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2025-08-16 11:10

#744【バックラッシュ効果】強い言葉を使えば、論文の引用も閲覧も増える?(Stavrova et al., 2025)

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【本日の一語】
バックラッシュ効果 (backlash effect):ある人物が社会的ステレオタイプや期待と反する行動をとったときに、その人物が評価を下げられたり、好感度を失ったりする現象

【本日の論文】
Stavrova, O., Kleinberg, B., Evans, A. M., & Ivanović, M. (2025). Scientific publications that use promotional language in the abstract receive more citations and public attention. Communications Psychology, 3(118). https://doi.org/10.1038/s44271-025-00293-8

【8月31日(日) から 「あいまい会議2025~伝統・ビジネス・科学から「美」の可能性を考える in 京都~」】
https://aimaikaigi2025.peatix.com

【8月16日(土) から 「『研究』の未来をみつめる―“良き研究者”をめざす若者と科学の行く末に関心をもつ市民の対話」】
https://www.shiminkagaku.org/sciencedialogue_03_20250816/

【8月18日(月) から 「近藤弥生子さんと対談:台湾感性―台湾と日本の美意識の違いに迫る」】

【8月28日(木) から 「業界を超える「学際」で新たな価値をつくる - 京大・宮野公樹氏と探る、研究と社会のこれから」】
https://academist250828.peatix.com/

【研究サポーター募集中!】
https://academist-cf.com/fanclubs/358

サマリー

バックラッシュ効果に関する研究では、宣伝的な言葉を用いることで論文の引用数や閲覧数が増加することが示されています。しかし、女性研究者は男性に比べてそのような言葉を使うことが少なく、そのため波及効果も小さくなることが明らかになっています。

バックラッシュ効果の定義
おはようございます。心理学者のじんぺーです。心理学に触れる一日一語のご主観です。 この番組では、
毎日心理学に関するキーワードを一つ取り上げて、それに関連する最新論文を紹介しています。 今日の一語は、バックラッシュ効果です。
今日の論文はですね、
研究者が宣伝的な言葉を使うことによって、引用数が増えるかどうかとか、社会的な注目が高まるかどうか、みたいなことを検討した研究になっています。
ぜひ聞いていってもらえると嬉しいです。 お知らせをいくつかさせていただきます。
まず本日ですね、 2時半からオンラインで研究トークをするイベントがあります。
おそらく朝、今聞いていれば間に合うと思いますので、よかったら申し込んで、今日の2時半にまたお会いしましょう。
その他にもイベントたくさんありまして、概要欄にまとめております。 近いところで言うと、
8月18日の夜9時から、AVCパーソナリティの近藤八重子さんと対談することになっております。 めちゃくちゃ楽しみにしておるところでございます。
あと今週も生配信しようかな。
はい、ちょっと今忘れてました。 もう土曜日でやることをすっかり忘れていたんですけども、明日の
3時からにしようかな。 結構3時ぐらいがいつも固定になりつつあるんですけど、15時から生配信しようと思いますので、ぜひ休みに来ていただけると嬉しいです。
では本題に行こうと思います。今日はバックラッシュ効果という一語を紹介したいと思います。
聞きなじみがない方も多いかなと思いますが、これは
ある人物が社会的ステレオタイプとか期待に反する行動をとった時に、その人物の評価が下げられたりとか好感度を失ったりするような現象のことを言います。
特にジェンダー研究によってこの言葉が使われることが多いみたいなんですけども、
伝統的なジェンダーステレオタイプって、男性が自信があったりとか主張が大きかったりとかリーダーシップがあるとか、女性が協調的で控えめで思いやりがあるとか、
これあれですよ、ステレオタイプの話で僕はそう思ってるってことはないです。 そういう風にステレオタイプってあると思うんですけど、
こういうステレオタイプがあることによって、例えば面接で女性候補者が積極的に自分を売り込むっていうことをしようとする時に、
言うのもそうなんだけども、付き合いづらそうっていう。 女性が積極的に自分を売り込むってことが社会的ステレオタイプとは反するっていう風になっていると。
そうするとその人物、女性の方の評価が下がるみたいな現象とかのこと、例えばですけど、バックラッシュ効果という風に言うそうです。
今回も精査の検討のところでこの言葉が出てきますので、ちょっと覚えておいてもらえるといいかなと思います。
宣伝的言語の影響
今回の研究はまずはバックラッシュ効果があまり関係ないところから行きたいんですけど、
研究論文がたくさんあると、特に今回の分析で使われたのが Nature Science そして PNAS っていう、アメリカのめちゃくちゃ有名な雑誌があって、どれもすごくインパクトがあって、
研究者だったら一度は載せたいみたいな雑誌かなと思います。 ちょっとね、Nature Science に比べたらピーナッツはやや下かなと思うんですけど、下とかいうとあれか。
僕にとってはもう超上すぎて、あれなんですけど、こういった雑誌があると。
これらの論文13万件以上のアブストラクトですね。アブストラクトって研究の概要をまとめたものなんですけど、どの論文でもアブストラクトは読めるんですよ。
本文は読めない、お金払わないと読めないってパターンはあるんですけど、アブストラクトは読めると。それを分析するっていうことをしています。
今回何を分析しているかというと、宣伝的言語、ハイプって言ったりするんですけど、これはこれでちょっと英語というか専門用語っぽいんですけど、宣伝的な言語、これもリストがあって、139号が今回特に使われたみたいなんですけど、
例えばいくつかのパターンがあって、ポジティブ系だとリマーカボーとかね、謙虚なとか注目すべきみたいな言葉とか、イノベイティブ、革新的な、アルティメイト、究極のみたいな、そういう形容詞とかが例に挙げられています。
リマーカボーとか結構使っちゃいそうな感じがしますけどね、イノベイティブも使っちゃいそうな感じがするんですけど、それも宣伝的な言語、ちょっと誇張とまではないですけど、やや強いような表現という意味で宣伝的言語というふうにまとめられています。
ネガティブ系だと深刻さとか緊急性を強調するような用語で、アラーミングとかね、アラームのアラームですけど、ディバステイティングもそうですね、壊滅的なとかが挙げられています。
あとは他にもインパクトを強調するような形容詞とか副詞とかが挙げられていて、インクレディブリーとかドラマティカリーとかが挙げられていますね。結構使っちゃいそうな感じもする。
今回もね、だから全く使われてないってことはないですね。これらが使われている割合っていうのと、あとは引用数。仮説としては、こういった宣伝的な言語をアブストラクトで使えば使うほどより引用されているかどうかとか、SNSでよりシェアされているかということを調べたような論文になっています。
面白いですよね。なんか自分にとっても関係のあることで、さっきみたいにね、いくつかの言葉は全く、これちょっと強すぎて使わないなと思うんですけど、リマークボーとか、イノベイティブとか使ったんじゃないかなって思うくらいね、そういう心当たりがある単語もあるわけです。
で、これらを分析しているということです。ちょっと細かいことは置いておいて、結果にいきたいと思うんですけど、宣伝的言語、さっき言ってた言葉が1%増える。これ大体2語、2ワード追加することによって引用数は9%から14%増加する。他にも閲覧数も14%から37%増加する。結構ですよね。2語増えるだけですよ。
で、ツイッター言及、Xですね、今はね。Xエンドの言及が4%から12%増える。ソーオンライン言及も5%から11%増えるということで、使った方が多いというのが今回の主要な結果になっています。面白いですね。だからと言って使われたことはないと思うんですけど、実際にそういう強い言葉を使うことによって、たくさん引用されてよく読まれているということは事実であろうというのが、
一つの結論になっています。ここからがバックラッシュ効果を拾っていくところで、精査のところが興味深いなと思っています。まず女性が第一著者の場合は、男性よりも約6%宣伝的な言語を少なく使っていたということです。
というのがまず一つですね。ちょっと使うのが少ないというのはなんとなくわかるところなんですけど、もっと興味深いのはこの後で、男性の方がこの宣伝的な言語を使うことによる引用数の増加とか閲覧数の増加みたいなこと、
波及効果というのがより強く出たということです。女性の場合は使ったら確かに波及効果が大きくなるということは変わらないんだけども、その大きくなる度合いというのが小さかった男性に比べてというのが今回のもう一つの興味深い結果かなと思います。
男女の違いと考察
ここでさっきのバックラッシュ効果が使われる、引用されるというか言及されるわけです。というのはさっきの面接のルートがまさに似たようなパターンなんですけど、女性の社会的ステレオタイプ的にはあまり宣伝的な言語を使わない、自己主張強くないと、大きい言葉を使わない、強く言わないという社会的ステレオタイプがあるがために、女性がそういった言葉を使ったとしてもインパクトが少ない。
むしろ、もしかしたらそれをネガティブに捉えるという人もいるかもしれないよねっていうふうな考察とかがなされています。
さっきのバックラッシュ効果が先に理解されていると、この現象も確かにそういうことあるかもしれないなというふうに思っていただけるんじゃないのかなというふうに思います。いかがでしょうか。
この辺りはステレオタイプの研究で奥が深いというか、社会心理学とかではとても重要な、長く議論されているテーマなので、なかなか一回の論文で説明しきるのは難しいんですけども、
そういうふうにステレオタイプがあって、実際に男女で宣伝的言語の効果の違いがあったというのは、一つ面白いところかな、興味深いところかなというふうに思っています。
いかがだったでしょうか。まあでも、自分が使うかと言われたら使いたくないのできるだけ、むしろこれもそうなんだって思って、今後変えていきたいなと思ったぐらいですけど。
なんかね、強い言葉を使うと弱く見えるぞってそういう言葉もありましたけど、
できるだけ忠実に現象とか結果とかを伝えられるような論文の書き方をしたいなと、むしろ思いましたね。
タイトルはね、でもね、もちろん強い言葉を使う必要ないんですけど、ちょっとこうオシャレにしたいなと。なんかね、僕の好きな論文のタイトルあまり面白くないんですよね、これまでね。
それはちょっとね、考えたいなっていうふうな、まあやや今回の論文と関係ないところですけど、あの普段思っていることでございました。
はい、最後まで聞いてくださってありがとうございました。今日もいい1日にしていきましょう。
じんぺいでした。心を込めて。今日はこの後ドイツ人の友達が息子に会いに来てくれるので、雑談をなしにしたいと思います。
まあ雑談、これが雑談です。はい、いいお盆休みをお過ごしください。
11:10

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