネジメントと言えるのかもしれません。
スピーカー 2
今回の深堀はここまでとなります。
明日からの景色が少しでも違って見えたなら嬉しいです。
それではまた次回。
18:33

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