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地域コミュニティとテクノロジーの融合:山古志村のNFTと地域創生
2026-10-15 20:03

地域コミュニティとテクノロジーの融合:山古志村のNFTと地域創生

近年、日本各地の過疎化や人材不足が深刻化する中、地域活性化と住民の意識改革を目的とした新たなデジタル施策の導入が進められています。新潟県山古志村の「Nishikigoi NFT」や「山古志DAO」のように、地理的な枠組みを超えたデジタル村民との共創モデルを構築し、関係人口の創出や地域課題の解決へ繋げる取り組みが注目を集めています。また、デジタル庁が推奨する「Well-Being(地域幸福度)指標」を活用して、自治体の強みや住民の暮らしやすさをデータ分析し、客観的な視点から将来のまちづくり構想に活かすアプローチも広がっています。さらに、行政手続きや回覧板の電子化といった自治会・町内会におけるDX推進や、地域内経済の循環を目的とした電子地域通貨の活用なども、現場の負担軽減や持続可能な地域運営に不可欠な要素となっています。これらの多様な手法やツールを通じて、官民が一体となり、地域の魅力を高めながら自立した未来のまちづくりを切り拓く動きが活発化しています。

地方創生と地域コミュニティ再生に向けたデジタル活用・新手法に関するブリーフィング・シート

エグゼクティブ・サマリー

本ドキュメントは、過疎化や人口減少に直面する地域社会の維持・再生に向け、全国各地で展開されている「Web3/NFT/DAOの導入」「Well-Being指標を活用したデータ駆動型政策」「自治会・町内会DX」「地域通貨・電子決済プラットフォームの構築」などの先進事例と課題を体系的に集約・分析したものである。

  • Web3・NFT/DAOによる新たな関係人口の獲得: 新潟県長岡市山古志地域(旧山古志村・人口約720人)では、電子住民票の意味合いを持つ「Nishikigoi NFT」を発行・販売し、リアルな住民数を上回る1,700名以上の「デジタル村民」を獲得した。デジタル技術と現地コミュニティを融合させた「ネオ山古志村」モデルは、限界集落における関係人口創出および共創型まちづくりの先行事例となっている。
  • 「地域幸福度(Well-Being)指標」に基づくデータ主導の政策立案: デジタル庁が推進するWell-Being指標は、住民アンケート(主観指標)とオープンデータ(客観指標)を組み合わせ、地域の潜在的な強みや課題を可視化する。官民が共通の視点でまちの将来像を議論・共有するための基盤として、全国の自治体で導入が進められている。
  • 自治会・町内会における運営DXと負担軽減: 高齢化や役員不足に直面する現場において、連絡手段のデジタル化に対する期待が非常に高まっている。アンケート調査では、8割以上の自治会長が「自治体との連絡のデジタル化」による負担軽減効果を認めており、「広報・回覧物の電子化」が行政に求められる支援の最上位に挙げられている。
  • 地域内経済循環を目的とした地域通貨の発展と持続性: 全国の地域通貨稼働数はピーク時の306(2005年)から183(2021年)へ減少傾向にあるが、成功事例では「明確な導入目的」「行政サービス・税金支払いとの連携」「加盟店間(事業者間)決済」「自立した収益モデルの確立」などを実現している。

1. Web3・NFT・DAOを活用した関係人口創出と地域再生(山古志村の事例)

1.1 プロジェクト発足の背景と「Nishikigoi NFT」の概要

新潟県長岡市山古志地域(旧山古志村)は、2004年の新潟県中越地震による全村避難を経て復興を進めてきた中山間地域である。しかし少子高齢化と過疎化の進行により、中越地震前に約2,200人であった人口は、2018年に1,000人を割り込み、2024年10月現在で約720人にまで減少している。

この過疎化に対し、地域住民組織「山古志住民会議」(竹内春華第3代代表)は、外部の支援者やIT事業者(一般社団法人Next Commons Labの林篤志氏、株式会社TART/現NEORTの高瀬俊明氏ら)と連携し、2021年10月より「仮想山古志村プロジェクト」を開始した。

  • Nishikigoi NFTの発行: 2021年12月および2022年3月に、山古志名産の「錦鯉」をモチーフとしたデジタルアート「Nishikigoi NFT」を暗号資産Ethereum(イーサリアム)上で発行・販売。
  • 電子住民票とコミュニティ参加権: NFT購入者には電子住民票が付与され、「デジタル村民」として定義された。チャットツール「Discord」を通じた地域課題の議論や、山古志住民会議における意思決定への参加権が与えられた。

1.2 主な実績と定量的成果

  • 資金調達: 発行を通じて約1,500万円(初期売上41.4ETH:当時のレート換算)を調達。
  • デジタル村民の拡大: 2022年12月時点でホルダー数1,037名(発行量1,470)、2024年10月時点で1,700名以上に達した。この数字はリアルな山古志地域の人口(約720人)を大幅に超えている。また、購入者の約2割は海外ファンが占める。
  • 現実社会への波及効果:
    • 帰省人口(訪問実績): 2022年12月時点で延べ約140名、累計でデジタル村民の約3割が実際の山古志地域を訪問。
    • アクションプランの実行: 「山古志デジタル村民総選挙」を実施。提示された12件のプランから投票で4件を選出し、NFT売上から各100万円(計400万円)の事業予算を割り当てて始動。
    • リアルとデジタルの融合: メタバース空間の構築、現地のお祭りや震災追悼イベントでの現地支援、リアルな山古志地域への移住・就職事例が誕生。

1.3 試行錯誤と課題、および「ローカルDAOリーグ」への転換方針

1周年(2022年12月)時点のファウンダーチームによる分析では、以下の成果と課題が示された。

成果と課題

  • 成果: 人材リソースの獲得および「関係人口の当事者化」に大きく成功。従来の「骨を埋める気があるか」という対面・血縁・地縁ベースの地域づくりに対し、地域名という無形資産をNFTとしてコモンズ化することで、「トラストレスかつパーミッションレス」な地域づくりの選択肢を提示した。
  • 課題:
    1. グローバルマーケティングの難しさ: 海外発信において「限界集落の存続」「地方創生」という文脈はハイコンテキストすぎ、道半ばとなった。
    2. 二次流通ロイヤリティによる収益の限界: 発行後の二次流通手数料を継続的な収益源として想定していたが、OpenSea上のList率(出品率)が約2%と極めて低く(保有者が手放さない「ガチホ」傾向)、NFT販売売上のみでは山古志DAO単体の経済的持続性を確立できていない。

今後の戦略方針案(デジタル村民選挙にて可決を図る方針)

  1. デジタル村民1万人を目指す: 次なる3rdセールを経てデジタル村民を1万人へ拡大し、関係人口の規模を最大化する。
  2. ローカルDAOリーグの構築と支援法人創出: 山古志DAO単体の発展にとどまらず、Nishikigoi NFTを「日本各地のローカルDAOへアクセスするためのゲートウェイ」として位置づける。2023年に山古志地域にサポート法人を設立し、全国のローカルDAO立ち上げ支援、ブロックチェーン技術支援、マーケティング支援、マッチングを行う。
  3. フリーミアムモデルへの移行: Nishikigoi NFT保有者に対し、新たに設定する「山古志デジタル住民票NFT」をfree mint(無料発行)可能とし、多くのユーザーが山古志を入口にWeb3×地域を体験できる構造を作る。

2. 「地域幸福度(Well-Being)指標」によるデータ主導のまちづくり

2.1 Well-Being指標の概念と構成

デジタル庁が推進する「地域幸福度(Well-Being)指標」は、従来の経済指標だけでなく、住民の「幸福感(Well-being)」と「暮らしやすさ」を客観的・主観的データによって数値化・可視化し、政策立案(EBPM)に活かすツールである。

[Well-Being指標の構成]
 ├── 主観指標:住民アンケート調査(50の質問項目から算出)
 └── 客観指標:オープンデータ等から測定した地域の暮らしやすさ

[3つの因子群(24カテゴリー)]
 ├── 1. 生活環境(16項目)
 │    医療・福祉 / 買物・飲食 / 住宅環境 / 移動・交通 / 遊び・娯楽 / 子育て / 
 │    初等・中等教育 / 地域行政 / デジタル生活 / 公共空間 / 都市景観 / 自然景観 / 
 │    自然の恵み / 環境共生 / 自然災害 / 事故・犯罪
 ├── 2. 地域の人間関係(2項目)
 │    地域とのつながり / 多様性と寛容性
 └── 3. 自分らしい生き方(6項目)
      自己効力感 / 健康状態 / 文化・芸術 / 教育機会の豊かさ / 雇用・所得 / 事業創造

2.2 分析・政策活用のプロセス

デジタル庁が実施したワークショップ等では、以下の6つのプロセスを通じて分析と意思決定が行われる。

  1. 特徴の俯瞰: ダッシュボードのレーダーチャートを用いて、性別・年代別などにデータを絞り込み、自治体の個性を可視化。
  2. 主観×客観のクロス分析:
    • 「主観低・客観高」領域の発見: 例えば「健康状態」や「子育て」において客観的なインフラや環境が整っているにもかかわらず住民満足度が低い場合、「住民が気づいていない潜在的魅力」と判断できる。認識を変えるアプローチ(情報発信や認知改善)により効率的に幸福度を引き上げることが可能となる。
  3. 重要因子の特定: 幸福度・生活満足度と相関性の高いカテゴリーを特定。
  4. 重点分野の決定: 優先的に取り組むべき政策領域(8分野など)を選定。
  5. 都市像の言語化: 3年後・8年後の伸びを予測し、キャッチコピーや「まちの将来像」を設定。
  6. オープンディスカッション: 単一の正解を求めるのではなく、幸福度を軸として官民や庁内各部署が共通言語で対話・合意形成を行う。

2.3 デジタル庁の自治体支援施策

  • リファレンスロジックツリー: 浮き彫りになった課題に対し、関連する施策群の相互影響(例:医療・介護分野の課題解決に「公共交通の再構築」や「コミュニティバス」が及ぼす影響など)を構造化して検証できるツール。全国20の自治体で導入が開始されている。
  • Well-Being指標活用ファシリテーター養成・派遣事業: ワークショップや政策立案を主導できる人材を育成。2024年度にはファシリテーター養成講座を103人が受講。2024年10月より自治体への紹介・派遣事業を開始している。

3. 自治会・町内会におけるDX推進の実態と課題

3.1 自治会運営が直面する構造的課題

全国の自治会・町内会では、高齢化やライフスタイルの多様化に伴い、「役員のなり手不足」と「紙の回覧板作成・配布等の事務負担増加」が深刻化しており、従来の運営形態の維持が困難になっている。

3.2 自治会長を対象とした意識・実態調査結果

スパイラルローキャス株式会社が提供する自治会運営支援システム「CHIKUWA!」の問合せ者(全国の自治会・町内会長76名)を対象に実施された調査(2026年4月〜5月実施)により、以下の実態が明らかとなった。

調査項目主な回答・数値分析・解釈
デジタル化に期待する効果1位:回覧・配布作業の負担軽減(40.6%)<br>2位:役員のなり手不足対策(21.7%)業務効率化だけでなく、負担軽減による役員不足の解消策としてもデジタル化が期待されている。
紙以外の現在の連絡手段LINE利用率:60%以上高齢者の割合が高い地域であっても、「受信中心」の操作であればLINE等の利用が定着している。
現実的な連絡運用形態デジタル中心+一部は紙を併用(45.2%)導入初期は紙との併用を想定する自治会が多い。ただし運用定着に伴い1年程度で全会員がアプリ登録し紙を全廃した事例も存在する。
自治体との連絡デジタル化負担軽減につながると回答:80%以上自治会内部の連絡だけでなく、役所・行政との連絡手段のデジタル化が負担減の必須要素とされる。
行政に支援を求める項目1位:回覧物・広報物の電子化(60%超)単一自治会内の努力だけでは市役所へ出向く手間等は減らないため、行政による一括システム導入が求められている。

※行政支援事例:滋賀県大津市では自治会調査(支援要望1位が情報伝達のデジタル化)を受け、令和6年度(2024年度)に統括システム「CHIKUWA!」を導入している。

4. 地域内経済循環を促進する地域通貨・電子決済の動向

4.1 全国の稼働状況と理論的背景

全国の地域通貨稼働数は、2005年12月の306件をピークに減少傾向を辿り、2021年12月時点では183件となっている。

[全国の地域通貨稼働数の推移]
 1999年4月 :  11
 2001年4月 :  56
 2003年4月 : 197
 2005年12月: 306 (ピーク)
 2008年12月: 262
 2017年12月: 205
 2021年12月: 183
 (資料:泉留雄・中里裕美「2021年度版地域通貨稼働調査の結果について」)

地域通貨に関する主な経済理論と歴史的背景

  • 「漏れバケツ理論」(New Economics Foundation): 地方経済において、外部からの資金獲得(観光、企業誘致、補助金等)を行っても、域外資本チェーン店での消費やエネルギー購入、委託により資金が域外へ流出(漏出)してしまう現象。高知県における地域経済循環率(RESASデータ)は78.7%であり、所得の約2割が県外に流出している。地域通貨は限定されたエリア内で使用させることで流出を止める「バケツの穴をふさぐ」役割を担う。
  • 減価する通貨(スタンプ式貨幣 / ヴェルグルの試み): 1930年代の大恐慌期、オーストリアのヴェルグル市で採用された制度。一定期間ごとに通貨額面の一定割合(例:月1%)のスタンプ貼付を義務付けることで保有コストを発生させ、減価する前に消費させ流通速度(乗数効果)を高めた。
  • 歴史的成功事例(渋沢栄一と藩札): 幕末の播磨国において、渋沢栄一は十分な正貨(準備金)を確保した上で藩札を発行し、特産品(木綿)の買い付け資金として商人に貸し付け、大坂の産物会所で販売する流通ルートを構築して正貨を獲得・循環させた。

地域通貨が衰退・停滞する主な要因

  1. 導入目的・制度設計の不透明さ: 目的が曖昧なまま決済手段として導入しても、利便性で勝る法定通貨や大手キャッシュレス決済(PayPay、楽天ペイ等)に駆逐される。
  2. 財政・補助金依存: 自治体の補助金やプレミアム付与期間が終了すると利用が途絶える。継続的なシステム運営費(ランニングコスト)を賄う自立した収益モデル(決済手数料・加盟店手数料等)が構築できない場合、イギリスの「ブリストル・ポンド」(2021年終了)のように撤退を余儀なくされる。

5. 地域通貨の具体的な活用事例比較

地域経済の活性化、住民の行動変容、行政コスト削減などを目指して運用されている主要な地域通貨の比較は以下の通りである。

5.1 事例比較一覧表

地域通貨名(地域)運営主体 / プラットフォーム決済・チャージ形態主な特徴・独自の施策成果・課題
Meji-Ca<br>(高知県土佐清水市)土佐清水市<br>(chiica)カード<br>現金チャージ全市民へのチャージ付与、健康増進ポイント、5店舗利用キャンペーン、観光客向けカード運用約2年間で累計利用額約10.3億円。追加チャージ額が約6.7億円(市民1人平均約5.6万円)に達する。課題はデータ利活用。
kamica<br>(高知県香美市)香美市商工会<br>(地域PayⓇ)カード<br>加盟店タブレットで現金チャージガン検診、ボランティア、体育大会等へのポイント付与月間目標4,000万円に対し実績約400万円と低調。大型店等で専用タブレットによるチャージが不便であることがネック。
とまぽ<br>(高知県日高村)日高村<br>(chiica)アプリ/カード<br>(現金チャージ未実装)「村まるごとデジタル化事業」の一環。スマホ普及のインセンティブとしてポイント付与スマホ普及率が64.5%から75.7%へ上昇。生活デジタル化の手段として位置づけ。
ぼっちり<br>(高知県高知市)高知市<br>(まちのコイン)アプリ専用<br>(換金性なし)鏡川流域の関係人口創出。ボランティアやSDGs活動の可視化、ランキング化換金性・財源負担なしでコミュニティ活性化と関係人口の可視化を達成。
ほ・ろ・か<br>(広島県庄原市東城町)東城町商工会<br>(SHIAGEL)カード<br>ポイント還元・チャージ加盟店手数料1.5%。電力ポイント交換。登下校見守り・高齢者安否確認機能東城町人口(7,160人)の約9割が保有。年間利用額約15億円、1回平均3,000円。データ還元による販促支援。
めぐりん<br>(香川県全域)(株)サイテックアイ<br>(WAON一体型等)電子マネー/カード/アプリスポーツ支援(讃岐/ファイブアローズ)、健康経営、高松市「FACT」連携(パーソナルデータ基盤)異業種や行政サービス、MaaS/PHRデータ連携(わたしのデジタル財布)へ拡張。
さるぼぼコイン<br>(岐阜県飛騨地域)飛騨信用組合<br>(Money Easy)アプリ専用<br>チャージ二次・三次取引(加盟店間決済・手数料0.5%)、市税・公共料金支払い、AliPay連携、限定商品ポータル累計決済額約55億円。加盟店間決済や行政連携、観光バス・宿泊キャンペーン等で自立的モデルを確立。
気仙沼クルーカード<br>(宮城県気仙沼市)気仙沼観光推進機構<br>(サイモンズ)カード/アプリ<br>ポイント加盟店手数料3%(2%運営費、1%ポイント原資)。失効ポイントの寄付・運営費充当。DMOの顧客データ還元顧客データ分析による販促実施。コロナ禍の地元還元キャンペーンで市内会員の売上高が前年比110.9%に増加。

6. 総合考察と今後の展望

各事例の分析から、地域コミュニティの維持と地域経済の再生に向けては、単一のデジタルツール導入にとどまらない「多層的な連携設計」が重要であることが見出される。

  1. デジタルコミュニティ(Web3/DAO)とリアルの接続: 山古志の事例が示すように、NFT等の電子住民票を活用して域外の支援者を「当事者(村民)」化し、ガバナンスや事業実行に関与させる仕組みは、人口減少下の地域における強力な関係人口獲得モデルとなる。
  2. Well-Beingに基づく政策立案と自治会DXの一体化: 住民の主観的幸福度を高めるためには、日常の行政・地域活動負担を軽減することが不可欠である。自治会・町内会の連絡電子化(CHIKUWA!等)やデータプラットフォーム(Well-Being指標、FACT等)を連携させ、官民で同じデータ指標を共有して政策を打ち出すことが求められる。
  3. 地域通貨における持続可能なエコシステム: 地域通貨の成功には、単なる消費還元施策にとどまらず、以下のような要素の組込みが必要である。
    • 利便性の向上: 公共料金・市税の支払い対応、スマホ普及施策との連動。
    • 循環性の強化: 「さるぼぼコイン」に見られるような事業者間(加盟店同士)での仕入れ決済への利用促進。
    • 自立的財源: 決済手数料やデータ活用サービス、失効ポイントの還元など、補助金に依存しない運営スキームの確立。

感想

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サマリー

最新テクノロジーが地域コミュニティにどう入り込むかを、山古志地域のNFTとDAO、地域幸福度指標、地域通貨、自治会DXの事例から考える。山古志では錦鯉をモチーフにしたNFTを電子住民票として発行し、約1,700人のデジタル村民を集め、投票で地域活性化策を実行している。地域幸福度指標は主観アンケートと客観データを組み合わせ、行政が幸福を一方的に定義するのではなく、官民の対話の共通言語として使われる。地域通貨では加盟店間決済やデータ活用による地域内循環の仕組みが紹介される一方、自治会DXでは市役所と地域をつなぐ紙業務の解消と、高齢者に配慮した紙との併用が課題になる。最後に、居住地と所属地域が分離し、複数のデジタル地域に参加する未来像が提示される。

山古志のNFTとデジタル村民
スピーカー 2
あなたは、最新テクノロジーと聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
スピーカー 1
そうですね。デジタルの世界っていうと、すごく冷たくて無機質で、計算し尽くされた効率化の極みみたいなものを想像する人が多いんじゃないでしょうか。
スピーカー 2
わかります。ノイズを完全に排除した、チリひとつない完璧なマザーボードのような、そんなイメージですよね。
スピーカー 1
ええ。無駄を省いて感情とか泥臭さとは対極にあるゼロか1かの世界。それが一般的なデジタルのイメージだと思います。
スピーカー 2
ですよね。でもそこから一歩踏み出してですね、日本の地域コミュニティという超アナログな世界に目を向けると、突然そのきれいなマザーボードがですね、泥だらけになるんですよ。
スピーカー 1
泥だらけですか。
スピーカー 2
ええ。私たちがこれから飛び込むのは、まさにそのデジタルの泥臭い最前線ともいえる領域なんです。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
というわけで今回の深掘りディープダイブのミッションはですね、限界集落から町内海まで、最新テクノロジーが日本の地域コミュニティをどう救うのかです。
デジタル化っていうと、どうしても業務の効率化ばかりが注目されがちですよね。
スピーカー 2
そうなんですよ。でも実はWeb3とかデータとかアプリといった最先端技術が、極めてアナログな人とのつながりとか地域への愛着をいかに再構築しているか、今回はそこを解き明かしていきます。
今これを聞いているあなたが都会の高層マンションに住んでいようと、地方の一軒家に住んでいようと、自分の住む町やコミュニティが将来どうなっていくのかっていう不安は、どこにでも共通して持っているはずですよね。
スピーカー 1
確かにそれはみんな気になっているところだと思います。
スピーカー 2
ですから今回の分析は、あなたが所属するコミュニティの未来の姿を先取りするショートカットになると思いますよ。
スピーカー 1
さて、それでは早速紐解いていきましょうか。いきなりなんですが、まずは新潟県の旧山越村、現在の長岡市山越地域ですね。ここで起きている現象から見ていきたいと思います。
スピーカー 2
山越村ですね。中越地震での全村避難とかを経て、現在実際にそこに住んでいるリアルな人口は、だいたい720人から800人くらいにまで減少しているそうなんです。いわゆる限界集落ですよね。
スピーカー 1
そうですね。ここで非常に興味深いのは、彼らが生き残りをかけて選んだ手段なんですよ。
スピーカー 2
と言いますと。
スピーカー 1
この人口800人の村がですね、二色恋NFTというデジタルアートを発行したんです。
スピーカー 2
二色恋、泳いでる二色恋ですか?
スピーカー 1
はい。特産品の二色恋をモチーフにしたNFTです。これが実質的な電子住民票の役割を果たしていて、これを持っていれば世界中の誰もがデジタル村民になれるという仕組みを作ったんです。
スピーカー 2
そして驚くべきはその数なんですよね。なんとデジタル村民が約1700名に達して、リアルの村民数をあっさり超えちゃったんですよ。しかもそのうち2割は海外の人たちだとか。
スピーカー 1
すごい数字ですよね。
スピーカー 2
そうなんです。で、NFTの販売で約1500万円を売り上げて、その一部を予算にしてですね、デジタル村民総選挙というのを行って、選ばれた地域活性化プランを実際に実行していると。
なんかこれまるでスポーツチームのファンクラブみたいだなって思ったんですよ。単にグッズを買って応援するだけじゃなくて、ファンがスタジアムの改修計画とか予算の使い道にまで直接投票して運営に関わっているような、そんな感覚というか。
スピーカー 1
あーなるほど。でも単なるファンクラブとは少し違う側面もあるんです。
スピーカー 2
違うんですか?
スピーカー 1
なぜなら、彼らは実際に財布の紐を握って村の意思決定権をちゃんと持っているからです。この取り組みの根底にあるのは、ローカルDAOという新しいモデルなんですよ。
DAOですね。自立分散型組織。でもそれがどうして村作りに必要なんでしょうか。
スピーカー 1
従来の地域づくりをちょっと想像してみてください。
基本的に顔が見えるトラストフルな関係、つまりお互いをよく知っていて信頼し合っていることが大前提ですよね。
スピーカー 2
そうですね。ご近所付き合いというか。
スピーカー 1
でもそれだと強固なコミュニティができる反面、よそ者はよそ者という壁ができやすいんです。
地方に移住する際によく言われる、この村に骨を埋める気があるのかっていう、あの重いプレッシャーですね。
あのプレッシャー。移住を考える人にとってはかなりのハードルになりますよね。ちょっと興味があるくらいじゃいけないというか。
スピーカー 2
そこで彼らはブロックチェーン技術を使って、地域名を関したアイデンティティを世界中に開放したんです。
スピーカー 1
開放した。
はい。行ったこともない村の村民だと名乗ることを許容したんですね。
スピーカー 2
さらに重要なのが、これがトラストレスかつパーミッションレスであるという点です。
ちょっと待ってくださいね。トラストレス、つまり信頼がいらないってことですか?村作りなのに。
スピーカー 2
その通りです。ここでのトラストレスとは、人間同士のしがらみとか村長への忖度とか、そういう長年の信頼関係がなくてもシステムが回るということなんです。
スピーカー 1
あー、なるほど。
スピーカー 2
予算の執行や投票のルールがプログラム、つまりスマートコントラクトとしてブロックチェーン上に書き込まれているので、誰かの許可、パーミッションですね。
それを得なくても、ルールに従えば誰もが平等に村のプロジェクトに参加できるんです。
スピーカー 1
事前の許可とか、古いしがらみなしに参加できる地域づくりってことですね。
スピーカー 2
ええ。目標は800人のリアル村民と1万人のデジタル村民による新しい国づくりだそうです。
スピーカー 1
なるほどな。顔色をうかがわずにアイデアを出せるから、海外の人も気軽に参加できるわけだ。
スピーカー 2
そうなんです。
スピーカー 1
世界中にデジタル村民っていう新しいコミュニティの仲間が増えるのは素晴らしいメカニズムですよね。
スピーカー 2
ええ、本当に。
地域幸福度指標で政策を考える
スピーカー 1
ただ、ちょっと疑問に思うんですけど、リアルとデジタルが混ざり合う中で、彼らとか実際の住民が本当に求めているものを自治体はどうやって把握すればいいんでしょうか。
スピーカー 2
と言いますと、結局のところオンライン上で声の大きい人の意見だけが通るのでは困りますよね。みんながみんなネットで発言するわけじゃないですし。
スピーカー 1
そこがまさに次のポイントであり、自治体が抱える最大のジレンマなんですよ。
やっぱりそうですか。
スピーカー 1
住民の声をどう救い上げ、何を地域の目標にするのか。ここでデジタル庁が推進する地域幸福度指標、いわゆるウェルビーイング指標というツールが機能し始めます。
スピーカー 2
デジタル庁の指標ですね。今回の資料にもありました。
これ、住民へのアンケートによる主観指標とオープンデータなんかによる客観指標を組み合わせて、ダッシュボード上のレーダーチャートで街の将来図を可視化するというものだと。
生活環境、地域の人間関係、自分らしい生き方という3つの因子群。さらに24のカテゴリーに細分化されているんですよね。
スピーカー 1
この主観と客観を掛け合わせるというメカニズムがものすごく重要なんです。
スピーカー 2
どういうことですか。
スピーカー 1
ある自治体を分析した際の事例なんですが、主観指標の偏差値は50未満で低いのに、客観指標は50以上で高いという項目を発見しました。
スピーカー 2
ずれがあるんですね。
スピーカー 1
これ、つまりデータ上は客観的に素晴らしい強みがあるのに、住民自身がそれに全く気づいていないということを意味しているんです。
スピーカー 2
なるほど。そこに気づけば住民の認識を変えるだけで、それが街の武器になるわけですね。
スピーカー 1
そういうことです。
スピーカー 2
ここからが本当に面白いところなんですけど、幸福なんて結局のところ人それぞれじゃないですか。
行政がこんなに主観的でふわっとした感情をレーダーチャートなんかで数値化して管理できるものなんでしょうか。なんかちょっとディストピアっぽく聞こえるというか。
スピーカー 1
分かります。でも数値化して管理するのが目的ではないんですよ。
スピーカー 2
違うんですか。
スピーカー 1
これをさらに大きな視点に結びつけると浜松市の担当課長の発言がその答えを出してくれています。
スピーカー 2
どんな発言ですか。
スピーカー 1
彼は単に課題を解決するだけなら、高齢者が買い物に行けない場合に宅配サービスを提供すればいいと。
スピーカー 2
よくある行政のサービスですよね。
スピーカー 1
しかしそこにウェルビギングの視点を入れると、ご自身が自立した生活を営めるという実感や地域とのつながりを保つソリューションに変化すると語っているんです。
スピーカー 2
なるほど。行政の効率化だけで考えれば、カロリーが足りないからお弁当を届けます。これでミッション完了ですけど。
ウェルビギングの指標を通すと、その人が誰かと話したいんじゃないかとか、自分で商品を選びたいんじゃないかという。
スピーカー 1
そうなんです。
スピーカー 2
人間としての自立とか感情的な部分まで、政策のスコープに入ってくるわけだ。
スピーカー 1
そしてもう一つ重要なのは、この指標が絶対的な正解を出すための計算機ではないということなんです。
計算機ではない。
スピーカー 1
同じ自治体のデータを分析しても、あるチームは子育て教育のスコアにフォーカスして対策を考え、別のチームは文化芸術からのアプローチを提案したりします。
スピーカー 2
アプローチが違ってくるんですね。
つまりこれは官民が対話をして、私たちの街、これからどうする?と目線を合わせるための共通言語としての役割を果たしているんですよ。
スピーカー 2
なるほどな。データで幸福を定義するんじゃなくて、データを使って議論するための解像度の高い叩き台なんですね。
地域通貨で経済を循環させる
スピーカー 1
そういうことです。さて、データを使って住民の幸福度を高める政策の方向性が決まったとしましょう。
しかし、それを実行して継続していくには、自治体の補助金だけに頼らない、自立した経済の欠益、つまりお金が地域内に巡る仕組みが必要になります。ここが次のハードルですね。
スピーカー 2
そこで地域経済の話になってくるわけですね。四国銀行の調査報告に、漏れ化欠理論という言葉が出てきて、これハッとしました。
スピーカー 1
漏れ化欠理論。面白い表現ですよね。
スピーカー 2
例えば、高知県の2018年の地域経済循環率は78.7%で、県内で得た所得の約2割がチェーン店での買い物とかエネルギー購入なんかで県外に流出しちゃってるっていう。
スピーカー 1
地域外からお金を稼ぐことも当然重要ですが、せっかく稼いでもバケツに穴が空いていれば水は溜まりませんからね。
スピーカー 2
確かに。
スピーカー 1
この穴を塞いで地域内で経済を循環させるツールとして、今、地域通貨が再評価されているんです。
スピーカー 2
地域通貨って昔からありますよね。
スピーカー 1
実は歴史は古くて、1932年のOAuthトリア、ベルグルでのスタンプ式貨幣の事例があります。
スピーカー 2
1932年?
時間が経つと価値が下がる仕組みにすることで、人々に貯蓄させずに強制的に消費を促して、大興工事の地域経済を救ったんです。
スピーカー 2
日本でも江戸時代に渋沢栄一が特産品の墓面を流通させるためにハンサツを活用したっていう話がありましたね。
スピーカー 1
そうですね。よく似た仕組みです。
スピーカー 2
この地域通貨の役割って、単にバケツの穴を塞ぐダクトテープというよりは、バケツの中に設置した水車みたいなものだなって思ったんですよ。
スピーカー 1
水車ですか?
スピーカー 2
水、つまりお金がいつかは外に漏れ出るとしても、その前にバケツの内部でグルグルと水を回して水車を回し、地元の経済という電力を生み出し続けるためのシステムというか。
スピーカー 1
その水車のメタファーは非常に本質をついていますね。
現代のデジタル地域通貨は、その水車をさらに効率的に回すメカニズムを持っています。
スピーカー 2
例えばどんなメカニズムですか?
スピーカー 1
岐阜県飛田地域のサルボボコインという事例があります。
スピーカー 2
サルボボコイン?
累計決済額が55億円にも達しているんですが、特徴的なのは加盟店同士の支払い、つまりB2B決済ができるという点なんです。
スピーカー 2
B2B決済ができると、どうして水車がよく回るんですか?
スピーカー 1
通常、お店が受け取った地域通貨を日本円に換金しようとすると、だいたい1.5%の手数料がかかるんです。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
しかし、別のお店、例えば地元の仕入れ先への送金手数料は0.5%と低く設定されているんですよ。
ああ。
スピーカー 1
つまり、店主からすれば円に換金して高い手数料を取られるくらいなら、地元の農家への支払いにこのコインを使おうという動機が生まれるんです。
スピーカー 2
なるほど。手数料の差額を使って、お金が地域外に逃げるのを防いで、内部での循環へと誘導しているのか。賢いですね。
これによって、地域内でのお金の二次取引、三次取引が強制的に促されるわけです。
さらに、香川県のMEGLINという事例では、ボランティアとか商店街の清掃に参加するとポイントがもらえるとありました。
これで、法定通貨の円では買えない善意とか健康という価値すらも、推奨の動力に変えられる魔法の通貨でもあるなと。
スピーカー 1
だが、ここで一つ重要な疑問が浮かび上がってくるんです。
スピーカー 2
何でしょう?
スピーカー 1
なぜ、過去の多くの地域通貨は失敗したのかということです。
スピーカー 2
ああ。
スピーカー 1
イギリスのブリストルポンドという有名な通貨は、最盛期には1億円以上流通しましたが、結局ランニングコストを維持できずに終了しました。
スピーカー 2
終わっちゃったんですか?
スピーカー 1
ええ。電子決済との競争に敗れたんです。
スピーカー 2
確かに、今はペイペイとかスイカとか便利な決済手段がいくらでもありますもんね。
じゃあ、サルボポコインとか今生き残っている成功例は何が違うんですか?
スピーカー 1
自立運営の仕組みです。
スピーカー 2
自立運営。
スピーカー 1
補助金に頼るのではなく、手数料収入や得られた購買データを活用して独自の価値を生み出している点なんですね。
スピーカー 2
データですか?
スピーカー 1
宮城県のケセンヌマクルーカードが良い例です。
このカードは、事業者側が負担する手数料が3%とちょっと高めなんですが。
スピーカー 2
3%って結構取りますね。
スピーカー 1
はい。でもDMO、つまり地域の観光推進機構が得られた顧客データをマーケティング分析して、加盟店に有益な情報として還元しているんです。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
いやー、なるほど。
自治会DXは現場の負担を減らせるか
スピーカー 1
DAOで世界中から新しい仲間を集めて、ウェルビーイング指標のデータでうちらの街の幸福の形を議論し、
進化した地域通貨とDMOのデータ分析で経済の血液を回す。
これだけ聞くと、最先端テクノロジーによる完璧な地域生存システムに聞こえます。
スピーカー 2
そうですね。理論上は。
スピーカー 1
でも、これを実際に現場で運用するのは誰ですか?って話で。
スピーカー 2
はい。そこが問題なんです。
結局のところ、地域の町内会長さんたちが休日に紙の回覧板を配りながら汗水流して管理しているなら、
スピーカー 1
この壮大なシステムもいつか現場の疲弊から破綻しませんか?
スピーカー 2
まさにそこなんですよ。
どんなに空の上で美しいWEB3の構想を描いても、地面に足がついていなければ意味がないんです。
スピーカー 1
ですよね。
スピーカー 2
そこで4つ目の資料。
スパイラルローケス社によるちくわという自治会や町内会向けの運営支援システムのアンケート調査が、
スピーカー 2
その足元の生々しい実態を浮き彫りにしています。
スピーカー 1
ありましたね。自治会長の高齢化とか、役員の成り手不足、事務負担の増加がもう限界に来ていると。
スピーカー 2
連絡手段をデジタル化することで期待する効果のダントツ1位が、
回覧とか配布作業の負担軽減で40.6%、ついで役員の成り手不足対策が21.7%でした。
スピーカー 1
デジタル化はもはや単なる便利ツールではなくて、役員の物理的な負担を減らさないと、
もう誰も町内会を運営してくれないという切実なインフラ維持の手段なんです。
スピーカー 2
いやーリアルですね。
スピーカー 1
そして面白いのは、紙の回覧以外で現在使っている連絡手段の1位がLINEで、
すでに60%以上の自治会が使っているという事実です。
60%?結構使ってますね。
スピーカー 1
高齢者でもメッセージを受け取るだけなら抵抗感が少ないんですね。
ではこれは一体何を意味するのか。
スピーカー 2
みんながすでにLINEを使っているなら、わざわざ行政とか企業が旗を振って、
ちくわのような新しい専用の統一システムを入れる必要はないんじゃないですか。
と言いますと。
スピーカー 2
なぜ普段使い慣れているLINEグループだけじゃダメなんでしょうか。
スピーカー 1
町内会の中だけのコミュニケーションなら、おっしゃる通りLINEで十分かもしれません。
しかし調査で行政に支援を求める項目の圧倒的1位、
つまり60%町が回覧物や広報物の電子化だった点に注目してください。
スピーカー 2
市役所から回ってくるあの分厚いお知らせプリントのことですね。
スピーカー 1
ボトルネックは町内会の中ではなく、市役所と地域をつなぐ部分にあるんです。
スピーカー 2
なるほど。
スピーカー 1
滋賀県大津市の事例が示しているように、自治会内の連絡だけをLINEでデジタル化しても、
自治体、つまり市役所との連絡が紙ベースのままならどうなるか。
スピーカー 1
結局、町内会長が平日に市役所へ書類を取りに行って、
大量の紙の広報紙をわざわざスマホで写真を撮ってLINEに転送したり、
手打ちでデータに打ち直したりする手間が全く消えないんです。
スピーカー 2
うわー、それはきつい。
うちはデジタル化しましたって言いながら、裏で誰かが超アナログな返還作業をやらされてる状態だ。
スピーカー 1
そうなんです。
スピーカー 2
それじゃあ町内会長の負担全然減ってないじゃないですか。
スピーカー 1
その通りです。
だからこそ、行政から地域住民までを一気通貫でつなぐ統一されたシステムインフラが必要なんですよ。
なるほどな。
調査でも完全デジタル化ではなく、デジタル中心で一部は紙を併用するというのが理想だと45.2%が答えています。
スピーカー 2
現実的ですね。
スピーカー 1
高齢者への配慮など現実的な着地点を探りながら、この裏側の返還作業という現場の負担をシステムで根本から取り除くこと。
それが山越村のような壮大な地域構想を根底で支える必須条件になるんです。
いやー、見事につながりましたね。
複数の地域に所属する未来
スピーカー 2
今回これらを深掘りして見えてきたのは、WEB3とかデータダッシュボード、地域通貨、そして連絡アプリといった最新のデジタルトランスフォーメーションが決して人間関係を無機質にして希薄にするものではないということです。
スピーカー 1
むしろ逆ですね。少子高齢化で維持できなくなった古いアナログな仕組みをアップデートして、
私たちが自分の住む場所や愛着のある場所に無理なく、そして楽しく関わりやすくするための最強のツールとして使われているんです。
スピーカー 2
これを聞いているあなたが、次に自治体からスマホでアンケートに答えたり、あるいは実家のポストに回覧板が入っているのを見たとき、
その裏でコミュニティを存続させるためにどんなテクノロジーの試行錯誤が行われているか、見え方が全く変わるはずです。
スピーカー 1
地域コミュニティという泥臭い世界にデジタルという新しい血液が流れ込み始めている。
スピーカー 2
その過渡期を私たちは生きているわけです。最後に一つ、今回の深掘りから発展した少し挑発的な試行実験を皆さんに投げかけたいと思います。
スピーカー 1
お、何でしょう。
スピーカー 2
山越村のデジタル村民のように、物理的に住んでいなくても住民になり権利を持てる時代が来ました。
スピーカー 1
はい。
もし将来、あなたが今の居住地に家賃や税金を払いながらパソコンを開けば、世界中の全く違う3つの村のデジタル村民として地域通貨を使い、
スピーカー 2
大王の選挙で町長を選んでいるとしたら。
スピーカー 1
どこに住んでいるかとどこに所属しているかが完全に切り離されて、複数の地域に所属することが当たり前になる。
スピーカー 2
そうです。ふるさととか住民票という概念自体が、まるで音楽のサブスクリプションのように複数持つのが当たり前の時代になるのかもしれません。
スピーカー 1
なるほど。
さて、あなたは未来、いくつの地域の村民になりたいですか?
スピーカー 2
あの冷たかったはずのデジタルのマザーボードの上で、泥臭くて温かい新しいふるさとがあなたを待っているかもしれません。
次回もお楽しみに。
20:03

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