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2026-10-27 06:29

【2026年9月収載】新医療機器3品目の保険償還価格と算定ルール

令和8年8月5日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第654回)で、新しい医療機器3品目の保険適用が了承されました。3品目はいずれも、令和8年9月1日に収載予定とされています。新しい医療機器を使うと、価格だけでなく算定できる条件も変わるため、現場では事前の確認が欠かせません。本号では、3品目の価格と算定ルールを、医療機関の実務に役立つ形で整理します。

3品目はすべて「区分C1(新機能)」として、新しい機能区分や算定ルールとともに保険適用されます。1つ目のBD アビテン フロアブルは、流動体型の止血材として48,700円で収載されます。2つ目のサージセル・アブソーバブル・ヘモスタットMDは、オスラー病などの鼻出血に対して、在宅で使える止血材として追加されます。3つ目のアントラー胆管ステントは、肝門部胆管の閉塞に使うY字型ステントとして、カバーありで345,000円、カバーなしで340,000円で収載されます。

用語メモ

* 区分C1(新機能):既存の機能区分では評価できない新しい機能を持つため、機能区分の新設や見直しを伴って保険適用される区分です。

* 特定保険医療材料:手術料などの技術料とは別に、材料の価格を算定できる医療材料です。

* 保険償還価格:特定保険医療材料を使ったときに、医療機関が請求できる材料の価格です。

BD アビテン フロアブル:流動体型の止血材を新区分で評価

BD アビテン フロアブルは、「106 微線維性コラーゲン」に新設される「フロアブル型(トロンビン非含有)」として、48,700円で収載されます。この区分では、1回の手術に対して1個まで算定できます。

BD アビテン フロアブルは、手術中に通常の方法で止血できない場面を補助する止血材です。この製品は、ウシ真皮由来の微線維性コラーゲンの粉末を、生理食塩液と混ぜて流動体にして使います。成分にはヒトトロンビン(血液を固める働きを持つ、ヒト血液由来の成分)を含みません。ヒツジを使った動物試験では、本品は全例で急性期の止血を達成し、既存の止血材(フロシール)と同等の安全性を示しました。

償還価格の48,700円は、製造原価などを積み上げる「原価計算方式」で算定されました。企業は、改良加算(補正加算の一種)を含む62,200円を希望していました。加算を求めた理由は、より安全かつ簡易な手技が可能になる点と、生物由来の原料(ヒトトロンビン)を除いても同等の機能を持つ点です。しかし、補正加算は認められず、最終的な価格は企業希望の約78%となりました。外国平均価格との比は0.81です。

算定ルールの面では、「106 微線維性コラーゲン」が形状と成分によって2つの機能区分に分けられます。2つの区分は、新設の「フロアブル型(トロンビン非含有)」と、それ以外の製品が該当する「標準型」です。フロアブル型として扱われるのは、フロアブルタイプであり、かつヒトトロンビンを含まない止血材です。このフロアブル型は、1回の手術に対して1個まで算定できます。

サージセル・アブソーバブル・ヘモスタットMD:在宅で使える止血材に追加

サージセル・アブソーバブル・ヘモスタットMDは、在宅で使える特定保険医療材料として、「017 デンプン由来吸収性局所止血材」に追加されます。在宅で算定できるのは、オスラー病などの高頻度の鼻出血に対して、医師の指示に従って使った場合に限られます。

サージセル・アブソーバブル・ヘモスタットMDは、酸化再生セルロースを原料とする吸収性の止血材です。この製品は、すでに医科と歯科の特定保険医療材料(手術時などに使う材料)として保険適用されています。今回、患者自身が自宅で使うための薬事承認を取得したため、在宅での使用が保険の対象になりました。対象となるオスラー病は、遺伝性の指定難病です。オスラー病では高頻度の鼻出血がみられます。この鼻出血は、末梢の血管壁の異常によって出血しやすく、出血後に血管が縮みにくいため止血しづらいという特徴があります。

償還価格は、標準型が1g当たり12,600円、織布型が1㎠当たり48円です。算定方式は、医科・歯科ですでに設けられている「デンプン由来吸収性局所止血材」の区分を類似区分とする「類似機能区分比較方式」です。この価格は、企業の希望価格と同額です。外国平均価格との比は、標準型が0.90、織布型が0.61です。

算定ルールの面では、在宅医療用の材料価格の一覧(材料価格基準の別表Ⅰ)と、調剤用の一覧(別表Ⅷ)に「デンプン由来吸収性局所止血材」が追加されます。区分は、医科・歯科と同じく「標準型」と「織布型」の2つです。算定する際には、使う医学的な必要性を診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に記載する必要があります。また、添付文書では、医療従事者の指示と指導なしに使わないよう注意喚起されます。

アントラー胆管ステント:肝門部用のY字型ステントを新区分で評価

アントラー胆管ステントは、「034 胆道ステントセット」に新設される「分岐部対応型」として、カバーありで345,000円、カバーなしで340,000円で収載されます。この区分では、両葉ドレナージを行う場合に、1回の手術に対して1個まで算定できます。

アントラー胆管ステントは、外科的に切除できない胆道癌によって狭くなったり詰まったりした肝門部胆管を広げ、胆汁の通り道を保つためのステントです。肝門部胆管は、肝臓の入り口で左右に分かれる胆管です。このステントは肝門部胆管の走行に合わせたY字型をしており、左右両方の胆管から胆汁を流す「両葉ドレナージ」に使われます。ステントは、内視鏡を使って胆管に挿入します。ステントの表面を膜で覆った「カバーあり」と、膜のない「カバーなし」の2種類があります。

償還価格は、原価計算方式で算定されました。企業は、カバーありで455,000円、カバーなしで451,000円を希望していました。最終的な価格は、カバーありが企業希望の約76%、カバーなしが約75%となりました。海外での販売実績はないため、外国平均価格との比較は行われていません。なお、ステントを留置する手技は「K688 内視鏡的胆道ステント留置術(11,540点)」で算定します。

算定ルールの面では、「034 胆道ステントセット」の機能区分が合計10区分に増えます。今回新設されるのは、「自動装着システム付・永久留置型・分岐部対応型」のカバーありとカバーなしの2区分です。この区分を算定するには、関連学会が定める適正使用指針を守る必要があります。本品については、日本胆道学会が適正使用指針を公表しており、対象となる症例や、医師と施設の要件が定められています。算定の対象は、外科的に切除できない胆道癌による肝門部胆管の閉塞または狭窄に対して、両葉ドレナージを行う場合です。

まとめ:3品目の価格と新しい算定ルールを確認

令和8年8月5日の中医協総会で、区分C1(新機能)の医療機器3品目の保険適用が了承されました。3品目は、令和8年9月1日に収載予定です。BD アビテン フロアブルは、流動体型の止血材として48,700円で収載され、1回の手術に1個まで算定できます。サージセル・アブソーバブル・ヘモスタットMDは、オスラー病などの鼻出血に対して、在宅で使える止血材として追加されます。アントラー胆管ステントは、肝門部用のY字型ステントとして345,000円(カバーあり)と340,000円(カバーなし)で収載され、適正使用指針を守ることが算定の条件です。

なお、3品目はいずれも市場規模の予測が50億円未満のため、費用対効果評価の対象にはなりません。各品目を使う予定の医療機関では、算定の上限や摘要欄への記載など、新しい算定ルールを事前に確認しておきましょう。

出典:中央社会保険医療協議会 総会(第654回)資料「総-1 医療機器の保険適用について」(令和8年8月5日)



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サマリー

2026年9月から保険適用される区分C1の医療機器3品目を取り上げ、革新的な機能と厳格な価格・算定ルールの関係を説明します。BDアビテン フロアブルは、ヒトトロンビンを含まない流動体型止血材ですが、企業希望額の約78%に価格が抑えられました。サージセル・アブソーバブル・ヘモスタットMDは、オスラー病患者が自宅で鼻出血に使えるようになる一方、医師の指示やレセプト記載が必要です。アントラー胆管ステントは肝門部の両葉ドレナージに用いるY字型ステントで、日本胆道学会の適正使用指針が保険請求の条件になります。3品目はいずれも市場規模が小さく費用対効果評価の対象外ですが、価格、処方、施設要件による管理が設けられています。

3品目に見る医療機器の保険適用
- 想像してみてください。自宅の洗面所で深刻な出血が止まらなくて、それをプロが使うような手術用通路を使って自分自身で処置している状況。
- なかなか想像すると怖い状況ですよね。
- 普通なら危険すぎてありえないって思うじゃないですか。でも、2026年9月から、ある特定の患者さんたちにとっては、これが現実になるんですよ。
- そうなんですよね。
- 今回の深掘りでは、革新的な医療技術とそれを阻むかのような強固なルールの壁、このパラドックスに迫ります。
- まさに、新しく保険適用されるクブンC-1の医療機器、3品目を通して見ていくわけですが。
- はい。命を救う最新デバイスが、いかにして厳しい価格統制とか、レッドテープをくぐり抜けて私たちの元へ届くのか、その裏側をリスナーのあなたと一緒に覗いてみましょう。
- このリストを見るのって、単なる新製品カタログを眺めるのとは全く違うんですよね。
- ああ、なるほど。
- 医療システムが最新技術を導入しつつも、どうやってコストと安全性をコントロールして必死にブレーキをかけているのか、その最高のケーススタディなんです。
- なるほど。じゃあまずは手術室の最前線から見ていきましょうか。
BDアビテン フロアブルの価格評価
- えっと、BDアビテンフロアブルですね。1回の手術で1個まで算定できる流動体系の止血剤です。
- はい。
- これ、通常の道具じゃ防げない肺幹の漏れを瞬時に塞ぐ高度な液体シール剤みたいなものですよね。
- ええ、いい例えですね。
- これ、牛由来の成分を使いつつも血液を固める人由来成分、つまりヒトトロンビンを含まないという優れた特徴があります。
- 感染リスクを減らせるから従来より安全ってことですよね。でも企業側は約6万2千円の価格を希望していたのに、国はその画期性への上乗せを却下して最終的に約4万8千円に抑え込みましたよね。
希望額の78%くらい。これ、なんでここまで厳しく削られたんですか?
- それはですね、制度が最終的な結果だけをシビアに評価しているからなんですよ。
- 最終的な結果ですか?
- はい。国は最終的に出血を止めるという機能自体は既存の製品と同じですよねと判断したわけです。
- ああ、プロセスがいくら安全になろうとも。
- ええ、結果が同じならプレミアムは支払わないっていう強烈なメッセージですよね。
- なるほど。配管の隙間が埋まったという結果は同じだから特別扱いはしないと。シビアですね。
- そうなんです。技術の進歩とルールの間には常にこういうギャップがあるんですよね。
サージセルの在宅使用と管理
- じゃあ、手術室でのシビアなコスト管理が見えてきたところで、次はそのプロ用の止血剤を患者が自宅で使うとなればどうなるか。
- 二つ目の品目ですね。サージセルアブソーバブルヘモスタッドMD。オセラ病の患者さんが頻快な鼻出血を止めるために自宅で使えるようになると。
- 指定難病の患者さんですね。
- ただ、いくら必要とはいえ、医療用のプロツールを素人が自宅で鼻に詰めるのって、さすがに安全面でハードルが高すぎませんか?
- そう感じるのも無理はないですよね。
- でも、患者さんにとっては日常生活を脅かす大量の出血が毎日のように起こるわけです。
- ああ、そうか。
- むしろ、手元にこれがないことの方が遥かにリスクが高いんですよ。それに、この材料自体は昔からある既存のものなんです。
- えっ、じゃあ何が新しいんですか?
- 真のイノベーションは、これを患者自身が在宅で使っても良いというルールの壁を突破したことなんです。
- なるほど。官僚的なイノベーションというわけですね。でも処方薬みたいに誰にでもホイホイ出せるわけじゃないですよね。
- もちろんです。圧倒的な管理体制が敷かれていますよ。医師はレセプトに医学的な必要性をこと細かに書く義務がありますし、
製品の添付文書にも、「医療従事者の指示と指導なしには絶対に使用しないこと。」と強く警告されています。
- 医師の厳格な管理という首輪がついて初めて許される自由なんですね。
- その通りです。
アントラー胆管ステントの適正使用
- じゃあ、価格のブレーキ、処方のブレーキときて、最後は高度な専門技術に対するブレーキを見てみましょう。
3つ目のアントラ単管ステントです。
- 手術不可能な単導管などで使うものですね。
- これ、資料を見ると単純なまっすぐの管じゃなくてY字型をしてますよね。
分岐する複雑な配管システムに特注のY字型パイプをぴったりはめ込むような。
- まさにそんな感じです。肝臓の入り口の単管はY字に分岐しているので、ガンがそこを塞ぐとまっすぐな管じゃ片方しか確保できないんです。
- なるほど。
- でもこれなら両方から同時に単銃を流せる。まさに工学の結晶ですよ。
- 素晴らしい技術ですけど、カバーありで34万5000円とかなり高額ですよね。
医者の裁量だけで自由に入れられるんですか?
- いえ、ここでの強烈なブレーキは日本単導学会の適正使用指針です。
- 学会のガイドラインですか?
- はい。対象症例とか医師の技術レベル、施設の設備とか厳密な指針を完全にクリアしないと保険請求すらできません。
- へえ。工学で特殊な技術だからこそ、ルールそのものが強力なゲートキーパーになってるんですね。
- ええ、本当に。
革新的医療機器と規制のバランス
- 今回の3品目、どれも市場規模の予測が50億円未満なので、費用対効果評価の対象からは外れてますよね。
- はい。小規模な日地領域ですからね。
- なのに価格カット、処方の厳格化、学会のガイドラインと、至る所にコントロールの網が張られている。
- 私たちは常に最新の医療を求めますけど、システムを崩壊させないためには皮肉にもアクセスを厳しく制限しなきゃいけない。その現実が凝縮されてますよね。
- そうですね。そこで最後にリスナーのあなたに少し考えてみてほしいんです。
- はい。
- 最初のBDアビテンのように、新機能を提供しても企業の希望価格が約78%に抑え込まれるような厳格な保険制度。
- ええ。
- こういう価格統制とルールのバランスって、将来あなたやあなたの家族が必要とするかもしれない革新的な医療機器の開発スピードにどのような影響を与えると思いますか?
- 非常に考えさせられるといいですね。
- ええ。ぜひあなたなりの答えを探求してみてください。
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