スピーチ指導の目的
みなさん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。
この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、
多様な教育現場に勤めてきたベテラン教員、黒瀬直美がゆるっと配信しています。
タイトルコールちょっと変えてみたんですけど、どうでしょうか。
あれこれチャレンジしてみて、ちょっといいなという落ち着いたところに留まるように試行錯誤してみようと思っています。
さて、今日は304回スピーチ指導をしてみたらゆる自由進度学習だったお話というタイトルでお届けしたいと思います。
私は今、夏休みに入ったんですけれども、少人数のクラスで補修を行っています。
このクラスは9月に新聞スクラップの発表会というのを控えていて、
中学校3年生、中学生の最高学年として、中学校2年生、中学校1年生にお手本というかね、
そういったものを見せるというスピーチの大きな大きなイベントがあるわけですけれども、
そこでどうにかしてスピーチをうまく指導してほしいというミッションが来ました。
中学校3年生発表力アップというミッションです。
この子たちは1年生の時からずっと見てきていて、発表力向上のためにいろんなことをしてきたんですけれども、
なかなか継続的な指導ができなかったのでうまくならなかったんですね。
それをこの夏休みにもう一回仕切り直して、発表力向上のためのスピーチ指導を私は考えました。
今日はそのスピーチ指導が計らずも自由進路学習になっていたという、そういうふうなお話を順序したがって話していきたいと思います。
授業デザインと課題
まずスピーチ指導の授業デザインについて順を追ってお話ししますね。
まずテーマ設定はその子の好きなもの、自由テーマでやりました。
というのもその子自身の個性を大事にしてもらいたいし、何よりもやる気になってもらいたいなと思っていたからです。
そこで導入はどういうふうなものにしたかというと、その子のやる気を喚起し、
さらに最終課題が見えるような形で私自身のモデル動画を見せることにしました。
テーマはメイクと私。
ということで私自身も本当に個性を発揮できて、しかも自分の好きなテーマで生き生きと話すことができると思って、メイクと私というテーマになりました。
モデルを示すというのは最終的にこういう形にしたらいいなというイメージを沸かせるためでもあります。
私は最初にこの動画を撮るときに問いかけでスタートして、メイクの効果を語り、それからメイクの持つ落とし穴を語って最後呼びかけてまとめをしました。
これは私が事前に撮影して、それで今日見せたんですけれども、生徒たちは目をキラキラさせて笑いながら、ニヤニヤしながら楽しそうに見ていました。
やっぱり指導者が自らお手本を示すというのはとても大きな教育効果があると思います。
しかも本当にこのポッドキャストをやっててよかったなと思うのは、結構うまく録画できたんですね。
これもやっぱり先生と生徒の信頼関係ができていた。
そして私も自己開示しやすかったですし、安心な場作りもできていたからだと思います。
この動画を見せた後に生徒に工夫が見られたところはどこでしょうかというふうに問いかけて発表させました。
そうしたらすぐに出てきたことが、滑舌が良くて喋るスピードがちょうど良いという、そういうふうなことをすぐ言ってくれたんですけれども、やっぱりポッドキャストをしていてよかったなと思いました。
回数をいっぱい喋ることによって私自身の話すスキルというのは向上していたんでしょうね。
これからもこのポッドキャスト配信で自分の喋る技術を爆上げしていきたいなと思った瞬間でした。
それからその他には具体例をたくさん出していたとか、身振り手振りがついていたとか、呼びかけの言葉、問いかけの言葉で聞いている人に訴えかけていたとか、相手に語りかけるように話をしていたとか、語りに落ちや変化があったとか、こういうふうなことを生徒は言ってくれました。
ということで十分な動機付けでもって導入を終わることができまして、さあ手引きを配布しまして段取りを説明いたしました。
そして次は自分自身の原稿書きを始めるわけですね。
大体2分ぐらいだったら600字から800字ぐらいです。
これはデジタルで作成させました。
転作しやすいですし、ロイロノートで作成させたので4枚のカードになるので記・章・転・決というのが取りやすいです。
ということで記・章・転・決の4枚のカードを配信してデジタルで作成するようにと呼びかけました。
ところがですね、やっぱりねコンテンツがいまいちだったんですね。
自分自身の好きなテーマっていうことはできたんだけれども、どうやっても記・章・転・決がうまく取れなかったり落ちがない話になったりとかしていまいちだったんで
私がしたことはチャットGPTに例文やヒントを呼びかけてそれを生徒にコピペして配信しまして
こういう風な指摘があるからちょっと自分で手直ししてごらんっていう風に指示しました。
そこからのチャットGPTのアドバイスとか例文で自分自身をそれを取り入れながら添削していきました。
個別指導と学びの成果
ここはやっぱり一番大事なところで私自身も生徒一人一人に呼びかけて話しかけて
これは対話しながら原稿を完成していきました。
これはね少人数だからこそできたことだなと思っていまして
ちょっと夏休みに入っているので普段の人数とは違って昨日は3人しかいなかったんで
一人一人に原稿の手直しを指示することができましたし
今日は実際にスピーチを録音したんですけど今日は2人になってたんで
もうよっぽど満つ満の指導ができたというねそういう好条件も重なったっていうのは事実です。
ということで原稿の下書きっていうのを昨日終わりまして
今日は実際にスピーチをやろうということで展開していきました。
スピーチは2分間を一発撮りなんてとてもできたもんじゃありません。
まだまだ原稿を覚えてあるいは原稿のキーワードをイメージしながら
ノー原稿で話すっていうスキルもありませんので
やっぱり4枚のカード1枚1枚をちょっと覚えながら発表するっていう
30秒ずつを4回動画で撮ることにしました。
カード1枚を大きめの字で書いてもらって
それで ipad を前にしてそれで私が iphone で撮ったんですね。
iphone の方が多分 ipad よりも音も画像もいいと思ったんで iphone にしました。
カード1枚につき30秒程度で4枚のカードで動画撮影をしたんですけれども
これ何度も何度も撮り直しをすることになりました。
やっぱり話し方が上手じゃありません。
もうやっぱここが肝だったなぁと思うんですけど
音の高さ、間の取り方、極の立て方。
極の立て方っていうのはこれ独特の言い方なんですけど
極を際立たせる方法ですね。
それからアクセント、抑揚、身振り手振りっていうのを個人指導しました。
あんまりね細かく要求するとその子らしさもなくなりますし
一遍にできるもんじゃないので重点絞りながら
あなたはここに注意してやろうね、あなたはこことここに注意してやろうねっていう風に個別指導が入りまして
私は放送部の顧問していたこともあって
この辺の話し方指導っていうのはまあ慣れてたかなっていうふうに思います。
はっきり言ってここが肝だったと思いますね。
ここでの個人指導とその子らしさの話し方を大切にしたっていうところが
今回のスピーチがうまくいった最大の条件だったんじゃないでしょうかね。
ところがねうまくいかないっていうのでちょっと後ろ向きになる生徒が出ちゃって
ちょっといじけちゃったんですね。
僕こんなに話し方うまくないしうまく話せないっていじけた生徒がいたんですけれども
まあここがやっぱりその今まで関わってきた私と生徒の人間関係だったと思うんだけど
根底にそういう信じ合える人間関係、良好な人間関係ができていたので
私はその子の気持ちをハイにさせる、いい気持ちにさせるために
そういえば○○君はフィギュアスケートをやっててうまかったじゃん。
フィギュアスケートを題材にした学び
ちょっとうまいところ見せてよっていう風に言って
教室でフィギュアスケートのシャドーイングをさせたんですね。
ところがその子自身がノリに乗らないわけなんで
私自身がフィギュアスケートのシャドーイングをそこでやってみせて
トリプルとかね、それからスピンとか言いながら私がお手本を見せたらですね
先生そんなんじゃないっていう風に言ってきて
その子がフィギュアスケートの技を地面でですけれどもやってくれたんです。
これが抜群にうまくて、はっきり言って感動しました。
そこでパチパチパチって拍手して
悪い、申し訳ないけど○○君がかっこいいところを今まで2年知らなかったけど
はっきり言って今までの中で一番かっこいいわ!すごい!っていう風に感動して拍手したんですよね。
そしたらその子ノリノリになりまして、ノリノリでスピーチし始めました。
いい感じで本当に撮れちゃったんで
この動画のデータ4枚をロイロノートのタイムラインに個別配信しまして
そしてアイムービーに各自取り込んで個人で編集をし始めました。
幸いなことにアイムービーは総合的な学習の時間でやっておりまして
もうその子が慣れ慣れで個別でアイムービーの編集することができまして
動画にまとめてロイロノートに提出箱に提出しまして
それでみんなで見せ合いました。
もう本当にね、みんなで大笑いしながら見たわけですけれど
最終的に振り返りもさせまして
その振り返りが印象的だったんですね。
ちょっと読みますね。
比較的はっきりとしゃべれたと思ったので嬉しかったけれども
〇〇くんの撮影を見たとき格の違いを見せつけられたので
次こそは誰か聞いても面白いと思えるように頑張りたい。
話し方もだけれどもテーマ自体があまり分かりづらくて
調べても分かりにくいっていうようなそういうものだった。
直接見たり感じたりするものと比べると
関心が低いテーマだったということもあったので
次回テーマもよく考えて作るようにしてみたい。
こういうコメントがありました。
ということでこの振り返りも
次回の展望をちゃんと書いていたということで
私も本当にね、うまく書いてるなっていうふうに思いました。
この後は夏休みに別のテーマで
動画を1枚撮影してくることを宿題にし
2学期からは授業冒頭部分2分間で
スピーチをローテーションでやりましょうというふうに
次回予告して終了しました。
これを振り返ってみると
ゆる自由振動学習になってるなって思いましたね。
まず自分の好きなテーマで
自分自身で自分の動画を作るというふうに
個別最適学習になってますし
それからもちろん個人に合わせた
個別指導もできています。
それから自由振動学習にもなってますよね。
それぞれその子のやりたいテーマでやりたいやり方で
やりたいように自分のペースを配分して
原稿書きをゆっくりあるいは
練習も繰り返しやるというふうに
それぞれがそれぞれのペースで動画を撮影することができました。
これはねやっぱり少人数でないと
不可能だったかなというふうに思います。
そして最終的には振り返りにも書いてあったように
みんなで見せ合った後
自分の気づきや発見から次はこうしていこう
授業デザインの重要性
こうやってより良くなっていこう
というような自己調整学習にもなっていたわけですね。
ということでこれを続けていくと
相互に批判し合う共同的な学びにも
なっていくんじゃないかなというふうに思いました。
ということでやってみたこのスピーチ指導は
ゆる自由振動学習になっていました。
これはやっぱりきちんとした授業デザインにすれば
自然とゆる自由振動学習になっているなということを
先日の配信でも申した通り
そういうものになっていくんですよ。
だからしっかりした構造で教員がしっかりしたデザイン
そういうものを持っていればしっかりした設計であれば
ゆる自由振動学習に自然となっていくということがわかりました。
何はともあれその土台には安心安全な場作り
教員と生徒の信頼関係があると思います。
ということでまあ思いつきで
短時間で授業設計したんですけれども
本当に授業デザインが大事だという
そういうことがわかった取り組みでした。
それでは今日の配信はここまでです。
聞いてくださりありがとうございました。
またお会いいたしましょう。