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2025-09-03 10:45

#762【選択的結婚】障がいのある人同士が結ばれやすいのか (Fan et al., 2025)

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【本日の一語】
選択的結婚 (assortative mating):人が自分と似た特徴(教育、性格、健康状態など)を持つ相手を選んで結婚する傾向

【本日の論文】
Fan, C. C., Rasekhi Dehkordi, S., Border, R., Shao, L., Xu, B., Loughnan, R., Thompson, W. K., Hsu, L.-Y., Lin, M.-C., Cheng, C.-F., Lai, R.-Y., Su, M.-H., Kao, W.-Y., Werge, T., Wu, C.-S., Schork, A. J., Zaitlen, N., Buil Demur, A., & Wang, S.-H. (2025). Spousal correlations for nine psychiatric disorders are consistent across cultures and persistent over generations. Nature Human Behaviour. Advance online publication. https://doi.org/10.1038/s41562-025-02298-z

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サマリー

このエピソードでは、障がいを持つ人々が同じ障がいを持つ配偶者を選びやすいという研究結果を紹介しています。特に、台湾、デンマーク、スウェーデンの大規模なデータを用いた分析から、文化の違いに関わらずこの傾向が見られることが示されています。

選択的結婚の概要
おはようございます。心理学者のじんぺーです。心理学に触れる一日一語のお時間です。
この番組では、心理学のキーワードを一つ取り上げて、それに関連する最新論文を併せて紹介しています。
今日の一語は、選択的結婚です。英語だとアソーテイティブメイティングと言います。
障がいのある方が配偶者に同様の障がいのある人を選びやすいかどうかということを調べたような、とても大規模な研究かつ文化を比較したような研究を紹介したいというふうに思っています。
本題に入る前にお知らせをさせていただきます。
以前、ポッドキャストの論文を書いたというふうなことを報告させていただいたと思うんですけども、
あの論文について日本語の記事を書きました。ちょっと前にリリースされたんですけども、なかなか報告できていなかったので、こちらでシェアさせていただきたいというふうに思っています。
日本語で3000文字くらいかな書きましたので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
では本題の選択的結婚というところで論文の紹介していきたいと思うんですけど、まず選択的結婚という一語について紹介します。
これは人が自分と似た特徴、例えば教育、性格、健康状態などを持つ相手を選んで結婚する傾向のことを言います。
先ほどみたいに今回の論文は障害のある、障害のがいろいろと種類があって、統合失調症であるとか、鬱であるとか、あとは何があったかな、
9つくらいの障害の種類があるんですけど、それらについてそういう自分と同様の障害のある方を配偶者として選びやすいかということを調べています。
大規模って言ったんですけど、本当に大規模で、主に台湾ですね。台湾の500万組、ちょっと多すぎて意味がわからないんですけど、500万組の配偶者ペアのそういうふうなことが起こりやすい確率を調べたりするのがまず台湾でしょ。
他に、デンマーク、これも57万組、スウェーデン70万組という感じでデータを使っているそうです。これらの国々というのがどれくらいそういう選択的結婚が起こっているかどうかを調べています。
なんでこれができるのかということが気になったんですけど、台湾って結構早くからデジタル化が進んでいて、そういった国民のデータがデータベースになっているというか、というのが大きかったようです。
他の国はちょっとどうなのかがわからないんですけども、500万組というのと1研究者とか1機関が集められるデータ数ではないので、この規模はなかなか見れないなと思って興奮していました。
どういう研究かというと、そういったデータベースみたいなところから家族関係の情報とあとは障害の有無ということがデータとして入っているのでそれを使っているということです。
やっていること自体はすごくシンプルですよね。データ数が大きいなというところが特にNature Human Behaviorという雑誌に載っているんですけど、そういったインパクトのある研究結果になっているのかなというふうに思っています。
世代分析も行っていて、1930年代か90年代、出生年がですね、よって年代ごとの変化も見ているというのも興味深いところかなというふうに思います。
結果早速ご報告しようと思うんですけども、いろんな疾患障害の有無というところで、先ほど言った統合視聴症とか不安障害とかADHDとかいろいろあるんですけど、これらがおおむね性の相関を示していたと。
つまりランダムに配偶者が選ばれる確率よりも高かったということですよね。言い方がややこしいですね。
同様の障害のある方を配偶者として選びやすかったというのが今回のメインの結果になっていて、
かつ台湾、デンマーク、スウェーデンのデータでおおむね数値が一貫していたというのが今回の主な結果になっています。
つまり文化差は限定的だったということです。どの文化でもそういった傾向が見られたというのがとても興味深いところかなというふうに思います。
研究結果の発表
なぜこういうことが起こるかというところでいくつか考察を紹介できればと思うんですけど、
まずは出会いやすさというか、同じような境遇とかにいると教育とか社会環境とかっていうのが一致しやすくて配偶者になりやすいということとか、
あとは自分のすごくタイプの違う人というよりはタイプの近い人。
これは別に障害がある方だけじゃなくて同じ大学に行っているとか、
例えば自分は教育大学でしたけど教員になりたい人同士で出会いやすいという環境とかがあるわけなので、
教員同士もすごく多いんですけど、これ結構分かりやすい例かもしれないですね。
そういったことが起こりやすいというのがまずそういう生活環境とか教育環境の重なりみたいなところで出会いやすさというところかなと思います。
あとは類似性への惹かれやすさみたいなこともあるだろうということで、
自分と似た価値観とか性格とか経験を持つ相手に安心感を覚えやすいというのもよく言われている現象なのでそういうこともあり得るだろうということとか、
価値観・行動パターンが似ていて同居したりとか結婚生活においての衝突が少なく維持しやすい、持続しやすいというのもあり得るだろうとそういったことが言われています。
あと一つ面白い結果を紹介したいんですけど、
いろんな年代の出生者からデータを取っているということを紹介したんですけど、
おおむねどの年代でも似た人で結ばれやすいということが言えるんですけど、
物質使用障害、これは特に薬物・アルコールの使用に関する障害の生むというところで、
その人たちが結ばれやすいかというそこが年代を減るにつれて上昇したということです。
つまり90年代とかの人たちのほうが30年代とかの人たちよりもより似ていたと思う、
考察と社会的影響
同じ障害のある人同士で結ばれやすいということだったようです。
これはあれですね、そういった薬物・アルコールの問題を持つ人というのが社会の中で可視化されやすくなったりとか、
診断がされやすくなったことが禁止しているというふうに言われています。
もう一つ、脅迫症の配偶者相関というのはむしろ低下しているそうです。
これも台湾のデータでですね、低下しているそうです。
これもなかなか興味深い考察がなされていて、
過去には脅迫症の症状が思いと社会的に制約が多かったと、
同じような人としか結婚できない傾向があったんですけど、
最近は精神科の治療が発展してきて、
症状を抱えながらも多様な人と出会ったりとか結婚できる可能性が広がったというのも書かれていて、
これもすごく面白いことだし、精神医療の発展とかの成果だと思うと喜ばしいことなんじゃないのかなというふうにも思っています。
あと別の研究かな、スウェーデンの最近の研究でもそういった低下が確認されているらしくて、
台湾だけじゃなくて北欧の方でも同じような傾向が再現されているというのも面白いところかなと思います。
そんな感じですかね、大規模だし文化も越えて年代も越えてというところで、
とても面白い研究かなというふうに思います。
選択的結婚という言葉ね、ぜひ今日は覚えていただけると嬉しいなというふうに思います。
もう一回言いますかね、人が自分と似た特徴、教育、性格、健康状態などを持つ相手を選んで結婚する傾向のことを言うそうです。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
今日もいい一日にしていきましょう。
新平でした。心を込めて。
10:45

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