探究学習における専門教員の導入
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は403回、先生の負担増は避けられるか、探究学習成功の鍵はヒト・カネ・モノの戦略的投入というタイトルでお届けしたいと思います。
先日、いろいろとネットを見ていると、渋谷区の中学校の探究学習の専門教員に、博士課程の学生さんや修了者を雇用して、これから回していくんだという、そういうふうなニュースが目に留まりました。
その博士課程の学生さんや修了者の方の研究のノウハウを活かして、東京都・渋谷区が力を入れている探究学習の指導やカリクラム作成に当たってもらうという、そういったニュースなんですね。
なるほど、この取り組みは本当に先生方の助けになると思うんですよね。私もやっぱり考えてみると、専門的な知識がなかったので、探究について勉強しようと思って、いろんな探究の本をかなり買いまして勉強しましたし、
それから探究の学びの手引書とか読み漁って仲間と一緒に学校独自の手引書を作ったりしました。そういうふうな状態でかなり時間を投入して手引きを作っていったし、
その探究の手法を精度に落とし込むのに、そういう手引書&ワークシート等々とても労力がかかりました。そういった意味では、専門の方がいらっしゃると非常に心強いと思いますね。
ただ、そうじゃない部分でいろいろと大変なことも起きてくるんじゃないかと思います。まず、総合的な探究の時間って結局リーダーシップがかなり発揮できないと難しい分野なんですよね。
例えば教員のマインドセットを変えないといけないし、先生方があまり慣れていない分野なので、探究というデザインをある程度学年単位で回していかなければならないわけで、リーダーシップがすごく必要なんですね。
そのために探究学習専門教員に来てもらって、探究がとても学問的にやりやすくなるとはいえ、その組織的リーダーシップを発揮していらっしゃる先生と打ち合わせしながらやっていかないといけない。
この打ち合わせ時間が大変なんじゃないかなと私は思うわけです。
だから専門の教員を雇って、はい解決じゃなくて、専門教員の方が来られて、その先生と打ち合わせをする時間を保障してあげないと、結局のところその先生の荷重負担になって、時間がないから最悪の場合、博士課程を終えた人たちとか学生さんに丸投げするということになってしまうかもしれませんし。
ちょっと意見を聞いて、ほぼリーダーシップをとっていらっしゃる先生が、ちょっとだけ意見を聞いてもほぼその人に全部打ち合わせ時間がないから、結局のところ荷重負担は避けられず、元の木網というふうになってしまわないかなというのがすごく心配ですね。
リーダーシップと時間の確保
それから探求的な専門教員という方を招いたとしても、結構高等学校あるいは中学校の総合的な探求の時間って、大学の研究とはちょっと違う部分があって、まず中高校生にふさわしい探求学習のテーマというのがあるわけで、それを無理やり大学レベルまでに引き上げようとした途端、生徒の主体性が失われてしまうんじゃないかなという恐れがあるわけです。
そういったところは多分しっかり考慮してやってくれるとは思うんだけれども、あとそれからその学校独自でやってきた財産というものがあるし、地域性というものもありますから、探求学習の取り組みにおける財産や地域性が考慮されていないままやると、これまた空転しやすくなるという、そういう危険性があります。
あとは中学生、高校生ってまだ自分というものについての認識が浅いので、自分の在り方というもの自体を掘り起こしていくということもやっぱり探求学習で必要になってくるわけですよね。
自分自身は何者なのかということをある程度ぼんやりでもいいから理解した上で、じゃあ自分のやりたいことと社会との接続を考えてどういう接点があるのかと、こういった視点がないといけないと思っています。
ということで、やっぱり探求というものをデザインするには、自分というものからの耕しも必要だと思うし、そういうふうな準備、それからコーチングとかファシリテーションのテクニックというのも必要で、生徒に問いかけながらやっていくスキル。
そういったことがトータルとしてできていくというのが探求なので、その人に丸投げというのは決してないだろうと思うんだけども、やっぱりその学生さんなり、それから修了した方なりとの綿密な打ち合わせというのは必要になってきますね。
だから最初の問題に帰っていくけど、そういった綿密に打ち合わせする時間、学校の現場とその方をしっかりつなぐそういった時間が大事になってきて、結局そういう時間を年出できないと、そういうハブになる時間を年出できないと、この企画はうまくいかないんじゃないかなというふうな恐れを感じています。
だから時間的な配慮、例えば授業数削減、そういうハブになってくれるような人、その人がちゃんと時間保障されるためには時間数の削減とかそういったことをやって、つまり人、金、物の投下をしないとうまく働かないんじゃないかなというふうに思います。
そういうふうな投下をしなかったら多分探求担当の先生がどんどん忙しくなって時間がなくなって過重負担が逆に増えてしまったというふうなことになれないかなという、こういうふうな問題が起きてくるから、
まあぶっちゃけて言えば、もう探求専門の教員を雇って、学年ごとに一人は多いすぎるかなと思うので、探求専門の教員を配置して、それで外部との連携とか、あるいは学級的なカリキュラムデザインとかそういうことを専門にやってもらって、
教材も提案するし、学年も動かすし、それからいろんな行事の企画運営準備をするとか、そういうのをしないと難しいんじゃないかなと思いますね。
ということで、探求はこれだけ学校のシステムにがっちりと食い込んでいる今現在なので、やっぱりそういう学校のシステムにがっちりとはまっている以上、そういったことをきちっと動かしていくような、そういったひとかねものの投入が求められるんじゃないかなと思います。
ということで、ちょっと探求についての私自身のちょっとしたもやもや感とか気づきとか疑問点をぶっちゃけていましたけど、この背景には私自身が総合的な探求の時間を6年間ぐらい回してきて、本当に苦労した。
もうここでは語り尽くせない苦労をしたので、そういった苦労を次の世代の人たちがしなくて済むようにしてあげたいなという思いから、今日ちょっと配信してみました。
全国の総合的な探求の時間に取り組んでいる先生方、過重負担にならないような、そういった持続可能なあり方で取り組んでいってほしいなと思っています。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。