出口
平山
ひとし
安藤
はるか
はるか
安藤さん、よろしくお願いします。
ひとし
せっかくなんで、「なんで出会ったか」みたいなのを振り返ります?
はるか
そうですね。どこでまず出会ったかですよね。
ひとし
『こども・子育てDX見本市』ですよね。
安藤
Teacher Teacherさんが、そのDX見本市に登壇いただいて、そのときにこども家庭庁の担当職員が「すごいとても面白い活動をしている方々とつながりました」って言ってわたしたちに教えてくれたんですよね。
それで、ぜひともちょっと一度お話しして、「どんな活動をされているのかな」っていうふうに、本当にそう思って連絡させていただきました。
はるか
すぐにオンラインでいっしょにお話をして。
安藤
そうですね。
ひとし
僕らが「こども家庭庁さんの存在は知ってるけど、実際なにしてるか意外と知らないよね」っていうのを12月のイベントのときに思って、それで僕らも「こども家庭庁さんがなにをやってるかを発信できたりしたら面白いよね」と思ってオンラインのミーティングに臨んだら、すぐ今みたいな状態になって実現して、来させてもらっているという。
はるか
安藤さんは、こども家庭庁さんの中でどういった役を?
安藤
わたしは『こどもまんなかアクション』っていう、子どもや子育てに優しい、ちょっと世の中の空気感を変えていくっていうそういう活動をするチームのところにいて、広報のいろいろなことも関わっているんですけれども、
民間でいろんな活動されている皆さんと、わたしたちこども家庭庁がつながって、もっとよく地域の雰囲気とか空気感を変えていけないかなっていうことを、いまやってますね。
ひとし
具体的にわかりやすいものでいうと、「どういうことを生み出している」みたいなのが、わかりやすくいうとなにかありますか?
安藤
わかりやすくいうと、別にこども家庭庁が頼んで皆さん、例えばTeacher Teacherの活動もだし、どこかで子ども食堂をやっているとか、いろいろな不登校支援をやっているとか、いろんな活動ってこども家庭庁がお願いしてやってくださっているわけじゃなくて、皆さん自発的に地域のいろんな問題とかと向き合ってやってくださっているものなので、まずそれを見えるようにするっていうのはすごく大事だなと思っていて、
やっぱり個々の活動はやってるけど、そこの横のつながりとか、もうちょっと点でやってるものを面で見えるようにするっていうのを、わたしたちの方でバックアップというか、そういうことができないかなっていう。
はるか
なるほど。じゃあそれぞれ僕たちみたいに不登校の子どもたちのためにこんな活動してますとかっていう民間がいたりとか、行政がいたりとか、いろんな組織がいろんな活動してるんだけど、それがこども家庭庁さんの『こどもまんなかアクション』を見ると、こんな活動あるんだっていうのが見えやすいっていう。
安藤
しかも、なかなか国のほうで皆さんの活動を知る術がないので、『こどもまんなか応援サポーター』っていう仕組みを使って、これは皆さんがやってくださっていることを発信するときに『#こどもまんなかやってみた』っていう、ちょっと識別性の高いハッシュタグをつけてもらうことで、わたしたちも毎日そのハッシュタグを検索して皆さんがやってることを知ることができて、
そのインプットしたこととか、本当にリアルな声とかやってらっしゃることを、こども家庭庁の庁内にフィードバックするみたいなこともやってもらう。
はるか
なるほど、こどもまんなかやってみた。
安藤
そうですね。
はるか
ちょっと調べてみよう。
これでもう、『X』とかで。
安藤
そうですね。『Instagram』や『X』とかで、それで検索していただくと。わたしも実は毎日検索して全部、拝見してます。
ひとし
なんかあります?はるか。
はるか
こどもまんなかやってみた。
今、見つけたのはパン屋さん。豊橋の活動で、遊べるパン屋さんっていう活動をしている、活動があったりとか。
安藤
遊べるパン屋さんは、確か本当のパン屋さんじゃなくて、子どもたちが工作で自分たちでパン屋さんを作るっていうのをなりきりでやる活動だと思うんですけど。
わたしもそのハッシュタグ、もうすでにチェック済み。
はるか
チェックされてるんですね。
ひとし
自分ごとで説明できるくらい、リサーチしてる。
はるか
本当に届くっていうことですね。
逆にこれを『#こどもまんなかやってみた』を調べると、子どものためにこんな活動してるんだっていうのがみんなからも見えるっていう。
安藤
そうですそうです。
ひとし
じゃあその「子どもたちに対するアクションを見える化してる」みたいな感じの部署に、安藤さんはいるっていう感じなんですか?
安藤
そうですね。部署っていうか役割、ミッションかな。
はるか
これから具体的な政策とかについて深掘っていきたいなと思ってるんですけど。
安藤さんのなかで、このTeacher Teacherをリスナーさんに聴いてもらうなかで、こんなことが伝わったらいいなとかあったりしますか?
安藤
そうですね。難しいけど、まずは皆さんの子どもとか子育てって、「誰もが、どんな大人もみんなかつては子どもで、自分がどういうふうに育ってきたかな」っていうことがあるテーマです。
なのでとっても身近なんですけれども、だからこそどれが本当のことなのか、なにを頼っていいのかわからないっていうことも多いと思うんですね。
なので、こども家庭庁はとにかく、皆さんのいろいろな人生につかず離れず頼っていただける省庁になりたいって思ってこの2年間ずっと走って、準備室時代からだと3年間走ってきてるので、
そういう少し身近な、身近っていってもなかなか身近に思わないかもしれないんですけれども、ちょっと「前よりは身近になったなって思ってもらえるような存在になれたらいいな」って思ってます。
はるか
そうですね。やっぱりどうしてもニュースとかで行政の方の話を聞いたりとか、政策を聞いたりとかすると、どうしても距離が遠く感じる中で、その政策に至った想いとか課題感であったりとかっていうのを深掘れるのは、今日すごく楽しみだなと。
ひとし
ちょっと深掘って、理解深めていきます。
安藤
ありがとうございます。
はるか
楽しみだ。ありがとうございます。
安藤
3週間前にベビーが生まれたばっかり。
平山
おめでとうございます。
出口
3週間。もう、ほやほやですね。
ひとし
そうなんですよ。
このままぬるっと入ると。簡単に自己紹介、じゃあ2人、してもらっていいですか。
ずっと回してたんでこのままいきましょう。
出口
じゃあ自己紹介ということで。こども家庭庁の『成育局』というところの『保育政策課』で課長補佐をしてます『出口』と申します。
ひとし
成長の成に育成、成育局。
はるか
出口さん。
ひとし
この声が出口さんですね。
はるか
出口さん、よろしくお願いします。
出口
そうですね、声だけなんですね。
ちょっと美容院へ行ってくればよかったと思って。
映んないですね。
出口でございます。よろしくお願いします。
平山
続きまして、こども家庭庁の同じく成育局保育政策課で課長補佐をやっております『平山』と申します。よろしくお願いいたします。
ひとし
こちらの声が平山さん。
平山
そうですね。
バックグラウンドとかも話した方がいいですか。
はるか
ぜひお願いします。
平山
わたしは厚生労働省に入省して、介護とか年金とかそういった部局をこれまでやってきまして、高齢者政策中心だったんですけれども、この度こども家庭庁に、一昨年かな?令和5年に来まして、いまは保育政策をやらせていただいているという形になっています。
出口さんは現場とかも。
出口
そうですね。わたしは逆に児童館とか放課後児童クラブとか、一時預かりという保育の方にあるんですけど、そういうところの現場に20年くらいいまして、最後その現場のマネジメントとかをやってたんですけど、それで次のステップというところで厚生労働省の方に入って、いまこども家庭庁に来ていると、そういう流れですので。まだこっちは3年目です。
はるか
そうなんですね。
現場で働いていて、どういう経緯で厚生労働省に行くんですか?
出口
なんで、どういう経緯なんですかね。児童館とかも研修とかがあって、職員向けの。その研修の講師をずっとやってたんですよ。その関係で、たぶん「あいつしゃべれるぞ」みたいな、あれなんじゃないかなっていう。
はるか
つながりもあって。
平山
ではその、0から2歳で保育所に通っていない子どもたちが月、いま10時間までですけれども、
その範囲内で柔軟に保育所とかにちょっと通ってみると。そうすると、新しいお友達ができたりとか、遊び。
はるか
そっちか。
平山
あと親以外の大人と触れ合う機会、そんな機会ないじゃないですか、0から2歳の頃って。
保育士っていう子育てのプロ、出口さんみたいな人ですけれども、そういった方と触れ合って専門的な指導を受けられる。
そういったことがひとつ大きな目的になっています。
ひとし
親御さんが助かるっていうのもあるけど、メインの目的はそっちじゃないというか。
はるか
子どもの発育。
平山
育ちですね。
はるか
出口さんから見てもやっぱり、子どもがこんな0歳の時から他の大人とか子どもと関わっていくっていうのは重要なもんですか。
出口
大事だと思いますね。やっぱり家庭の中での子育てっていうのもすごく大事ではあるんですけど、やっぱり限られた大人の関わりなので、
ちょっと煮詰まってくる時があるというか、自分も経験としてあるんですけど、やっぱりそういうときに他の大人とかにちょっと話をしたいとか。
でも、いまもあるんです。実際に自治体とか保育所は相談に来てくださいって言ってるんですけど、行きづらいんですよね。
「こんなことを相談していいのかな?」みたいな。
でもそれでわざわざ行くよりも、子どもが通うためのものが、まぁ誰でも通園って言っているので、
そのきっかけで行って、ついでに親がちょっと話を聞いてもらうとかも、いま誰でも通園制度を試行的にやってるんですけど、
そういうこともあるみたいなので、子どものために通うついでに親もちょっといい思いしてもらおう、じゃないですけど、
なんかそういうふうなものになっているので、きっかけとしてはすごくいいんじゃないかなっていう。
わたしは生まれが田舎なんですけど、子どもが減ってきているので、ちょっと公園に行っても同世代の子とかいなかったり、そもそも子どもがいなかったりするんですけど、
保育園とか幼稚園にはいるんですよ、子どもたちが。そこに行くには、いま平山さんが言ったように、やっぱり働いてないといけなかったり、
やっぱりちょっと保育にかける状況でないと入れないっていうのが、幼稚園は年齢があるんですけど、誰でも通園はそれがないので、
そこに行って関わりを持つことがもちろんできるようになるので、やっぱり子どもの世界も広がりますし、
子どもにとっても年齢0歳6ヶ月でっていう話もあるんですけど、やっぱり刺激は受けるので、とてもいいものなんじゃないかなって、作ってるわたしがいうのもなんですけど、いいものだと思います。
ひとし
それは僕とかが、子どもが6ヶ月になって行きたいと思ったら、近くの保育園に問い合わせると、どこでもやってるんですか?
出口
いま予定しているルールとしては、自治体が「ここでやっていいですよ」って認めたところにやっていただくってことになるので、
どこでやってるかっていうのはちょっと調べる必要があるんです。ただ、総合支援システムっていうものを誰でも通園制度が入れるようになるので、
対象の年齢で要件、つまり働いていなくても使えるので、利用ができるという認定っていうんですか、それを受ければどこで実施してるかって検索できる、システム上で検索できるようになるんです。
平山
スマホとかであるじゃないですか、地図上にここら辺やってますよ、それをクリックしたら見れるみたいな、そういうイメージで。
それで予約もできるみたいな。いま作ってます。
出口
空き状況も見れます。
はるか
それは助かりますね、総合支援システム。
ひとし
それが各県に例えば、10個いかないぐらいあるぐらいのイメージですか?
平山
全国展開をしていきたいと思っているので、まだ令和7年度は希望する自治体さんだけがやるっていうことになってるんですけど、令和8年度からは全自治体でやっていただくっていうことを考えてます。
なので県で10個とかじゃなくて、市町村の中でちゃんと十分な数を整備してくださいっていう、そういう形でお願いしていっているところです。
はるか
じゃあわりと誰でも利用できる。
平山
そうなんです。『こども誰でも通園制度』なんです。
はるか
本当だ。名前に込められてた。
平山
誰でもどこでもっていうのがどこまでできるかっていうのはありますけど、目指していきたいなと思ってます。
ひとし
規模が大きい。
はるか
ちょっと興味なんですけど、0歳から3歳までいろんな親以外の人と関わることで、さっき発育とか社会性とかに良い影響があるっておっしゃってたと思うんですけど、それは海外とかでもそんなことがあったりするのか、もしくはそういったこのときの関わりが今後の発育にとってよいとかっていう研究とかあったりとかするんですか?
平山
無数にあるんですよね、そういう研究っていうのは。
0、2歳っていうのがどうなのかってけっこう難しいんですけれども、例えば幼児教育の重要性とかって、経済学の分野とかでもいろいろ研究があって、そういった幼児教育を受けた子どもが大人になったときにどういう所得階層にいるのかとかですね、いろんな研究があります。
ただいろんな結果も出てるんで、なかなかその一概にこれはいいとかいうのってけっこう難しいところではあるんですけれども、そういったこともあって、我々としてもEBPMって最近とてもよく言われることで、
ひとし
EBPM。
平山
Evidence Based Policy Making(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)っていう、証拠に基づいた政策形成って日本語では言ったりしますけれども、『こども誰でも通園制度』もそういった考え方をもって、ちゃんとその効果検証しながら進めていかないといけないなっていうようには思ってます。
今年も調査研究、一応やってますよね。
出口
そうですね。
平山
保護者へのアンケートとかが中心だと思いますけど。
出口
そうですね。なので実際に使ってみて、あくまでも保護者とか保育士の皆さんが子どもがどういうふうに変わったかみたいなのを聞いてるんですけど、やっぱり、誰でも通園を使ったから変わったっていう確証はないんですけど、
皆さんだいたい、なんか「うちの子、ご飯よく食べるようになりました」とか、なんか「お片付けを年上の子どものお友達を見てできるようになったんじゃないか」とか、なんか「他の人、いわゆる人見知りがなくなったんじゃないかな」みたいな、そういうすごく前向きな声っていうのはたくさん上がってますね。
平山
やってることとしては、さっき出口補佐からおっしゃっていただいた魅力の発信っていうのはもちろんやっているんですけれども、
あとはひとつ大きなのがやっぱり処遇ですよね。処遇改善、お給料ですよね。
これは令和6年度、令和7年度についてはプラス10.7%っていう形で、1割ぐらい給料引き上げるっていうのをやらせていただきました。
民間もですね、上がってるんで当然といえば当然なんですけれども、1割上がるって相当なものだと思うんで、
そういうところもちゃんとやっていくっていうことかなと思ってます。
あとはやっぱり職場環境改善ということで、さっきシステムの話とかありましたけど、
ICTどんどん入れていかないといけないよねっていう話はもうめちゃくちゃしてますね。
さっき記録とか計画の話とかあったと思うんですけれども、
要はお子様一人一人について、どこまで細かくっていうのはいろいろありますけど、
記録とか取っていかないといけないんですけど、そういったところをICT導入したりとか、
あと連絡帳とか、昔は紙で書いてこうやっていたのをアプリでパパパッとできるようにしたりとか、
そういうなんていうんでしょうね、テクノロジーも活用しながら、
もうやれることはすべてやっていくっていうことかなと思ってます。
ひとし
そういうDX化もこども家庭庁さんが進めている。
平山
もちろんです。
はるか
それがこの間の、見本市のデジタル推進室の方ですね。
ひとし
いまだから実証がいくつかの自治体で…118で終わりという感じですね。
お二人がその実証をやる中で難しかった場面とか聞きたいです。
出口
難しかった場面はやっぱりその、初めてやるものなので、不安がものすごくたぶん、先行するんです。
ひとし
こども家庭庁さんとして。
出口
わたしたちもそうですし、現場の皆さんも自治体の皆さんも一体何が始まるんだろうっていう。
なのでわたしたちは現場の声をしっかり聞きながら政策を作るって言ってるんですけど、
作りながら実際にやっていただくっていう流れになっていたので、
そこは理解をしていただくところは相当、苦労はしてますし、
これからもたぶん残りの自治体の皆さんにやっていただくので、これからもたぶん苦労はあるかなとは思ってます。
それはもう最大の、現場の保育士たちの不安をどう解消するかとか、
自治体の方にいろいろ整備をしていただくその計画を立てる段階で、
どういったものができてきて、なにをしなきゃいけないのかっていうのが、
わたしたちもわからないまま進めているところがちょっとあったので、
そこはちょっといっしょに考えましょうっていうことを言わざるを得なかった。
もうバシッとこれでやってくれってなかなか言えないところがちょっとしんどいなっていうのはあったんですけど、
そういう産みの苦しみなのかなとは。
はるか
いま導入していく中で、たぶん実践している保育園があったりすると思うんですけど、
ここうまくいってるなぁみたいな成功事例とかはあったりするんですか?
出口
たくさんあります。
はるか
どんな状況ですか?
出口
なんでしょう。やっぱりこう、いま話したような「不安があったけど、やってみたら意外とできるじゃん、わたしたち」みたいな声とか、
そういうのはやっぱり届くんです。
大体どこもそういう感じで流れていくので、まずはやっぱりやってみた方がいいんじゃないですかっていう。
で、じつはそのいろんな課題感って知識であったり、なんならその園独自でも変わっていたりするので、
出口
実はこういう課題がたくさんありますよっていっても全て当てはまるわけじゃないので、
「まずやってごらんよ」っていうふうな。それが一番しんどいんですけど。
だからそこのこの導入と、でも上手にやっているところはすごく皆さん、保育士さんとか、
あとはその園長先生とか自治体も含めてなんですけど、よく話し合いをされてますね。
どうやったらうまくいくだろうかっていうのをすごく話し合いをされているので、
最初にそれやっているところは大体うまくいってるなっていう印象ですね。
ひとし
そういう、保育園の方々が自発的に会議したりアクションしたりしていくまでにハードルありそうじゃないですか。
出口
ハードルあります。
ひとし
どういう声かけたら、皆さんやる気に火がついたりするんですか。
出口
たぶんこの制度の目的が一番大きな、目的意義に関わることだと思うんですけども、
さっき平山補佐が最初に説明した通りなんですけど、
いわゆるいろんなところに関わっていない子どもたちのため、家庭の支援をしていくものなので、
手を差し伸べられていない人たちが基本的に多いので、
「そういう人たちをサポートできるのは、もうあなたたちしかいないんですよ」っていうふうな感覚。
その感覚で、じゃあ目の前の課題を見た時に、「じゃあこうしようか」っていう、たぶん次の一歩につながりやすいんですね。
これある実施している法人の方から聞いたんですけど、
いわゆる地域貢献だみたいな話をされているので、それが前提にあるので、
通常のそこは保育園を運営されてるんですけど、前提がそこにあるんです。
福祉っていうものが根底にあるので、困っている人がいたら、やっぱり手を差し伸べるっていうのが前提なんですよね。
こういう誰でも常にできますよっていうのがポーンと降りてきたら、
もうその時点でそこの法人の皆さんは、もう「やるべきことはこれだよね」って自分たちでちゃんと話し合いをして、
いま、試行的にやっていただいてるんですけど、
なのでそこの業界の根底をしっかりと持っていただければ、そんなにハードルは高くないんじゃないかなっていうのをいくつかの事例からは確認してます。
はるか
僕が教育の現場で働いていたときに、一番、教師の長時間労働とかを促しちゃう言葉が「子どものため」っていうことでやりがいだったんですよね。
ここを福祉の方々も困っている人がいたら、そこを助けようよっていうようなスタンスで関わっちゃうと、
またそこの負担が大きくなって回りにくいのかなと思っていて、やっぱり新しい仕組みが必要だなと思っています。
そのときに、やっぱりこれまでは行政の方とか保育っていうのが支援する側っていうのになっていたのが、
もっと地域の方々が参加してくれたりとか、保護者同士のつながりが増えたりとかっていうふうに、
新しい有機的なコミュニティみたいな仕組みを作っていかなきゃ回らないなと思っているんですよね。
そういった仕組みを模索したいなと思っていて、でもたぶんもういっぱい実践されている中で、そういった事例も出てきているのかなと思うんですけど、そういったのもあったりしますか?
出口
そうですね。誰でも通園制度が、さっきの時間の部分とも関わってくるんですけど、この10時間で子どもを見るっていうのを完結させるっていう話は実はしてなくて、あくまでもきっかけだと思っています。
例えばご家庭でちょっと支援をしたほうがいい方であるとか、子ども本人とか、保護者ご本人の支援をしてあげたほうがいい場合には、
当然、誰でも通園の対象って、だいたい保育所とか認定子ども園とか幼稚園とかそういうところあるんですけど、そこだけで絶対まかないきれないわけですよね。
そうなったらちゃんと他の関係機関につないでいきましょうっていう話をしているので、抱え込まないでくださいっていうようなことは言っています。
なので、きっかけとして最前線で子どもとか家庭を見れるっていうところが、この誰でも通園のひとつの意義かなと思っているので、
そこから本当に、言い方が悪いかもしれないですけど、「頑張らないでいいからね」って。
でもしっかりと見てもらって、必要な支援をちゃんとつなげていってあげてくださいっていうふうなところなので、
わたしも現場にいたときに、「これは母子保健の世界かな」みたいなところは、現場では到底スキルもないのでできないので、
「とりあえず話は聞くよ」って。「でもこういうところあるよ、どう?」みたいな。すぐつないじゃえみたいな。
でも一見、手放している感で見えるんですけど、その保護者、子どもにとってはそっちの方が絶対いいっていう判断もあったので、
じゃあ次にちゃんとつなぎましょうっていう。なのでそこをしっかりと目的、落とし込んでもらえればいいんじゃないかなとは思うんですよね。
平山
あ、いいですか?要は子育てっていうのを地域でやっていくっていうなかで、さっきおっしゃっていただいたようにやりがい搾取みたいな形でですね、
「とりあえず今ある資源で保育に携わる人たちがとにかく頑張るんだ」、みたいな世界っていうのは、そういうのはないとは思っていて、
平山
地域の中でどういった主体がどういう関わり方をもって、どういう関係性で子どもたちに関わっていくのかっていうのを市町村単位というかですね、
自治体単位で考えていただくっていう時代になっていくのかなというふうに思っています。
その時にどこが中心になるのかっていうのは、これまでどういう人たちがその地域でですね、大きく関わってきたかによると思っていて、
例えば児童館が中心になって子育て支援やってるところもあれば、保育所だったりとか、あとは公立の拠点園みたいな形にしていろんな多機能化っていったりしますけれども、
保育所だけじゃなくて学童とかいろんな機能をひとつの場所に集める、障害児支援とかそういったところも集めるとかですね、
そういった様々な取り組みをやられていて、その千差万別なんですけれども、そういったものをですね、我々も集めながらですね、横展開していけたらいいなというふうに思っています。
そこに、誰でも通園制度っていうのがたぶん乗っかってくるっていうイメージだと思うんです。
出口補佐がさっきから何度もおっしゃっていただいているのは、その誰でも通園制度はまさに誰でも通園で、
これまで保育所に来てくれていた人っていうのは正直その、保育士と日々つながりがあるわけなんで、なにか問題があってもすぐ気づけた子どもたちで、
逆にそうじゃない家庭のお子様たちって、基本的には家庭で健やかに過ごされていると思うんですけれども、
いろいろ問題を抱えていらっしゃったりとかする事情があったりするかもしれないので、
その『こども誰でも通園制度』っていうものが新しくできて、そこでいろんな子どもと地域っていうのがつながっていく中で、
さまざまな関係主体が有機的につながっていくっていう、そういうあり方になってくるんじゃないかなというふうに思っています。
はるか
イメージ湧いてきました。かなり。
ここで完結っていうよりは、これが閉ざされた子どもと親っていうものの関係に新しい風通しが吹いて、
そこからどんどん地域につながっていくっていうイメージなんですね。
平山
特に、やっぱりこれからまだわかんないですけれども、人口減少社会で子どもの数も、残念ながら出生数もどんどん減ってきているっていうところがあります。
そうなってくると地域にいる子どもの数もたぶんどんどん減っていくんだと思うんですけれども、
そうなってくると子どもは宝ですから、こどもまんなかで社会を作っていくっていう我々の理念に照らし合わせたら、
そのみんなと『こども誰でも通園制度』とかを介しながらつながって、地域社会全体で子育てを支えていく、
そういったことが必要になってくるっていうことだと思います。
ひとし
しかもそれをやっぱり、自治体を束ねて動かせる力があるっていうのはすごい壮大な、
僕らもそういう地域で子育てを考えているものの、やっぱ相当そこの影響力の弱さとかも感じるので、
そこをガッと推進できるっていうのはすごいよなと思いますね。
これ何人で運営されてるんですか?こども誰でも通園制度の事務局的な働きとしては。
出口
役割分担はしていて、わたしの係は、例えば現場の状況の確認だったりとか、
「不安だよね、分かる分かる。でもこうやったらどう?」みたいな、それをちょっと支援をしたりとか、そういう担当なんです。
平山補佐のところは、それをちゃんと法整備をしてっていうところなので、脳みそと手足みたいな感じです。
ひとし
2人でそれ、いまやってるって感じですか?
出口
ほかに、つまり保育全般的な課題もあるので、さっきいった処遇改善の部分であるとか、それはまた別チームがあって、
魅力の部分はまた別のチームがあって、保育全般、あとはうちの保育政策課だけじゃなくて、
いろんな関係する部署、こども家庭庁の中の部署もそうですし、文部科学省の方もちゃんと関わってますし、
いろんなところがやってるっていう、いろんなところにちょっとずつ知見を賜って、それを束ねてるのがここで、
こっちの平山大先生のところで。
ひとし
でもほんと、メインはお二人けっこう動いてるっていう認識であってますよね?
平山
まあまあ、それはそうですね。
ひとし
いや、なかなか言ってくれないんだよ、お二人がメインだみたいなこと。
はるか
そこはなんかあるっていう。
ひとし
いや、でもこんな国の政策レベルのことをやってる人の顔がこんな距離で見えるのってなかなか体感することないんで、
かなりこう、人感を感じますね、ただの制度じゃない。
僕らは、リスナーさんももしかしたら感じてくれてる方いるかもしれないです。
はるか
やっぱ出口さんは保育の現場で働かれてたっておっしゃったじゃないですか、
やっぱり働いてるなかで、ここに手届いてないんだよなとかっていう課題感があったりしたんですか?
出口
似て非なるものなんですけど、一時預かりの事業っていうのがあって、
そこは自治体の中で一定のニーズがあったらやってくださいってことで、
全国でやってるわけではないんですね。
でもわたしはその一時預かりにいたんですけど、
一時預かりって受け入れの枠がそんなに多くないので、
断ることが多いんですよ。
「今日、予約でごめんなさい、いっぱいで、ちょっと受け入れられないんです」
じゃあ隣のところ紹介してもそこもいっぱいで、みたいな。
場所によっては一時預かりって予約が取れませんみたいな声もあるんですけど、
そういうのがないような世界が、この誰でも通園制度が目指しているところなので、
時間少ないっていうのはあるんですけど、
でも必ずどこかに関われるっていうふうなもの、
そういうのがあったらいいなと思ってまして、ずっと。
だから泣く泣くお断りをせざるを得ないんだけど、
この子はみんなと関わった方がいいんじゃないかっていうのはやっぱり現場にいて思っていたので、
そういう課題感を持って関われるっていうのはすごく光栄なことかなと思います。
ひとし
ちょっとここからもしかしたらカットするかもしれないんですけど、
あえてバッドイメージとして「こういうふうなことになったらまずいな」とか思っていることありますか?
平山
バッドイメージ?
出口
バッドイメージ。
ひとし
ガッとここから全自治体に広げたときに、
保育園側から出てくる不満の声なのか、利用者へのなにか悪影響なのかっていう、
ひとし
こっちのバッドな方でどういうのを想定して、どう動こうとしているのか。
平山
わたしが一番感じているのは、やっぱり人材不足のところなんです。
ひとし
保育士さん。
平山
保育士さん。
こども誰でも通園制度、いま0から2歳で未就園児、いわゆる保育所に通ってない子どもたちって、
その全体の6割くらいっていわれてますけれども、
そういったお子様たちがみんな保育所とか幼稚園とかにバッと来ると、
たぶんもう人が足りないってなって、現場が疲弊していく。
それが一番怖いなとは思ってますね。
はるか
そうですよね。
平山
そうならないようにっていうのはさっきいろいろ話したようなことだと思うんですけれども、
それをどうにか乗り越えていく必要があるかなと思ってます。
ちなみにさっきちょっと言ってなかったかと思うんですけれども、
保育所って保育士100%の世界で、みんな保育士資格を持っている人が保育に従事することになってるんですけれども、
『こども誰でも通園制度』は、2分の1保育士っていうことにしてます。
なので保育士資格を持っている人半分で、残りの半分は資格を持っていないけれども、
子育てとかに経験のある人たちがやってくれることを考えているんですよね。
そういうような人員配置基準とかいったりしますけれども、
堅苦しい言葉だと、あのところもやってはいるんで、
そのあたりがどう出るかですね。
やっぱり保育士資格を持たれている方とかからすると、
保育士100%の方が安全安心っていうのはあるかもしれないですし、
逆にやっぱり人材確保っていう観点だと、
それ以外のそういった方々も別にスキルがないわけではないので、
もちろん子育て経験とかあると思いますし、
そういうことを考えていくと、
そこがどう出ていくのかっていうのは若干不安なところではあるんですね。
ひとし
人材のところですね。
出口さんはどうでしょう?
出口
わたしはこの制度を誤解して使われるとちょっとまずいかなとは思ってまして、
そこは丁寧にわたしたちも今後、利用する方々への周知は必要かなと思ってます。
誰でも常に子どものための制度っていってるので、
子どもが通うためなんですけど、親の都合で「あんた行ってらっしゃい」。
ひとし
それはけっこう受け取っちゃいそうな気がしますね。
親御さんがリラックスするために預けられるって認識はしちゃいそうな気がします。
出口
なのでそこももちろん利用するひとつとしてあってもいいんですけど、
子どもがいろんな人と関わるっていうことは非常に成長に資するものなんだというところを
しっかりと伝えていく必要があるかなと思っています。
いま、自治体の方であったり保育現場の方も、
なかなかわたしたちも情報が丁寧に出せていないというのもあるので、
ちょっと誤解を与えているところはあるんですけど、
きちんと説明すると皆さん理解していただくので、
そこは今後、わたしたちちゃんとやっていかなきゃいけないところかなっていうのは。
ひとし
ありがとうございます。
そんな感じか、もし話残したわとかってところあります?
平山
『こども誰でも通園制度』って、ほんとうに画期的な政策だと思ってまして、
さっきも申し上げましたけども、
親のためのというか就労家庭のための保育から、
それ以外の子どもたちも含めた誰でも通えるこども誰でも通園制度へということで、
大きな転換だったと思います。
それにですね、やっぱり少子化っていうのがどんどんどんどん進んでいる中で、
前政権ではありますけれども、
『こども未来戦略』っていう大きな方針立てて、
3.6兆円のお金をもってきてですね、
少子化対策をやっていくぞっていうもののひとつの大きな柱が、
この、こども誰でも通園制度なわけです。
その政権としてもやっぱり力を入れてやっていくっていう話だと思いますし、
我々、こども家庭庁としてもですね、
どんどん全国展開していけるように、
まだまだ数年かかると思いますけれども、
やっていければいいのかなというふうに思っています。
それにこども家庭庁がですね、令和5年にできた。
そして『こども基本法』っていうのが定められて、
子どもを中心とした、こどもまんなか社会、
そういったものを目指そうっていう話になった。
それこそがですね、こども誰でも通園制度につながってくるんだと。
子どもの育ち、子どものための政策としてのこども誰でも通園制度。
そこを改めて、その趣旨っていうのを皆さんにご理解いただいてですね、
使っていっていただけたらいいのかなというふうに思っています。
はるか
ありがとうございました。
ひとし
ちょっと一応フルネームで最後に言いますね。
こども家庭庁生育局保育政策課の出口貴史さんと平山祐暉さんでした。
ありがとうございました。
ありがとうございます。
はるか
めちゃくちゃ聞けた。
ひとし
理解、深まったー。
平山
ありがとうございます。