辞書引きの意義
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は243回、なんで辞書引きを黙々とやるんだろう、その背景を探るというタイトルでお届けしたいと思います。
私は今、中学校3年生で文法指導の授業を、週に3体もの4クラスやっております。
先日配信した通り、辞書引きのゲームをやりました。ビンゴゲームみたいな感じでやったんですね。
生徒は盛り上がって一生懸命辞書を引いたっていう配信をしたと思います。
そして今度は、動詞の活用の指導も終わって、辞書の引き方のポイントも説明して、いよいよ辞書を引くという、本格的に文章を訳すための辞書引きをするという、そういう段階になりました。
その前に、辞書を引くその前に、訳すっていうことについてちょっと説明したんですけど、訳には直訳と異訳があるということを説明しました。
直訳っていうのは一つ一つの言葉を丁寧に正確に辞書を引きながら訳していく。
畜語訳とも言うんだよっていう話をして、それから異訳っていうのは一つ一つの言葉にはこだわらずに全体として意味が取れるように訳したものっていう風にお話をしました。
これね、ただ説明しただけじゃ生徒はピンとこないと思うので、例えばこれからやろうとしているのは直訳なんだと。
そして異訳っていうのは、例えば教科書に載っていた、この間あつ森の最後やったと思うんだけど、あれは畜語訳ではなくて異訳っていうものなんだよ。
あるいはもっともっと簡単にしたものは絵本、あれが異訳なんだよっていうようなお話をしました。
それで生徒にこういうふうに尋ねたんですね。
それじゃあ異訳と直訳っていうところのメリットとデメリットは何だろう。
こういうふうに問うたわけです。
うちの生徒は中学校3年生でだいぶね、もう中1、中2にこういう問いを問いかけたら、
まあやっぱり知的好奇心の高い生徒は目をキラキラさせながら考えると思うんだけれども、
その他のまだ幼いね、おこちゃま生徒たちは、何言ってるの先生今の質問何?みたいな感じで聞き逃したりなんかして、まだまだおこちゃまでね、大変だったわけですが、
どんどん落ち着いてきて、最近は本当に真面目に、真面目で時々脱線することもあるけど、
しっかり授業聞くようになって落ち着きも出てきて、だんだんお兄さんになってきたわけなんですけども、
まあこういう問いをしたんですね。
これちょっと難しいから、ごめんこれスーパー中学生でないと答えられないかもしれないみたいなことを言って煽ったわけですよね。
まあ彼らはですね、そんなこと言われると、ん?っていうふうに姿勢を正して考え始めるわけですよね。
まあ男の子なもんですから、間違いを恐れずにどんどん発言していくわけです。
はい!とか言って手を挙げてね。何回か発言したらかすり出すんですよね。
やっぱりちゃんと答えが出ました。
直訳は一つ一つ言葉を丁寧に辞書で引きながらやるから、正確に意味が取れる。
作者が表現したいことをきちっと捉えることができる。
だけれどもすごく時間がかかって大変だっていうふうに言ってました。
で、意訳の方は簡単に意味が取れるんだけれども、やっぱり作者の言いたいことをダイレクトに捉えることができなかったり、
ちょっと嘘が混じってしまうこともあるっていうようなことを言いまして、ちゃんとわかってるなっていうふうに思いました。
ということで、意訳は簡単にそしてスムーズに意味を取れることができるんだけれども、作者の意図とはずれてしまう。
それは、意訳をした人の情報操作がどうしても入ってしまう。
意訳した人のフィルターが入ってしまうので、そういうことが起きてしまうんだと。
これって私たちが日常触れているYouTubeとかね、ああいったところで簡単にわかりやすくしてくれたもの。
それによるフェイクニュースっていうのにも通じるよねっていう話をしたら、
彼らは目をキラキラさせながら、思い当たることもあるのかうなずくこともいました。
ということで、それじゃあ私たちは作者の言ったことをきちっと正確に受け取る、そういった直訳をやっていこう。
面倒だけれども、大変だけれども、本物を掘り起こすっていうことをやっていこう。
フェイクニュースに騙されない、本物を見抜く目を養っていこうということでスタートしたわけですね。
生徒の成長
まあこれが良かったのかなと思うんだけれど、ゲームもやって、辞書を引くっていうことが面白いっていうような、
そういうふうな取り組みもやったし、今回のように本物を見抜くっていうことをやるためにも時間はかかるけども、
コツコツコツコツそういう本物を見抜く作業をしていこうっていうことを言ったっていうのが多分影響したと思うんだけれども、
伊勢物語の武蔵野っていうところをそのままポーンと投げて、これ辞書を引きながら現代語訳してみようっていうことをやったんですね。
ぶっちゃけ言いますと高校生でも多分ね、わからんみたいな感じで後ろを向く子もいるんじゃないかなと私の経験上思うんだけど、
中学校3年生のこの5月に、まあ頑張りましたよあの子たち。黙々と辞書を引いて、今まで辞書をあんまり引かせたことなかったんだけど黙々と辞書を引き、検索したら早いんだけども、
本物を掘り当てるために一生懸命頑張って30分間黙々と辞書を引きました。
集中力が途切れるから30分程度にしておいて、その後は調べたことを元に発表しながら現代語訳を完成させていったわけですね。
ということで私としては辞書を引くっていうことを地道にコツコツやるっていうことがとってもとっても持たないだろうと、集中力が続かないだろうと予想していたんだけれども、こっちが仕掛けたことがハマって生徒はよく集中してやってくれました。
これについてはやっぱり中学校3年生っていうね、そういう成長度も助けてくれたんじゃないかなと思います。
本当に中学校1年生や中学校2年生のわちゃわちゃ感とは違って少しずつ少しずつ大人になっていってるなっていうふうに思いました。
まあ、とかなんとか言いながらね、またね成長っていうのは聖比例のように行くわけじゃなくて、また波があってなんかするんだけれども、それは人間だからしょうがないということで、そういう波もあるなって思いながらこれからもしつこく地道にコツコツやっていきたいと思います。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。