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皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
探究の導入と課題
今日は254回、「探究を学校組織で取り組むことの難しさを語る」というタイトルでお届けしたいと思います。
総合的な探究の時間が学校現場で取り組まれるようになって、もう8年ぐらい経ちました。
それを推進する先生方の負荷が高いという話はあちこちで聞きますし、SNSでも苦しみの声が聞こえるようになってきました。
この配信でも、総合的な探究の時間については繰り返し語ってきましたけれども、またまた語りたいと思います。
探究とかアクティブラーニングとか、いわゆるカリキュラムマネジメントっていうのが、
新学習指導要領、現行の学習指導要領から盛んに学校現場で取り組まれていることだと思います。
この学校の組織を挙げて取り組む、このカリキュラムマネジメントには、ミドルリーダー、いわゆる寸進の先生の役割が大変大きいと思います。
私が公立高校に勤めていた時は、カリキュラムマネジメント推進委員長というのを拝命いたしまして、ミドルリーダーとして学校の組織の仮真似を担当しました。
このような名前をもらうということは、管理職からある意味権限をいただくということで、こういう権限なくしては学校の組織改革は難しかったなと思います。
管理職のバックアップはとても必要なことだし、管理職の先生に困ったら相談して、管理職の先生にいろんなことを配慮してもらうということがとても大事になってくるので、
やっぱりこういう組織改革に取り組むという立場になった人は、管理職の先生との意思疎通がとても大事になってくると思います。
それから、そういった立場をいただくということと、学校の先生にある程度負荷をかけるということ、変化を求めるということについては、
けむたがられる存在になるというのはある程度覚悟しておかないといけないと思うので、そういった批判的な意見に耐えられない人は向いていないかもしれません。
私の場合はどうだったのかと言いますと、私はもういい加減年だし、性格がもともと雑というか、細かいことを気にしないタイプなので、
あまり悪口言われても気にしないというか、スルー力というのが小さい頃からついていたのかもしれないけど、そういうのはあまり平気なタイプなんです。
自分自身で思うのは、けむたがられる存在というのが一体何なんやと、それが生徒のためであれば別にいいじゃないか、
批判を受けて、それが自分が嫌だから嫌なのか、自分の方が大事なのか、生徒の方が大事なのか、そういう問題になってくると思うので、
けむたがられるということについては、それに耐えられない人はちょっと難しいかなと思うけど、
それに耐えられる人であれば、周りの人たちとチームを組んで支え合えば大丈夫だなと思います。
私も愚痴を言っちゃうことはあるんだけれども、基本的にチームに恵まれていたので、とても良かったなと思っています。
そして私が一番心の支えというか、折に触れて良かったなと思うのは、カーネギーの人を動かすという本を読んだ。
これが良かったかもしれません。
最初はカーネギーの人を動かすという本、アマゾンリミテッドなどで目にして、ビジネス書ということで、
学校現場ではあまり役に立たないかもしれないなと思っていたけど、ちょっと読んでみるかということで読んでみたんですね。
そしたらこれが最初はうーんという程度だったんだけど、後々いろんなシーンで、これってこうすればいいんじゃないかと。
あるいはこれってこういうこととつながっているから、カーネギーのあの方法でやってみたらどうだろうかということで、随所随所で組織改革というところで結びついていくわけですよね。
それが具体的に何なのかというのが、ちょっとなかなか言語化しにくいんですけれども、
例えば私が一番良かったなと思うのは、もう7割で良しとする。
もう6割7割でいいじゃんこれでっていうふうに思って進めていくっていうのが、とても私のストレスを軽減してくれて良かったなと思います。
あとあの人を褒めるとかね、やたらと褒めたりなんかしました。
カーネギーの人を動かすっていうのを読んだ方がいいですよ。
本当、もしお時間のある方ぜひ読んでみてください。
教職員研修の工夫
そして私が一番最も効果的だったかなと思うのは、教職員研修ですかね。
教職員研修でめちゃくちゃ面白おかしくやりました。
例えば導入で、グレイティストショーマンのテーマ曲を流して、グレイティストティーチャーズとかって言って研修を始めて、
これから皆さんは新しい学びについて勉強します。
一緒にグレイティストティーチャーになりましょうみたいな感じでオープニングで始めて、そこから先は若い先生にスタンツ寸劇をやってもらって、問題点をグループで話し合いましょう。
意見を出し合って、そしてレクチャーが始まって、最後は皆さんでミニ授業作りのための導入を作りましょうとかってワークショップ形式でやったっていうのは、
これバカ受けっていうかね本当に私が面白おかしくやっちゃったんで、面白かった面白かったって言ってくれたんで、教職員研修をめちゃくちゃ面白くするっていうのはものすごく効果的だったと思います。
面白かった面白かったって言ってくれて、本当ねもう劇場型って言ったらおかしいですけど、楽しみながら教職員研修やりました。
その次に効果的だったなーって思うのは、例えば総合的な探求の時間展開するときに学年の横並びで展開するから、例えば目線合わせをするときに学年集会を開いてレクチャーしたり、それから導入をしたりということがありますよね。
この生徒の前、生徒全体の前でしゃべるっていう場所をすごく重要視しました。
ここであるべき姿、これからどこに向かって私たちは走っていくのか、そしてどういう変化をし、どういう人間になっていくのが望ましいのか、そのために何をしなくちゃならないのかっていうことの目線合わせを生徒に言うわけですよ。
生徒がうんうんって頷くような仕組みにするわけです。
ここでも例えば隣近所と話し合って意見を出させて、それを集約するとか、そういった双方向性のあるような学年集会にして、これがあるべき姿なんだみたいなことをわーっと学年全体で共有することによって、学年で一緒に取り組んでいらっしゃる先生に対して足枷をするっていうことなんですね。
つまり、生徒がこれに向かっていくっていうことに意義を見出して、意欲的になり始めているっていうことは、学年の先生もそうならざるを得ないわけですよ。
いわゆる足枷って言ったらちょっと言葉悪いですけれども、そこに追い込んでいくわけです。先生方を。それを追い込んでいると思わせないように仕組むっていうのが私のやり方でした。
で、生徒が変わると先生方も、あ、生徒が成長しているってことはご自身の喜びにもなるわけですよ。そうすると先生方も、じゃあちょっと頑張ってみようかなっていう感じになって、前向きに取り組んでもらえるという好循環を生んだのが学年集会だったと思います。
その次に取り組み内容については難しくしないで、できるだけシンプルにしました。
簡単でシンプルで誰でもできる。そのためには生徒に渡す手引き、これをめちゃくちゃシンプルにして、それを先生にこうやってくださいっていう。
生徒がわかるような学習の手引きイコール先生にもわかるということですからね。イコール誰でもできるってことですから、生徒に渡す手引きを本当に楽しくてシンプルでわかりやすいものにして、それを先生方に先に共有してイメージを持ってもらって進めました。
その代わりですね、負荷が高いのは私ですね。私の方がいろいろなイベント、イベントじゃないか、いろいろなとそういうイベントにしてしまっているけど、そういった教職員研修とか学年集会っていうのを面白く楽しくするための仕込みをかなり早くからやっとかないといけないですし、
生徒にわかりやすい手引きを渡すということは、私の理解が深くないとわかりやすい手引きはできないわけですよ。そういった私がしんどいところを引き受けていかないといけないというところでは負荷が高かったと思います。
持続可能な組織の構築
でも、このしんどい時期を乗り越えて、2、3年経つと、そのうち先生方も勝手にやってくださるし、生徒も勝手にやってくれるし、そのうちも組織全体が持続し始めると、私自身も楽になってきました。
ということで、今振り返ってみるに、この総合的な探求の時間を学校組織で取り組むということについては、授業づくりとよく似ている。授業づくりとよく似ているなって思います。授業を面白くする工夫とよく似ている。これは自身の授業力が試されているのではないかと、後々、今になって振り返って思いました。
今は、私は一線を退いているので、若い先生方にお任せしながら、それを忠実に守りつつ、自分自身で工夫を重ねているという立場になってしまいましたけれども、ミドルリーダーの先生方、この配信が参考になればありがたいです。
それでは、今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。