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2026-10-26 06:20

【中医協2026】施設基準の届出状況|オンライン診療・差額ベッドの3つの変化

令和8年7月22日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第653回)で、厚生労働省が「主な施設基準の届出状況」と「主な選定療養に係る報告状況」を公表しました。この2つの資料は、診療報酬改定の効果を数字で確かめられる数少ないデータです。本号では、資料から読み取れる重要な変化を、初めての方にもわかるように整理します。

今回のデータが示すのは、外来の体制整備が進む一方で、患者の自己負担となる保険外の料金が広がっているという傾向です。1つ目に、オンライン診療と医療DXの届出が、診療所を中心に大きく増えました。2つ目に、差額ベッド(特別の療養環境)の病床は約28.8万床となり、報告医療機関の総病床数の23.0%に達しました。3つ目に、大病院を紹介状なしで受診したときの初診の定額負担は、7,000円前後の設定が大半を占めるようになりました。

※今回公表されたのは、令和7年8月1日時点の集計です(令和5年以前は7月1日時点)。現時点の集計値であり、今後修正される可能性があります。

1. オンライン診療と医療DXの届出が診療所で急増

外来の体制に関する届出は、オンライン診療、医療DX、感染対策の3分野で増加が続いています。まず、2つの用語を確認しておきます。「施設基準」とは、特定の診療報酬を算定するために医療機関が満たすべき人員や設備の条件です。医療機関はこの条件を満たしたうえで、地方厚生(支)局へ「届出」を行います。つまり、届出数の推移を見ると、どの体制整備が現場に広がっているかがわかります。

オンライン診療(情報通信機器を用いた診療)の届出は、2年で約1.6倍に増えました。 診療所の届出は、令和5年の7,713件から、令和6年に10,988件、令和7年に12,598件へと増えています。病院の届出も、818件から1,305件、1,434件へと増えました。診療所全体(89,094施設)で見ると、およそ7施設に1施設がオンライン診療の体制を届け出ている計算です。

医療DX推進体制整備加算の届出は、1年で診療所が約1.4万件増えました。 この加算は、オンライン請求の実施や、オンライン資格確認で得た診療情報を診療に活用する体制などを評価するものです。診療所の届出は、令和6年の33,169件から、令和7年に47,166件へ増えています。病院の届出も、3,780件から4,622件へ増えました。

外来感染対策向上加算の届出も、診療所で増加が続いています。 この加算は、診療所が院内感染対策や発熱患者の診療体制を整えた場合に算定できます。届出は、令和5年の17,868件から、令和6年に25,736件、令和7年に27,170件へ増えました。

かかりつけ医機能を評価する機能強化加算も、緩やかに増えています。 診療所の届出は、13,518件(令和5年)、14,133件(令和6年)、14,630件(令和7年)と推移しました。

なお、医療機関の総数は、病院と歯科医療機関で減少が続いています。病院は8,139施設(令和5年)から8,019施設(令和7年)へ、歯科医療機関は69,182施設から67,594施設へ減りました。一方、診療所は88,632施設から89,094施設へ、薬局は61,059施設から61,841施設へ増えています。施設数が減る病院の側でも、オンライン診療などの届出は増えている点に注目してください。

2. 差額ベッドの病床が1年で約2.3万床増え、総病床の23%に

差額ベッドの病床数は、令和7年に大きく増えました。差額ベッドとは、個室など特別な療養環境の病室に入院したときに、患者が診療報酬とは別に料金を支払う病床です。このような保険外の追加料金を認める仕組みを「選定療養」と呼びます。選定療養の報告状況からは、患者の自己負担がどこで生じているかがわかります。

差額ベッドの病床数は、令和7年に約28.8万床へ増えました。 病床数は、令和4年から令和6年まで約26.5万床前後で横ばいでした。しかし、令和7年には287,598床となり、前年から約2.3万床増えています。報告医療機関の総病床数に占める割合も、20.8%から23.0%へ上がりました。

差額ベッド病床数の推移(カッコ内は報告医療機関の総病床数に占める割合)

* 令和4年7月1日:266,756床(20.3%)/総病床数 1,315,107床

* 令和5年7月1日:266,024床(20.1%)/総病床数 1,320,748床

* 令和6年8月1日:264,707床(20.8%)/総病床数 1,275,612床

* 令和7年8月1日:287,598床(23.0%)/総病床数 1,252,229床

増加分の大部分は、1人室(個室)です。 1人室は、令和6年の182,544床から、令和7年に202,592床へ約2万床増えました。総病床数に占める1人室の割合は16.2%です。報告医療機関の総病床数は減っているため、病床に占める差額ベッドの比重が一段と高まっています。

1日あたりの平均徴収額(推計)も、令和4年から毎年上がっています。 差額ベッド全体の平均は、6,620円(令和4年)、6,714円(令和5年)、6,862円(令和6年)、7,026円(令和7年)と推移しました。令和7年の1人室の平均は8,710円で、2人室は3,161円、3人室は2,815円、4人室は2,894円です。最低額は50円、最高額は1日385,000円でした。

3. 大病院の紹介状なし受診は、7,000円前後の定額負担が主流に

大病院を紹介状なしで受診したときの初診の定額負担は、7,000円前後の設定が大半を占めるようになりました。この定額負担は、病床数200床以上の病院で、紹介状を持たずに受診した患者などから徴収する選定療養の料金です。外来の機能分化を進めるため、一定の要件に該当する病院には一定額以上の徴収が求められています。

初診の定額負担は、報告した医科の病院の約4分の3が6,601~7,700円の階級に設定しています。 報告した病院は1,132施設で、そのうち851施設(75%)がこの階級に入りました。7,701円以上に設定している病院も61施設あります。令和4年は4,951~5,500円の階級が最多でしたが、令和5年以降は6,601~7,700円の階級が最多となっています。参考値として、平均は6,770円、最高額は13,200円でした。

再診の定額負担は、報告した医科の病院の約86%が2,751~3,300円の階級に設定しています。 令和7年に報告した病院は991施設で、そのうち853施設がこの階級に入りました。報告した病院の数は、745施設(令和4年)から991施設(令和7年)へ増えています。

その他の選定療養では、新しい項目の報告が増えました。 主な項目の動きは、次のとおりです。

* 間歇スキャン式持続血糖測定器の使用:報告医療機関数は54施設(令和6年)から392施設(令和7年)へ増えました。平均徴収額は7,771円です。

* 多焦点眼内レンズの支給(白内障手術):報告医療機関数は1,000施設(令和4年)から1,261施設(令和7年)へ増えました。

* 患者の都合による精子の凍結・融解:報告医療機関数は160施設(令和6年)から215施設(令和7年)へ増えました。平均徴収額は21,839円です。

* 入院期間が180日を超える入院:報告医療機関数は584施設(令和4年)から377施設(令和7年)へ減りました。

まとめ:体制整備の拡大と自己負担の拡大が同時に進む

令和7年8月1日時点の届出・報告データは、外来の体制整備が進む一方で、患者の自己負担となる保険外の料金が広がっていることを示しました。

* オンライン診療と医療DX:診療所の届出が急増し、オンライン診療は12,598件、医療DX推進体制整備加算は47,166件に達しました。

* 差額ベッド:病床数は約28.8万床に増え、報告医療機関の総病床数の23.0%を占めました。平均徴収額(推計)は1日7,026円です。

* 大病院の定額負担:初診は6,601~7,700円、再診は2,751~3,300円の階級に設定する病院が大半を占めるようになりました。

これらの数字は、地方厚生(支)局で閲覧できる届出状況の全国集計です。自院の届出状況を地域や全国の傾向と比べることで、次の診療報酬改定に向けた体制整備の優先順位を考える材料になります。

参考資料

* 中央社会保険医療協議会 総会(第653回)議事次第(令和8年7月22日)

* 中医協 総-4-1「主な施設基準の届出状況等」

* 中医協 総-4-2「主な選定療養に係る報告状況」



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サマリー

中医協の最新データをもとに、オンライン診療と医療DXの届出が増える一方、保険外の患者負担も拡大している構図を語る。オンライン診療は2年で約1.6倍となり、診療所の約7施設に1施設が対応している。差額ベッドは約28万8000床、総病床の23.0%に達し、平均徴収額は1日7,026円、個室では8,710円、最高額は38万5,000円とされる。紹介状なしで大病院を初診受診する場合も、約4分の3の病院で6,601~7,700円の定額負担が設定され、再診でも約86%が約3,000円を徴収している。こうした負担を、軽症患者を地域の医療へ誘導し重症患者を大病院へ振り分ける仕組みとして捉え、医療DXの利便性と価格メカニズムの拡大について考察する。

オンライン診療と医療DXの急増
OK, let's unpack this. よし、紐解いていきましょう。
あのー、ちょっと想像してみて欲しいんです。 はい、どんなシチュエーションでしょうか?
リスナーのあなたが、急に体調を崩して大病院に駆け込んだとしますよね。 その時に、受付で最初に言われるのが、どこが痛みますか?じゃなくて、
本日は初診の入場料として7,000円いただきます。だったらどう思います? まあ、それはちょっと、あの、かなり面食らいますよね。
あるいは、今空いているのは、1泊8,000円のプレミアム個室だけですって突然言われたら。
えー、まるで高級ホテルのような対応というか。でも、これ今回深掘りする資料から見えてくる、リアルな今の医療の姿なんですよ。
そうなんですよね。 国の医療費のルールを決める中医協が公表した、2026年7月の最新データを読んでいくと、この状況がよくわかります。
はい。私たちが普段享受している便利さの裏で、かなり大きな知覚変動が起きているんですよね。
ええ。まず驚くのが、医療DXとオンライン診療の爆発的な普及なんです。
データを見ても、その動きは明らかですね。
そう。あの、オンライン診療の届出が、たった2年で約1.6倍に急増しているんです。これ、診療所の約7施設に1施設が対応している計算になります。
医療DXの届出自体も、1年で14,000件も増えているんですよね。
そうなんです。これって例えるなら、街の小さな定食屋さんが次々とUber Eatsを導入しているような、そんな激変ぶりじゃないですか。
ああ、なるほど。それはわかりやすい例えですね。
スマホ一つで診察できるのは、あなたにとっても本当に便利だと思うんですけど、でもこの巨大なシステム投資のコストって、一体誰が払っているんでしょうか。
What's fascinating here is ここが非常に興味深いのですが、まさにそこが隠されたリンクなんですよ。
隠されたリンクと言いますと?
飲食店の場合と違うのは、医療システムでは、このデジタル化という、いわば出前のインフラコストを補填するために、店内飲食、つまり直接LINEしたり入院したりする際のコストを跳ね上げている点にあるんです。
え、つまり病院に行く人の負担が増えているってことですか?
ええ。病院側はシステム改修という巨大な財政圧力を受けていて、それを保険外の料金に添加して総裁しようとする、そういう構造があるんですね。
ちょっと待ってください。そのシワ寄せがもしかして、あの、砂漠ベッド代に来ているということですか?
差額ベッドと入院費の負担
その通りです。
データを見ると、たった1年で保険外の追加料金がかかる砂漠ベッドが、約2万3千床も増えていますよね。
はい。これで、総病床の23.0%、つまり約28万8千床に達したことになります。
これって、救急車で運ばれたような患者さんに、選択肢を与えずに高額な部屋へ誘導する、一種の強制アップセルのようなものじゃないですか。
まあ、確かにそう見えてしまう部分もありますよね。
だって、痛みに耐えている時に、部屋の価格の藍見積もりなんて取れるわけないじゃないですか。
そこがまさに、医療という特殊な市場の厳しい現実なんですよ。
なるほど。国全体で病床数を減らす政策が進む中で、病院側も何とか経営を維持しないといけません。
そのために、砂漠ベッド、特に個室の割合を増やしているんです。
個室の料金って、具体的にどれくらい上がっているんですか?
えーと、1日の平均徴収額は7,026円で、個室に限定すると平均8,710円まで上がります。
結構しますね。
しかも、中には最高額で1日38万5千円という報告もあるんですよ。
38万。それはすごいですね。
はい。国の補助金が縮小していく中で、病院側も自由診療に近い領域で利益を出さないと、高度な医療体制やデジタル化を維持できないという切実な背景があるんです。
なるほど。利益を出さないとデジタル化の波に乗れないわけですね。
しかも、このコストシフトって入院だけの話じゃないですよね。
そうですね。外来の負担も大きく変わってきています。
大病院を紹介状なしで受診すると、約4分の3の病院で、6,601円から7,700円の定額負担が求められるんですよね。
紹介状なし受診の定額負担
初診の場合ですね。さらに最新でも約86%の病院が約3,000円を徴収しています。
これって、国が大病院の前に巨大な料金所を建設しているみたいに見えます。
お金儲けというより、軽症の患者を遠ざけて交通整理するための積書ですよね。
はい。専門用語で機能文化と呼ばれるメカニズムですね。
医療の機能分化と将来の価格
機能文化?
ええ。軽症は地域のオンライン診療へ、重症は大病院へという役割分担をシステム全体で共生しているわけです。
なるほど。
そして、その交通整理を確実に実行するために、患者の自己負担額という経済的インセンティブあるいはペナルティが使われているんです。
これはどういうこと?つまり、これってどういうこと?
どういうことかと言いますと、要するに私たちがスマホで手軽に診察できるという利便性を手に入れた裏で、これまでは平等だったはずの医療空間に自由市場のようなシビアな価格メカニズムががっつり入り込んでいる
ということですよね。
まさしくその通りです。規制緩和とデジタル化が進むというのは、医療がよりビジネスやサービス業の構造に近づいていくことと同義なんですよ。
だからこそ、大病院が紹介状というビップチケットが7000円の入場料がないと入りづらい場所になっているんですね。
これからの私たちは常にそのトレードオフを意識して医療の選択を迫られるようになります。
そこで最後にリスナーのあなたに一つ考えてみてほしいことがあります。
何でしょうか。
今後さらに医療DXが進んで、あなたのあらゆる健康データや通院履歴がシームレスにつながったとします。
もし将来、あなたの過去の生活習慣やスマートウォッチの運動データに基づいて、こうした保険外サービスの価格までが変動する、そんなダイナミックプライシングが医療に導入されたらどうなるでしょうか。
それはかなりリアルで少し怖い未来ですね。
便利さの裏に潜む見えないコストの行方。
次にあなたがスマホでオンライン診療の予約をするときに、ぜひ少し考えてみてください。
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