地域創生・自治体DX・デジタルコミュニティ推進に関する総合ブリーフィング資料
エグゼクティブ・サマリー
日本の地方自治体および地域コミュニティは、急激な人口減少、高齢化、行政・地域運営の担い手不足、ならびに地域経済の域外流出という構造的課題に直面している。これに対し、最新のデジタル技術(Web3/NFT/DAO、データ分析ダッシュボード、デジタル地域通貨、自治会DXツール)を活用し、リアルとデジタルを融合させた持続可能な地域社会の構築を目指す取り組みが全国で本格化している。
本資料は、過疎化が進む限界集落の再生事例から、デジタル庁が主導する政策評価手法、全国各地の地域通貨・自治会DXの動向まで、最新の活用事例と成果・課題を包括的に集約・分析したものである。
主要な知見(Key Takeaways)
- Web3・NFTによる関係人口の創出と「トラストレス」な地域づくり 新潟県長岡市山古志地域(旧山古志村)では、電子住民票を兼ねた「Nishikigoi NFT」の発行により、リアルな人口(約720人)を大きく上回る1,700人以上の「デジタル村民」を獲得した。地域名という無形資産をデジタル化・コモンズ化することで、移住や血縁に依らない新たな関係人口・共感者をグローバル規模で集め、DAO(分散型自律組織)によるプロジェクト推進を実現している。
- 「地域幸福度(Well-Being)指標」によるデータ駆動型まちづくり デジタル庁が推進する「Well-Being指標」は、住民アンケートによる「主観指標」とオープンデータに基づく「客観指標」を組み合わせ、地域の強み・課題を多角的に可視化する。主観と客観のギャップ(例:客観的数値は高いが住民の満足度が低い分野)を分析することで、根拠に基づいた政策立案や官民連携の意思決定が可能となる。
- 持続的な地域内経済循環(マネーの域外流出防止と乗数効果)の構築 法定通貨の域外流出(「漏れバケツ」現象)を防ぎ、地域内での購買・再投資を促すデジタル地域通貨の導入が広がっている。成功の鍵は単なる決済機能にとどまらず、行政ポイント付与(健康増進・ボランティア)、加盟店間決済、地方税・公共料金支払い、観光・EC連携など、自立した収益モデルと多様な利便性の付与にある。
- 自治会・町内会DXによる地域運営負担の飛躍的軽減 全国の自治会長への調査(有効回答76件)によると、デジタル化に最も期待する効果は「回覧・配布作業の負担軽減(40.6%)」および「役員のなり手不足対策(21.7%)」である。また、8割以上が「自治体との連絡のデジタル化」を求めており、LINE等の身近なツールの活用や、行政広報物の電子化(CHIKUWA!等の統一システムの導入)が不可欠となっている。
1. Web3・NFT・DAOを活用した関係人口創出(「ネオ山古志村」モデル)
1.1 背景とプロジェクトの展開
新潟県長岡市山古志地域(旧山古志村)は、2004年の新潟県中越地震による全村避難、2005年の長岡市との市町村合併を経て、急速な少子高齢化と人口減少に直面してきた。2018年に人口が1,000人を割り込み、2024年10月時点で約720人にまで減少している。
この限界集落の存続をかけ、住民団体「山古志住民会議」(3代目代表:竹内春華氏)は、一般社団法人Next Commons Lab代表理事の林篤志氏や株式会社TART(現NEORT株式会社)代表の高瀬俊明氏らと連携し、2021年10月より「仮想山古志村プロジェクト」を開始した。
- Nishikigoi NFTの発行: 2021年12月および2022年3月に、山古志名産の「錦鯉」をモチーフとしたデジタルアートに電子住民票機能を付与した「Nishikigoi NFT」を暗号資産Ethereum(ETH)で発行。
- 初期実績(2022年12月時点):
- 発行量: 1,470 / デジタル村民数: 1,037名(リアル村民の数を上回る)
- 初期売上: 41.4 ETH(約1,449万円 ※1ETH=35万円換算)
- フロア価格: 0.22 ETH / 総取引量: 82 ETH / 二次流通List率: 2%
- 帰省(リアル訪問)人口: 延べ約140名
- 進展(2024年10月時点):
- デジタル村民数: 1,700人以上(うち約2割が欧州・アジア等の海外購入者)
- 累計売上: 約1,500万円
- 自律的ガバナンス(山古志DAO):
- チャットツール「Discord」内での議論を通じ、デジタル村民総選挙を実施。12件のアクションプランから投票で選ばれた上位4プランに対し、NFT売上から各100万円の予算を配分してプロジェクトを始動させた。
- メタバース空間の構築、地域祭りや追悼イベントの現地お手伝い、さらにはリアル山古志村での就職事例も発生している。
1.2 課題分析と構造的試行錯誤
1年間の運用を通じ、ファウンダーチームは以下の課題と構造的要因を抽出している。
- グローバルマーケティングの難しさ: 海外ファン獲得を目指したものの、「限界集落の存続」「地方創生」というテーマはグローバル市場においてハイコンテキストすぎ、海外ホルダーの参画は「道半ば」の状況にとどまる。
- 収益モデルと経済的持続性: 二次流通手数料(ロイヤリティ)を継続的な収益源として期待していたが、実際はNFTのList率が2%と極めて低く、初期購入者が保持し続ける「ガチホ」傾向が強かった。人的リソースの獲得には大成功したものの、二次流通手数料によるDAO単体の財務的自立には至っていない。
1.3 今後の戦略・展開方針
山古志DAOでは、さらなる飛躍に向けてデジタル村民の投票(Snapshotによる「デジタル村民選挙」)を経た新たな方針を提示している。
- デジタル村民1万人構想: 「800人+10,000人の新しいクニづくり」を掲げ、関係人口を大幅に最大化する。
- ローカルDAOのゲートウェイ(ローカルDAOリーグ): 山古志DAO単体の発展にとどまらず、Nishikigoi NFTを「ゲートウェイ」とし、日本各地の貴重な文化や地域の営みを世界とつなぐエコシステムへ進化させる。
- 事業法人の設立と「DAO法」対応: 各地のローカルDAO立ち上げ支援およびリーグ運営を行う法人を2023年に山古志村内に設立。議員立法が検討される「DAO法」の動向を踏まえつつ、既存の法人スキームを活用した適切な組織形態へ移行する。
- 「トラストレスかつパーミッションレス」な地域づくり: 従来型の「顔が見えて信用が物を言う(トラストフル)」地域づくりに対し、地域名という無形資産をNFT化してデジタル空間でコモンズ化することで、縁もゆかりもない者が直ちにアイデンティティを表明し、オープンに参画できる新たな地域づくりの枠組みを確立する。
2. データ駆動型政策立案:地域幸福度(Well-Being)指標の活用
2.1 指舗の構造と概要
デジタル庁が推進する「地域幸福度(Well-Being)指標」は、住民の「幸福感(Well-being)」と「暮らしやすさ」を数値化・可視化した政策立案ツールである。
- 主観指標: 住民アンケート(50問の質問。「現在どの程度幸せか」「地域の暮らしにどの程度満足しているか」等)から算出。
- 客観指標: オープンデータ等から自治体の「暮らしやすさ」を測定。
- 因子群とカテゴリー(全3因子群・24カテゴリー):
- 生活環境: 医療・福祉、買物・飲食、住宅環境、移動・交通、遊び・娯楽、子育て、初等・中等教育、地域行政、デジタル生活、公共空間、都市景観、自然景観、自然の恵み、環境共生、自然災害、事故・犯罪(16カテゴリー)
- 地域の人間関係: 地域とのつながり、多様性と寛容性(2カテゴリー)
- 自分らしい生き方: 自己効力感、健康状態、文化・芸術、教育機会の豊かさ、雇用・所得、事業創造(6カテゴリー)
2.2 データ分析による政策への還元
ダッシュボード(レーダーチャート等)を活用することで、主観と客観のデータを掛け合わせた分析が可能となる。
- 潜在的強みの抽出: 「主観指標が偏差値50未満かつ客観指標が偏差値50以上」のカテゴリー(例:客観的インフラは整っているが住民が認知・評価していない分野)を発見し、住民の意識改革やプロモーションを通じて強みへと転化させる。
- 幸福度向上への効率的アプローチ: 「健康状態」等において主観指標が低く客観指標が高い場合、認知の乖離を埋める施策を打つことで、効率的に地域全体の幸福度を引き上げることができる。
2.3 デジタル庁ワークショップと自治体支援施策
2024年12月、デジタル庁職員21名(5チーム)が参加し、実際の自治体データを分析して将来像を描くワークショップ(デジタル化横展開推進協議会主催)が実施された。
【ワークショップの標準プロセス】
[前半:分析パート]
1. ダッシュボードによるまちの特徴の俯瞰
2. 主観×客観分析による重要因子の抽出
3. 幸福度・生活満足度と相関性の高い因子の特定
↓
[後半:意思決定パート]
4. 重点分野(8つの政策領域)の決定
5. 将来の都市像・キャッチコピーの言語化(3年後・8年後・20年後)
6. チーム発表・ディスカッション
- 議論の多様性: 同一の自治体を対象とした場合でも、あるチームは「子育て・教育」に着目し、別のチームは「文化・芸術」「移動・交通」に着目するなど、異なる政策優先順位と将来像が導き出された。本手法の目的は唯一の正解を出すことではなく、幸福度を起点としたオープンな対話の活性化にある。
- 具体的な支援スキーム:
- リファレンスロジックツリー: 課題分野(医療・介護、公共交通等)と施策群の相互関係を体系化したツール。全国20の自治体で導入・検証が進行中。
- ファシリテーター養成・派遣事業: 2024年度に103名のファシリテーターを養成。2024年10月より自治体への紹介・派遣事業を開始。
3. 地域電子通貨・ポイント基盤による地域内経済循環の促進
3.1 理論的背景と全国動向
地域通貨は、限定された地域・コミュニティ内で流通する決済手段であり、法定通貨の「地域外流出」を防ぐツールとして機能する。
- 漏れバケツ理論(Leaking Bucket Theory): 英シンクタンク「New Economics Foundation」が唱えた概念。域外からの資金調達(観光、企業誘致等)を行っても、域外資本チェーン店での購買やエネルギー購入等により資金が漏れ出てしまえば地域経済は潤わない。高知県の地域経済循環率は78.7%(2018年RESASデータ)であり、所得の約2割が県外へ流出している。
- 減価する通貨(乗数効果の向上): 1932年のオーストリア・ヴェルグルでのスタンプ式貨幣の実験のように、期日経過により価値が減価する(保有コストがかかる)仕組みを設けることで、貯蓄を防ぎ早期消費を促進するインセンティブが働く。
- 全国の稼働推移: ブロックチェーンやアプリ等の技術普及で運用ハードルは下がったものの、全国の稼働数は2005年の306箇所をピークに、2021年12月時点では183箇所へと減少している(下図参照)。
図表1: 全国の地域通貨稼働数の推移(1999年〜2021年)
| 年月 | 99年4月 | 01年4月 | 02年4月 | 02年8月 | 03年4月 | 05年1月 | 05年12月 | 06年12月 | 07年12月 | 08年12月 | 16年12月 | 17年12月 | 18年12月 | 19年12月 | 20年12月 | 21年12月 |
| 稼働数 | 11 | 56 | 130 | 152 | 197 | 275 | 306 | 298 | 290 | 262 | 227 | 205 | 191 | 188 | 182 | 183 |
資料:泉留雄・中里裕美(2022)「2021年度版地域通貨稼働調査の結果について(速報版)」より
- 衰退の要因と持続可能な運営条件:
- 導入目的の不透明化: 渋沢栄一が播磨国で藩札を発行した際のように、特産品(木綿)の買い付け・流通を促す明確な制度設計が不可欠。
- 補助金依存からの脱却: 英ブリストル市の「ブリストル・ポンド」(2012〜2021年)は電子決済との競合により流通量が減少、月額1万3,000ポンド(約212万円)の運営コストを維持できず終了した。決済手数料や加盟店手数料を軸とした自律的収益モデルの確立が必要である。
3.2 高知県内における地域通貨活用事例
高知県内では、目的や機能の異なる多様な地域通貨が運用されている(2022年8月時点)。
【高知県内の主な事例の機能比較】
■ Meji-Ca(土佐清水市):経済活性+行政給付+チャージ機能型
■ kamica(香美市) :商店街振興+行政ポイント+チャージ機能型
■ とまぽ(日高村) :Society5.0推進+スマホ普及インセンティブ型(現金チャージ未実装)
■ ぼっちり(高知市) :関係人口可視化+ボランティア非換金型(アプリ専用)
- Meji-Ca(土佐清水市):
- 基盤: トラストバンク「chiica」 / 2020年10月開始。
- 実績: 全市民(約1.2万人)にカード配布。累計利用額約10億3,000万円(うち住民による追加現金チャージ額約6億7,000万円、1人あたり平均約5.6万円チャージ)。
- 施策: 5店舗以上回遊キャンペーン、飲食店応援還元、特定健診受診ポイント、観光客向け「Shimizuサポーターズカード」(5,000ポイント付与)。
- kamica(香美市):
- 基盤: 凸版印刷「地域Pay®」 / 香美市商工会運営、2021年4月開始。
- 実績: 全市民(約2.5万人)へ2万円分付与。がん検診(300pt)、読み聞かせボランティア(50pt)、スポーツ大会(50〜3,000pt)等で付与。
- 課題: 目標取扱額月4,000万円に対し実績は1割程度(約400万円)。チャージ専用タブレットが大型店舗の特定レジに限定されていることが要因。個人商店での高齢者利用は定着。
- とまぽ(日高村):
- 基盤: トラストバンク「chiica」 / 2021年6月開始。
- 目的: KDDI等と推進する「村まるごとデジタル化事業(Society5.0)」の一環。スマホに切り替えた住民へ付与し、普及率を64.5%(2021年6月)から75.7%(同年10月)へ引き上げた。
- ぼっちり(高知市):
- 基盤: カヤック「まちのコイン」 / 2022年4月開始。
- 目的: 鏡川流域の関係人口創出・可視化。換金性・チャージ機能を持たせず、清掃ボランティアやSDGs活動への参加、スポット訪問で獲得。活動実績をランキング化してゲーム感覚で促進。
3.3 全国の先進・多機能モデルおよび都市部・広域での活用事例
全国の主要事例では、B2B決済、行政手続き、EC連携、見守りサービス等、多角的な機能拡張が進んでいる。
- さるぼぼコイン(岐阜県高山市・飛騨市・白川村):
- 基盤: フィノバレー「Money Easy」 / 飛騨信用組合運営、2017年12月開始。
- 実績: 累計決済額約55億円(2022年3月時点)。チャージ時1%還元。
- 先進機能:
- 加盟店間決済(B2B流通): 店舗間の仕入れ決済に利用可能。換金手数料(1.5%)より送金手数料(0.5%)を安く設定し、二次・三次取引の地域内循環を誘導。
- AliPay連携: 飛騨信用組合が立替払取次となり、インバウンドのAliPay決済手数料を事業運営費に還元。
- 行政・交通連携: 市県民税・固定資産税・水道料金・証明書発行手数料の決済に対応。防災情報配信、周遊バス決済、限定商品EC「さるぼぼコインタウン」を展開。
- 気仙沼クルーカード(宮城県気仙沼市):
- 基盤: サイモンズ「サイモンズ・ポイントサービス」 / 気仙沼観光推進機構(DMO)運営、2017年開始。
- 特徴: 売上高の3%(ポイント原資1%、DMO運営費2%)を加盟店が負担。有効期限切れポイントは市に寄付される。1,500以上のECサイト(Yahoo!ショッピング、伊勢丹等)と連携し、全国の気仙沼ファンから外貨を獲得。コロナ禍の「地元還元キャンペーン」により、市外会員の利用減を店内会員の利用増(110.9%)でカバーし、全体の売上(107.2%)を伸ばした。
- ほ・ろ・か(広島県庄原市東城町):
- 基盤: 日本カード「SHIAGEL」 / 東城町商工会運営、2019年4月開始。
- 実績: カード保有率約90%(人口7,160人)、年間利用額約15億円(1人あたり約20万円)。加盟店手数料1.5%。中国電力ポイントとの連携。
- 見守り機能: 小学生が登下校時にカードをタッチすると保護者へメール送信(1pt付与)。高齢者が1週間未利用の場合に家族へ通知する見守りシステムを統合。
- めぐりん / わたしのデジタル財布(香川県・高松市・三豊市):
- 基盤: サイテックアイ / 2009年6月開始。WAON機能・学生証・職員証と一体化。
- 多機能展開: カマタマーレ讃岐(寄付)、香川ファイブアローズ(プロ選手による指導体験)、加盟店清掃ボランティア(300pt)、四国電力・四国ガスポイント交換、高松空港決済。
- 都市部でのスマートシティ活用(高松市FACT): 高松市の「フリーアドレスシティたかまつ(FACT)」実証事業(2022年10月開始)において、「My Digital Wallet(わたしのデジタル財布)」アプリを導入(加盟店1,000店舗)。デジタル給付金の迅速発行に加え、購買データ、公共交通乗降データ、ヘルスケア情報(PHR)等のパーソナルデータを連携・分析し、データに基づく効果的な政策立案・官民連携サービスを推進している。
4. 自治会・町内会における運営DXと行政連携
4.1 地域コミュニティの現状と課題
全国の自治会・町内会では、少子高齢化やライフスタイルの多様化に伴い、「役員のなり手不足」と「紙の回覧板・配布物作成などの事務負担」が深刻化しており、従来の運営体制の維持が困難となっている。
4.2 自治会長への意識調査結果(CHIKUWA! 調査)
スパイラルローキャス株式会社が実施した自治会長向けアンケート(2026年4月1日〜5月20日、有効回答76件)により、現場の具体的な意識が明らかとなった。
図表2: 自治会DXに関する意識調査のまとめ
| 調査項目 | 最多回答・主要データ | 示唆・分析 |
| デジタル化に期待する効果 | 回覧・配布作業の負担軽減: 40.6%<br>役員のなり手不足対策: 21.7% | 単なる効率化にとどまらず、役員負担を減らすことで担い手不足を解消する手段として捉えられている。 |
| 現状の連絡手段(紙以外) | LINE: 60%以上 | 高齢者の多い地域であっても、受信中心の利用であるためLINE等の普及率は既に非常に高い。 |
| 現実的な運用形態 | デジタル中心+一部紙の併用: 45.2% | 現時点では移行期の「併用」が現実的。ただし導入1年で全員アプリ登録・紙全廃に至った事例も存在。 |
| 自治体連携のデジタル化 | 負担軽減につながる: 80%以上 | 自治会内部だけでなく、役所への提出・受取作業のデジタル化が強く求められている。 |
| 行政に求めたい支援 | 回覧物・広報物の電子化: 60%以上 | 自治会単体のツール導入では市役所へ出向く手間が減らないため、自治体一括のシステム導入が切望される。 |
4.3 自治体導入事例(滋賀県大津市)
滋賀県大津市が実施した住民調査においても、支援要望の第1位は「回覧板等の情報伝達のデジタル化」であった。
これを受け、大津市では令和6年度(2024年度)より自治会・町内会運営支援システム「CHIKUWA!」を一括導入した。現場からは「市役所に出向く手間やデータ化の手間を削減するには、市が一括して統一システムを導入し、一斉連絡できる仕組みが不可欠である」との評価がなされている。
5. 主要プロジェクト・施策の比較要約表
本資料で取り上げた全国の主な地域活性化・DX施策の全体像を以下の表にまとめる。
図表3: 全国主要プロジェクト・施策の総合比較
| プロジェクト名 / 地域 | 主体・基盤技術 | 主な目的 | 成果・定量的実績 | 独自機能・成功要因 |
| ネオ山古志村<br>(新潟県長岡市山古志) | 山古志住民会議<br>Nishikigoi NFT / Ethereum | 関係人口創出<br>限界集落の存続 | デジタル村民1,700名超<br>NFT売上約1,500万円<br>リアル訪問約140名 | 電子住民票NFTによるDAO運営。デジタル村民総選挙による予算配分とプロジェクト実行。 |
| Well-Being指標<br>(デジタル庁 / 全国) | デジタル庁<br>ダッシュボード / ロジックツリー | データ駆動型政策立案<br>住民幸福度の向上 | 全国20自治体で検証中<br>2024年度103名研修受講 | 主観(50問)×客観(オープンデータ)の分析。リファレンスロジックツリーとファシリテーター派遣。 |
| さるぼぼコイン<br>(岐阜県飛騨地域) | 飛騨信用組合<br>Money Easy | 地域内経済循環<br>行政コスト削減 | 累計決済額約55億円<br>(2022年3月時点) | B2B加盟店間決済(手数料0.5%)、AliPay連携、税金・水道料金決済、ECサイト「さるぼぼコインタウン」。 |
| Meji-Ca<br>(高知県土佐清水市) | 土佐清水市<br>chiica(トララストバンク) | 経済活性・行政給付<br>キャッシュレス推進 | 累計利用約10.3億円<br>(チャージ約6.7億円) | 全市民へカード・ポイント配布。加盟店による高齢者への丁寧なサポート、観光客向けカード連携。 |
| 気仙沼クルーカード<br>(宮城県気仙沼市) | 気仙沼観光推進機構<br>サイモンズ・ポイント | 観光地経営(DMO)<br>域外資金獲得 | 会員売上107.2%増<br>(対2019年度比) | 手数料2%をDMO運営費化。失効ポイントの市寄付。1,500以上のECサイト連携による外貨獲得。 |
| ほ・ろ・か<br>(広島県庄原市東城町) | 東城町商工会<br>SHIAGEL(日本カード) | 商店街振興<br>地域見守り | 保有率約90%<br>年間利用約15億円 | 加盟店手数料1.5%。購買データの店舗還元。児童の登下校タッチ通知・高齢者安否確認機能。 |
| FACT / My Digital Wallet<br>(香川県高松市) | 高松市 / サイテックアイ<br>FeliCa Pocket Marketing | スマートシティ<br>パーソナルデータ連携 | 加盟店1,000店舗<br>(2022年10月開始) | デジタル給付金発行、購買・公共交通移動・ヘルスケア(PHR)データを統合したEBPM推進。 |
| CHIKUWA!(自治会DX)<br>(滋賀県大津市等) | スパイラルローキャス<br>自治会DXプラットフォーム | 役員負担軽減<br>行政広報電子化 | 大津市で令和6年度導入<br>8割が行政連絡連携を希望 | 回覧・広報物の電子化、自治体と自治会の双方向連絡一元化による紙・対面業務の削減。 |
感想
まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!
サマリー
都市の通勤風景に象徴される孤独を出発点に、テクノロジーが市民参加と地域コミュニティを再構築する可能性を考える。バルセロナのDecidim、東京都品川区のシナトーク、兵庫県加古川市の事例では、デジタルで幅広い市民の意見を集め、公聴AIで整理し、対面の熟議につなげている。デジタル地域通貨では、尼崎コインや飛騨地域のサルボボコインを例に、行政施策との連動や地域内循環の仕組みを紹介する。新潟県長岡市山古志地域のNishikigoi NFTと山古志DAOは、居住していない人もデジタル村民として参加できる仕組みを示す。最後に、地域幸福度指標やNFT・DAOを通じて、居住地とコミュニティ、経済圏の関係が変わる未来を問いかける。
コメント
このエピソードのトピック
すべてのトピック →それぞれのトピックから、ほかの番組の会話も探せます。
似ているエピソード
タイトル・AI要約・文字起こしの話題をもとにおすすめしています。
-
地域コミュニティとテクノロジーの融合:山古志村のNFTと地域創生(地域の一個人が出来ること)
高見知英のAI音声解析チャンネル
共通する話題: デシディム · 山古志DAO · Decidim
新潟県山古志村のNFTと地域創生について、デジタル村民が1,700人を超え、オンラインとリアルの両面で地域に関わっている現状を報...
-
地域コミュニティとテクノロジーの融合:山古志村のNFTと地域創生
高見知英のAI音声解析チャンネル
共通する話題: サルボボコイン · 地域通貨 · 山古志
本エピソードでは、山古志村のNFTやDAO、地域通貨などの事例を通じて、テクノロジーと地域コミュニティの融合について考察してい...
-
日本全国村のあたらしいコミュニティのかたち:地方創生とDAO:Web3.0で変える地域の未来
高見知英のAI音声解析チャンネル
共通する話題: Nishikigoi NFT
日本の地方が直面する過疎化やコミュニティ衰退に対し、地域おこし協力隊の構造的課題や国の「二地域居住」推進などの制度的対応...
-
日本全国村のあたらしいコミュニティのかたち:地方創生とDAO:Web3.0で変える地域の未来(村ならではのリアルな取り組み)
高見知英のAI音声解析チャンネル
共通する話題: 山古志DAO · コミュニティ · デジタル村民
山古志DAOでは人口800人の村に1500人のデジタル村民が集まり、ブロックチェーン上で予算を決定しています。西粟倉村では行政と民...
-
地域コミュニティとAI:自治体AI活用事例集:地方創生と住民サービスの革新
高見知英のAI音声解析チャンネル
共通する話題: コミュニティ
本エピソードでは、地方自治体におけるAI活用事例として、防災や孤独対策、空き家調査などが紹介されています。世田谷区の業務効...
-
100人に届けるより、1人に確実に届けきる(対談者大募集)
DAOで地域とあそぶラジオ
このエピソードでは、NFTやDAWを活用した地方創生の取り組みと、対談を通じたコミュニケーションの意義について話されています。...
-
DX請負人というニュースタンド的働き方
DAOで地域とあそぶラジオ
共通する話題: コミュニティ
NFTやダウンを活用した地方創生の新しい働き方が提案されています。特に、地域でのAIの活用が効果的であり、与一町の事例を通じ...
-
NotebookLM版今週のAIまとめ:個人的音声記録から紐解く:地域・AI・ゲームが織りなす「新たな繋がり」と「学び」の発見
ちえラジ Chat ポッドキャスト版
共通する話題: テクノロジー
今回のエピソードでは、個人的な音声記録を通じて地域との関わりやテクノロジー、ゲームの新たな学びを探求しています。特に、イ...
-
NotebookLM版今週のAIまとめ:岩手・普代村の音声記録から探る:テクノロジー、車社会、コミュニティの「リアルな交差点」
ちえラジ Chat ポッドキャスト版
共通する話題: テクノロジー · コミュニティ
岩手県の普代村におけるテクノロジーとコミュニティの関係が探求されています。特に、車社会が地域に与える影響が描写されていま...
-
Claude Codeで世界を口説く!上田がAnthropicとGoogleを動かした日 (ep.7)
おちつき地方創生ラジオ
上田氏がAnthropicやGoogle等のAI企業に直接コンタクトを取り、非営利支援プログラムや実質無料のアカウント提供を獲得した経緯...