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令和8年度改定|結核病棟の必要度除外と加算増点をやさしく解説
2026-08-10 07:20

令和8年度改定|結核病棟の必要度除外と加算増点をやさしく解説

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結核の入院患者数は、長期にわたって減り続けている。日本は2021年に結核低まん延国となり、2024年の罹患率は人口10万人当たり8.1まで低下した。この患者減少により、結核病棟を維持することが難しくなっているうえ、重症度、医療・看護必要度や平均在院日数の基準を満たすことが困難な事例も生じている。そこで本稿は、令和8年度診療報酬改定の個別改定項目「Ⅲ-6-③ 結核に係る入院医療提供体制の確保」について、変更点と実務対応を解説する。

今回の改定は、結核患者を評価対象から外す2つの除外規定と、結核病棟入院基本料の加算増点という3つの柱で構成される。第1に、ユニット化病床では、一般病棟と結核病棟の両病棟全体で評価する場合に限り、結核患者を重症度、医療・看護必要度の評価対象から除外する。第2に、モデル病床等では、結核患者を重症度、医療・看護必要度の評価対象と平均在院日数の算出対象の双方から除外する。第3に、結核病棟入院基本料の入院期間に応じた加算は、14日以内の期間が400点から600点になるなど、4区分すべてで増点される。

1. 改定の背景:結核病棟を単独で維持できなくなっている

改定の背景には、患者減少と基準未達という2つの事実がある。結核患者の減少は結核病床の利用率を押し下げ、都道府県は病棟以外の受け皿を組み合わせて体制を保っている。その受け皿に入院する結核患者は、急性期一般入院料が求める基準から大きく外れた特性を持つ。

結核患者の減少は、結核病床の利用率低下という形ではっきり表れている。結核病床の利用率は、1984年の56.5%から2023年の26.8%まで下がった。結核病床数は都道府県によるばらつきが大きく、100床未満の県が多数を占める。年間の菌喀痰塗抹陽性肺結核患者数も、100人未満の県が大半である。

この患者減少に対応するため、都道府県は3つの類型を組み合わせて受入体制を構築している。第1の類型がユニット化病床であり、平均入院患者数が概ね30名程度以下の小規模な結核病棟を一般病棟と併せて1看護単位とする仕組みである(38医療機関571床、令和3年4月1日時点)。第2の類型がモデル病床であり、結核患者収容モデル事業で指定された一般病床または精神病床を指す(107医療機関482床、令和6年4月1日時点)。第3の類型が感染症病床であり、他の患者と同室にしない条件を守れる場合に結核患者を入院させられる(359医療機関1,797床の内数、令和6年4月1日時点)。

これら3類型に入院する結核患者は、一般病棟の基準を満たしにくい。急性期一般入院料1の重症度、医療・看護必要度Ⅱは、割合①20%、割合②27%を該当基準とする。これに対し、7対1の結核病棟における該当患者割合は、割合①5.6%、割合②9.8%にとどまる。モデル病床等における結核患者も、割合①6.1%、割合②12.0%と低い。平均在院日数はさらに差が大きく、モデル病床の結核患者は59.5日と、急性期一般入院料1の基準16日を大幅に上回る。

2. 見直し①:ユニット化病床の必要度評価から結核患者を除外する

第1の見直しは、ユニット化病床において、重症度、医療・看護必要度の評価対象から結核患者を除外する取扱いである。現行では、7対1の結核病棟が単独で基準を満たせない場合に、一般病棟と結核病棟の両病棟全体で評価してよいとされている。この全体評価を行う場合に、結核患者を評価対象から外すことが今回明確化された。

除外の対象となるのは、両病棟全体で評価する場合に限られる点に注意が必要である。施設基準の通知では、評価対象から除外する患者として、従来の「産科患者」「15歳未満の小児患者」に「結核患者」が加わった。ただし結核患者の除外は、両病棟全体で評価を行う場合、モデル病床に入院する場合、感染症病床に入院する場合の3つに限定される。したがって、原則どおり一般病棟と結核病棟で別々に評価する場合には、結核患者は従来どおり評価対象に含まれる。

なお、ユニット化病床のその他の要件は変わらない。看護配置基準が同じ入院基本料を算定することという条件は維持される。結核病床を構造上区分するなど、医療法が定める構造設備の基準を守ることも従来どおりである。平均在院日数を一般病棟のみで計算する取扱いも、変更されない。

3. 見直し②:モデル病床等の必要度と平均在院日数から結核患者を除外する

第2の見直しは、モデル病床等において、重症度、医療・看護必要度と平均在院日数の両方から結核患者を除外する取扱いである。モデル病床等の結核患者は、これまで一般病棟全体の評価に含まれていた。合併症や精神疾患を持つ長期入院の患者が一般病棟の分母に加わることで、基準達成が難しくなっていた実態を踏まえた見直しである。

平均在院日数については、施設基準の別表第二に2つの区分が新設された。1つ目が「二十五」であり、結核の治療が必要な者のうち、一般病床または精神病床に入院する結核を主病とする患者であって、(1)合併症が重症または専門的高度医療若しくは特殊医療を必要とする患者、(2)合併症が結核の進展を促進しやすい病状にある患者、(3)入院を要する精神障害者である患者、のいずれかに該当する者を対象とする。2つ目が「二十五の二」であり、医療法施行規則第10条第5号の規定により感染症病床に入院する、結核を主病とする患者を対象とする。

重症度、医療・看護必要度については、施設基準の通知に除外規定が追加された。除外の対象は、結核患者収容モデル事業を行う一般病床または精神病床に入院する場合と、医療法施行規則第10条第4号により感染症病床に入院する場合である。ここで注意したいのは、平均在院日数側と必要度側で規定の書きぶりが異なる点である。平均在院日数側の別表第二「二十五」は、合併症や精神障害に関する3つの要件を明記する。これに対し必要度側の通知は、「結核患者収容モデル事業」を行う一般病床または精神病床に入院する場合と規定するにとどまる。なお、別表第二の3要件は、モデル事業実施要領が定める収容要件と同じ内容である。

この見直しにより、モデル病床等を持つ一般病棟の基準達成は現実的な水準に近づく。平均在院日数59.5日という長期の結核患者が算出の対象から外れるため、一般病棟の平均在院日数は短縮方向に働く。該当患者割合が6.1%と低い結核患者が外れることで、必要度の該当割合も改善する。結果として、合併症を持つ結核患者の受入れが、一般病棟の施設基準を圧迫しにくくなる。

4. 見直し③:結核病棟入院基本料の入院期間加算を増点する

第3の見直しは、結核病棟入院基本料の入院期間に応じた加算の増点である。結核患者の入院患者数が減る中で、結核医療の提供を持続的に確保することが増点の理由とされている。4つの期間区分すべてで点数が引き上げられ、引上げ幅は最大200点に達する。

改定案と現行の対比は、次のとおりである(「現行 → 改定案」の順、カッコ内は増点幅)。

* 14日以内の期間:400点 → 600点(+200点)

* 15日以上30日以内の期間:300点 → 480点(+180点)

* 31日以上60日以内の期間:200点 → 360点(+160点)

* 61日以上90日以内の期間:100点 → 120点(+20点)

特別入院基本料等を算定する場合の点数は、次のとおりである。

* 14日以内の期間:320点 → 500点(+180点)

* 15日以上30日以内の期間:240点 → 400点(+160点)

* 31日以上60日以内の期間:160点 → 300点(+140点)

* 61日以上90日以内の期間:区分の設定なし

増点の重心は、入院60日目までの期間に置かれている。14日以内は1.5倍、15日以上30日以内は1.6倍、31日以上60日以内は1.8倍となる。一方で61日以上90日以内は1.2倍にとどまる。特別入院基本料等以外を算定する病棟で患者1人が90日間入院したと仮定すると、この加算だけの合計は現行の19,400点から改定案の30,480点となり、11,080点の増となる。長期入院を促すのではなく、受入れ初期から中期の体制コストを手厚く評価する設計といえる。

なお、この増点はあくまで結核病棟入院基本料の加算である。モデル病床や感染症病床に入院する結核患者は、一般病棟の入院基本料等を算定するため、この加算の対象にならない。増点の効果を試算する際は、自院のどの病床で算定しているかを取り違えないようにしたい。

5. 実務対応:改定前に確認すべき3つのポイント

医療機関が確認すべき実務のポイントは3つある。自院の病床類型の整理、除外対象患者の判定と記録、増点を織り込んだ収支の見直しである。いずれも、届出内容と日々の必要度評価に直結する。

第1に、自院の結核病床がどの類型に当たるかを整理する。ユニット化病床、モデル病床、感染症病床のいずれに該当するかで、適用される除外規定が変わるためである。ユニット化病床では、両病棟全体で評価しているかどうかによって、結核患者を除外できるかが分かれる。

第2に、除外対象となる結核患者の判定基準と記録方法を定める。平均在院日数の算出から除外できるのは「結核を主病とする患者」であり、一般病床または精神病床の患者には合併症や精神障害に関する3要件のいずれかへの該当も求められる。一方、必要度の除外は入院している病床の類型で規定されている。根拠となる規定が両者で異なるため、どちらの除外に当たるかを患者ごとに記録しておきたい。なお、資料上、感染症病床に関する引用条項は、平均在院日数側が医療法施行規則第10条第5号、必要度側が同条第4号と記載されている。告示・通知の正式発出時に条項を確認することをおすすめする。

第3に、加算の増点を織り込んで結核病棟の収支を見直す。入院期間区分ごとの点数が変わるため、レセプトコンピュータのマスタ更新が必要になる。自院の平均在院日数と入院患者数を用いて、増点による診療報酬の変化を試算しておくとよい。

まとめ:3つの見直しが結核患者の受入体制を支える

令和8年度診療報酬改定は、結核患者の受入体制を確保するため、3つの見直しを行う。第1に、ユニット化病床では、両病棟全体で評価する場合に結核患者を重症度、医療・看護必要度の対象から除外する。第2に、モデル病床等では、結核患者を重症度、医療・看護必要度の対象と平均在院日数の算出対象の双方から除外する。第3に、結核病棟入院基本料の入院期間に応じた加算を、最大200点増点する。患者減少が続く中でも結核医療を提供し続けられるよう、評価の物差しと点数の両面から手当てする改定といえる。



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サマリー

結核患者の激減により、結核病棟を維持する病院が経営難に直面している現状を受け、令和8年度診療報酬改定ではその救済策が講じられます。具体的には、ユニット化病床やモデル病床における結核患者の重症度、医療・看護必要度および平均在院日数の評価からの除外、そして結核病棟入院基本料の加算増点という3つの柱で構成されます。これにより、長期入院が必要な複雑な結核患者の受け入れ体制を維持し、感染症対策という社会インフラを守ることを目指します。

結核患者減少がもたらす医療現場の危機
あの恐ろしい病気が減っていくって聞くと まあ普通は素晴らしいことだって思うじゃないですか
ええまさに人類の勝利っていう感じがしますよね ですよねでもその大成功のせいであの私たちを救ってくれるはずの病院そのものが
経営のピンチに陥っているとしたらどうでしょう それはちょっと直感に反するというか驚きですよねそうなんですよ
ということで今回もリスナーのあなたがシェアしてくれた資料 令和8年度の診療報酬改定について深掘りしていきましょう
はい今回はかなり興味深いテーマですよね 今回のミッションはその血核患者が激減したことで逆に医療現場がピンチに陥ったっていう奇妙な
パラドックスと国がどうやってその救済に乗り出しているのかを解明することです いただいたデータを見るとあの数字の落ち込みが本当に衝撃的なんですよ
例えば2024年の血核の罹患率なんですが 人口100万人あたりでわずか8.1まで低下しているんです
8.1ですかそれってかなり少ないですよね それで1984年に56.5%もあった血核病床の利用率がですね
2023年にはなんと26.8%にまで激減してしまって半分以下ってことですよね つまり空きベッドばかりになってしまったとその通りです
なので都道府県も対応を変えざるを得なくて 血核専用の病棟を単独で維持するのはもう無理だということで
ああなるほどそれで一般病棟の中に血核患者を受け入れる あのユニット化病床とかモデル病床っていう仕組みを作ったわけですね
看護必要度と平均在院日数のパラドックス
ええただここで巨大な壁にぶつかってしまうんです その根本にあるのが看護必要度という指標なんですが
看護必要度ですか
はい簡単に言うと点滴とか寝返りの解除とか その患者さんにどれくらい直接的な医療ケアが必要かを図る
毎日のチェックリストみたいなものですね なるほど一般病棟はこのスコアを高くたまたないと国からの評価とか資金が維持できない
ルールなんですよねそうなんです ところが血核患者さんはこのスコアを劇的に下げてしまうんですよ
どうしてですか資料を見るとモデル病床での平均在院日数は59.5日って書いてあって 一般病棟の基準が16日ですから大幅にオーバーしてますよね
かなり長いです なのにどうしてスコアが下がるんですか
長く入院しているなら手厚いケアが必要なんじゃないかって思っちゃうんですけど そこがまさに確信なんですよ
あの血核の治療って菌が完全に死滅するまで長期間の隔離等 あと飲み薬の継続が絶対条件になるんです
あー隔離が必要なんですねそうです だから患者さん自身は熱が下がって体調が回復して元気になっても外には出られない
わけです あなるほど元気だからこそ毎日の点滴とか手術後寝会な濃厚な医療措置は必要ないって
ことですか その通りです結果として長く入院しているのに日々の看護スコアは極端に低い
っていうシステム上すごく不利な状態が生まれてしまうんです 完全に理解しましたこれってあれですよね
火事が激減した街にある巨大な専用消防署みたいなものですよね あー消防署ですかはいいざという時の感染症対策として絶対に街には必要なんですけど
毎日の出動効率みたいな 平常時のビジネスルールで評価されちゃうと維持なんて不可能じゃないですか
いやまさにその通りですね見事な例えです これを全体像と結びつけると単なる病院側の書類上の愚痴じゃないってことが
わかりますよね 日本の感染症受入インフラそのものを脅かす構造的な欠陥だったってことですよね
ユニット化病床における評価除外
はい社会の安全網を守る病院がルールによって逆にペナルティーを受けていたわけです から
じゃあこの理不尽なペナルティーを取り除くために今回の改定が行われるわけですね 解決策の3つの柱について教えてもらえますか
はい まず第1位一般病床と混在するユニット化病床では全体評価の時に血格患者をその看護必要度の
計算から除外することになりました なるほど計算に入らないんですね
モデル病床等での評価・日数除外とその意義
第2の柱はどうですか 第2にモデル病床などでは看護必要度だけじゃなくて足を引っ張っていた平均在院日数の計算からも除外されるんです
双方からですね ついに病院を縛っていた思いやしかせを斜ち切ったわけですね
でもあのちょっと意地悪な見方をさせてもらうと はい何でしょう
これって単なるお役所的な抜け道じゃないですか なんか数字の見た目が悪くなるから計算から外して長尻を合わせようみたいな
まあそう聞こえるかもしれないんですけどここで興味深いのはこれが現場を守るための 極めて現実的な防波堤だっていう点なんですよ
防波堤ですかどういうことでしょう 実は現在の血格患者さんって重い合併症とか精神疾患を抱えているケースが多くて
どうしても治療が長期化して難航しがちなんです あーなるほど単純な血格だけじゃないんですねそうなんです
だからこの除外ルールは最も困難な患者を最後まで見捨てずに受け入れても 病院側には絶対に損をさせないっていう国からの強いメッセージなんですよ
そういうことだったんですね現場を守るための盾だと で第3の柱が加算の増点ですよね
はい 入院14日以内の場合400点から600点へと最大200点も引き上げられます
200点アップって大きいですよね この設計がまた絶妙でして点数アップの重心が入院60日目までに置かれているんです
60日目までそれってどういう意味があるんですか つまりいつまでも長く入院させて利益を出してねっていうハクシコキットじゃないんです
血格患者を受け入れる初期から中期にかけての厳重な隔離体制の構築とか 感染対策にかかる莫大なコストに対してピンポイントで手厚く資金を投入しているんですよ
すごく利にかなえていますねとなると医療機関にとっては単にやった 計算が楽になるぞっていう話じゃなくてかなり複雑な移行作業が待っていそうです
そうなんですよ実務としては大仕事になりますですよね 病院側は自分のベッドがどの類型か再整理して根拠となる法律の条項にあわてて
患者の除外判定を正確に記録してさらにこの増点を踏まえて病院全体の収支を見直す 必要があると
結核病棟入院基本料の加算増点
そしてこれはリスナーの皆さんにも考えていただきたい重要な問題を提起しているんですよ なんでしょうか
医療が進歩してかつて猛威をふるった病気が減っていく中で私たちはもしものための 命のインフラを目先の利益や効率主義の中でどう維持していくべきかということです
いや考えさせられますね 今聞いているあなたもぜひ周囲を見渡してみてください
身近なところにもあるかもしれません あなたの身近な社会インフラにもあの火事が減った町の消防署のように間違った効率のもの
指しで図られて密かに存続の危機にあるものはないでしょうか 平常時の効率だけで命のセーフティーネットは測れないということですね
次に町を歩くとき少し違った視点で社会の仕組みが見えてくるかもしれませんね それではまた次回の深掘りでお会いしましょう
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