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地域コミュニティとテクノロジーの融合:山古志村のNFTと地域創生(地域の一個人が出来ること)
2026-10-20 18:05

地域コミュニティとテクノロジーの融合:山古志村のNFTと地域創生(地域の一個人が出来ること)

地域活性化とコミュニティ持続に向けた「一個人の役割とアクション」に関するブリーフィング・ドキュメント

エグゼクティブ・サマリー

人口減少や少子高齢化、過疎化に直面する日本の各地域において、持続可能な地域運営と経済循環の確立が急務となっています。かつて地域づくりやまちづくりの主体は「その地域に物理的に住み続ける住民(リアル住民)」に限られ、外部の人間には「骨を埋める気があるのか」といった姿勢が求められる傾向がありました。しかし、Web3技術(NFT・DAO)、地域通貨・ポイント制度、自治会DX、そして「地域幸福度(Well-Being)指標」などの新たな仕組みの登場により、地域に関わる一個人が果たせる役割と貢献のアクションは飛躍的に拡大しています。

本ドキュメントは、提供されたソース資料に基づき、地域の「一個人の立場」から具体的にどのような貢献や行動(参画、消費、ボランティア、意思決定、デジタルツール活用等)が可能であるかを総合的に整理・分析したものです。

主要テーマと詳細分析

1. Web3・NFT・DAOを通じた「デジタル村民・関係人口」としての参画

デジタル技術(ブロックチェーン・NFT)を活用することで、物理的な居住地や血縁にとらわれず、誰もが特定の地域に主体的に関わることが可能になっています。

  • 「地域名を冠したアイデンティティ」の表明と共有
    • 新潟県長岡市山古志地域(旧山古志村、人口約700〜800名)の「仮想山古志村プロジェクト」では、電子住民票の意味合いを持つデジタルアート「Nishikigoi NFT」を発行。
    • 購入者は「デジタル村民」として認定され、山古志に縁やゆかりがない人、訪問したことがない人であっても、地域名を冠したアイデンティティをデジタル空間上で表明・コモンズ化できます。
  • ガバナンス(意思決定)への直接参加
    • Nishikigoi NFT保持者は、Discordなどの専用コミュニティへアクセスし、山古志の将来像や地域課題の解決策に関する議論・共創に参加可能です。
    • 「デジタル村民総選挙(Snapshotでの投票等)」を通じて、地域活性化を目指すアクションプラン(12件提案中、上位4件を採択)や、プロジェクトの今後の大幅な方針転換に対する可否投票など、具体的な意思決定権を行使できます。
  • リアルな地域活動へのコミットメントと現地訪問(帰省)
    • デジタル村民の約3割(延べ約140名以上)が実際に山古志に足を運ぶ「帰省」を行っています。
    • 地域のお祭りや中越地震の追悼イベントの手伝い、メタバース空間の構築など、個人の特技や関心に応じたボランティア・活動を行っています。中にはリアルな山古志村に就職・移住する個人も現れています。
  • 個人リーダーシップの提示
    • 「山古志住民会議」3代目代表の竹内春華氏(魚沼市出身の“よそ者”から復興支援員を経て代表に就任)のように、個人の強い想いとネットワーク(外部専門家やIT企業との連携)によって、地域を牽引する主体となる事例が存在します。

2. 地域通貨・地域ポイントを活用した「経済循環」と「行動変容」への貢献

地域通貨やポイント制度の利用を通じて、日常の買い物や地域活動が直接的に地域経済の循環(「漏れバケツ」状態の防止)や課題解決に寄与します。

  • 地産地消・地域内決済の推進
    • 「Meji-Ca」(高知県土佐清水市): 市民一人ひとりが日常的にチャージ・利用(1人あたり平均約5.6万円の追加チャージ実績)し、地元のスーパーやドラッグストア、飲食店、ガソリンスタンド等で利用することで、資金の域外流出を防ぎます。
    • 「さるぼぼコイン」(岐阜県高山市・飛騨市・白川村): ユーザー間の送金や、加盟店同士の二次・三次取引(仕入れ等の決済)に使うことで、地域内でのお金の乗数効果を高める行動が可能です。また、アプリ経由での税金・公共料金の支払いにも対応しています。
    • 「ほ・ろ・か」(広島県庄原市東城町): 町民の約9割が保有し、年間約15億円の決済を支えています。個人が買い物をすることで地域の店舗に顧客動線データが還元され、販促や行政補助申請のエビデンスとして活用されます。
  • ボランティア活動・地域貢献行動の実施
    • 「めぐりん」(香川県): 商店街の清掃ボランティアに参加することで1回300ポイントを獲得。受け取ったポイントを地域の喫茶店や理髪店で消費する好循環を生み出します。
    • 「kamica」(高知県香美市): 図書館での読み聞かせボランティア(1回50ポイント)等に参加することでポイントを獲得できます。
    • 「ぼっちり」(高知県高知市): 金銭的価値を持たないコミュニティ通貨として、鏡川流域でのボランティア活動やSDGs活動への参加、スポット訪問を「ランキング化・可視化」し、ゲーム感覚で地域貢献に参加できます。
  • 健康増進活動による地域医療負荷の軽減
    • ガン検診や特定健診の受診(kamica)、ジムの利用、健康管理アプリ(日高村「ポケットヘルスケア」等)の利用によりポイントが付与され、自らの健康維持がそのまま地域還元につながります。
  • 地域の子供・高齢者への見守り協力
    • 「ほ・ろ・か」では、小学生が登下校時にカードを端末にタッチすることで保護者にメールが届き、高齢者が1週間カードを利用しない場合に家族へ通知がいく見守り機能を有しており、カードの積極利用が見守り網の強化に直結します。

3. 自治会・町内会DXを通じた「役員負担軽減」と「地域運営の効率化」

高齢化やライフスタイルの変化により、自治会・町内会の「役員のなり手不足」や「事務負担」が深刻化する中、身近なデジタルツールの活用を通じた個人の協力が求められています。

  • 身近なデジタルツール(LINE等)の積極活用
    • 調査によると、紙の回覧以外の連絡手段として60%以上の自治会で「LINE」が利用されています。情報を受け取る側の住民にとっても操作が容易であり、デジタル化への心理的ハードルを下げる役割を果たしています。
  • デジタルと紙の併用(ハイブリッド運用)への理解と協力
    • 自治会長層の45.2%が「デジタル中心+一部紙を併用」が現実的と回答。導入初期は紙とアプリ(「CHIKUWA!」等)を併用しつつ、1年程度で全会員がアプリ登録を行うことで完全電子化(紙の回覧板廃止)に至った事例もあります。
  • 行政・自治会間の連絡デジタル化の推進
    • 自治会長の8割以上が「自治体との連絡のデジタル化」による負担軽減を期待。行政に支援を求める項目として「回覧物・広報物の電子化」が60%を超えてダントツの1位となっており、統一システムの利用を通じて自治会役員・住民双方の業務負担削減に貢献できます。

4. 「Well-Being指標」を活用した住民視点の政策対話への参加

政府・デジタル庁が推進する「地域幸福度(Well-Being)指標」を活用し、住民個人が自分の生活実感や幸せの要素を提示・議論することで、データに基づくまちづくりに寄与できます。

  • 主観指標(住民アンケート)への回答
    • 「現在どの程度幸せか」「住んでいる地域の暮らしにどの程度満足しているか」など50の質問に回答することで、数値化された主観指標として地域の現状分析(生活環境、地域の人間関係、自分らしい生き方など24カテゴリー)に貢献します。
  • 対話ワークショップ・ファシリテーションへの参加
    • 「主観指標は低いが、客観指標が高い(=住民が気づいていない地域の強み)」といったギャップを発見し、「自分たちのまちで何を大切にしたいか」「20年後にどのようなまちであるべきか」という将来像(キャッチコピーや重点分野)を官民フラットな立場でディスカッションします。
    • 「Well-Being指標活用ファシリテーター」の養成講座受講や現場でのファシリテーションを通じ、課題解決型(対症療法)だけでなく「将来どうありたいか」を見通した政策立案をサポートできます。

主要データ・成果指標のまとめ

以下の表は、各取り組みにおいて個人やコミュニティが達成した主な実績数値を取りまとめたものです。

分野・取り組み名対象地域 / 組織主な指標・実績数値出典
Nishikigoi NFT / 山古志DAO新潟県長岡市山古志地域・リアル人口:約700〜800名<br>・デジタル村民数:1,000名以上(1,700名超)<br>・初期売上:約1,500万円(41.4ETH)<br>・帰省(現地訪問)人口:延べ約140名(デジタル村民の約3割)山古志オフィシャル / note / CONNECT+
自治会DX意識調査全国の自治会長(76件回答)・回覧・配布負担軽減への期待:40.6%<br>・役員なり手不足対策への期待:21.7%<br>・紙以外の連絡ツール(LINE利用率):60%超<br>・現実的な運用(デジタル中心+一部紙):45.2%<br>・行政支援要望(回覧物・広報物の電子化):60%超公共DX推進サロン
地域通貨「Meji-Ca」高知県土佐清水市・累計利用額:約10億3,000万円(約2年間)<br>・追加チャージ額:約6億7,000万円(1人あたり平均約5.6万円)四国銀行調査レポート
地域通貨「ほ・ろ・か」広島県庄原市東城町・カード保有率:人口(7,160人)の約9割<br>・年間利用総額:約15億円(平均1人あたり約20万円)<br>・1日あたり使用者数:5,200〜5,500人四国銀行調査レポート
地域通貨「さるぼぼコイン」岐阜県飛騨地域(2市1村)・累計決済額:約55億円(日本最大級の地域通貨)四国銀行調査レポート
地域経済循環率高知県・地域経済循環率:78.7%(所得の約2割が県外へ流出)四国銀行調査レポート(RESAS)
スマホ普及率(村まるごとデジタル化)高知県日高村・スマホ普及率:64.5%から75.7%へ上昇(4ヶ月間)四国銀行調査レポート

重要な引用(キー引用句)

ソース資料内で提示されている、地域の一個人の参画や新たな地域づくりの本質を示す重要な発言・記述は以下の通りです。

「山古志村に縁もゆかりもない、ましてや山古志村に行ったこともない人が、“地域名を冠したアイデンティ”を表明することが許されるのです。」 — 山古志住民会議 note

「住民だけが地域を紡ぐ主体ではなく、山古志に1日でも1回でも支援していただいた方や想いを寄せていただいた方を“仲間”だと強く実感しました」 — 山古志住民会議 3代目代表 竹内春華氏

「顔が見えて信用が物を言う『トラストフル』な従来の地域づくりに対して、地域名という無形資産をNFTという技術にのせてデジタル空間上でコモンズ化することで『トラストレスかつパーミッションレス』な地域づくりを並行することを可能としています。」 — 山古志住民会議 note

「Well-Being指標を使うと、課題解決のアプローチだけではなく、将来(自分たちのまちが)どうありたいかを見通し、政策に取り組むことができます。官民で目線を合わせて、一緒にまちづくりを進めていけるという点で、Well-Being指標は非常に有効なものだと感じています」 — 浜松市 産業部 企業立地推進課 瀧本陽一課長(デジタル化横展開推進協議会)

結論と今後の展望

現代の地域社会において「一個人が出来ること」は、従来の「現地での物理的労働や役員引き受け」という限定的な範囲を大きく超えています。

  1. 居住地を問わない参画(デジタル村民・NFT保有): 遠隔地にいながら投票やコミュニティ議論、プロモーションに関わり、関係人口として地域を支える。
  2. 日常の消費・行動の選択(地域通貨・電子決済): 地元の店舗での消費、健康診断の受診、ボランティア活動への参加を通じて、地域経済の循環や見守りシステムに直接貢献する。
  3. デジタルツールの受容と協力(自治会DX・LINE活用): 身近な連絡手段のデジタル化に協力し、地域運営に関わる役員の業務負担や人手不足の解消を助ける。
  4. 幸福度・生活実感の発信(Well-Being指標・ワークショップ): 主観アンケートへの回答や官民対話の場への参加を通じ、数値化されたデータを基にまちの未来像を共に描く。

一個人によるこれらの多様なアクションが、ブロックチェーンや自治会アプリ、地域決済インフラ、行政データ基盤といった仕組みと組み合わさることで、過疎化や人口減少に直面する地域に持続可能な活性化モデルをもたらすことが示されています。

感想

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サマリー

新潟県長岡市山古志地域では、人口約800人の村に対し、NFTを通じたデジタル村民が1,700人を超えています。デジタル村民は山古志DAOの予算配分を投票で決め、現地の祭りや追悼行事に参加するなど、オンラインとリアルの両面で地域に関わっています。スペインのDECIDIMや兵庫県加古川市の事例では、匿名性やAIによる意見の可視化を活用し、若者を含む住民が政策形成に参加できます。後半では、スマートフォン支援や地域のデジタル化を担う市民の役割が、世代間交流や災害時の地域レジリエンスにつながると説明されています。

山古志のデジタル村民とNFT
スピーカー 1
突然なんですけど,あの,新潟県の雪深い山奥にある,とある小さな村の人口クイズを出させてください。 その村の実際の住人は,およそ800人なんですね。でも,今日現在,その村の村民を名乗る人は,なんと17
00人を超えているんです。
スピーカー 2
物理的な住人が800人なのに,村民が1700人,これ数字だけ見ると完全に矛盾してますよね。
スピーカー 1
そうなんですよ。一夜にして900人もの人が,冬は雪が3メートルも積もるような極寒の山奥に移住してきたわけではないんですよ。彼らは引っ越しトラックを手配する代わりに,ブロックチェーン上でデジタル村民にな
る権利を買ったんです。
スピーカー 2
なるほど。現実の境界線がテクノロジーによって解き落ちた非常に象徴的な現象と言いますね。
スピーカー 1
というわけで,今回の深掘りセッションへようこそ。今日はですね,自治体のDX推進レポートとか,限界集落のNFT事例,あとはバルセロナ発のデジタル民主主義の仕組みなど,本当に膨大な資料を机の上に広げて
います。
スピーカー 2
はい,かなり読みごたえのある資料ばかりでしたね。
スピーカー 1
今回のミッションは,ズバリ専門知識がなくても離れた場所に住んでいても,あなたが今日から地域社会を救うヒーローになれる方法,これを解き明かすことです。
地域の一個人ができることって,実は私たちが想像しているよりずっと広くて,そして面白いんですよ。よし,早速紐解いていきましょうか。
スピーカー 2
そうですね,まちづくりというと,どうしても市役所の職員さんとか地元の名刺の方々など,その土地に深く根を下ろしている人たちの1000倍特許だと思われがちです。
確かに,ちょっと敷居が高いイメージがあります。
ええ,でも今回集まったデータを見ると,個人が地域と関わるためのハードルは,かつてないほど劇的に下がっていることがわかります。
スピーカー 2
さて,先ほどお話しした人口800人の村なんですが,旧山越村,現在は新潟県長岡市の一部ですね。
ここで発行された日式越えNFTというデジタルアートが,いわゆる電子住民票の役割を果たしていると。
DAOによる予算決定と現地参加
スピーカー 1
はい,その通りです。
スピーカー 2
しかも海外からの購入者も約2割いるって言うから,本当に驚きですよね。
でもこれ,ちょっと意地悪な見方をすると,単なる今風のクラウドファンティングじゃないのかなって思っちゃうんです。
スピーカー 1
と言いますと?
スピーカー 2
なんか,ネット上で支援金を出して,山越村がんばれって応援して,それで終わりみたいな,数年後にはみんな飽きて,プロジェクトも放置されちゃうんじゃないかなって,ちょっと疑ってしまうんですよね。
スピーカー 1
ああ,その疑念は最もだと思います。単なる寄付やファンクラブであれば,熱狂は必ず冷めてしまいますからね。
スピーカー 2
ですよね。
スピーカー 1
しかし,この山越村の事例が画期的なのは,ただ資金を集めるだけじゃないんです。その使い道を決める権限と責任をデジタル村民に譲渡している点なんですよ。
スピーカー 2
権限と責任ですか?
スピーカー 1
ええ,このプロジェクトでは,NFTの初期販売益の約30%,資料によると暗号持参で約3インサリアムほどが,山越ダオというコミュニティの活動予算としてプールされました。
スピーカー 2
ちょっと待ってください。
スピーカー 1
ここで出てきたダオとか3インサリアムって,普通に生活していると聞き慣れない言葉なんですけど,3インサリアムって現実の価値にするとどれくらいの影響力があるんでしょうか?
スピーカー 2
失礼しました。インサリアムというのは暗号資産の単位なんですけど,時期にもよりますが,日本円にして数十万円から百万円以上のまとまった予算になります。
スピーカー 1
なるほど,結構な金額ですね。
スピーカー 2
はい。そしてダオというのは社長やリーダーのような中央管理者がいなくても参加者同士のルール,つまりプログラムで自立的に動く組織のことです。
へえ,リーダーがいない組織?
そうなんです。つまりこのまとまった予算を何に使うかデジタル村民たちがオンライン上の投票で直接決めているんですよ。
スピーカー 1
なるほど,それならすごくわかりやすいです。これってアイドルのファンクラブじゃなくて,1700人の見ず知らずの人たちが突然山越村っていうスタートアップ企業の対等な株主になって,ブロックチェーンの仕組みが
CEOとしてルールを管理しているみたいな感覚ですね?
スピーカー 2
まさにその例えの通りです。株主だからこそ自分たちのお金がどう使われるかに本気になるんですよ。
スピーカー 1
確かに,自分のお金が関わっていると真剣になりますよね。
実際に延べ140名以上のデジタル村民が山越村に帰省してお祭りや震災の追悼イベントをリアルな村民と一緒に手伝っているんです。中にはそのままリアルな山越村で就職したデジタル村民もいるほどなんですよ。
スピーカー 1
え,就職までしちゃったんですか?それはすごい。でもそこで一つ不思議なのがリアルな住民の方々の反応なんですよね。普通田舎のコミュニティって結構閉鎖的じゃないですか?
スピーカー 2
そうですね。そういう面はあります。
スピーカー 1
なので,よそ者が勝手に村民を名乗って村のことに口出しするなっていう,そういう反発は起きないんでしょうか?
スピーカー 2
そこがですね,この事例の最大のハイライトなんです。ここが非常に興味深いんですけど,これまで地域で活動しようとするよそ者に対しては,必ずと言っていいほど,この村に骨を埋める気があるのかという重い問いが投
げかけられてきました。
スピーカー 1
うわ,骨を埋める気があるのかですか?重いですね。
スピーカー 2
そうなんです。これはお互いの顔が見えていて,身元も分かっているトラストフル,つまり信用を前提とした関係性でのみ地域を作ろうとしてきたからなんですよ。
スピーカー 1
骨を埋めるなんて言われたら普通はお呼び越しになっちゃいますよね。私だって休みの日にちょっと手伝いたいだけなのに,いきなり人生かけろって言われたら逃げ出しますよ。
スピーカー 2
そうですよね。でも人口減少が極まる中,その閉鎖性では限界が来ていました。そこで彼らはトラストレスでパーミッションレスというWEB3の概念を取り入れたんです。
トラストレスでパーミッションレス,これもまたちょっと呪文みたいな言葉ですね。紙砕くとどういうことになりますか?
スピーカー 2
簡単に言えば,相手の身元を信用する必要がない,これがトラストレス,そして誰の許可もいらない,これがパーミッションレスということです。
スピーカー 1
なるほど,信用も許可もいらないと.
ブロックチェーンという技術が証明書代わりになるため,どこの誰でどれくらい本気かをいちいち面接しなくても,NFTを持っているという事実だけで誰でもフラットに参加できるんです。
スピーカー 2
つまり面倒な人間関係のしがらみとか,よそ者っていうレッテルを完全にスキップして,純粋にこの村を面白くしたいっていう情熱だけでつながれる仕組みを作ったわけですね?
その通りです。
スピーカー 2
それは確かにパラダイムシフトですね。
DECIDIMとデジタル民主主義
スピーカー 2
でもここでふと考えたんです。
今聞いてくださっているあなたももしかしたらこう思っているかもしれないなと.
スピーカー 1
どんなことでしょうか?
スピーカー 2
NFTの仕組みはすごいけど,私は遠くの村の村民になりたいわけじゃないんだよなって.
自分が今住んでいる町の,例えば近所の危険な交差点とか,さびれた公園をどうにかしたいだけなんだけど,そのためにはやっぱり市役所に行って面倒な手続きをしないといけないのかなって.
スピーカー 1
素晴らしい視点ですね。
実はお金を出してNFTを買わなくても,私たちが日常で感じるちょっとした不満やアイデアを地域の政策に直接反映させる仕組みが世界中で立ち上がっているんです。
スピーカー 2
へえ,そうなんですか?
スピーカー 1
はい。ここでキーワードになるのが,決めるプロセスのデジタル化です。
スピーカー 2
今回の資料の中にあったスペインのバルセロナで生まれたDECIDIMというプラットフォームのことですね?
スピーカー 1
ええ,それです。
スピーカー 2
これカタルーニャ語で自分たちで決めるっていう意味らしいんですけど,バルセロナでは人口160万人のうちなんと15万人が日常的にこのアプリを使って政策作りに参加しているんですよね。
はい,驚異的な数字ですよね。
スピーカー 1
しかも1万件以上の市民からの提案から実際に1467件が公式の都市計画に盛り込まれたとか,これ本当にすごいです。
スピーカー 2
人口の約1割が日常的に政策立案のプロセスに直接参加しているというのは,世界的に見ても大きなうねりです。
そしてこれが日本の兵庫県加古川市でも導入されていまして,非常に興味深い結果を出しているんです。
スピーカー 1
ああ,ここからが本当に面白いところなんですよね。
加古川市がスマートシティ構想のためにこれを導入したところ,約2ヶ月で261件もの投稿が集まったと。
匿名性とAIによる市民意見の可視化
スピーカー 1
そして私が一番驚いたのが,参加者の約4割が10代を中心とする若い世代だったという事実です。
スピーカー 2
そうなんです。この数字がなぜ重要かわかりますか?
スピーカー 1
えっと,普通,街づくりの市民会議とか説明会って,平日の昼間に行けるご年配の方ばかりになりがちですよね。
若者は関心がないんだって言われがちですけど,実はそうじゃなかったっていうことですか?
スピーカー 2
その通りです。実はテクノロジーが解決したのは利便性だけではないんですよ。
地方の小さなコミュニティにおいて,リアルな場で堂々と意見を言うことは,ご近所トラブルや人間関係の摩擦を生む非常にリスクの高い行為なんです。
スピーカー 1
ああ,確かに,生意気だとか言われちゃったり。
スピーカー 2
目立つと叩かれるという社会的なリスクをデジタルの匿名性と距離感が下げてくれたんです。
だからこそ,若者たちが安全に発言できるようになったんですね。
スピーカー 1
なるほど.
匿名性とかデジタルの壁ってネット上の誹謗中傷みたいなネガティブな文脈で語られがちですけど,しがらみの強い地域社会においては,むしろ安全に声を上げるための防弾チョッキみたいに機能するんですね。
まさにその防弾チョッキという表現がぴったりです。
スピーカー 1
でも,それって結局はネット上の目安箱というか掲示板みたいなものじゃないんですか?声がでかい人とか極端な意見ばかりが目立って炎上しそうな気もするんですけど.
スピーカー 2
そこで登場するのがテクノロジーによる熟議のサポートなんです。
単なる目安箱との最大の違いは,大阪大学などの研究でも導入が進んでいる広聴AI,パブリックリスニングAIの存在です。
スピーカー 1
広聴AIですか?AIが市民の意見を聞いてくれるんですか?
スピーカー 2
ええ。従来の市民会議ではどうしても声の大きい一部の人の意見に全体が引っ張られて,静かな多数派の意見が書き消されてしまうという民主主義のバグがありました。
スピーカー 1
ありますね,そういうこと。
スピーカー 2
しかし広聴AIは膨大に集まった市民の意見を自然言語処理で自動的に読み込んで,ここまではみんな合意している,ここで意見が対立しているという地図,つまりクラスタリングを作って可視化してくれるんです。
スピーカー 1
へえ,じゃあ,感情的な対立を客観的なデータに変換してくれるわけですね?
さらに,行政側はこのプラットフォーム上で,なぜこの意見は採用されて,この意見は見送られたのかを包み隠さずフィードバックするんです。
なるほど,理由をちゃんと説明するんですね?
スピーカー 2
そうです。
スピーカー 1
これにより,参加者は自分とは違う意見の人もいる中で,最終的にこの落とし所になったんだなというプロセスを共有できて,そこに納得感が生まれるんですよ。
スピーカー 2
プロセスが透明化されるから,どうせ言っても無駄だっていう無力感から抜け出せるんですね?
ただ,加古川市のレポートを読んでいて気になったんですけど,これってスマホを使える人たちの意見ばかりが優遇される,いわゆるデジタルデバイドの問題を生みませんか?
スピーカー 1
はい,重要な指摘です。
スピーカー 2
近所のITに疎いおじいちゃんとかおばあちゃんの声はどうやって拾えばいいんでしょうか?
まさにそこが次の課題であり,加古川市が行っているハイブリッド運用の意義でもあります。
スピーカー 1
彼らはデジタル一辺倒にするのではなく,リアルの場での対面ワークショップも並行して開催しているんです。
スピーカー 2
なるほど,リアルな場も残していると?
ええ,そこで出たお年寄りの意見なども,ファシリテーターがプラットフォーム上に統合していくという非常に泥臭い作業を行っています。
スピーカー 2
デジタルとリアルの泥臭い融合ですね。
シビックテックを支える身近なデジタル支援
スピーカー 2
でもそれって結局,市役所の人とか専門家が頑張る話ですよね?
ここで冒頭のテーマ,一個人の私たちができることに立ち返りたいんですけど,
スピーカー 1
はい,そうですね。
スピーカー 2
私はAIのプログラミングもできないし,ファシリテーターの資格も持っていません。
今聞いてくれているあなたも,日々の仕事や家事に追われて,自分の洗濯物を畳むのすらギリギリなのに,
私が地域を救うなんてハードルが高すぎない?って思っていませんか?
スピーカー 1
そう思われるのも無理はありません。
しかし,ここで注目すべきなのが,テクノロジーを使って市民が自ら地域の課題を解決するシビックテックの本当の姿なんです。
シビックテック,市民のテクノロジーですね?
ええ,シビックテックというと,どうしても一部の天才エンジニアの活躍ばかりが注目されがちなんですよね。
スピーカー 2
資料にもありましたよね?
コロナ禍で東京都が開設した対策サイトをコードフォージャパンという団体がたった1週間で作り上げたりとか,
あとはゴミの分別や収集日がすぐ分かるゴミなし.jpというアプリが全国に広まったり,
すごいとは思うんですけど,私には無理って思っちゃいます。
しかし,シビックテックの最前線で今一番求められているのはコードを書く人ではないんです。
スピーカー 1
テクノロジーと地域のお年寄りの間にある川に橋を架ける人なんですよ。
スピーカー 2
橋を架ける人ですか?
スピーカー 1
はい。例えば,高知県の日高村の事例を見てみましょう。
ここはスマホ普及率100%を目指して役場がポイント制度などを導入した結果,
普及率を64.5%から75.7%へ引き上げることに成功しました。
スピーカー 2
おお,結構わかりましたね。
スピーカー 1
しかし,スマホを配っただけでは意味がないんですよ。
スピーカー 2
ああ,確かに,うちの祖父母もスマホ持ってますけど,結局電話とカメラしか使ってないですね。
スピーカー 1
そこで草の根のアクションが起きたんです。
名古屋市北区では,町内会のボランティアがスマートスピーカーの体験会を開きました。
スピーカー 2
町内会がですか?
スピーカー 1
ええ,墨田区では老人クラブの皆さんがミンチャレという習慣化アプリを使って,
お互いに励まし合いながらIT学習をしています。
さらに金沢市では,Wi-Fi通信ができるIoT電球を使って,
町内会主導で離れて暮らす高齢者の見守りを行っているんです。
え,ちょっと待ってください。
スピーカー 2
つまり,近所のおじいちゃんにLINEの文字を大きくする方法を教えたりとか,
町内会の会談版をグループLINEで回しませんか?って提案したりすること?
これもCivic Techに含まれるってことですか?
まさにその通りです。
スピーカー 1
これをより大きな視点につなげてみると,
総務省が推進しているデジタル活用支援員の仕組みも同じ文脈にあるんです。
デジタルなつながりと災害レジリエンス
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
プログラミングの知識は全く必要ありません。
自分が当たり前に使っているスマホの便利さを少しだけお裾分けする,
それ自体が地域社会のデジタルトランスフォーメーションにおける最も重要なピースなんですよ。
スピーカー 2
でもそれがどう地域を救うことにつながるんでしょうか?
ただ生活が便利になるだけじゃなくて。
スピーカー 1
2016年の熊本大分地震の際の教訓を思い出してみてください。
災害時アクセスが集中して行政のホームページがダウンしてしまった時,
安否確認や避難所の物資状況の共有において最も機動力を発揮したのは何だったでしょうか?
スピーカー 2
もしかして日常的にSNSとかデジタルの回覧板でつながっていた地域コミュニティのネットワークですか?
スピーカー 1
その通りです。
政府が掲げるソサエティー5.0やデジタル上の地域幸福度,
いわゆるウェルビーイング指標が本当に目指しているのは,
単なる業務の効率化ではないんです。
スピーカー 2
効率化だけじゃない?
スピーカー 1
日常の些細なデジタル支援を通じて教え,教えられる関係性を作り,
多世代間のコミュニケーションを発生させる。
そうやって気迫化した地域の絆を再構築しておくことこそが,
いざ災害や危機が起きた時に地域社会が崩壊しないためのレジリエンス,
つまり強靭性につながるんです。
スピーカー 2
すごい。全てがつながりましたね。
私たちが日常でお裾分けするちょっとしたデジタルの知識が
巡り巡って災害時に誰かの命を救うインフラの網の目になっていくんですね。
これなら忙しい私にも今すぐスマホ一つで始められそうです。
スピーカー 1
はい。誰にでもできる立派な地域貢献です。
市民としての貢献履歴
スピーカー 2
さて今回の深掘りセッションも終わりに近づいてきました。
今回は膨大な資料から地域の一個人ができることを紐解いてきました。
スピーカー 1
そうですね。多岐に渡る事例を見てきました。
スピーカー 2
テクノロジーのおかげで私たちは骨を埋める覚悟がなくても
遠く離れた村の打音に参加して予算の使い道を共に考えることができます。
そしてDECIDIMのようなプラットフォームを使えば
ご近所トラブルを恐れることなく安全に自分の意見を街の政策に届けることができます。
そして何より近所の誰かのスマホの悩みを解決してあげるという小さなアクションが
地域を災害から守る強靭なインフラ作りにつながっている。
あなたが地域のためにできることは実は日常のあちこちに転がっているんですよね。
スピーカー 1
かつてのように街づくりを行政や一部の有力者だけに任せる時代は終わりました。
テクノロジーの進化により私たち一人一人の小さな参加のピースが組み合わさって
直接的に社会の未来を描ける時代になったんです。
スピーカー 1
最後に今回集まったすべてのソースを読み込んだ上で
今これを聞いているあなたに一つ少し挑発的な問いを投げかけて終わりにしたいと思います。
少し想像してみてほしいんですけど、ここから数年後
私たちが自分自身を社会に対して証明する時に最も重要なものは
学歴を書いた履歴書でも国が発行するパスポートでもないかもしれない。
スピーカー 1
代わりにあなたが今までいくつの地域のデジタル村民として活動し
どんな街づくりのアイデアを提案し
そして自分の身近な誰のデジタルライフをサポートしてきたか
そんなあなたのシビックレジュメ市民としての貢献履歴が
あなたの価値を決める時代が来るかもしれない。
シビックレジュメですか。
スピーカー 1
だとしたらあなたは今日どの街のどんな未来に関わりたいですか。
スピーカー 2
私たちの日常の選択が試される非常に奥深い問いですね。
スピーカー 1
この深掘りセッションがあなたの新しい一歩
そして新しい視点のお役に立てば嬉しいです。
それではまた次回お会いしましょう。
18:05

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