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皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日のタイトルは、ルーブリックを与えることの功罪を考える、というものになります。
ルーブリックというのは、パフォーマンス課題を与える時に、事前にこういう学習目標なので、
パフォーマンス課題には、こういう到達度を要求しますよ、という評価の指標が書いてあるものなんですよね。
これを事前に作って、生徒にいろんな課題をやらせるわけなんですけれど、
生徒はそれを見ながら、自分がこういうふうな書き方をすれば、評価がもらえるんだなということで、
その観点に従ってパフォーマンス課題を書いていくわけなんですけれど、
メリットは、評価が明確なので、生徒にとってもわかりやすく、
こういう課題に取り組む時にこういうことを書けばいいんだ、という取り組む指標になるわけですよね。
それから教員の側としては、そのルーブリックによって横持ちの先生同士で評価というもののラインが揃えることができるので、
とても客観的な指標、客観的というのは限界があるんですけど、指標になってくれます。
そのルーブリックをもとにどうやって改善していこうかという、そういう改善点の洗い出しにもなるわけです。
ということで、現場ではこのルーブリックを導入してやっていこうという、
現学習指導要領ではそういうふうな流れになっていて、
ルーブリックに取り組んでいる先生もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。
私もこの間やった単元では、ルーブリックを配布してから生徒にレポートを書かせて、
そのルーブリックに従って評価をしました。
だから評価もしやすかったんですけれど、それをやっていてなんとなく思うのは、
自分が書きたいと思うイメージがあるわけですよね。
こういう流れでこういうことを書きたい、こういうことを書きたいと思うんだけれど、
課題を与えられてルーブリックを与えられると、それに合わせてしまって、
自分の書きたいと思うことを割愛しなくちゃいけないということが起きるんじゃないかなと思いました。
実はそのルーブリックで評価されないような、
そういうところを入れ込んだ方が作品としては、レポートとしては面白くなるんじゃないかと、
いわゆる雑味があった方が面白くなるんじゃないかと思うことも私にはあるんですよね。
なので、生徒が面白い、こんなことを考えた、こんなことに気づいたっていう感動を
全部書くことができないんじゃないかと思いました。
だけど生徒にとっては、こういうことを書けば評価してもらえるから、
ある意味、高得点が狙えるというか、成績が上がるというか、
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そういう風な指標がはっきりできるので、やりやすいと感じる生徒もいるかもしれません。
そのルーブリックがあることによって、自分の考えが整理できるっていう生徒もいるかもしれません。
書きたいことが明らかになったっていう生徒もいるかもしれません。
その辺の生徒が偶発的にと言いますか、ちょっと面白いなと思った生徒の個性とか、
ちょっと主題とは外れた思いつきっていうものを拾いにくいなっていうのが私の思いです。
そしてこのルーブリックっていうのを効果的に活用できる生徒っていうのは、
ちょっと学力がある生徒じゃないと難しいかなと思ったんですよ。
というのも、自分の書きたい内容と、それからルーブリックの評価指標、
これをちゃんと合わせて、ある意味、ちょっと冷静になって書かないといけないじゃないですか。
自分の思ったこと、思いついたこと、感動したことと、
そのルーブリックを擦り合わせて、ちゃんと上手に擦り合わせた結果、
考察結果を書かないといけないわけで、ある意味、ちょっと能力が高くないと、
情報処理能力が高くないとできないなという思いがあります。
というのも、前任校でルーブリックを与えて課題をやらせたわけなんですけど、
生徒はルーブリックを見ないんですよ。
何を書いてあろうが、お構いなしで、僕はこれを書きたいんだというふうに書きたいように書くわけですよ。
しかも、その時は、やる気を起こさせようと思って、
夢中になる課題を設定したので、生徒は夢中になって書くわけです。
書きたいことを。
本当に頭からオーラが出てるんじゃないかというくらい、みんな夢中になって書きたいことを書くわけですよ。
で、ルーブリックは見ないのよ。
だけど、ルーブリック見ないけど、一生懸命書いてるんです。
書き終わった後、友達との作品を見合いこするときに、
ああ、こうすればよかった。ああ、すればよかった。
次はあの人がこんなことしてたから、僕はこうしよう。
なんとかさんのほうがよかったから、今度はぜひこのやり方をやろうって振り返りにめちゃくちゃ書いてるわけなんですよ。
それを見た時に、これでいいんじゃないかなって思いました。
夢中になって書く。
この時に多分、生徒の力がめちゃくちゃついてるんじゃないかなって私は思うわけです。
だから、ルーブリックの講座というのをその時に思いましたね。
ルーブリックっていうのを読み解いて、それに合わせて自分のことを書きたいことを調整できるっていう、
そういう脳のメモリーの多い子はいいかもしれないけど、
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まず自分の書きたいっていうことに集中したい子。
脳のメモリーの余裕がない子にとっては、
もうルーブリックなんか関係なくて、書きたいっていう意欲をかきたてるものを好きなように存分書かせて、
友達とシェアし合って、自分の足りなかった点や、もっとこうやったらブラッシュアップできるっていうのをその時に実感して、
それで振り返らせる。これでいいんじゃないかなと思いました。
ということで、ルーブリックっていうものも生徒実態に合わせて、
与える時期とか、与えるチャンス、与える機会とか、
果たしてこの課題でルーブリックを与えていいのかどうかっていうのは、生徒によって全然違うなと思いましたし、
能力の高い生徒にルーブリックを与えるときも、本当に意欲をそがれてないのかどうか、
十分にこちらが観察をして、あるいは生徒の様子をしっかり見て、
一番生徒が夢中になるシーンをどうやって作るかっていうことの方が大きいんじゃないかなと思いましたね。
ということで、今日はルーブリックについての雑貫をお話ししました。
聞いてくださりありがとうございました。
今日の配信はここまでです。またお会いいたしましょう。