1. 研究者がそばにいるくらし
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2026-10-27 21:52

#1065【研究者のくらし】査読が進まなくて困っている

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サマリー

この回では、研究者の暮らしの裏事情として、学術論文の査読がどのように進むのかを説明する。編集者が論文の方法論や雑誌の対象範囲を確認した後、専門に近い研究者が内容、サンプルサイズ、解釈、研究デザインなどを検討し、リジェクトまたは修正依頼を出す。論文執筆がAIなどによって速くなった一方、査読者や編集者が不足し、話者自身も約10本を査読待ちとして抱えているという。査読依頼を断ることも多く、依頼を受ける人が見つからないことが遅延の大きな原因になっている。対策として、期限内に一定品質の査読をした研究者へ謝礼を支払う仕組みが紹介される。心理学誌では100ドル程度、生物学のBioology Openでは1本220ポンドを支払う制度があり、後者では初回判定までの期間が37.7日から5.5日に短縮されたという。査読の質や編集判断は低下せず、依頼の受諾率は23%から67%、1本あたりの依頼人数は8.9人から3.05人になった。もっとも、謝礼の原資となるオープンアクセス費が研究者の負担であるため、資金のある研究者だけが有利になり格差が広がる可能性や、AI利用による質の低下をどう検証するかという課題も残る。

研究者の論文執筆と査読の仕組み
おはようございます。ドイツ在住心理学者のじんぺーです。 この番組では心理学の研究のお話をしています。
今これはドイツで撮っているんですけども、ちょっと撮りだめというか、 日本に帰ってからの放送になっていることと思います。
撮っている今、この日から見ると、明日ドイツを飛び立ちますという感じです。
またちょっとね、広島に学会に行ったりとか、関西大学で講演したりとか、
そんないろんな予定があり、日本に帰ると。 今、妻と子供まだ日本にいて、一緒にドイツに帰るということもありますので、
それも大きな理由の一つかなと思います。 今日はですね、研究の話というよりも、
研究者の日々の暮らしというか、研究者の裏事情みたいなことをね、 喋りたいなというふうに思っております。
何度か話しているかもしれませんけども、 茶読の話になっています。
ちょっとマニアックかもしれませんが、 なかなか聞けない話でもあるかなと思いますので、
研究者のどういうことをしているんだろうとか、 気になる人はぜひ聞いてもらえると嬉しいです。
まず自分の話からさせてもらうんですけども、 自分は結構論文を書くのが好きで、
かつたくさん書くのも割と苦じゃないタイプです。
特にAIをオトモのように使えるようになってから、 そのハードルが下がって、
スピードで言うとめっちゃ速いと言えるかわからないけども、
相対的に自分の過去と比べると、 大学院生の時よりは10倍ぐらいの速さになっているんじゃないですか。
ずっと10倍って言ってたけど、 もっとかもしれないって思う時があります。
分析の時間とかを含めると思う時があるぐらい。
下手したら20倍とか。
去年から比べても5倍ぐらいになっているんじゃないかな みたいなところがあり、
いっぱい書けるわけです。
これは自分の力が上がったというよりも、 便利だなというところによるところが大きいです。
もちろん研究の流れみたいなのを、 自分のものにちょっとずつできているような感覚もあり、
そういった影響ももちろんあるかなとは思うんですけども、 いずれにせよたくさん書くようになりました。
論文って書くと、書いただけじゃ基本ダメで、 それを世に出していかないといけないんですけども、
その出す先の今のね、 あくまでこの2026年10月時点ではですけど、
現状はやっぱり学術雑誌に出すという風になっています。
で、学術雑誌に出すってなった時には、
はい、これ届きました。じゃあ載せます。 一般の人にも読んでもらえるようにします。
みたいな風にはならなくて、 そこに作読っていうプロセスが入ります。
作読者っていう、 まず編集者の人から説明するんですけど、
まずは編集者の人が原稿を見るわけですね。
編集者も実は研究者です。
よく商業出版の編集者さんをイメージするんじゃなくて、 研究者の方が編集者になります。
実は自分もある雑誌の編集を一部やってます。
なので、あるキャリア、いくつか論文出したりとかして経験を積んでいくと、
そういう編集をするっていうポジションにも なっていくわけなんですけど、
研究者が編集してますと。
編集者がまずその論文を受け取って見る。
この雑誌、何度も話に出ていますけども、
雑誌にはレベルがあって、すごくインパクトになって、
なかなか載せられない、ネイチャーとかサイエンスとか、
そういった雑誌もあれば、ある程度ハードルが低くて、
いろんな人に開かれているような雑誌もある。
いろいろレベルもあればタイプもあるわけなんですけど、
まずは基本は編集者が受けているというプロセスは一緒。
判断するのは方法論的に妥当性が高いかということか、
あとは自分が今編集をしているこの雑誌のスコープですね、
狙っているターゲットとか目標とかと合っているかということを
チェックするわけです。
なので、例えば自分がよく出すのは、
芸術の心理学に関する雑誌とかね、
サイコロジオブエステティックスという雑誌があるんですけど、
そこに例えばスポーツ心理学の研究を出したとしても、
論文を送ったとしても、それはもう花から乗ることは難しいわけです。
接点はあるかもだけどね、ありそうだけど、運動と美学というのもあるかもだけど、
基本は乗らないわけです。
それは編集者が判断すること。
もちろん判断軸は他にもいろいろあると思います。
その編集者が審査してもよさそうだなというふうに判断されたのであれば、
今度は作読者という人に回します。
この作読者も基本は研究者です。
僕もよくやってます。
月に1回とか2回とかぐらいのペースで作読してるんですけど、
それが研究者仲間同士で回っていくと。
仲間と言っても知らない人たちですよ。
読んで、できれば専門が近いような人たちが読んで、
本当にいろいろツッコミを入れていくわけです。
これはもうダメだと、載せる価値がないと、
あとは方法論的に間違ってると、
サンプルサイズが明らかに少ないとかね、
それで最近言われないけど、何が多いかな。
解釈の話とかも多いですね。
この結果でその解釈がちょっと言い過ぎですとか、
あとはデザインですね、研究の。
結果が出たって言ってるけど、
別にそれはあなたがやった実験の結果ではなくて、
ただただ時間が経ったことによって出てる結果ですよとか、
いろいろと実験のデザインにもツッコミがあったりとかする。
その定く2人ぐらいの時が多いと思うんですけど、
定く2人ぐらいに見てもらって、
その定くのコメントを今度はまた編集者、
さっき言った編集者が見て、
じゃあこれはもう受理できませんと、
載せられませんって決めたりとか、
それがリジェクトって言ったりしますね。
リジェクト、受理できません。
それか一番多いのは、
そのサドック社のコメントをそのまま反映して、
もう一回研究者に返すってことですね。
投稿した研究者に返す。
こういうコメントがありました。
これをもとに論文をアップデートしてくださいと。
至らないところは直してくださいと。
もしサドック社に反論があるんだったら、
それも書いてくださいということをお願いする。
それで出した研究者の人たちは、
その論文をさらにアップデートして、
もう一回編集者に送るっていう。
これ大体2ラウンドぐらいやったりとかして、
サドック社もいい感じに直ってますと、
私の言った通りに直ってますというふうなことで、
じゃあもういいですよって言ったりする。
そうすると編集者が最後判断するんですけど、
OKかなというふうに出せます。
確実に出しに乗ってよしというふうになるわけです。
査読の遅延と人手不足
これめっちゃ時間かかっちゃった。
問題はですよ、問題は。
今日はサドックの問題について話したいなと思ったんですけど、
問題は時間がかかるということです。
時間がかかるのは別にいいんです。
別にいいんですけど、最初に言った話に戻ります。
論文を書くスピードが上がってます。
これは僕だけじゃないです。
みんな上がっていて、下手したら10倍20倍みたいな話。
年に1本しか書いていなかった人が10本ぐらい書くようになってきてるんです、実際に。
そうなると今言っていた編集者、サドック者2人みたいなところの
人手不足が裸々しいというふうになるわけです。
分かりますか。
これが大変困っているというふうな話でございます。
どうでしょう。
大学院生の時の5年とか7年前とかで言うと、
最初に論文を出してから1回目のコメントが返ってくるのに
だいたい3ヶ月とか半年とかそれぐらいのレンジだったんですけど、
最近はそれでなかなか返ってこなくなってます。
これは、いろいろ世に発見が増えているという点ではいいことかもしれないんですけども、
システムとしては明らかに破綻を仕掛けている、
していると言っている人もいると思いますけど、状況です。
ちなみに今自分は10本ぐらいサドック中です、論文が。
今までこんなことになったことはないです。
だいたい3本ぐらいサドック中かなみたいなふうなことを言っていたんですけど、
2、3年ぐらい前までは。
今10本とか溜まってますね。審査待ちです。
列に待ってます。
いろいろレイヤーはあります。
今2ラウンド目にいっているのもあれば1ラウンド目のところもあったりするし、
そもそも1回目送ったけどまだサドックにも回ってないというのもありますし、
いろいろあるんですけども、計10本ぐらいあると。
困ってます。
どうしたらこういうのが解消されるかということを
考えている人たちがいるというところまで
今日は話を進められたらというふうに思ってます。
ただただ文句とかね、困ってますみたいな話だけじゃなくて、
どういうことが行われているかというところで、
1つ今日は例を出すんですけど、
もうちょっとすいません、省いちゃったんですけど、
困っているのは編集者の人が論文を持って
サドックに回したいと思ったとしても、
そのサドック者が見つからないということですね。
僕もだから毎日のようにこの論文サドックしてくれませんかという
依頼が来るわけです。
いろんな学術雑誌から。
さっきも言ったように月1本ぐらいか2本ぐらいか、
それぐらいはやりますよというふうにね、
特に自分がサドックしたい雑誌とかテーマだったら
OK、やりますというふうに言うんですけど、
そうじゃないのは断るわけですよ。
時間が有限だし、
必ずしも自分のテーマとバッチリ合っているわけでもないので
断ることも多いと。
断るということは自分の論文、出している論文も
いまいろんなところで断られているんだろうな
ということを想像するわけです。
査読者への謝礼という対策
こういったときにどういう作戦が立てられるかというと
一つ今日は言いたいのは
インセンティブをつけるというところです。
サドックに。
簡単な話で編集者がサドックした2名を選ぶときに
この論文をサドックしてください。
お願いするのはこれまで通りなんだけども
やってくれたら、しかも1週間でこのサドックを終えて
コメントを返してくれる。
ある程度の質が担保されているのであれば
お金を払いますってことです。
例えば100ドルとかいうのがあるみたいですね。
いくつかの雑誌では。
っていう仕組みがあるそうです。
どうですかね。
個人的には多分やる。
100ドルもらえるんだったらやると思う。
100ドルってだいたい1万5千ぐらい。
もちろん時間かかりますよ。
そんな30分とかで終わるわけではないし
AI使ったらダメっていう決まりなんで。
多くの。
いいって言ってるところもあんのかな。
自分が知ってる中では
サドックにAIを使っていいっていうところはないですね。
使わないでっていう決まりですね。
今まで見たところは。
なので、論文読んでコメントを
ちょいばっかり読んでコメントするというのは
どうでしょう。2時間とか。
短い論文もあるから。
短い論文で2時間とかじゃないですか。
長いと2時間とかで終わんないですよね。
それでだいたい1万5千と。
おそらく研究者の受給からいくと
どうなんだろうね。
安くも高くもないみたいなところなんですかね。
っていう仕組みを取り始めているところがあります。
例えば、心理学で言うと
アドバンシーズインサイコロジーという学術雑誌が
そういう仕組みを取って
出て4、5年くらいやってるみたいなんですけど
割とうまくいってるっていう評価だったり。
Bioology Openの有償査読データ
せっかくなんで今日1個
プレプリントの論文を紹介したいと思うんですけど
プレプリントっていうのは
サドックをまだ経てない論文です。
だからおそらくこの論文も
どこかでサドックされてると思うんですけど
もしかしたら時間かかってるかもしれないね。
今日紹介するのは心理学の論文じゃないんですけど
バイオロジーですね。
生物学のバイオロジーオープンという雑誌が
このまさに仕組みを取ってるみたいで
1本、220ポンド。
なんか全然高いな、サイコロジーより。
220ポンドって言うと
5万円とかになるかな。
もっといってるか。
5万円くらいか。
これ結構熱いですね。
だそうです。
期限内に提出する。
これが結構早いんですよね。
まずは依頼があってから1営業日以内に
サドックを受けるかどうかっていうのを
決めないといけないくて
かつ受けてから4営業日以内に
サドックコメントを返さないといけない
っていう決まりがある。
かつ編集者が質を認めた場合にのみ
その220ポンドが払われるみたいなんですけど
こういう仕組みを取っている
バイオロジーオープンっていう雑誌がある。
そこのデータを使って
いくつか検証をしてみたそうです。
すごいですね、220ポンド。
羨ましいな。
すごくいいアルバイトになりそうだな
って思ったりするけども。
いくつか指標を調べたそうなんですけども
まずは審査期間ですね。
これは大幅に短縮されたということのようです。
これまでお金を払ってない従来型だったときは
だいたい最初の初回判定ですね。
論文が届いてから最初これはダメですよっていう
ダメですか、もう一回直してきてくださいね
っていうまでの期間が37.7日
だいたい1ヶ月ちょっとぐらい
これでも結構いいなと思うんですけど
それが5.5日になったそうです。
1週間以内でこの結果が受け取れる
っていう風になったそうです。
それはそうですよね。
4日でその査読コメントが返ってくるようになったんで
それでも研究者に返すだけだとすると
すごくスムーズだなと思います。
査読の質みたいなことももちろん重要なわけで
これが下がってたらもともともないです。
お金が欲しいあまりにやるよって言って
質が低かったらもう意味がないんですけど
質は下がらなかったと。
むしろやや上昇傾向にあったという風なことが
このプレプリントでは書かれています。
編集判断に違いがあったのかというところも調べていて
これは変わらなかったと。
例えばリジェクトが30%ぐらいだったのは
従来も早くお金払う仕組みにしてからもそうだし
開講してくださいとリビジョンしてください
というのもあまり変わらなかったというところのようです。
それから査読者のコミットメントのデータもありまして
例えば依頼を受けるかどうかというところ
もともとは23%だったそうです。
だから5人に査読してくださいお願いしますと言って
5人に送ってやっと1人がやってくれるみたいな感じ。
これ多分まだマシですよ。
100人に送って誰もやってくれないみたいなこともあるとか
聞いたことあります。
それがお金払うようになってから67%になったと。
3人に2人がやってくれるようになったと。
素晴らしいお金の力と思うんだけども。
逆に時代数は減ったりするし
現行1本あたりの依頼人数ももちろん受諾率が上がったので
減っているということです。
もともとは現行1本に対して
8.9人に査読お願いしますと言わないといけなかったのが
3.05人になったと。
だから3人に送ったらだいたい2人がOKしてくれるということなので
OKですよね。
というふうなことなんだと思います。
というところで
面白いデータだなと思います。
有償査読の格差とAI利用の課題
お金で解決するのかというところなんですが
結構ありなんじゃないですかね。
これはでもいろいろ賛否料があると思います。
お金というところの。
その価格がお金というもので
例えばお金を払える
このお金がどこから来ているのかといったら
オープンアクセス費です。
つまりは研究者が払っています。
研究費とかから払っています。
これもっと高いですよ。
桁が1個違います。
さっきの査読の謝礼と比べると。
どうでしょう。
だいたい40万円とか50万円とかするのザラですね。
分野によっては100万円とかするところもあるぐらい
その研究者が
経済料みたいな感じで払っている。
その数パーセントが
査読者に払われるという仕組みになっています。
だからこういう仕組みが
デフォルトになってしまうと
お金が持っている研究者だけが
得をして格差が広がるというようなこととかね。
いろいろと問題はある。
さっき言ったようにお金欲しいあまり
査読を受けてクオリティが下がってしまうということも
今回のバイオロジーオープンではなかったんだけども
今後出ないでも言い切れないですよね。
AIをそういう人たちが
早く終わらせるために使うというかどうかというのを
検証もなかなか難しいしということとか
いろいろ問題はありそうですけども。
なかなか困っていますので私自身ね。
なんとか査読の仕組みが
今システムが結構破綻しているような状況から
変わっていくことは
一研究者が考えてもしょうがないかもしれないですけど
どうですか?ビジネスチャンスありますか?
ここに出版社を新たに立ち上げてとかもね。
このアドバンスイーズインサイコロジーという雑誌は
4年くらい前にできたそうなんですけど
研究者の人が自ら作ったそうです。
多分いろいろと不満があったんでしょうね。
面白いなと思いますけど。
査読のことについてはまたアップデートしますし
恐らく自分もね
今も書いているのもいろいろあって
さっき10本くらいって言ったんですけど
また増えていく可能性があるのでね
ずっとつきまとう問題かなと思います。
AI時代に考えたいテーマでもあるかもしれません。
だいぶ今日は長くなりました。
自分の話も多かったですし
マニアックでしたけども
最後まで聞いてくださった方ありがとうございました。
今日もいい一日にしていきましょう。
仁平でした。心を込めて。
21:52

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