問われる検察官の取り調べ
2026-07-17 16:46

問われる検察官の取り調べ

元サンデー毎日編集長・潟永秀一郎と毎日新聞出版代表取締役社長・山本修司、2人のジャーナリストによるラジオコラム。毎月第四金曜日には、元作詞家志望だったという経歴も生かして、潟永秀一郎がヒット曲の歌詞を読み解く「この歌詞がすごい」をお送りします。

※RKBラジオで毎週金曜日に放送している『立川生志金サイト』内のコーナーです。

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サマリー

本エピソードでは、検察官による威圧的な取り調べが問われ、元特捜部検事が特別公務員暴行陵辱罪で初公判を迎えた異例の事態について解説します。検察官が刑事被告人となる背景には、過去の事件による検察組織の衝撃と、それに伴う改革の歴史があります。取り調べにおける「自白」重視の風潮や、検事自身の評価への焦りが威圧的な態度につながる可能性が指摘されています。一方で、容疑者の嘘や悪質な態度に対しては、毅然とした対応も必要であり、取り調べの適正さと検察の権威維持とのバランスの重要性が議論されています。

検察官の取り調べが問われる異例の事態
さて、今日の学ぼう社会のカギはですね、問われる検察官の取り調べということで、これは大阪地検特捜部が捜査した事件で、威圧的な取り調べをしたといたしまして、特別公務員暴行両逆罪というのに問われた元特捜部検事、田淵大輔彦の初公判が先週の金曜日10日、大阪地裁で開かれたということなんですね。
田淵検事につきましては、検察舐めんなよ、などと大声を出したことが報じられておりましたけれども、元東京地検特捜部の検事も同じ罪に問われて、刑事法庭で裁かれることになっております。
現職の検事2人が取り調べをめぐって、刑事被告人になっているという異例の事態ということになってまして、ここは東京地検特捜部をはじめとする検察の取材経験も長く、裁判も含めた司法の担当記者でありました毎日新聞出版社長の山本修司さんに解説をしていただきたいと思います。山本さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
おはようございます。
おはようございます。
不審判請求と検察の起訴独占主義
今、修司さんおっしゃった通り、異例の事態なんですね。この裁判はちょっと難しいですし、ちょっと耳慣れない言葉が出てきますので、最初に基礎的なところを説明しておきたいと思います。
お願いします。
公務員の職権乱用、今回は検事による威圧的な取り調べということですが、これについては、被害を受けた人は検察当局に酷訴したり告発したりできるんですね。
これが不起訴処分、起訴されなかった場合には、不服があったら裁判所に刑事裁判を開くように求めることができるんですね。
今回そのケースなんですが、これは不審判請求というんですよね。付ける裁判の請求と書くんですが、審判というのは裁判ですね。不審判、裁判にかけることを請求する、求めるということですね。
ですから、不審判請求というんですが、地面見てもちょっとわかんないですよね。
でもそういう言葉があります。
日本では、起訴するかどうかという、要は裁判にかけるかどうかという権限は、検察官だけが独占してるんですね。
これは起訴独占主義というんですが、また起訴するかどうかという裁量も任されてるんですね。起訴弁議主義なんて言いますけど。
公務員が告訴告発の対象となった場合、検察官も公務員なんで、もしかしたら判断が甘くなるかもしれないよねというところで、不起訴になった場合に被害を受けた人が請求して、裁判所が判断する制度ということで、この不審判請求があるんですね。
裁判所がこれは裁判にかけるべきだという決定をした場合、これ不審判決定というんですが、そうすると検察官は起訴しなくても、自動的に起訴があったとみなされて刑事裁判手続きに入るんですね。
今回の田淵検事のケースというのはこれになります。これが2件あるんですね。
ですからこれは本来罪を追求する側の検察官は被告の罪についてですね。
検察官役は裁判所が選任した弁護士が務めますので、さらに自らにも弁護士がつくんですね。
ですから通常の裁判とは公署が入れ替わっちゃうということで、これだけ見ても入れだということですね。
この不審判請求でどれぐらいあったんですかということですけれども、統計が残る1984年以降ですね、約1万7000件、結構たくさんの請求があったんですけれども、
実際に認められたのは不審判決定が出たのは11件過ぎなんですね。
率にすると0.06%という。
元は一応検察官が捜査をして不起訴としたという案件ですので、ある意味被告率が低いのは当然とは言えるんですけれども、
これまで対象になったのは主に警察官とか刑務官、刑務所なんかで使用された人の面倒見る人ですね、刑務官などが対象だったんですが、
今回現職検事が2件続いたということですね。やはりこれは大変なことではなくて間違いないんですね。
ここまで基礎的なお話ですけれども、これ土台となります。よろしいでしょうかね。
検察組織を揺るがした過去の事件
はい。わかりやすい。ありがとうございます。
なぜこんな大声出したりとかいう、そんなことが起きるんですかということなんですが、これをちょっと説明していきたいと思いますね。
ちょっと歴史というかですね、振り返らなきゃいけないんですが、2009年に郵便不正事件という、これ大阪地検特捜部が摘発した事件なんですが、
実態のない障害者団体に郵便料金の割引制度の適用を認める偽の証明書を発行したということで、厚生労働省の局長だった村木敦子さんが逮捕された。
これは無罪になりましたが当然ですね。この時特捜部の主任検事が証拠を改ざんしたということがあって、この主任検事に加えて特捜部長までも逮捕されたという、検察にとっては歴史的な汚点なんですね。
実はこれ検察内部ではですね、この歴史的な汚点となったこの事件の前を戦前、戦いの前ですね。
二次大戦みたいなもんですけど、戦前と呼んでですね、それ以降戦後と呼んでるんですね。
そんな風に呼んでんだ。
呼んでるんですね。これはだから結局検察の歴史を2分数ほどのですね、大きな衝撃というかインパクトがあった事件だということなんですね。
ですからこの事件を受けて、取調べの録音録画が本格化してですね、様々な改革が行われたということなんですね。
でも今回この原職検事の取調べ、2件相次ぎで刑事法廷で問われるというのは、このまさに戦後に行われているということでですね。
そうすると検察戦後も全く変わってないじゃないかという話になってしまうんですね。
今回録音録画があったので、この検察舐めんなよみたいなことが表に出たわけですけども、どうなっているのかということになるんですね。
威圧的な取り調べがなくならない理由
実際の戦前でもですね、私もいろいろと取材をしてましたけども、大半の検事というのは適正な取調べをしているわけですね。
時々こういう大声出したり威圧的な取調べをする人がいるということですけども、これがなくならないというには理由があるんですね。
検察内部では、容疑者を取調べて完全に罪を認めて自白させることを悪というんですね。
口を悪なんて言い方しますけど、あまり悪ではないですけどね。
悪というんですね。
自白を取るのが上手い検事のことを悪屋なんて言うんですね。
難しい事件になるとこういう人が重宝されてですね、全部認めさせて辞去を取ってくるというようなことなんですけども。
私が担当記者時代でも非常に親しくなった検事などから、まだ容疑者の誰々が割れてないんだよとかですね、
誰々検事がまだ割ってないんだよなみたいな話が出てくるということなんですね。
その当時でも自白返帳は良くないということは当然言われてたんですが、
それでもやはり悪事へのこだわりというのは強いというものがあるんですね。
これはどうしてかということになると、原職検事が本の中に出てくるのがありまして、
2003年に鈴木宗男さんがアッセンショワイザーで逮捕された事件がありましたが、
その過程で逮捕された外務省の主任分析官だった、今作家をやっているのが佐藤勝さんですね。
この方とその取り調べを担当した西村尚義さんという検事が対談した本が出たんですね。
国相取り調べ室という本で。
私実はこの鈴木宗男事件担当したんで、思わず買っちゃっただけなんですけども。
その中でこの西村さんですね、元検事はですね、威圧的な取り調べについてですね、
要するにうまくしゃべらせないと自分の評価が低くなるのではないかという、
焦る検事がいるんだと言うんですね。
自分の名前を上げたいと、さっき割り矢なんてありましたけども、
そういう意欲が強すぎると上から目線で調べてしまうということなんですね。
原職検事だった人が言うんだから間違いないと思うんですが、
実際私もですね、割り矢と言われてた検事さんですね、今随分時間が経ちましたけど、
実際結構無理してたんだよなみたいな話にはやっぱりなるんですね。
自分の評価を上げるため。
そうなんですよね。鈴木ちゃんも特段で書きたいとかありますけども。
やはり検事も割ってなんぼみたいなところがあったんですね。
でも実際その西村さん自身もですね、声を荒げたことがあるというふうに本の中で明かしてるんですね。
そんなこと、バカなことがあるかと言って怒鳴ったそうなんですけども、
この時はその容疑者が明らかに嘘の供述をしたということなんですね。
取り調べの適正さと検察の萎縮
ですからその取り調べはもちろん威圧的な取り調べがあってはいけませんが、
嘘をついたとかですね、よく被害者をことすら無別するような容疑者もいるんですね。
そういう場合にですね、淡々とはいそうですかというわけにはいかない。
そうですよね。
これは当然のことなんですね。
実際かつては、私が担当した事件ではイチもかけてですね、
捜査資料をシュレッダーにかけて証拠隠滅したとかですね。
客観的な証拠があるのにずっと否認を続けるとかですね。
そういった事件は結構多いんですね。
もちろんそこで検察にならないとか言っちゃいけないんですが、
ただそうですかと淡々とやるわけにもいかない。
やっぱり脅迫は眠らせてはいけませんしですね、
罪は償ってもらわないといけないので、
検察官が今回のこの事件によってですね、
萎縮するようなことはあってはならないと思うわけですね。
裁判の意義と今後の課題
今回の裁判ちょっと見てみると、
田口憲次の弁護人にはですね、
大阪で刑事弁護院長というのを務めた弁護士さんなんですけど、
ずっと検察とは対峙する形でですね、
こうして取調べの録音録画とかの導入を強くしてきた人物ですね。
実はこの人が田口憲次の弁護人を務めている。
ということに私は大変注目をしているんですね。
この方は弁護法人について報じられているところを見ますとですね、
取調べが不適正と言ってもですね、いろいろ濃淡があるんだと。
犯罪というのは最高位に位置するものだということを
抑えておかなきゃいけないという部分ですね。
ですから田口憲次の今回の取調べ、確かに大声を出したりですね、
いろいろするというのはもちろんいけないことだけども、
じゃあ果たして罪を問うべきものなのかというところまでも、
そういう取調べ家ということもきちんと審理しなきゃいけないと言っているんですね。
私はこれ大変フェアな姿勢だなと思ってまして、
やはり取調べというのはどうなれば違法なのかというかですね、
そういうところがきっちりと分かれ目が出るんじゃないかという、
大きな意義がある裁判だと私は思っているんですね。
先ほども言いましたけど、検察舐めんなよって大声を出すような威圧的な態度ですね。
もう一人の検事は目秘している被告に対してちょっと無別的な言葉をかけているんですね。
こういうことは絶対にあってはならないということですけども、
これは萎縮もしちゃいけないよと。
犯罪を暴くためには厳正な取調べが必要なんだと。
こういうところを問題意識を持ちながらですね、
今回の裁判をしっかり見ていきたいなと私は思っているところなんですね。
容疑者の態度によっては検察側も気迫を見せないといけないようなシーンもあるかもしれないから。
これは裁判官があるに判断することでしょうけども、
これでそういう態度がダメだというのが一般に広まった場合ですよ。
あるいは、いわゆる反射的な人たちがそれを逆手にとって、
取調べの時に彼らに有利になるようなことをしたりとかされたりとかっていうふうになるのも、
それは悪を正すということにちょっと支障が出るようになるのは良くないですよね。
検察の権威みたいなものはね、やっぱり守りつつ行き過ぎは。
検察の人も権威に溺れちゃいけない。
自分の評価のために無理やりとかね、そういうのはダメですけどね。
今回ですね、有罪無罪ももちろんあって、有罪って結構ハードルが高いと思ってるんですが、
仮に無罪だとしてもですね、やはりこの取調べについて批判されるべきものが出てくるはずなんですね。
ですからやっぱりそこは見なきゃいけないと。
それと先ほど消費者さんがおっしゃったように、
それを逆手にとってですね、いわゆる反射的な集団が利用するようなことはもちろんあってはならないということですよね。
基準づくりが難しい。
やっぱり録音録画、可視化は、これはやっぱり大事なことではありますよね、一つね。
曲がりなりにも今回出てきてますね、証拠としてですね。
これは必要であることは間違いないんですが、それがあっても出てしまったというところですから、検証も当然必要だという。
ただ最新請求の法律もまた変わりますけども、
やっぱり検察有利みたいなのが、日本の司法の場合は強いみたいなので、
その辺のバランスもちょっと変えていかなきゃいけないんじゃないのかなと、僕は素人ながらに思ってるんですけどね。
やっぱりフェアな形にすべきだと思うんですね。
ありがとうございました。
まとめ
ということで今日はですね、検察官2人がですね、裁判にかけられると問われる検察官の取り調べ、
その取り調べがちょっと不相応しくなかったのではないかということでお話を伺いました。
毎日新聞出版社長の山本俊さんでした。どうもありがとうございました。
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