#31 すれ違いをどう乗り越える?ー動物倫理、生態系保全、環境教育...「人それぞれ」で終わらせない──「動物好きと動物倫理の微妙な(?)関係」仲間 礼さん
今年2月1日に開催された、動物倫理かいぎ創立記念イベントの発表内容を、登壇者ご本人にシェアしていただくシリーズ!第三弾のゲストは、東京農工大学 環境哲学・倫理学研究室の仲間 礼さん。もともと自然が好きで、野生動物管理や生態系保全の勉強をしていたところから動物倫理へ研究分野を移されたという経緯を持つ仲間さんの発表テーマは、「動物好きと動物倫理の微妙な(?)関係」です。動物倫理の考え方は、一見すると仲良くできそうに思える動物好きや自然好きの人たちと、時に衝突してしまうことがあります。今回はこの衝突が生じる背景を整理したうえで、動物に心を寄せる人々が、今後どのような対話を目指していけるのか、研究会や学会で異なる視点と実際に向き合ってきた仲間さんの見解を伺いました。ご意見・ご感想は@animotethicsをメンションの上ご投稿ください。投稿のシェアもぜひよろしくお願いいたします。 動物倫理かいぎの詳細、参加はこちらから↓https://modern-orchid-165.notion.site/551464aedf5d4879a73d73eace89b25e#20c1079b79d2806d94b8ca6cd6814673
#24-5 ヴィーガンになるべきか?:工場畜産を知ったわたしはどう生きていくべきなのか【消費の善悪を考える - 徳倫理編】
シリーズ「ヴィーガンになるべきか」の最終回! 徳倫理は肉の購入をどう評価するのか!今回は動物性食品を購入することはよいのか、悪いのかを徳倫理の観点から考えます。#24-2では倫理学の三大理論から工場畜産を評価し、どの理論からも「工場畜産は悪い」と言えることを学びました。では工場畜産で作られた肉を購入することも悪いと言えるのか?今回は徳倫理から考えます! 理想の人間像という、功利主義・権利論とは異なる観点からのアプローチ🧘♂️ みなさん一緒に自己吟味していきましょう!※工場畜産について 👉 #24-1「その卵の生産過程を知っていますか?ー工場畜産の現状」※徳倫理について 👉 #24-2「三大理論を学んで工場畜産を評価してみよう」三大理論についてまとめたブログ記事を我々(AS - 動物と倫理と哲学のメディア)のサイトで後日公開予定です。ご活用ください!https://animotethics.com/blogs参考ブログ:「あなた1人だけがヴィーガンになっても無意味なのか?——菜食を巡る個人消費の影響と倫理的実践」https://animotethics.com/blogs/is-it-meaningless-if-only-you-become-a-vegan「動物製品の購入・消費の倫理(Fischer 2021 ch.7 後半)」https://mtboru.hatenablog.com/entry/2022/03/12/161210参考文献:Stanford Encyclopedia of Philosophy, Moral Vegetarianism, "4. From Production to Consumption" https://plato.stanford.edu/entries/vegetarianism/#ProdCons浅野 幸治, 菜食主義の因果的無効果問題と超過証明問題, 豊田工業大学ディスカッション・ペーパー, 2024, 31 巻, p. 55-77 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ttidiscussionpaper/31/0/31_55/_article/-char/ja/---徳倫理に希望を託して / 功利主義・権利論にはなかった視点 =「わたしはどういう人間でありたいか」/ 結論は個人の描く理想の人間像次第? / 「ヴィーガンになるべき」を導くには何ステップか必要 / 肉を食べてしまうことはあるけど自分が残酷だとは思わない / 屠殺を他人に任せる悪徳・狩猟の徳? / 有徳な人物なら他人にも働きかけるか / 自己吟味といっても一定の制約がある / 複雑なものを複雑なまま説明するのが徳倫理 / ヴィーガンの自己説明に役立つ / 結局は「工場畜産の現実を知ったわたしはどう生きていくべきなのか」 / 「消費が悪くない」と言えるような議論をしていていいのか?
#24-4 ヴィーガンになるべきか?:「工場畜産への加担は悪」じゃあ加担って?【消費の善悪を考える - 権利論編】
シリーズ「ヴィーガンになるべきか」の第四回! 権利論は肉の購入をどう評価するのか!今回は動物性食品を購入することはよいのか、悪いのかを権利論の観点から考えます。#24-2では倫理学の三大理論から工場畜産を評価し、どの理論からも「工場畜産は悪い」と言えることを学びました。では工場畜産で作られた肉を購入することも悪いと言えるのか?功利主義ではなかなか難しかった問題に今回は権利論からチャレンジします 💪※工場畜産について 👉 #24-1「その卵の生産過程を知っていますか?ー工場畜産の現状」※権利論について 👉 #24-2「三大理論を学んで工場畜産を評価してみよう」三大理論についてまとめたブログ記事を我々(AS - 動物と倫理と哲学のメディア)のサイトで後日公開予定です。ご活用ください!https://animotethics.com/blogs--死んだ動物の権利侵害はできなさそう / 加担しているから悪? / 「加担」のありうる解釈 / ① 工場畜産促進の原因となった / ②原因となる可能性がわずかでもあった / ③利益を得た / ④利益を得ようとしたか /「加担」解釈これはどう? / 人の死体の尊重との類比 / 「いただきます」で尊重とは言わないでほしい / 工場畜産自体が悪であることは変わらない!! / 消費の意味でのヴィーガン実践はともかく工場畜産には反対したいよね / 消費が悪と言えないなら権利論に問題があるのか / 功利主義と権利論のメリット・デメリット / 簡単な理論で判断が下せるほど現実は単純じゃない / 権利論は社会を良くした
#24-3 ヴィーガンになるべきか?:その鶏肉の購入をやめれば鶏は救えるの? 【消費の善悪を考える - 功利主義編】
シリーズ「ヴィーガンになるべきか」の第三回!いよいよ本題に入ります! 今回は動物性食品を購入することはよいのか、悪いのかを功利主義の観点から考えます。 前回は倫理学の三大理論から工場畜産を評価し、どの理論からも「工場畜産は悪い」と言えることを学びました。 そうすると工場畜産で作られた肉を購入することも悪いことになるのか? 話はそんなに単純ではないようで...。 ※功利計算が大変ですが、数字が頭に入ってこなくても大丈夫。ぜひ最後までお聴きください🥹 ※功利主義について詳しくは #24-2 をチェック!👆 三大理論についてまとめたブログ記事を我々(AS - 動物と倫理と哲学のメディア)のサイトで後日公開予定です。 ご活用ください! https://animotethics.com/blogs 工場畜産は道徳的に悪い ≠ その産物を消費することは悪い / 私が肉の仕入れ量を変動させる確率は? / 功利主義は道徳理論なのに計算計算...泣 / 仕入れ量の変化はあまり起こらない / もっと影響力を高めるための実践 / 結局「ヴィーガンになるべき」って言うの?
#24-2 ヴィーガンになるべきか?:三大理論を学んで工場畜産を評価してみよう
シリーズ「ヴィーガンになるべきか」の第二回! 工場畜産の現状について紹介した前回に続いて、今回は倫理学の代表的な3つの立場(功利主義、義務論、徳倫理)を紹介し、そこから工場畜産をどう評価するのかを学びます。 そして次回からはいよいよ本題「ヴィーガンになるべきか?」を考えます!工場畜産についての評価からさらに踏み込んで、私たちの具体的な消費行動 - 動物性商品の購入はいいのか、悪いのか、三大理論をもとに議論していきます。 今回のエピソードに関連して、三大理論についてまとめたブログ記事を我々(AS - 動物と倫理と哲学のメディア)のサイトで後日公開予定です。 ぜひチェックしてください! https://animotethics.com/blogs 功利主義 / 一番幸福を増やすことがいいこと / 帰結主義 / 福祉主義 / 平等主義 / 功利主義からの工場畜産の評価 / 義務論(権利論)/ 道徳規範に従った振る舞いができたかどうかが重要 / 人間でない動物も含めた、生の主体を尊重したか / 権利論からの工場畜産の評価 / 徳倫理 / 徳のある行動をしたかどうか / 徳倫理からの工場畜産の評価
#24-1 ヴィーガンになるべきか?:その卵の生産過程を知っていますか?ー工場畜産の現状
今回から新シリーズ!「ヴィーガンになるべきなのか」について考えます。 初回のテーマは「工場畜産の現状」です。 みなさんは身の回りの畜産物の生産方法についてどれくらいご存じでしょうか? 採卵鶏の例を中心にしながら、飼育や処理の問題点、畜産動物の規模などについて紹介します。 次回以降は、これを出発点に、倫理学の代表的な理論はこの現状をどう評価するのか、個人の動物性製品の消費については何が言えるのかなどについて考えていきます。 飼育の問題点 / 正常行動が制限される / 痛みを伴う処置が多く、麻酔なしで行われることが多い / 病気や怪我の発生率が高い / 輸送中の特に劣悪な環境 / 屠畜前の処理方法と屠畜そのものの方法が悪い / 非常に混雑し、汚れた生活環境 / 他の動物たちについても少し / あなたのペットが同じ目に遭っていたら? / 畜産動物の数 / 現状を変えるためにできること 参考文献 新村毅編『動物福祉学』(昭和堂, 2022年)〔2024年に増補版も出ているが今回のポッドキャストでは最初の版を参照している〕 採卵鶏の飼育面積 2021年の一般社団法人日本養鶏協会報告「わが国における採卵鶏ケージ飼育の実態」:https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010938048.pdf 2018年1月-2019年10月に飼育されていた合計125群鶏 アンケート用紙は, 16道県14養鶏場の125鶏群の成績として回収することが出来た(配布養鶏場数に対する回収率は48%)。 群あたりの飼育羽数:1-13.3万羽 結果、すべての群が1羽あたり470cm2で飼育 [公益社団法人 畜産技術協会]「採卵鶏の飼養実態アンケート調査報告書」(2014年):https://jlta.jp/test/wp-content/uploads/2023/12/factual_investigation_lay_h26.pdf 420件中377件、90%が550cm2未満.約半分が430cm2未満 採卵鶏の体の大きさ:成鶏(23週)胴の長さが20.7cm 岡山畜産協会「鶏の成長過程における鶏体各部の大きさ」https://okayama.lin.gr.jp/tikusandayori/s3705/tks05.pdf A4紙でも623.7cm2。B5紙で467.74cm2 日本の採卵鶏のほとんどがB5サイズのスペースで一生を過ごす 採卵鶏の骨折率が高い Farmed bird welfare science review: https://agriculture.vic.gov.au/livestock-and-animals/animal-welfare-victoria/livestock-management-and-welfare/farmed-bird-welfare-science-review 輸送の問題 アニマルライツセンター「採卵鶏 あまりにむごい最後の一日。屠殺場での長時間放置」https://www.hopeforanimals.org/eggs/chickens-are-left-for-long-hours-before-slaughtering/ アニマルライツセンター「出荷時における鶏への暴力-関係機関の対応」: https://www.hopeforanimals.org/eggs/482/ 厚生労働省(2018年):食鳥処理場における鶏の保管状況に関する調査の結果について: https://www.hopeforanimals.org/wp-content/uploads/2019/03/%E3%80%90%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%9C%81%E3%80%91%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E9%80%9A%E7%9F%A5.pdf 屠殺の問題 https://www.hopeforanimals.org/eggs/chickens-are-left-for-long-hours-before-slaughtering/ 厚生労働省(2018年):食鳥処理場における鶏の保管状況に関する調査の結果について: https://www.hopeforanimals.org/wp-content/uploads/2019/03/%E3%80%90%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%9C%81%E3%80%91%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E9%80%9A%E7%9F%A5.pdf アニマルライツセンター「環境省、厚生労働省、国会議員に事前の意識喪失なしの屠殺禁止を求め、あなたの声を届けてください」: https://www.hopeforanimals.org/ban-cruel-slaughter/ 世界全体の畜産動物の数(屠殺数) Global Animal Slaughter Statistics & Charts: https://faunalytics.org/global-animal-slaughter-statistics-and-charts/ 日本の畜産動物の数 採卵鶏飼養羽数(令和6年)170,776,000羽(種鶏含む) ブロイラー飼養羽数(令和6年)144,859,000羽 豚(令和6年確報)8,798,000頭 「畜産統計調査 令和6年確報」https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500222&tstat=000001015614&cycle=7&year=20240&month=0&tclass1=000001020206&tclass2=000001223340 ケージ飼育の割合(出典:アニマルライツセンター「日本のケージフリー飼育の鶏の割合は1.11%、ケージ飼育が98.89%(2023年調査結果)」: https://arcj.org/issues/animal-welfare/1percent-cage-free/#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E9%A3%BC%E8%82%B2,%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%EF%BC%89%20%2D%20%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%84%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC ) ケージフリー飼育のリスク ケージ飼育の死亡率は変化していない(上昇している)が、ケージフリーでの死亡率は年々下り、ケージを下回っている Schuck-Paim, C., Negro-Calduch, E., & Alonso, W. J. (2021). Laying hen mortality in different indoor housing systems: a meta-analysis of data from commercial farms in 16 countries. Scientific reports, 11(1), 3052. https://doi.org/10.1038/s41598-021-81868-3 「従来型のケージ飼育を除き、各システムでの経験が蓄積されるにつれて死亡率は徐々に低下することが示されています。2000年以降、ケージフリーの鶏舎での経験年数が増えるごとに、累積死亡率は平均0.35~0.65%低下しており、近年ではケージ飼育とケージフリーのシステム間で死亡率に違いは見られません。経営に関する知識が進歩し、遺伝学が最適化されるにつれ、ケージフリーの飼育方法に移行する新しい生産者は、さらに速いペースで死亡率が低下する可能性がある。我々の結果は、ケージフリーの生産方法では死亡率が本質的に高いという考えに反対するものである。」(要旨より) 値段が高いと言うが・・・・ 放牧・放し飼い・フリーレンジとケージフリーは異なる。ケージフリーは必ずしも運動場を設置するとは限らず鶏舎内で鶏たちが運動できるようにしたエイビアリーシステムなどもある。このタイプだとフリーレンジよりも多くの羽数を飼育できるため1羽あたりの生産コストが下がる。フリーレンジだと1玉100円くらいする卵も売られているが、ケージフリー・平飼い卵の場合、それほど価格が高くなるわけではない。 例えば2024年12月時点でイオン・トップバリュ平飼いたまご 10個入は398円(税込価格429.84円)で販売されている(https://www.topvalu.net/ge_hiragaitamago/)これはMサイズ卵の6年間平均価格(https://www.jz-tamago.co.jp/business/souba/monthly/ )の1.89倍、Mサイズ卵2024年の最高値314円の1.26倍ほど。