漢文訓読の導入
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は359回、漢文訓読入門をやってきたけど、中学校3年生先取り学習でさらにバージョンアップした話、というタイトルでお届けしたいと思います。
3年前まで私は高等学校の実践現場にいて、そこでは漢文入門というのを当たり前のようにずっと教えてきました。
だいたい教科書に沿って漢文入門を行うわけですけれども、漢文の解理点などの訓点の決まりに従って漢文を順番に読む方法や、実際に書き下し文を書いてみること、
それから採読文字の読み方、置き字というようにオーソドックスに展開していきまして、その間に実際に漢文を単文で読んでみるというトレーニングが入ったりしてきました。
今、中高一貫校にいて、中学校3年生にこの漢文入門を教えることになりました。
中学校3年生の教科書には簡単にしか書いてないので、中高一貫校独自の取り組みとして先取り学習をしていますから、漢文の訓読の入門についても高等学校のレベルなんですよね。
でも高等学校のやってきたことそのままの焼き直しじゃ面白くないなという思いもありました。
とりあえず漢文を読む順番に数字を入れるというやつは、中1ぐらいからちょいちょいやってきたんで、もうだいたいみんなできてるんですよね。
その次の段階として、漢文を実際に自分の力で少しでも読めるようになるにはどうしたらいいかというのをちょっと工夫してみようと思いました。
その結果、やっぱり漢文というのは音読みか訓読みかを即座に判断しながら、なおかつその文脈に合うように音読みなり訓読みなりというのを判断して、日本語としておかしくないように自然に意味が通るように書き下し文で読んでいくという力が必要になります。
いわゆる国語力とか言語活用能力とかそういったものが必要になるのが書き下し文だと思うんですよね。
さらにそこに歴史的背景の知識っていうものも必要になってきます。
例えば漢っていう国名が出たりなんかするんだけど、これ漢字の漢じゃなくてこれ国の名前なんだっていうことがわからないと何を意味しているかっていうことを込めて書き下し文にするっていうことができないわけですよね。
そういった歴史的な知識も必要になってくるっていう、読みながら知識を加味していくっていう極めて複雑な思考、これを働かせながら読んでいくのが漢文の訓読、書き下し文だと思うんですよ。
実際に授業でも生徒にそういう力が必要なんだよということを言うわけですよ。
これは1たす1は2っていうふうに機械的に読むんじゃなくて、さまざまな情報を組み合わせてどれが一番ふさわしいのかを瞬時に判断しながら読んでいく。
プラス、知識教養が必要で、歴史的な背景も知らないと読めないっていう極めて複雑な思考力が必要とされるから、みんなの国語力をすごくアップさせてくれるよっていうので頑張っていこうという感じで進めますね。
これあのね彼らのプライドをくすぐったって言いますか、そういう形になって今のところ一生懸命頑張ってます。
書き下し文も、はいこれはこういうふうに読みますねっていうふうに教えるんじゃなくて、一応二字の熟語は音読み、一字は訓読みっていう原則があるんだけれども、原則通りではいかないところもあるから瞬時に判断して読んでいこうねっていうようなことを言って、実際に生徒に当てて答えさせるんですが、生徒に対しては答え方もこんなふうにしてくださいねっていうふうに言っています。
授業の工夫と活性化
読めないところがあったら、ここまではわかるんだけどこの字がわかりませんでしたというふうに説明してくださいね。そう説明するのも言語の力、国語の力を育てることになるんだよっていうようなことを言ってやってます。
今のところ生徒は上から3番目の字が読めません、後の字は読めますっていうようなことを言って、じゃあこの字が読めないって言ってくれたんだけど誰かわかる人っていう感じで手を上げさせて答えさせるっていうそういう形式をとっています。
中学校3年生なんで高校生と違って手を上げるんですよね。本当に素直で面白いです。意気揚々と読み方がわかるから教えてくれるんですよ。間違っていても何か失敗を恐れないで手を上げてくれて、あってた時の方が自己肯定感がくすぐられるもんですから手を上げて間違えてもいいからチャレンジで答えてくれるんですよ。
本当に面白いですよね。そうやっていくと授業が活性化していい感じに作業的でない授業ができていくという、そういった形で漢文訓読の授業ができています。本当にいい感じなんですよね。
そればっかり50分間続けちゃうと中学校3年生なんで飽きちゃうんで、その合間にゲームモード、ロイロのクイズやるんです。これ私が作成してクイズにしてるんですけど、音読み訓読クイズっていうことで音読みで読めるかあるいは訓読みで読めるかっていうそういうクイズ。
例えばおごそか。これ結構読めること読めないこといるんですけど読める子が少数なんですね。うやうやしいっていうのも2,3人しか読めなかったりするからこれで音読み訓読みクイズっていうのをやるとものすごい集中力が上がるし盛り上がります。
その他にしばらくしたら小字成語クイズっていうのをやってみようかなっていうふうに思ってまして、作業的になりがちな漢文訓読の授業をクイズやったり、それから当て方にバリエーションを持たせたり、受け答えに工夫をしたりっていうように生徒を飽きさせないようにやる気を起こさせるようにこの対話をうまくやっていきたいなと思っています。
今のところ彼らとの人間関係も3年目に突入したんでだいぶうまいことできていて、上手に授業に乗ってくれちゃってるんで楽しく授業ができています。
私ずっと高等学校にいるままだったらこの漢文の訓読授業をこんなふうにバージョンアップできなかったと思うんですよね。
中学生を持つことによって視点を変えてさらに面白く興味を持って漢文に向き合えると、そういう授業を考える機会をいただいて、本当に自分自身も成長したかなって思っています。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。