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おはようございます。心理学者のじんぺーです。
心理学に触れる一日一語のお時間です。
この番組では心理学の専門用語を一つ取り上げて、
関連する最新論文を併せて紹介しています。
ディスレクシアの理解
今日の一語は、ディスレクシアになります。
おとといの放送で、発達心理学者の大谷幸太さんと対談をさせていただいて、
メインは内言、インナースピーチ。
人が声には出さないけども、心の中で言葉を紡ぐという現象があるんですけど、
その話をしました。
その前段で大谷さんが卒論でやられていたディスレクシアの話が10分くらいあって、
ディスレクシアはおそらくいろんな人が興味のある言葉だろうと思って、
今日は論文を紹介したいと思います。
まずは今日の一語、ディスレクシアとは何なのかということを簡単に一言で言うと、
知的能力や教育環境に問題がないにもかかわらず、
文字の読み書きに特異的な困難を示す神経発達障害のことを言います。
今回の論文はモレキュラーサイカイアトリーという雑誌に載っていて、
これも日本語にすると分子精神医学みたいな名前で、やや医学寄りなので、
ちょっと自分が普段読んでいる論文とは違っているんですけども、
遺伝の影響
何が今日伝えたいかというと、遺伝律の話です。
おそらくいろんな人が興味あるんじゃないかなと思います。
自分も興味を持ったので、その遺伝律についてお話ししたいのと、
あとは遺伝情報から他の精神疾患であるとか、
あとは神経発達障害。
最近は発達障害というのも神経発達症、
障害というか神経発達症ということが多いかなというふうな呼び方をすることが多いんですけど、
他の神経発達症、例えばADHDだとか、
あとは不安症とか鬱病とか、そういったものとどういう関係性を示すかというか、
どの症状と近いかということを遺伝的に仲間分けをしたよというような研究になっています。
シンプルに自分も細かいところを理解できていないと思うので、
おおよその結果をまとめて紹介したいと思いますが、
まずはどういうデータだったかというと、
欧州の患者さん45万人で、対象群が230万人。
すごいデータ数なんですけど、それを使っているということです。
メタ分析的にいろんな研究のデータを使っているのかなと思います。
10種類の神経発達症もしくは精神疾患を扱っておりまして、
それが何かというと、ディスレクシア、ADHD、自閉スペクトラム症、不安症、鬱病、僧侶性障害、
統合失調症、脅迫症、神経性痩せ症、チック症、トゥレット症候群という10個になっています。
どうですかね。印象的にはどれと似てそうかなと思いますかね。
今日お伝えしたい結果は2つです。
まずは遺伝率の話。これはおおよそ6割から7割だそうです。
これどれを思いますか。6、7割と聞いて高いのかどうかということなんですけど、
結構高い方だというふうに書かれていますね。
この論文で出ているところでいうと、不安症でいうと2割から4割ぐらい、
鬱病でいうと3割から4割みたいな低レベルの遺伝率というところもあれば、
今回のディスレクシアが6、7割、ADHDでも高くて7割、8割ぐらいという報告が見られるそうです。
なので結構遺伝で説明できるということです。
これは別に親がディスレクシアだから子供もディスレクシアということではないです。
遺伝で説明できる率が高いということです。
あとこれもやらないといけない言葉があって、エピジェネティクスと言うんですけど、
簡単に言うと遺伝って生まれつきずっとそのままの遺伝じゃないんですよ。
いろんな環境とか経験とかによって遺伝が書き換わるということがあったりするんですよね。
なのでその遺伝だから生まれつきでずっと変わらないものというのも違うんですよ。
だから遺伝か環境かという議論もやや乱暴だなというふうに思うので、
それはちょっと踏まえて聞いていただきたいんですけど、6、7割だということです。
結構高い水準にゾクスだろうということがまず一つです。
もう一つが最初にも言ったどの疾患と近いのかというところなんですけど、
これはADHDと同じグループを作ったという研究結果だそうです。
どういう印象を持たれているか、ディスレクシアに対して、
人それぞれかなと思うんですけど、結構神経発達症というふうに言うぐらいなので、
例えば自閉スペクトラム症であったりとか不安症とか統合失調症とか、
そういったところと近いんじゃないのかというふうに考えられていたところもあったそうなんですけど、
この研究でその遺伝情報で分類分けするとADHDと同じようなグループに属したということなので、
より学習困難みたいなところとか、あとは注意の分配に困難を抱えているみたいなグループとしてまとまったのではないかというふうに考察がなされております。
なかなかの大発見なのかなと。大発見、中発見なんて言ったらいいですかね。
この人たちにとってはすごい大発見だったんじゃないのかなと思いますし、
今持っている雑誌もインパクトのある雑誌なので、この結果は今年出たばかりですけど、今後いろんな方向で検討が進んでいくと思いますし、
もしかしたらそういう遺伝的な研究からディスレクシアの人に対する一番最適な介入方法だったりとか、薬とかの開発にも貢献するような発見なのかなというふうに思ったりして読んでおりました。
有病率と社会的影響
ディスレクシアってどれくらいの割合で有病率というか、ちょっと調べよう。
ちょっとGPDに聞いてみます。
どれくらいなんだろう、それも知りたいですよね。
あおよそ人口の5%から10%とされていますというふうに書かれていますね。
比較的ありふれた神経発達症。ありふれたってすごい表現だな。
よく見られるような神経発達症であるということのようです。
5%から10%なので、一番低い5%と言っても20人に1人、学級に1人ぐらいはいるよねというぐらいの精神疾患ではなくて、
なんて括ったらいいかというと、今日の研究じゃないですけど、
でも神経発達症でいいのか、神経発達症というふうに定義で話されているので、神経発達症だということですので、
周りにもおそらくそういう人がいるというふうに思って過ごしてもらうのがいいんじゃないのかなと個人的には思っております。
参考になれば嬉しいです。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
今日もいい一日にしていきましょう。
神平でした。心を込めて。
雑談、緊急報告をしたいと思います。
昨日また新しい結果が届きまして、これ何の結果かというと、
次の仕事に関わる結果なんですけども、
いつも通りじゃないんですが、残念ながら今回も不採択ということでございました。
どれぐらい詳しく喋ったか覚えてないんですが、
ハンブルクに今住んでいて、ハンブルクの大学軍がやっている、
大学軍というのはメインはハンブルク大学なんですけど、
いくつかの大学が組んでやっている、コンソーシアム的な感じでやっているプロジェクトがあって、
それはマニュースクリプトスタディーズといって、
いろんな書いて残されたものを分析するというすごく学際的なプロジェクトがあるんですよね。
自分は心理学者ですけど、
高校学者とか、
あとは自然科学というか理系っぽいX線で、
紙とか、紙とも限らないですよね、書かれたものが、
木かもしれないし鉄かもしれないんですけど、
分析して物質とかから何が書かれているのかとか、
何で書かれているのかとかということを調べるとかね、
いろんな面白いプロジェクトがあるんですけど、
そのプロジェクトに来年からまた人を募集しますよということで、
自分は書道の研究をすると。
書道なんてめちゃくちゃマニュースクリプトの代表的なところだと思うので、
去年から1年くらいかけて、
日本人とドイツ人で書道がどういうふうに鑑賞されるかという研究とかもやったので、
その延長でプロジェクトは続けられたらなと思ったんですけど、
残念ながらダメでした。
ドイツでの挑戦の日々は失敗の日々とも同義であるというか、
失敗というか敗北というか、分からないですけども、
そんなものです。
結構競争率が高いというのは聞いていたし、
別にこれがダメだったからといって、
ダメ前提で動いているというとやや悲観的すぎるんですけど、
これがダメだったら終わりみたいにならないように動いているので、
あまり心配しなくても大丈夫ですし、
あまり凹んでいないですね。
いつも通りだなという感じで、
昨日お昼過ぎくらいに結果が届いたんですけど、
その後も別にいつもと変わらずにお仕事ができたかなと思いますので、
今日からもまた次の機会を目指して頑張っていきたいなと思っております。
そうしているうちに今月末に1個締め切りがあるので、
申請書を書いている途中でございました。
途中というか昨日書いて、
英語の高越プロの方に英語のチェックをしてもらっている最中ですので、
こっちはちょっといい結果が欲しいね。
すごい先なんですけど、
結果が来年の5月とか6月とかだと思うんですけど、
こっちはいい結果が出るように動いていきたいなと思っております。
引き続き応援してください。
皆さんが力になっています。よろしくお願いします。