大学での教育と実践
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育についてゆるっと配信しています。
今日は249回、大学の教育学部で学んだスキルと教育現場で求められるスキルの間には・・・、というタイトルでお送りしたいと思います。
私は、大学は教育学部・国語教育学というものを専攻して、そして卒業して教育現場に入りました。
大学では、国語教育に特化していろいろと勉強してきたので、例えば文学部の国文出身の先生と、授業に対するアプローチが違うなということを着任当初から思っていました。
やはり、国語教育に特化しているところで学んだので、私が先輩方と一緒に国語理論の基礎研究の実習的なサークルに入って、
月に1回だったかな、週に1回だったかな、勉強をかなりしてきたので、いろんなところで国語教育学のいろんな知識を得て、
そして自分自身も学校の講義や演習で国語教育というものに対して、非常に深く深く大学の先生から学んで、それで教団に立ったと、そういう風な経緯がありました。
なので大村浜先生の単元学習とかそういったことについてもちゃんと勉強してきたので、こういった授業をしようとか、こういった授業があるべき姿なんだと、
あるいはこういう理論的な骨組みがあるからこういう授業が必要なんだというようなことを勉強してきてスタートしたので、現場で行われている先輩方の授業との差を感じることが多かったですね。
だけども自分自身が大学で学んだことを活かすべく授業をしてきたので、その道については本当に正解だったと思っています。
現場での先輩の先生方にちょっと変わっているというふうに言われたことは多々ありますが、
国語教育学というところで尊敬できる先輩方や、そして何よりも本当にお世話になって色々と学んできた大学の教授の先生方の教えというのが本当に大切だと思って授業を作ってきました。
ということで今でも授業で作家作品研究みたいな授業になっちゃう先生いらっしゃると思うんだけど、そうじゃなくて国語教育っていうものに私は本当にここが王道だと思ってやってきたタイプの人間です。
ところが大学での授業、大学での学び、それを教育現場で生かそうと思って頑張ってきたけど、大学で学んだことすぐそのまま教育現場で役に立つっていうもんじゃなくて、やっぱりそこには大きな隔たりがありました。
いくら大学で学んできたそういう風な指導案で授業を展開しようと思っても、制度の実態に合わせないと全く意味がない。
大学の教育学部では付属の学校に行くもんですから、ある程度学力の高い生徒がそこにいますので、その生徒を対象にした指導案でずっと勉強してきた、そういう大学時代から全くそうではなく、学力があまり高くない。
そして学びに向いていない生徒、そういう生徒に対しての学習指導案については勉強不足でしたので、やっぱりそこからどうやってこの生徒たちを本気にさせるかということについて、非常にしくはっくし、悪戦苦闘し、試行錯誤を繰り返す毎日。
そして何よりも授業以前の問題、生活指導面についても本当に苦慮しました。
この配信でも何度も何度も申し上げている通り、生徒自体の厳しさというのは、やっぱり教員が人間として、それから今まで先に生きてきた先輩として、時には保護者の代わりとして、その生徒に何か生きるということを指し示しながら、
あるいは保護者になり代わってしつけをしながら、人間教育というそういうところが大きくなってきます。
そういった意味で、教育について、国語教育だけじゃなくて、教育についてもっと実践的な生徒指導を学ぶという場が大学にあったらよかったのになというふうに思います。
大学では多分ちょっとしかなかったと思うんですよね、そういう生徒指導的な演習の時間というのが。
ということで、大学の教育学部で学んだスキルと教育現場で求められるスキルというところには本当に大きな差があるんじゃないかなと痛感しています。
小学校や小学校の教員寄せ課程で勉強される先生方は、その辺をもう少し勉強されるんじゃないかと思うけど、中高等学校の課程で勉強してきた私は、生徒指導分野というのは本当に少なかったような気がしますね。
新規採用教員の挑戦
そして何よりも、教団に立つというのが非認知スキルなわけですよ。
まずも教団に立って生徒に話しかけるというところにもスキルがいりますよね。
私なんかが先輩の先生に言われたのは、自分の声が黒板に当たって跳ね返って自分に聞こえるぐらいの、それぐらいの音の大きさで話せって言われたわけなんですけども。
そういったことから、全体を見回しながら、アイコンタクトを取りながら生徒に説明をするとか、聞き取りやすい抑揚、間の取り方。
それから生徒を注意する仕方とか、引き付け方とか、巻き込み方とか、そういったことを私、大学では教えられていません。
だけど教団に立つと、教団での話し方っていうのすごく授業に大きく影響するというふうに思っています。
それから、生徒との対話の仕方っていうのは、大学の教育現場ではなかなかやりませんね。
最近は対話的な授業ということで、大学の授業の中では学生同士でグループを組んで、先生役と生徒役に分かれて対話的な授業を演習する授業があるんじゃないかと思いますけど、私の時代にはそういうのはなかったですね。
せいぜい仲間と一緒に自発的に模擬授業をやってみたりということではあったと思います。
ということで、大学での座学的な、あるいは演習発表的なそういう勉強の仕方と、それから教育現場での実践的なスキルというのと、この間には大きな大きな溝があるんじゃないかなと私は思っていて、
その溝があるが故に新規採用の先生方は大変苦労すると、こういうふうに思っています。
特に新規採用の先生を着任してから、指導教官の先生がつくにしろ、割と一教員として当たり前の仕事をそこで求められるわけですよね。
大学での勉強と、それから教育現場での実践的なスキルの間にこんなに差があるのに、新規採用の先生に求められるスキルは要求が高い。
こういったミスマッチが新規採用の先生をますます苦しくさせているんじゃないかなと思っています。
教育現場のニーズ
特にこのポッドキャスト配信をするようになってからは、私自身が話すスキルというものの難しさというのを感じているので、
こんなベテランの私でも話すスキルについて日々努力しないといけないと、そういうふうに思っているということは、新規採用の先生はもっともっと大変なわけですよ。
ということで、私自身感じているのは、大学での学びと、それから教育現場での求められるスキルとの間を埋めるような、
そういう橋渡し的な勉強プログラム、学習プログラム、初任者対応のプログラムというのが求められるんじゃないかなと思っています。
生徒指導についてもそう。そういった隙間を埋める新規採用先生、または若手の先生が現場でどうやってフィットしていくかというプログラムが必要なんじゃないかなと。
これって、教育現場でずっと苦労してきた先生方でないと教えられないスキルがあって、大学の先生では難しいスキルじゃないかと思います。
そういった間を埋めるプログラム開発というのが求められているんじゃないかなと。
複雑で多様な教育現場の問題、これが近年になってどんどんどんどん深刻になっている現在、そういう風なプログラムが求められてきてるんじゃないかなと。
特にこの配信をするようになって思っています。
ということで、そういったことについて私はなんとかならないものかなと。これから考えていこうかなと思っているので、そういったことに興味関心のある方、ぜひ何かについておりがあればお話ができればいいかなと思っています。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。