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小さな「ちょんちょん」から始まった、一歩/ 保育士の感動エピソード
2026-10-20 14:20

小さな「ちょんちょん」から始まった、一歩/ 保育士の感動エピソード

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小さなちょんちょんから始まった一歩。 今日は生活の中にあった感動についてお話しします。
年少さんになって初めて保育園で集団生活を始めた、A子ちゃんのお話です。 A子ちゃんは好き嫌いが多く、食べることがあまり得意ではありませんでした。
入園の時、お母さんから、家でもあまりご飯を食べないんです。 お菓子は食べるんですけどね、と聞いていました。
年少さんになったばかりのA子ちゃんは、まだ3歳です。 新しい場所、新しい先生、初めて一緒に過ごす友達、毎日が初めてのことばかりです。
そんなA子ちゃんにとって、給食の時間もまた、慣れないことの一つだったのだと思います。
私たちの園では、主食は家から持ってきてもらっていました。 おにぎりの日もあれば、パンの日もあります。
A子ちゃんは、持ってきたご飯と、お味噌汁の汁は口にすることがありました。 でも、おかずはほとんど食べません。
特に野菜は苦手でした。 給食の時間になると、それまでの元気いっぱいな姿が、少しずつ静かになっていきました。
食べることが好きな子なら、楽しみに待つ時間かもしれません。 でも、A子ちゃんにとっては、苦手なものが目の前に並ぶ時間でした。
私たちは、どうしたらA子ちゃんが少しでも、安心して給食の時間を過ごせるだろう、と考えました。
おかずを小さくしてみたり、一口だけでもいいよ、と声をかけてみたりしました。
食べられそうな大きさにして、そっとお皿に置いてみることもありました。
それでもA子ちゃんは、口を開けようとしません。 食べ物を口元に持っていくと、顔をぷいっと横に向けます。
一口だけでもいいよ、そう言っても、A子ちゃんには、一口がとても大きなことだったのかもしれません。
私たちが食べてほしいと思う気持ちだけでは、A子ちゃんの心を動かすことはできませんでした。
そこで、クラスの先生たちと話し合いました。
一口食べることを目標にするのではなく、まずは食べ物に触れるところから始めてみよう。
口に入れなくてもいい。お箸でちょんと触れられたら、それで十分だよね。
私たちは、A子ちゃんが無理をせずにできることを一緒に考えました。
最初は、自分のお箸で苦手なおかずに触れてみること。
次は、そのお箸を自分で口元まで持っていくこと。
口に入らなくても、口元まで運べたら、それで大丈夫。
今日はここまでできたね。
そうやって、小さな一歩を大事にしていくことにしました。
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給食の時間は、食べることだけを頑張る時間ではありません。
みんなで食卓を囲み、友達や先生と話しながら過ごす時間でもあります。
A子ちゃんが給食を嫌いになってしまわないように、
食べる時間が苦しい時間にならないように、
私たちは急いで結果を出そうとせず、A子ちゃんのペースを見守ることにしました。
食べてみよう。一口だけ頑張ろう。
そんな言葉を重ねるよりも、まずは給食の時間を安心して過ごせること、
お箸を持てたこと、食べ物に触れられたこと、口元まで運べたこと、
その一つ一つを一緒に喜ぶことを大切にしました。
初めてから一週間もしないうちに、A子ちゃんは自分でお箸を持ち、
苦手なおかずを口元まで運べるようになりました。
口に入れなくても、口元まで持っていけたらそれでまるです。
私たちはその日のA子ちゃんにできたことを見つけて声をかけました。
今日は自分でお口に3回もつけられたね。
今日は4回もできたね。頑張ったね。
毎日同じようにできるわけではありません。
よくできる日もあれば、今日はチョンチョンするのは無理と気持ちが向かない日もあります。
そんな日は無理に続けることはしません。
じゃあ今日は先生がチョンチョンしてみようか。
A子ちゃんの様子を見ながら、いつもより少しだけにしてみる日もありました。
何回できたかを競うのではなく、その日のA子ちゃんができるところまでで終わりにする。
明日またやってみようと思えるように、給食の時間を終えることを大切にしました。
少しずつA子ちゃんの方から伝えてくれるようになりました。
先生、お口にチョンチョンできたよ。
その言葉を聞いた時、私はとても嬉しくなりました。
自分からできたことを知らせてくれたのです。
もう自分でチョンチョンできるようになったの?素敵ね。
教えてくれてありがとう。先生、そのチョンチョンできたところを見たいな。もう一回見せてくれる?
A子ちゃんはもう一度お箸でおかずに触れ、口元まで運びました。
うん、頑張ったね。見せてくれてありがとう。
それだけ伝えて、無理に次は食べてみようとは言いませんでした。
自分でできたと感じた気持ちを大切にしたかったからです。
給食の時間に少しずつ変化が見られるようになりました。
ある日、A子ちゃんの前に座っていたB子ちゃんが野菜炒めを見て言いました。
この野菜炒め、嫌だな。
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そう言いながらもB子ちゃんは自分で口に運びました。
でも頑張って食べる。そう言ってパクッと食べたのです。
A子ちゃんはその様子をじっと見ていました。
私たち保育士もA子ちゃんがどうするのか静かに見守っていました。
先生たちは目を合わせ、A子ちゃんどうするかなと言葉には出さずに見守っていました。
するとA子ちゃんは野菜炒めのキャベツにお箸を伸ばしました。
そしてキャベツを前歯でガジッと噛んだのです。
その瞬間、私たちは驚きました。
でもそこで大きな声で、食べられたねと声をかけることはしませんでした。
せっかく自分で選んだ一歩を注目されることで負担に感じてほしくなかったからです。
私たちは目を合わせながらA子ちゃんの姿を見守りました。
給食が終わり、お昼寝の前に私はA子ちゃんにそっと声をかけました。
A子ちゃん、今日はキャベツをガジッとしていたね。
A子ちゃんは舌を向いて小さくなずきました。
先生たちみんなで見ていたよ。頑張ったね。
そう伝えるとA子ちゃんは少し照れくさそうににっこり笑いました。
私はそれ以上は何も言いませんでした。
食べられたね。次も頑張ろうねと続けるのではなく、見ていたことと頑張ったことを伝える。
それで十分だと思ったのです。
その後もA子ちゃんの食べる量は少しずつ変わっていきました。
入院して1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、夏が近づく頃には自分でご飯を食べたり、おかずを口にしたりする姿が増えていきました。
そこで私たちはA子ちゃんが食べられる分を自分で決める方法を取り入れました。
どのくらい食べられそうかな。
一人分を全部食べることを目標にするのではなく、ピーマンを一かけらにするのか、スプーンいっぱいにするのか、A子ちゃん自身に決めてもらいます。
自分で決めた量を食べ切る。食べられたら食べられたという経験になる。
その経験がA子ちゃんの自信につながっていきました。
自分で選んだ量を食べ終えると、A子ちゃんは食べたよ、食べられたよと伝えてくれるようになりました。
自分で決めて、自分で食べて、できたことを感じる。その積み重ねが次の日の一歩につながっていたのだと思います。
もちろん毎日同じ量を食べられるわけではありません。その日の体調や気分によって食べられる量は変わります。
けれど、A子ちゃんが自分で決めた量を食べられる日が増えていくにつれて、その量も少しずつ増えていきました。
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保護者の方にも縁での様子をお伝えしました。
おうちではなかなか食べないですと話してくださるお母さんに、縁で少しずつ挑戦していることや、自分で決めた量を食べられるようになってきたことをお伝えすると、お母さんもとても喜んでくださいました。
おうちで食べないことを心配されていたお母さんに、縁での姿を伝えられること、縁での小さな変化を一緒に喜べること、それもまた保育園と家庭がつながる大切な時間だと感じました。
年少さんの終わり頃には、A子ちゃんはみんなと一緒に給食を食べられるようになりました。
一人分の量を全部食べていたわけではありません。
それでも自分で決めた量を食べ終えることができるようになっていました。
それは食べる量だけの変化ではありませんでした。
最初はおかずを前にすると、顔を横に向けていたA子ちゃんが、
自分でお箸を持ち、食べ物に触れ、口元まで運び、そして自分で食べてみる。
少しずつ自分で選び、自分で挑戦する姿が見られるようになりました。
その変化の中には、先生との関係だけでなく、友達の姿から受け取ったものもあったのだと思います。
目の前のB子ちゃんが苦手な野菜を食べる姿を見たこと、
友達が頑張る姿をそばで感じたこと、
それがA子ちゃんの自分もやってみようという気持ちにつながったのかもしれません。
子どもたちは先生の言葉だけで育つのではありません。
友達の姿を見たり、友達の言葉を聞いたりしながら、
互いに影響を受け、集団の中で成長していきます。
保育士がこうしようねと教えることも大切です。
でも、子どもたち同士だからこそ届く言葉や、子ども同士だからこそ生まれる気持ちがあります。
A子ちゃんが友達の姿を見てキャベツをガジッと噛んだあの瞬間、
私たち保育士は子どもたちの中にある力を改めて感じました。
そして、今日すぐに食べられるようになることだけが成長ではないのだとも気づきました。
食べ物にジョンと触れたこと、口元まで運べたこと、
自分から先生に知らせてくれたこと、
友達の姿を見つめていたこと、
前歯でガジッと噛んだこと、
自分で食べる量を決めたこと、
一つ一つは小さなことに見えるかもしれません。
でも、A子ちゃんにとってはどれも大切な一歩でした。
12:00
私たちが急いで結果を求めていたら、
A子ちゃんの今日はここまでならできるという気持ちを
見落としてしまっていたかもしれません。
食べることを無理にさせず、給食の時間を嫌いにさせず、
A子ちゃんのペースを待つ、その時間があったからこそ、
A子ちゃん自身がやってみようと思う日につながったのだと思います。
子どもの成長は、保育士が言葉で促すだけで進むものではありません。
子ども自身が安心できること、周りにいる友達の姿、
毎日の繰り返し、そのすべてが重なって、
少しずつ目を出していくのだと感じました。
給食の時間という毎日繰り返される生活の中に、
A子ちゃんの成長がありました。
苦手なものを前にして顔を横に向けていたA子ちゃんが、
自分のお箸でジョンと触れる、やがて口元まで運ぶ、
友達の姿を見てキャベツをガジッと噛む、
そして自分で決めた量を食べる、
その一つ一つを私たちはそばで見守りました。
子どもたちの力は本当にすごいです。
大人が思っているよりも、
子どもたちは自分の力で考え、感じ、
次の一歩を踏み出していきます。
今日、食べられたかどうかだけではなく、
今日のA子ちゃんがどんな気持ちで給食の時間を過ごしたのか、
何に興味を持ち、どんな一歩を踏み出したのか、
その姿を見つけていくことが、
子どもの成長を支えることにつながるのだと感じます。
給食の時間に見えたA子ちゃんの小さな一歩、
毎日の生活の中でその一歩を一緒に喜べたことが、
私にとって大切な感動です。
皆さんの保育の中にも、
毎日の生活の中で見つけた子どもの小さな変化はありますか?
その変化を見つけたとき、どんなふうに受け止めていますか?
子どもたちの力を信じて急がず、比べず、
その子らしい一歩を一緒に見守っていきたいですね。
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