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今日は静けさ、静寂っていうのをどう認識しているのかっていう話をしていきたいと思います。
その私たちは何を聞いているのかっていうところなんですけれども、もちろん音を聞いているわけです。
人の話し声であったり、音楽だったり、それから自然の音、雨の音とか雷の音とかを聞いたりするわけです。
そういった音がない状態、それが静寂なんですよね。
沈黙、無音の状態っていうのがあるわけです。
音っていうのは空気の振動であって、人間はそれを認識して、そうじゃないところが静寂であるっていうのが普通の考え方なんです。
つまり音がないっていうところから、静かであると、静寂であると推論しているわけです。
でもこれとは違って、静寂自体を感じているっていう考えもあるんですね。
むしろ直感的にはこちらの方が正しいと感じるっていうのもあるかもしれません。
会話中の気まずい沈黙とか、突然音楽が途切れた瞬間って、その静寂自体の存在っていうのを感じると思うんです。
表現としては耳をつんざくほどの静寂なんていうのもあったりするんですよね。
つまり静寂そのものを聞いているっていう、そういう可能性もあるわけなんです。
でもこれってちょっと哲学的な話になってくるわけなんですけれども、今あったようにですね、静寂っていうのは音がないっていう状態で、
静寂そのものを認識しているわけではないっていう可能性と、静寂そのものを認識している音っていうものがあるように、静寂というのも存在しているっていうふうに脳は認識しているっていう、その2つの可能性があるわけなんです。
ただなかなかこういうのを実験的に調べるっていうのは難しいわけなんです。
でも音に関する錯覚を用いることによって、これを調べたっていう研究があって、今日はそれを紹介していきたいと思います。
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ホットサイエンティストへようこそ。
今日紹介する論文は、ジョーンズ・ホップキンス大学のルイ・ジュ・ゴーラによる研究で、2023年7月にアメリカ科学アカデミー企業、PNASに掲載されたものです。
そのOne is moreっていう錯覚があるんですね。
これっていうのは、1つの連続したものっていうのは、分割されたものよりも長く感じられるっていう錯覚なんです。
例えば1本の線があるとします。
長さは5センチっていうことにしましょう。
この1本の線と同じように5センチの線があるんだけれども、これの途中を5ミリメートルほど消しゴムで消したものだと、端から端までの長さっていうのは同じなんですよね。
でもそれを見ると、途中を消してない方が長く見えるっていう、そういう錯覚なんです。
これをちょっと聞いている人にも体感してほしくてですね、今回のカバーアートにそれを用意してあります。
あのポッドキャストアプリを使って聞いている人が多いと思うんですけれども、その再生画面でこのエピソードのカバーアートが見えるはずです。
ヒゲの男性の絵があるやつなんですけれども、その中に黄色い太い線があると思うんです。
それ2つあって、一続きのやつが右側にあって、もう一個途中が分断されたやつがあるんですね。
これちょっと遠目で見てほしいんですけれども、そうした時にどっちが長いと感じるでしょうか。
途中が途切れている方は黄色が消えている部分も含めて、2つの線の端から端までを足した長さということですね。
それと一続きの線とどちらが長く感じるかということです。
多くの人はですね、これを右側の一続きの線の方が長いって感じるんです。
でも実際の長さっていうのはどちらも同じなんです。
これがOne is moreっていう錯覚なんです。
今これは視覚、目で見て線の長さがどうだっていうのなんですけれども、音でも同じことが起きるっていうことが示されていて、その場合は体感の音の長さが変わるんですね。
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例えば2秒間の連続したピーっていう音があるとします。
この音で途中で0.2秒だけ音を消すっていうのをやるんですね。
そうするとピーっていう、そういう音になるわけなんですけれども、どちらでもその音の始まりから終わりまでは2秒なんですね。
なんだけれども、この場合でも一続きの方が長く感じるんです。
そんな大きな影響ではなくて、体感として10%ぐらい伸びてるって感じるっていうことなんですね。だから2秒と2.2秒になるっていうことなんですね。
それで音でもOne is moreが起きるっていう、そういうことなんです。
これもですね、実際に体験してほしくてですね、こんな感じの音声を作ってきました。
この後流していくんですけれども、まず最初に分断されたやつ、ピーってやつが流れて、その後一続きのピーっていうやつが流れます。
じゃあちょっと流していくんで聞いてみてください。
ちょっといきなりだったので、音の長さを感じるっていうのが難しかったと思うんですよ。
なのであと2回同じものを流しますので、ちょっと次は音の長さに注目して聞いてみてください。
じゃあ1回目。じゃああともう1回。どうでしょうか。
ちょっとね、これでもいきなりだって感じた人がいると思うので、そういった場合は巻き戻して聞いてみてください。
ただそのみんながみんな違いがわかるというわけではなくて、この錯覚を感じない人っていうのもいるみたいなんですね。
この現象を解析した論文ではですね、たくさんの人に対してこの音を聞いてもらって実験しているんですけれども、
66%で一続きの方を長く感じるという結果だったんです。
全然違いがなくて、ランダムであればですね、50%だからそれよりは十分に高いわけなんですね。
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なんですけど、66%ってことは3回に2回この一続きの方が長いって言ってることなんで、3回のうち1回はそう感じてないっていうことなんです。
だから結構小さな違いではあるんだけど、それでもちゃんとたくさんの人でたくさん回数を重ねて調べてみると、はっきり違いが出てくるくらいには明らかな錯覚であるということなんです。
これっていうのは人間が音を感じているから起きていると考えられているんですね。
線の場合もそうで、線というものがあると脳が認識しているからこの錯覚が起きるわけです。
音も音が認識されて脳の中に音が実在するからこうなるんだっていう、そういう考えなんです。
今回紹介する論文の研究グループは、この錯覚で音を静寂、無音と置き換えたらどうなるだろうかって考えたんですね。
今ここではこういう順番で話を進めていっているので、そういうことするだろうなって想像がつくわけなんですけれども、
この人たちは何もないところからそういう着想に至ったわけで、なかなか目の付けどころがすごい研究なわけです。
さっき流した音声ではですね、静寂だったところから音が決まった時間流れたわけです。
今度は逆にずっと音がしているところに決まった時間だけ音を止めて静寂を作るっていう形になります。
これもですね、ここで体験できるように音を作ってみました。
元の論文では環境に入り込むために騒音っていうのを使ってたんですね。なのでここでも同じようにレストランの騒音っていうのを使ってみました。
でですね、その音が流れている状態から2秒間一続きの静寂っていうのがまず一つになります。
その2秒間の中に0.2秒だけ音を流すっていうやつがもう一パターンですね。だから静寂が途中で一瞬止まるっていうことです。
でもその静寂の端から端までの長さっていうのは同じになるわけですね。
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じゃあこれも流していきたいと思うんですけれども、最初に分断されたやつでその後一続きの静寂という形になります。
また長さに注目してみてください。
ちょっとこれもいきなりだと長さ感じるの難しかったと思うので、またあと2回流しますね。
じゃあ1回目。じゃあもう1回流します。どうだったでしょうか?どちらが長く感じましたか?
この論文ではですね、多くの人に繰り返し長さを変えてテストをしています。
その結果、この場合でも一続きの静寂の方が長く感じる人が多かったんです。
今回もその3回のうち2回ぐらいで一続きの静寂の方が長いと感じるっていう、そういう結果だったんです。
だから最初に話した音を流した場合と全く同じ結果だったんです。
この結果から静寂でも音の時と同じように錯覚が起こるっていうことで、
だから静寂も音と同じように認識されるんだろうって、この論文の筆者たちは考察をしていました。
他にも音の関わる錯覚っていうのがあるんですね。
それでいくつか別の錯覚も用いて検証をしていて、全ての実験で音の代わりに静寂を使っても錯覚が起きるっていうことを示しています。
筆者らは他にもいくつか考察をしているんですけれども、そのうち1つをここで紹介しておきます。
その静寂を認識しているっていうことなんですけれども、これっていうのは完全な無音を認識しているのかどうかっていう点なんですね。
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別の実験では2種類の音、レストランの騒音とオルガンの音っていうのを重ね合わせて片方を切るっていうような実験をやってるんです。
それでもそこを静寂として認識することができていて、でもそういう状態でも片方の音は鳴ってるっていうことなんで、完全な無音じゃなくても音がない状態として認識できるっていうことを示しています。
さらにそれに付け加えると、完全な無音ってなかなかないんですよね。 今皆さんに聞いていただいたやつについても、ここの音声としては流してないんですけれども、イヤホンを使って聞いていても何かしらのノイズっていうのは耳に入ってきていると思うんです。
なので完全な無音っていう認識ではなさそうなんだけれども、まだ追加の検証が必要であるということになります。
今回の論文ではですね、音を使った時に起きる錯覚と同じことが起きたから静寂と音っていうのは同じものであるっていう、そういう理屈なんですよ。
これに納得できるかっていうのは難しいところかなと思います。 でも一応すでに短いポーズに対して反応が起きるみたいな研究はあって、
この研究っていうのはもっと長い静寂でも認識されているっていうことを示している研究で、しかも錯覚っていうところに目をつけた面白い研究だったわけです。
今日はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお付き合いありがとうございました。