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2026/10/01 暮らしの羅針盤(池田政子 #92)
2026-10-03 13:14

2026/10/01 暮らしの羅針盤(池田政子 #92)

「政子の歌物語」第3回 「母」をうたう歌

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サマリー

「まさこの歌物語」第3回として、昭和初期から現代まで、歌に描かれた母親像をたどる。幼い子どもを受け止め、家事を担う母親から、農作業や重労働で家族を支えた母親、親への感謝を語る大人の息子まで、時代ごとの表現が紹介される。後半では、自己犠牲的ではなく陽気な母親や、仕事・子育て・家事の両立に悩む現代の母親の歌も取り上げる。母親を大切に思うことと「母親はこうあるべき」と求めることは別であり、母親一人ひとりの個性や生き方を尊重したいというメッセージで締めくくられる。

歌に描かれた母親像をたどる
FM八ヶ岳 デイ・イン・ライフ 暮らしの羅針盤の時間です。池田政子が担当する第92回です。
このコーナーは、身近な暮らしの中にある男女共同参画やジェンダーの問題を取り上げてお話ししています。
昨年と今年、新年初の放送の時に、テーマを決めて私の好きな歌を選んで聴いていただく企画をしました。
それを聴いてくれた友人から、「まさこの歌物語」というシリーズとして時々やってほしいと言われました。
で、今日はそのシリーズの第3回として、母親・お母さんをテーマにお送りします。
皆さんは、「お母さん」と言った時、どんなイメージをお持ちでしょうか。
昭和の始めから100年くらい経ちますが、その間、歌の中に描かれてきた母親の姿をたどって、そこから母親に何が求められてきたのかを考えてみたいと思います。
まず1曲目は、「みんな違ってみんないい」というフレーズで知られている童謡詩人、金子美鈴の「寂しい時」という詩に、千尋というシンガーソングライターが曲を付けて歌っている歌です。
美鈴は、昭和5年、26歳の時に幼い一人娘を残して自死しています。
離婚を決意した美鈴ですが、夫に娘を渡すよう要求され、絶望してのおことでした。
寂しい時、どうぞお聞きください。
お母さんは、自分の気持ちを理解し、優しくしてくれる人なんですね。
一方で、おとけさまは、自分と同じように感じてくれているというのです。
どちらもありがたい存在ですね。
昭和の童謡に見る家事と受容の母
次は、1939年、昭和14年の童謡、内緒話を聞いていただきます。
続いて、戦後間もない1954年、昭和29年の童謡、中田義直作曲の「お母さん」です。
この歌のお母さんは、洗濯をしてご飯を作ってくれる人です。
この頃は、まだ洗濯機という電化製品は普及していません。
たらいと洗濯板で石鹸を使ってゴシゴシ洗う、手間のかかる労働だったから、シャボンの匂いもしたわけですね。
では、同じく1954年、やはり中田義直作曲の「夕方のお母さん」を続けて聞いてください。
作詞は佐藤八郎、同様、「小さい秋見つけた」と同じコンビです。
3曲続けて聞いていただきました。
幼い子供の目から見ると、母親は誰にも言えないことを話せる人、甘えられる人、そして洗濯をしてご飯を作ってくれる人として歌われています。
家事をして子供の気持ちを受け止めてくれる。
昭和の初めから昭和20年代の歌には、そんな母親像が繰り返し登場します。
それから母親の呼び方は、お母さん、かあちゃん、かあさん、いろいろ出てきましたね。
みなさんは子供の頃、どんな呼び方をしていましたか。
私はお母ちゃんと呼んでいました。
では、大人になり、自分もいろいろな経験を積むと、母親はどう見えるのでしょうか。
働いて家族を支えた母親への回想
1956年、昭和31年に発表された「かあさんのうた」。
作詞・作曲した久保田聡氏は、昭和10年生まれ、戦時中に疎開していた長野県の情景を歌ったとされています。
今日は、馬一生知恵子の歌でお聴きください。
これは、雪深い地方の農家の母親を歌っています。
昭和30年代は、中学を卒業した若者が集団で地方から都市部へ働きに出る、いわゆる集団就職が本格的に行われた時代です。
この青年もそうだったのかもしれません。
冬場畑仕事ができないときに、母親は朝の糸を一日中紡ぐ作業をする。
それは、家族の着る服を作るためだったり、売って現金収入を得るためだったりしました。
そういう作業を一日した後、夜なべをして、囲炉裏のそばで都会に出た息子のために手袋を編む。
そういえば、母さんの手は赤切れがひどかったなぁ、と思い出す。
しんとした冬の夜、せめて両親にラジオでも聴かせてやりたいと。
この歌が作られた昭和31年頃は、まだラジオが情報源と娯楽の主役だった時代でしたが、
当時の高校卒業者の初任給は6,000円前後、一方ラジオは7,000円以上したようで、両親にプレゼントするのは難しかったかもしれませんね。
次は、さらに10年ほど経った1965年、昭和40年の歌です。
前の年には東京オリンピックがあり、白黒テレビの普及が9割を超えたそうです。
やはり、労働する母親を歌っています。
三羽明博の「よいとまけの歌」お聴きください。
大学も出て、エンジニアという当時の先端の仕事をしている男性が苦労苦労で死んでいった、そういう母親のことを思い出しています。
よいとまけというのは、工事現場で地面を突き固めるために何人かで縄を引いて重い重りを持ち上げてドスンと落とす時の掛け声です。
今なら機械がする仕事ですね。
男性に混じって、そういう日雇いの重労働をして自分を育て、大学まで行かせてくれた、貧しい中で懸命に生きた母親のことを歌っています。
『アンマー』と多様な母親像
次に、この歌の10年後、1975年に発表されたグレープの無縁坂を聴いていただきましょう。
これも大人になった息子の立場から、悲しいこと、悔しいこともきっとあったろうけど、それを耐えしのんできたのだと、かみしめるようなささやかなという言葉で母親の人生を思いやっています。
1952年生まれの貞政氏、23歳の時の作品ですので、ここに歌われた母親は昭和初め頃の生まれと考えていいかもしれません。私の母親と同じ世代です。50年前の母親像ですね。
次は一気に30年飛びます。2006年に沖縄出身のカリウシ58というロックバンドがリリースしたアンマーという歌です。アンマーは沖縄の言葉ですが、親しみを込めた母ちゃんに近いとのことです。
バンド名のカリウシは縁起がいいという意味で、58の方は沖縄の大同脈である国道58号から来ているそうです。この歌を作詞作曲したのは、ボーカルとギターを担当している前川慎吾さん。
歌の中に前川さんの慎吾という名前、真実の真に悟ると書く慎吾ですが、その由来も歌われています。どうぞお聴きください。
いかがでしたか。だいぶやんちゃをした男性が、あなたの元に生まれ落ちたことはこんなにも幸せだったと。これはきっと初めて言葉にしたんでしょう。
今頃気づいたけれど、アンマーはもういないのかもしれませんね。そして自分に授かった女の子に、あなたの一番好きな花の名前をつけたと報告して終わります。何の花でしょうね。
リスナーの皆さんは、この歌を親の立場、子供の立場、もしかしたら両方の立場、どんな立場からお聞きくださったでしょうか。
さて、20年前に作られたこの歌を聴いて、心を動かされる方がいる一方で、母親が子供に全てを捧げる存在として描かれていることに違和感を感じる方もいるかもしれません。
働く現代の母親と個性の尊重
そこで次は、アンマーの前年、2005年にリリースされたザ・タチバナーズというロックグループのレッツゴーあたしんちという歌をお送りします。
このお母さんは、思春期の娘には、お母さんに似てるのやだ、息子にはほっといてくれと言われるような、立派でも自己犠牲的でもない飛んでるお母さんです。
ドタバタとでも楽しげな家族の掛け合いですね。
この歌は、これまで聴いていただいた歌と違って、子供たちを励ます陽気な母親自身の声がやっと出てきます。
さらに15年後、2020年には子育てをしながら働く母親が、自分の暮らしを歌っています。
バブリー・タマミというシンガーソングライターの、今日も笑顔で抱きしめてを聴いてください。
職業を持って働きながら、子育ても家事も頑張っている現代のお母さん。
それでも幼い子供に寂しい思いをさせたかも、と悩んでいるんですよね。
今日は、どんな母親像が歌の中で描かれてきたか、100年くらいの時代をたどってみました。
母親を大切に思う気持ちと、母親はこうあるべきだ、と求めることは同じではないと思います。
母親も一人一人の個性を持った存在です。
みんな違ってみんないい。子供たちと同じように、その個性、いろいろな生き方、あり方が尊重される社会でありたいですね。
母親の思い出と秋の夜空
皆さんにとって、お母さんはどんな存在だったでしょう。
また、ご自分が母親である方は、どんなお母さんでありたいと思い、どんな葛藤を経験されたでしょうか。
思い出したくないこともあるかもしれませんね。
そういえば、お父さんをテーマにした歌、どんな歌が思い浮かびますか。
また、機会があれば、そういう歌を集めてみたいと思います。
ではまた、FM八ヶ岳池田雅子がお送りする暮らしの羅針盤、きょうも聴いてくださってありがとうございました。
星月よ、背負われしこの指の先。星月よ、背負われしこの指の先。
星月よは、月が出ていないのに満天の星の光で明るく感じられる秋の夜空のことです。
50年近く前、子供がなかなか寝つかないのに困って、おぶって外を歩き回ったこともありました。
今は懐かしい思い出です。
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