#10【対談】予算と評価を結びつける前に:FP&AとCHROが問い直す経営管理【株式会社うるる / 太田昂志氏】
2026-10-26 40:07

#10【対談】予算と評価を結びつける前に:FP&AとCHROが問い直す経営管理【株式会社うるる / 太田昂志氏】

CFOやFP&A実務家にとって、予算達成率と報酬を結びつける評価には、目標を低く抑える交渉や資源再配分への抵抗という問題があります。株式会社うるるCHROの太田昂志氏と、ゆめみの給与自己決定制度や請求稼働率・工数の可視化から、評価と報酬の関係を考えます。人材育成やカルチャーを含む評価の目的と、人が働く動機を踏まえ、経営管理の前提を問い直します。


【主な内容】

・予算達成率を評価に結びつけることで起きる、目標の引き下げ交渉・資源再配分への抵抗・制度へのしらけ

・ゆめみの給与自己決定制度と、給与を成長のエネルギーと捉える考え方

・請求稼働率8割と工数の可視化で全社目標を支える、ゆめみの業績管理


【タイムスタンプ】

予算と評価を結びつける3つの弊害

人事評価の3つの目的と内発的動機づけ

ゆめみの給与自己決定制度と「給与はエネルギー」の思想

請求稼働率と工数の可視化で全社目標を支える

人を動かす哲学をFP&Aの仕組みに組み込む


【出演者】

鷲巣大輔(わしず・だいすけ)

『FP&Aのすべて』(ダイヤモンド社)監訳者。FP&Aアーキテクトとして複数の企業でFP&Aヘッド・CFOを務め、現在は大学院で教えながら、研究者・コンサルティングファームのアドバイザーとしても活動しています。

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サマリー

鷲巣大輔と、うるるCHROの太田隆が、予算達成率を事業部評価や報酬に結びつけることの問題を考える。予算を低く握る交渉、環境変化に応じた資源再配分への抵抗、制度へのしらけが生じる一方、人事評価には利益配分だけでなく人材育成とカルチャー形成の役割もあると整理する。太田は、評価と報酬を分けたゆめみの「給与自己決定制度」を紹介し、給与を会社への貢献の対価だけでなく、安心して働き成長するための「エネルギー」と捉える考え方を説明する。ゆめみでは、全社員が給与を公開申告して周囲のレビューを受け、約3割だけが給与を上げ、5年間上げない人もいたという。会社全体の業績管理では、全社員の請求稼働率8割を原則とし、面談や研修など時間の使い道を工数管理で可視化していた。これにより、資源再配分は経営が担い、個人は必要なスキルを伸ばして次の仕事にアサインされる仕組みが作られた。後半では、FP&AのKPI・計画・モニタリングが機械的な管理に偏る危険と、そこに意志や哲学を組み込む必要性が語られる。鷲巣は、ゆめみが「人はお金のために働く」「全社目標を事業部に配分する」という前提そのものを問い直していた点を、今回の学びとして振り返る。

予算と評価を結びつける弊害
FP&A Insight 〜FP&Aアーキテクトの鷲巣大輔)と 管理会計のその先を一緒に考えていく番組です。
今回はですね、ちょっと毛色を変えて、対談をしたいなと思っております。
テーマはですね、FP&Aにも関連する評価ですね。特に事業部の評価。
常々ですね、予算と評価をひもつけるのは、ちょっと僕は違うんじゃないかなというふうなことを思っておりまして、
このテーマをですね、人事のプロCHRO、今日はですね、うるるのCHRO太田さんに来ていただきましたので、
2人で対談を通じながら、どのあたりにね、この評価を考えたらいいのかということを一緒に考えていきたいと思います。
FP&A Insight 初めての試みです。今日はですね、対談ということで、うるるのCHROの太田さんに来ていただきました。
太田さんこんにちは、どうぞよろしくお願いします。
皆さんこんにちは、うるるのCHROの太田隆です。今日はよろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。
太田さんもしよろしければですね、簡単に太田さんの自己紹介をしていただけると嬉しいなと思うんですが。
もちろんです。皆さん改めて初めまして、太田隆と言います。
今は上場企業のですね、株式会社うるるというIT企業の方で、人事の責任者、CHROをしています。
それ以前、何をやっていたかというと、私のキャリアの中心軸って大きく3つありまして、経営と、あとデジタルと、あと人組織というこの3つです。
特に印象的だったのは、夢見という会社を長らく経営していたんですけども、そこでまさにですね、少しユニークな組織設計をしていたというのが1つ。
あとその後、夢見をアクセンチャーという会社に売却したんですけども、その先ではまたコンサルティングをやっていた、いわゆる経営に近しい仕事をやっていたという形で、
大きくのキャリアの中心はデジタルなんですけども、その中で経営と人事というところを両面やってきたという、そんな人間だったりします。改めてよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。太田さんはグロービスの教員でもいらっしゃいますし、夢見の前はグロービスの社長さんでもあって、
僕はその時に太田さんと知り合ったという経緯もあって、今回は無理やりお招きしたという次第でございますけども。
そうですよ。いきなり呼ばれてちょっとびっくりしました。なんで私がって思いましたし、私で何か価値のあること話せるんだろうかって思いながら、今ちょっとドキドキしながら話しております。
それはね、全然普通に面白いと思います。
ご存知の通り、このFP&AインサイトはFP&Aをテーマにしてお話をしていくというポッドキャスト番組なんですけども、
今日ね、ちょっと特にお話ししたいなと思っていたのは、夢見という会社がすごく面白いユニークな人事制度を持っているというのはそうなんだけども、
マネジメントコントロールシステムを持っているという話もそうなんだけども、そことちょっとひも付けて考えたいのは、事業部の評価。
話をしたいなというふうに思っていて、なぜかというとですね、ちょっと簡単に今日のテーマ、僕の問題意識をお話しすると、
多くの会社が予算をですね、評価の基準に使っているケースが多いと思うんですね。
で、基礎のタイミングで予算を決めて、予算に達成すれば高評価ボーナス出ます。予算に達成しなかったら評価されませんというケースが結構多いんじゃないかな、オーソドックスなんじゃないかなというふうに思ってる
んだけど、
僕はこれ結構あまり筋良くないと思っていて、で、敵回しちゃうようだけど筋良くないと思っていて、
で、その一つ、理由が3つあるんですけども、一つ目、予算を評価の基準としてしまうと、その予算自体を下げるインセンティブが働くっていう。
だから、できること100だとしても、どうやったら90で握れるかとか、80で握れるかというふうに考えちゃうということですよね。
これ、全社最適で見たらあまりよろしくないと思っていて、どっかにしわ寄せがいくんで、というのがまず一つ目のおかしいなと思っているポイント。
で、二つ目は、やっぱり環境が変わる中でコーポレートの観点から言うと、フレキシブルに資源再配分ってした方がいいと思ってるんですよね。
で、前提持っててうまくいかないと思ったら、そこからリソースひっぺがして、うまくいきそうなところに資源を再配分するっていうのは経営としてはあるべき姿だと思うんだけど、
事業部サイドが予算に評価がひも付いちゃうと、リソースひっぺがされる方からするとめっちゃ抵抗すると思うんですよ。
そうですよね。
だいたい予算って変わんないから、当初の予算変わんないのにリソースひっぺがされるっていうのはちょっとフェアじゃないんじゃないのっていうのが二つ目。
三つ目はそういうのみんな見てるんで、やっぱりしらけちゃうというか、予算達成したボーナス出ますって言っても、結局それって政治ゲームだよねみたいな話になっちゃうと、
あんまり組織的によろしくないのかなと思っちゃったりするんですよね。
この辺りっていうのが、FP&Aとしてもすごく課題だし、CHROの立場でも非常に課題なんじゃないかなっていう風に思っていて、
この辺りを今日はじっくりとディープダイブしていきたいなっていう風に思っているというところでございます。
ありがとうございます。
ぜひ私も現場でうまくいったことと、想定通りいかなかったこと、失敗談、しくじる談もたくさんあるので、ぜひこの辺り教えてもらえれば、一緒に話せればと思います。
ありがとうございます。
まずどこからいきましょうか。
今のお話、問題意識から提示させていただいて、太田さんの方で何かジャブ的な導入が思った、インスピレーショナルなこととかって何かあったりしますかね。
人事評価の三つの役割と動機づけ
そうですね。なんかこれ人事の世界でも結構勘違いされているんですけど、まず人事評価とは何なのかっていうところの認識合わせが一番大事かなって思いました。
で、結論からいくと、人事評価制度って何をするかっていうと、大きく3つの役割がありまして、皆さんが見えやすいのは、報酬とセットのように見えちゃうので、
いけないんですけど、一つはあれですよね、稼いだキャッシュをどう分配するのか、そこのいわゆる利益の配分の方法論として評価制度を使っているケースがあります。
ただ、人事評価制度でそれ以外にも目的があって、一つは、いわゆる人材育成の目的ですよね。
つまり、求められるものに対して何ができていて、どこが伸びしろなのか、それをちゃんとフィードバックする手段として、人事評価制度があるっていうのが2つ目。
あとは3つ目は、いわゆるカルチャーの情勢ですね。会社としてこういう行動がカルチャーの情勢につながっているので、それを評価しましょうっていうのを評価制度に込めるわけなんですけども、
先ほどの話ってどちらかというと、一つの目的観、つまり公平な分配をどうするのか、稼いだキャッシュをどう分配するのか、そこに行き過ぎた結果として多分生まれてしまってるんじゃないかなっていうのは思いますね。
いや、それ多分そうで、なぜかっていうとマネジメントコントロールのあるべき姿って、もしかしたら異論あるかもわかんないけど、僕マネジメントコントロールのあるべき姿って結構それに基づいた設計になってるような
気がするんですよ。
例えば上場企業であれば上場企業で達成しなきゃいけない目標があって、この目標をどういう形で達成していったらいいかっていう事業部なりユニット団に対して分配をするっていうのがあって、
それを実際に分配をしてそれを実際にやって、うまくいったかいかないかっていうのを測定をし、いったかいかないかで評価をし、その評価に基づいて報酬を与えるっていう、なんかこの一本ラインじゃないですか。
そうですね。
今太田さんがおっしゃってくださったみたいな人材育成とかカルチャーの情勢は今のこのマネジメントプロセスの中に入ってないですよね。
その配分っていうのもどちらかというと前提にあるのは報酬をもらうために人は動くみたいなのがあるから、
報酬をもらうために評価を高めるために目標を達成するっていう極めてマテリアルな感じの制度設計になっているっていうのがベースにあるような気がするんですよ。
多くの会社は多分それがそのまま使われているような感じがするんですよね。
そういう意味で太田さんがおっしゃったどう配分するか以外にも人材育成それからカルチャーの情勢ってありますと、
配分ももしかしたら今申し上げたみたいにマテリアルな制度設計じゃないところのその意味合いも配分の中に込められているような気がするので、
ちょっとこの辺りディープにお話をお聞きしたいですね。
そうそこちょっとかなり大事なところで、つまりそのキャッシュってちょっと私言っちゃったんですけど、具体的に言うとリソースの配分をどう決めるかなんですよ。
人が動くにはいわゆる外発的同期づけと内発的同期づけがありますよね。
その時に外的報酬つまりお金、僕は金センティブとか言ってるんですけど、お金で人をどう動かすかっていうのと、
お金を支払わずその人の内発的同期づけやりがいに火をつけてどういう風にインセンティブを働かすかって、
いわゆる評価制度ってそれをどう組み替えるかっていうのを考える必要があると思うんです。
前者はわかりやすくお金なんですけど、それ以外にも会社って例えば人が動く理由として職位が上がったとか、
新しい成長機会を提供できる、新規事業のチャレンジだったりとか、例えば海外で駐在するとかそういう機会とか、
それもセットでどういう風に評価制度の結果を使って人を動かすかっていうことを考えていかなければならないんですが、
多くの会社ってこの辺りをあんまり見ずにですね、お金を与えれば人は動くはずだという前提で組織設計をしているので、
ここはちょっとすごい課題感を持っているし、改めていろんな人に見直してほしいというポイントでもありますね。
なるほどね。たぶんアメリカのカルバン主義的な宗教観に基づく稼ぐことはいいことだ的なところから出てきたアメリカの評価制度と、
日本はそもそもそういうキリスト教的な考え方を持っていないから、直接的に当てはめるのはそもそも無理なんだみたいなところはありますよね。
そうなんです。これがなんか日本の人事の僕は弱いところで、まさに海外の考え方をそのまま人事に取り入れちゃってるケースが多くて、
批判するつもりではないんですけど、例えばジョブ型とか、最近出てくるスキルベース組織とか、
いわゆる海外でそれなりに注目されているものをまんま取り入れて、日本で合わなかったねっていうふうに入れ替えてるってことをずっとやっていると思うんですけど、
いやいやそれってそもそも僕らの前提としている宗教観とか哲学とかそういうのが違うんで、それそのままやっても違いますよねっていうのが僕の印象だったりしますね。
ゆめみの給与自己決定制度
なるほどね。なんかこの辺りの具体的な事例っていう意味で言うと、僕はちょっとあまり本当にクイックサーベイしたレベルではあるんですけども、
ユメミさんの試みってすごく面白かったような気がするんですよね。僕がどういうふうにユメミさんの制度を考えて、捉えてるかっていうことを簡単に申し上げて、間違ってたら教えていただきたいんですけども、
まず報酬と評価が切り離されてるっていうこと?間違ってたら言ってくださいね。
さっき僕が言ったみたいに、その前者の目標があってそれを事業部に配分をして、それがいったかいかないかを評価して、うまくいってたら報酬を与えるっていうこの一連の中においては、評価と報酬はセットなんだけど、
ユメミはまずそこで分解してるっていう。
評価と報酬が違うっていう。報酬は基本自己申告制で、僕はこんだけの給料が欲しいですと、それガイドラインがあってこういうような仕事をする人はこれぐらいの給料というのはあるけど、それに自分で応募してこの給料
です。
周りのピアノ人がそれを見てこの人だったらということでオーソライズされて承認されてその人の給料になるという形。もしかしたらある人にとってはちょっとその自分にとったら結構デケェ靴履かされてるなぁみたいな
ことあるかも分かんないけど、逆にその給料の中でやってみろよと。
でそれも一つの成長だみたいな投資的な感覚で見てるから評価と報酬がそもそもセットじゃないみたいなのはね、僕がこれユメミさんの報酬制度を見たときに一番最初に思ったところなんですけど、ちょっと足りない
ところも含めて簡単に今の文脈の中で説明をいただくことはできますでしょうか。
もちろんですありがとうございます。いわゆるお金の報酬と評価っていうのは一対一対応ではまずなかったのがおっしゃるとおりです。ある種分断をしています。すごく象徴的なのが給料自己決定制度という報酬
の決め方なんですね。
どういうものかっていうと、自分が必要だと思う給料を全社員の場で公開をして、レビューをもらいながら自分の能力とか役割に対して最も適切なものを自分で選択をするっていうものだったりします。
で、もちろんガバナンス上をいわゆる経営トップの片岡という創業者、当時の社長が決めるんですけど、基本はもうほぼほぼ現場に委ねられているっていうそういう考え方ですね。
なんか片岡さんがむしろなんかあなた過剰申告だからもっとあげなさいよみたいな風に言ってたっていうことを聞いたことがあるんですか。
そうなんです。これ制度でやった時に驚くことが実はあって、これバシさんちょっと聞いてみたいんですけど、毎年どれぐらいの人が給料自己申告で金あげると思います?自分の給料。
この制度やると。まあ要は無限に、しかも年何回もあげれるんですよ。一応理論上は。
そうそうそう。だから、性悪説で言うとするのであれば、どんどんお金をあげていくっていう風に、まあ経営者の立場からすると結構危惧しちゃいますよね。そういう風に。
リアリティ的にはどうなんだろう。 片岡 これ実は年間3割ぐらいの人しかあげなかった。
7割をあげないってことですよね。 片岡 7割あげないです。何なら5年間ぐらいあげてない人もたくさんいました。
給与を成長のエネルギーと捉える
だからか。 そうなんですね。これが結構本質で、この給与自己決定制度を語る上で最も大事なのは、給与とは人間にとってどういうものなのかという問いに答える必要があるわけなんです。
深いね。 片岡さんが当時言っていたのは、その人が生き生きと生きるために必要なエネルギー、これが給与であると。
一般的に普通給与っていうのは会社への貢献に対して支払われる対価だというふうに考えられがちですよね。
それももちろんその側面もあるんですけど、そうすると起こり得るのは、給与がその人の価値であるというふうになっちゃうわけです。
そうするとですね、資本主義のゲームに人間が巻き込まれるんですよ。年収3000万、4000万の人が偉くて、400万、500万の人は普通で、
そして100万、200万の人は資本主義においてはあまり価値がないというふうに見られがちであるっていう感じなんです。
今のトレンドそんな感じしますよね。序列を年収で測るみたいなことが、世の中的なもの差し支えしているところは、風潮は私も感じますけどね。
で、片岡さんはそれは本当かっていう問いを立てたのがイノベーションで、いやいや給与というのは、その人が安心して働いて成長するために必要な金額であり、本人にとってこれぐらいがいいよねっていう金額で止まるは
ずであるっていう仮説があったんです。
これは実際やっぱありますよね。今だとちょっと上がってるかもしれませんが、一昔前だと年収800万円ぐらいで満足度変わって、その後まあ結構横ばいに近いかもしれないという話があった通り、あのデータを見ても
分かりやすいように、やっぱり我々ってどっかのタイミング以上のものだと高い給与もらってもあんまり変わんないんですよ。
そうしたときに、実は給与というのは繰り返しなんですけど、その人が生き生きと働くため、生きるために必要なエネルギーで上限があるはずだから、逆に言うと自分が欲しいというエネルギーが満たされれば、基本的に金
センティブ、つまり金銭的な報酬に対する欲求っていうのは止まるはずであると考えたわけですね。
実際に夢見の経営をやってそれが実証されたので、一社だけのあれではありますが、ここは僕にとってはかなり入ったときに衝撃を受けたところではあります。
衝撃的ですね。衝撃的ですよね。
だとすると、さっき申し上げたようなマネジメントコントロールの仕組みとして、全社の目標があります、それを事業部に分担します。
その事業部の分担を達成できたら評価をし、報酬を上げるっていう、この流れ自体に一つちょっと疑問が入ってるっていうことですよね。
そうですそうです。
特に先ほどの話で言うと、アングロサクソン的にはそうなのかもわかんない。
その報酬というものが、さっきの報酬イコール人間の序列みたいなものっていうのは、アングロサクソンって言っちゃうとちょっと語弊があるね。
カルバニズム的な、いわゆる給与が高い人、お金を稼いでる人が神に認められた人だ的なキリスト教のプロテスタント的な発想があると、
どうしても給料高く、給料高くみたいな風になるけど、ここは日本であり、必ずしもそのカルバン主義的なものではないとするのであれば、
ここは一つの設計の余地があったところであり、ユメミはそれを設計して運用してたってことですよね。
そうですね。そこに重ねるともう一つは、給与を通じて経営は何をしたいのかっていう問いに答える必要があって。
つまり、先ほどの議論にある、給与を通じて人をコントロールするっていう側面があるという前提で話しているんですけど、
それって我が国において本当かという問いに答える必要があって、片岡さんが考えたのは、
いやいや、給与は本人の自立性を信じてその成長を促すために、給与というのはエネルギーである。
なんとか出てきてますね、このキーワード。給与はエネルギーであると。
そうなんです。そうすると、これめちゃくちゃ違う発想があってですね、今の実力に対してですよ。
給与が仮に少し高かったとしても、そのエネルギーを前手で与えておけば、その水準に見合うように成長するはずである。
で、じゃあその力学をどういうふうに働かせばいいのかっていう問いが、いわゆる前社員の場で自分の給与をオープンに宣言をして、
フィードバックをもらって、周囲から期待を認識してもらうことによって、今は足りないけどこれぐらい頑張ろうと、
というふうにモチベートさせるという決め方なんです。
これ面白いよね。
そうなんです。これは前提は、我々日本人はやっぱり民族的にはやっぱり村社会、コミュニティ重視の生き物であるので、
周囲からやっぱり期待され応援され成長していくっていう発想が民族的にやっぱり染み付いているという僕は前提があるんで、
これがうまく働いたのがやっぱりそういう影響であるっていうふうに信じてますね。
なるほどね。
なるほど、これは面白いですね。
いや、給与の話は、一つ評価と給与を切り離したいというのは、
給与というものが社員にとってどういうものであり、経営にとってどういうものでありっていうところの定義が、
私が何度か申し上げている一般的なマネジメントコントロールの一つのラインみたいなものと違うから、
違うというふうに片岡さんは考えて、特に日本においては違うだろうというふうに考えて運用していったっていう、
これはすごく面白いし、大きな示唆に富む話だなって思ったんですよね。
一方でもし仮にそうだとすると、評価は従業員にとって何なんだろう、経営にとって何なんだろうと。
もともとは、前者の目標を達成するためにその前者の目標を分けて、分担して、それを達成させるために評価というものがあり、その先に報酬があるって話だったじゃないですか。
だから究極的に前者の目標を達成させるために何したらいいかっていう、そういう話なんですよね。
これはどういうふうに捉えたらいいのかな、評価。
そうですね。評価はなので、一つのいわゆる機械の、いわゆるリソースの再配分のものですかって話と、
実は人材育成とかカルチャーの方に実は寄っていくっていう発想なんです。ここをうまくバランスするかどうかっていう。
ほうほうほうほう。評価が資源の再配分のメジャーですよ。そうですよね。
だから評価をした、うまくいってるよね、うまくいってないよね、うまくいってないものをこのまま続けていいのかな、続けちゃよくないよね。
だったら資源をひっぺがして、うまくいきそうなところに再配分した方がいいよね。これが多分評価ですよね。
だからこれは経営の側面でいうと、資源の再配分のツールであるっていうのはその通りかなと。
ただ今太田さんおっしゃったのはそれだけではないんだと。
はい。で、例えばそこでいくと、ゆめみはいわゆるコンセプト的な評価制度設計、評価がない会社ではあったんですけど、
メタ的に見るといくつか評価っぽいのはあって、例えばいわゆるガイドラインって言われているスキルをある程度物差し化したものがありましたと。
いわゆる専門的な職能等級ですね。能力に応じてメジャーを作ってたという感じなんですけど、
そこでこれが足りてる足りてないっていうメジャーを使って、周囲からフィードバックをもらって自分で給与を決めて、明らかに評価制度っぽい動きなんです。
本人は気づいてないんですけど。
はいはいはいはい。そうね、でも評価というよりはさっきの報酬ということで考えると、
自分がこれぐらいの給料をもらう、それを周りの人に認めてもらうためのある種証拠付けというか、
比較対象として、このラインと比較するんだったらこれぐらいの給与がめどだよね、というための道具というふうにも言えるから。
そうです。種は成長とか能力。
そうですよね。だから必ずしも評価のために使われているというよりは、その報酬額の妥当性を確認するためのものだっていう、そんな意味合いなのかな。
そうなんです。なので割と成長を意識した設計にしていて、
自分はエンジニアとしてこれぐらい成長したいっていう成長欲求が強い人を採用し、
メジャーでどんどんどんどんここまで行く、ここまで行くっていうふうに促し、
結果的にこの給料でいいよねと。ただやっぱり能力は高いけど、給料はエネルギーっていったように、
もうある程度満足する人は上げないんですよ、それ以上。
そうですよね。
能力は上がるのに、成長してるのに、そこに対してちょっと上げてよ、ちゃんと給料を高めてよっていうのをやらなきゃいけない。
逆に経営の仕事としてあったって感じ。
なるほどですね。個人の観点でいうとすごくわかりやすいなと思っていて、
自分が生きていく中においてこれぐらい必要なもの、もしくは自分の価値観とかに照らし合わせてこういう成長したいなっていうものがあって、
それに基づいてガイドラインを参考にしながら給料を宣言し、周りの人のレビューをもらいながら最終的に決定させていくっていう、
これがすごいわかりやすかったなと思っているんですよね。
請求稼働率8割と工数の可視化
一方で会社全体としての目標値ってあるじゃないですか。
ユメミさんはダイレクトに上場してたわけではないけれども、確か親会社さんが上場してたんですよね。
はい、そうですね。
だから親会社の立場からするとやっぱり業績達成目標みたいなのが降ってくるだろうし、
マネジメントチームはやっぱり売り上げだ、利益だ、ROIだ、みたいなそういう経済的な目標値っていうのは当てられているはずだと思うんですよ。
これがどういう形で実現されていくのか。
特にカスケードダウンしていく時の分配の方法とかね、最終的にそのカスケードダウンが行き着く先が個人になったりするんですけど、
会社としての目標達成をしようと思った時にどういう風にその目標をブレイクダウンをし、
それを達成させようっていう風に働きかけをするのかっていうところが結構鍵になってくるのかなって思ったんですけど。
さすがです。そこが一番大事なポイントなんです。
結論から申し上げると、いろんなやり方があるんですけど、特にその文脈だと大きく二つお伝えをしたくて、
一つが請求稼働率、つまり夢見のビジネスは住宅開発系のビジネスなので、
お客さんにどれぐらいチャージしていたのか、チャージするのか、それがポイントになってくるんで、
全社員基本的には請求稼働が8割を目指すというのが基本原理原則としてあるんです。
そこはこの村で働く上では守るべき、なのでそこをみんな必死になって8割を守り続けてたっていう感じですね。
これが一つです。
で、もう一つが結構細かくですね、工数管理をしていて、つまり1時間の面談とか、1時間の101でもいいし、
何か研修を受けるっていうのも、全て何にどんな時間を使ったのかっていうのを細かくつけてたんです。
つまり一人一人が8時間という業務時間を何に使ってるのかって全社員可視化されてるんで、
そこの見られる、確認される、可視化されるっていうので行動を縛ってたっていう感じですね。
なるほど。この2つ。
そこが一番肝になってたというふうに後から振り返って理解してますね。
なるほどね。だから全社目標がある、おそらく経営人の中では、このやり方をすればその目標は達成できると思っている。
そこにおける鍵になるKPIが、請求稼働率8割っていうその指標と、
ちゃんとそれを達成するために、無駄なことに時間を使わないということに対して、
セルフチェックができ、かつ、言い方あんまりよろしくないかもわかんないけど、
外からの監視みたいなものがオートマチックに働くような仕組みがあれば、
無駄なものに使わず、時間をプライオリティ付けてちゃんとやるべきことをやり、
8割の請求稼働率を達成していれば、その目標は達成できるはずであるっていう、
まずそのグランド戦略があるっていうことなんですかね。
それは前提です。
そういうことですよね。
そう、すごいビジネスとしてはめちゃくちゃシンプルなんです。
もう従業員の時間を売る以上なんです。
はいはいはいはい。いや、そうかなと思って、だからシンプルなビジネスは、
参考にするところがすごく多くて、やっぱり複雑なビジネスになればなるほど、
評価制度がものすごく複雑になってきちゃうんでしょうね。
はい、ありますよね。
資源再配分とリスキリング
これ面白いですね。なんか今すごく思ったのは、
会社として目標を達成しなければいけない。
会社ができることっていうのは、個人のやってることに対して箸の上げ下げするのはまず難しい。
できることは、その会社が抱えている資源というものを、
どういうふうにフル活用すればいいのかっていう資源配分をすることっていうのが経営人にとって一番重要なところで、
そういう意味で言うと、オーソドックスなメーカーとか製造業とかでもそうなんですけど、
A事業、B事業、C事業、D事業みたいなのがあったときに、
どこにその資源を配分するかって決めるのが経営人の仕事だよねと。
そういう意味で評価はいると。
Aはうまくいってる。Dはうまくいってない。じゃあDから資源引っかかしてAの方にやろうねっていうことを決めるのは経営の仕事であると。
この考え方は多分夢見においてもそんなに変わらないんではないかなと。
ただその評価というものがどこに効いてるかというと、
まずこのビジネスモデルの厳選として絶対に達成しなきゃいけないものがまず惹かれていて、
夢見の場合だったら8割の請求稼働率だと。
これはもうみんな有無を言わさず、これはマストなんだっていうのがあるから、
これを必死になってやりましょうっていうのが、まず大きく言うと評価にもなるんでしょうね。
ただこれ達成しなかったらいけないって話になっちゃうんで。
もう実績評価なんですよ8割が。
そういうことですよね。これだけは達成性と。
その上で事業部Dは申し訳ないがこれはオポチュニティがないので資源引っこ抜くわっていうのは、
Dの人たちも自分たちの8割の稼働率も全部それをやることはやって、
ダメだったらまあいたしかたないかなみたいな話もなるだろうし、
その人の給与は別にそこに連動してるわけではないから。
じゃあ次アサインされたとこで頑張りましょうみたいな風になっていくっていう、そういうことなのかな。
そう、非常にそれがアクセンチャーに合流したのと同じで、
これコンサルファーも同じ設計なんですよね。
はいはいはいはいはいはい。
結局人欠ビジネスと言われているものは全部シンプルでそれで、
で、イメミも例えば当然そのこの技術はもういらなくなるみたいなときすぐ早かったんですよ。
ウェブ系のITの領域ってものすごい技術進化が早かったんですよね。
そうするとやっぱり自分でリスキリングをして、でアサインされるように持っていかなきゃいけないし、
これはファームも同じで、同じようにこのビジネスやってたけどもういらないってなったら、
急いでコンサルタントは勉強し直してアサインされるように頑張りますよね、社内で。
なるほど。
はい。
シンプルなビジネスなんですけど、握るところはちゃんと握っていると。
逆に言うとそれ以外はもう現場に委ねる。
そこは市場原理を働かせるっていう感じですね。
なるほどね。
いやーこれは結構面白いなぁ。
面白いなぁ。
なんかさっき僕が一番最初に冒頭に申し上げた予算の弊害みたいな話。
その低い予算を握りに行くような政治ゲームが始まりますとか、
あとは機中の資源配分がなかなか行われない抵抗が激しくなるとか、
みんなゲームみたいなのをみんな理解してるから冷めちゃってますみたいなものは、
今のこの夢見の仕組みであれば消えますよね。
だって低く握る必要がないんだから。
そもそも8割の請求稼働率っていうのがあるし、
資源の再配分は本部の方で行われるわけであって、
その後に呼ばれるかどうかは、
自分の給与というものを自分で自己申告をしていてガイドラインがある限り、
その給与をちゃんと翌年も同じように主張しようと思うんだったら、
自分がそれに見合う存在であるっていうことをちゃんと伝えなきゃいけない。
そうするとリスキリングの方向にも働くしっていう、
そういうことなのかな。
まさにおっしゃる通りです。
このあたりって、いきなりメーカーに当てはめることは難しいかもしれませんけど、
評価においてはすごく出発点としての参考にはなるかもわかんないですよね。
そうですね。
FP&Aに哲学を組み込む
多くの場合、評価、つまり人は何に動機づけて働くのかっていう問いに
哲学を持たないまま、お金を払えば人はどこまでも働いてくれるであろうという気持ちになって、
特にそこでやりがちなのは、じゃあ高い給与を払って外からハイレイヤー人材をたくさん入れるみたいな話とか、
なんかそういう議論になっちゃうんですけど、
それって本当ですかっていうのが。
そうですよね。
そうですよね。
哲学は確かにどんなことでも必要ですわな。
FP&Aにおいても哲学は必要ですよね。
今も確かにFP&Aの議論でよくあるのは、
会社は株主に対して説明する必要がある資本効率を高めなければいけない、
企業価値を高めなければいけない、
企業価値は定量的に分析することができる価値ドライバーをどういうふうにして抑えていくか、
それをちゃんとマネジメントコントロールの仕組みに当てはめて計画を立て、
KPIを設定し、モニタリングをして、
必要であれば修正をし、みたいな話なんだけど、
たぶん極めてメカニカルな話でしかなくて、
そうですね。
哲学とか意志とか思いみたいなのは多分に入ってきてないですよね。
AI出てくるとまさにこれリプレイスされるの、その部分だったりするから、
最近出てるんですよ、FP&AはAIでリプレイスされるんじゃないか論があるんだけど、
多分それに対してNOって言うためには、
まさにその意志とか思いとか哲学みたいなものはビルドインさせないと、
本当に単なるメカニカルな話になってしまうっていう、
その危険性はおっしゃる通りかなと思いますよね。
この哲学だけちゃんと変わらずあれば、
その後のアプリケーションは別に何だっていいんですよ。
なるほど。
夢見もたまたま事業モデルとしてTealというあり方が良くて、
そして評価制度もそういう感じになってましたが、
別にそれでなくても良い。
そういうことですね。
大田さん、あっという間にもう30分以上経っちゃったんですけども、
一旦今日はですね、ちょっとディープなお話を、
まだまだディープな入り口ではあると思うんですけども、
今日は一旦こんな形にさせてもらって、
もしよろしければですね、定期的にこういうやりません?
ぜひぜひやりましょう。
このFP&Aインサイトの恒例企画で、
毎月一回大田さんと話すみたいな、
大田さんとの対談を一つの目玉にできたら面白いなってちょっと思いました。
ありがとうございます。
僕も呼ばれる限りはどこまでも行くので。
ご無理のない範囲で。
今日はものすごく面白いお話を聞かせていただいたなって思うんですけど、
シリアスな話もしよろしければまたぜひ今後もやらせていただければと思います。
どうもありがとうございました。
皆さんありがとうございました。またよろしくお願いします。
マネジメントシステムの前提を問い直す
さて皆さんいかがだったでしょうか。
面白かったですね。
私個人的には非常に資産に富むお話を聞けたかなというふうに思っています。
いろんな皆さんの考え方があるので、ここからは僕の感じたことではあるんですけども、
マネジメントシステムってやっぱりあって、
オーソドックスなもので言うと会社全体で達成すべき目標があって、
これを各事業部に振って、各事業部の中でする予算という形で握って、
進捗確認して、それが予算達成したかどうかということで評価をして、
達成したら報酬が与えられるという、この一連の流れっていうのがあるんだけども、
今回思ったのはやっぱりこの流れにおける前提っていうのがやっぱりあるんだろうなと。
例えば、人というのはお金をもらうために働く、それがインセンティビであると。
だから報酬に紐づくために評価があるということですよね。
その評価というのが予算に紐づいているという。
もう一つ上流で言うとするのであれば、会社全体で達成すべき目標というのがあるんだけども、
これを各事業部に配分をするっていう。
実は今日出てきた夢見って、この2つの部分に関しては前提そもそも疑ってるよねと。
なんで人って働くんですかねと。お金のためなんですが違いません?みたいな話。
人は食べられるだけのお金があって、自分の成長というものだったりとか、
周りの期待というものにそれに応えて働くんだよっていう話ですよね。
あとはその予算、会社全体の目標を割り振るという考え方もほぼない。
夢見にあったのは可動率8割っていう、この会社にいる限りにおいて達成しなきゃいけないルールというか、
置き手というか、それはあるよねと。配分があってどれぐらいやらなきゃいけないのかっていうような交渉が発生するからそこで政治が発生するんだけども、
そもそもそれがないわけですよ。だって一本化されてるからね。
だから僕の学びは何かっていうと、マネジメントシステムの中には意図があって、目的があって、我々が暗黙の中に置いている前提があって、
その前提に対して仮説を持って崩しに行ってるっていうのは夢見であり、ここが僕は実は目を向けるべきポイントなのかなっていうのが学びですかね。
おたさんとはですね、これからも継続的にいろんなテーマでお話をしていこうかなということで、また改めてちょっとまた別のテーマ、もしくはね、
今日出てきた話、特に失敗談がなかなかなかったなってことをお話ししてたので、そんなお話もですね、していければなというふうに思っております。
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それではまた次回お会いでは、FP&Aアーキテクトの和静大輔でした。また次回もご一緒に。
40:07

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