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【令和8年度改定】入院医療の全18項目を総整理|Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備を完全網羅
2026-03-25 06:32

【令和8年度改定】入院医療の全18項目を総整理|Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備を完全網羅

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令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携を推進するため、入院医療の評価体系が大幅に見直されます。個別改定項目「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」には18の項目が含まれます。この記事では、18項目の全体像を5つのグループに分けて解説します。

18項目に共通するのは、病院の機能と実績に応じた評価の強化です。急性期入院医療では、救急搬送件数や手術件数の実績が入院基本料や管理料の施設基準に組み込まれます。高度急性期の管理料は区分が簡素化され、実績要件が新設されます。地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設の各病棟では、患者の状態と医療資源投入量をより適切に反映する評価に改められます。看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPSでは、看護体制の強化、高額薬剤への対応、包括払いの精緻化が行われます。短期滞在手術・地域加算・看護補助者の名称変更では、手術の外来移行促進や地域手当の再編が実施されます。

①〜④ 急性期入院医療の4つの見直し

急性期入院医療では、入院基本料の新設、看護必要度の見直し、加算の統合、特定機能病院の区分再編の4つが実施されます。いずれも、病院の機能に着目した評価を強化する内容です。

① 急性期病院一般入院基本料等の新設では、救急搬送件数や全身麻酔手術件数の実績を施設基準に組み込んだ新たな入院基本料がA・Bの2区分で新設されます。急性期病院Aは1日につき1,930点(7対1、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上)、急性期病院Bは1日につき1,643点(10対1、4つの選択肢から1つを充足)です。

② 重症度、医療・看護必要度の見直しでは、A/C項目の対象治療等の追加、救急患者応需係数の新設、B項目測定の柔軟化の3点が改定されます。救急患者応需係数は、病床あたり年間救急搬送受入件数に0.005を乗じた数(上限10%)を基準該当割合に加算する仕組みです。

③ 急性期総合体制加算の新設では、総合入院体制加算と急性期充実体制加算が統合され、5区分に再編されます。加算1は14日間合計5,500点で、最も高い総合性と集積性が求められます。加算5は人口20万人未満の地域への配慮を目的とした新設区分です。

④ 特定機能病院入院基本料の見直しでは、全88病院に適用されていた一律の評価がA・B・Cの3区分に再編されます。7対1の点数はAが2,146点、Bが2,136点、Cが2,016点です。

▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】急性期入院医療の4つの見直し|入院基本料・必要度・加算・特定機能病院を総整理

⑤〜⑧ 高度急性期入院医療(ICU・HCU・救命救急・SCU)の見直し

高度急性期入院医療では、4つの管理料に共通して「実績に応じた評価」が導入されます。区分の簡素化と実績要件の新設が主な改定内容です。

⑤ 特定集中治療室管理料の見直しでは、広範囲熱傷の区分統合により6区分から3区分に簡素化されます。管理料1には救急搬送件数年間1,000件以上、全身麻酔手術件数年間1,000件以上、小児関連病床5割以上の病院では全身麻酔手術年間500件以上、のいずれかを満たす実績要件が新設されます。広範囲熱傷への対応は「広範囲熱傷管理加算」(200点)として独立します。重症度、医療・看護必要度には「蘇生術の施行」等3項目が追加され、SOFAスコアの患者割合要件は1割から2割に引き上げられます。

⑥ ハイケアユニット入院医療管理料の見直しでは、実績要件の新設、重症度・医療看護必要度の見直し、点数引き上げの3つが実施されます。HCU管理料1は6,889点から7,202点に、管理料2は4,250点から4,501点にそれぞれ引き上げられます。実績要件を満たせない既存届出治療室には、注5による救済措置(4,401点)が新設されました。

⑦ 救命救急入院料の見直しでは、4区分から2区分に統合されます。広範囲熱傷の区分(入院料3・4)は廃止され、「広範囲熱傷管理加算」に移行します。番号体系も再編され、現行の入院料2(2対1看護)が新しい「入院料1」に、現行の入院料1(4対1看護)が新しい「入院料2」になります。

⑧ 脳卒中ケアユニット入院医療管理料の見直しでは、超急性期治療に関する実績要件が新設されます。「超急性期脳卒中加算」と「経皮的脳血栓回収術」の合計が年間20回以上であることが施設基準に追加されます。

▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】ICU・HCU・救命救急・SCUはこう変わる|区分統合・実績要件・点数を一覧解説

⑨〜⑫ 地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設の見直し

地域包括医療病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟、障害者施設等入院基本料の4項目では、患者の状態と医療資源投入量をより適切に反映させる見直しが行われます。

⑨ 地域包括医療病棟の見直しでは、入院料が手術・緊急入院の有無で3区分(イ・ロ・ハ)に再編されます。入院料1(急性期病棟を併設しない医療機関向け)と入院料2に分かれ、最高点は入院料1・イの3,367点です。85歳以上の患者割合に応じた平均在院日数の緩和も導入されます。

⑩ 回復期リハビリテーション病棟入院料等の見直しでは、9つの変更が行われます。入院料1を対象とした「回復期リハビリテーション強化体制加算」(80点/日)の新設、入院料2・4への実績指数32以上の基準新設、全日のリハビリテーション提供体制の基本要件化が主な内容です。全入院料で点数が引き上げられ、入院料1は2,229点から2,346点になります。

⑪ 療養病棟入院基本料の見直しでは、医療区分2・3の内容が見直されます。感染症処置と他の処置の併施時に医療区分3として評価されるほか、末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全の3疾患が非がん緩和ケアとして医療区分2に追加されます。入院料2の医療区分2・3患者割合は5割から6割に引き上げられます。

⑫ 障害者施設等入院基本料等の見直しでは、廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた体系に変更されます。ただし、廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は対象外です。

▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】入院医療の見直し4項目を総まとめ|地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設

⑬〜⑮ 看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPSの見直し

看護体制の強化、高額薬剤への対応、包括払い制度の精緻化を目的とした3つの見直しが行われます。

⑬ 障害者施設等入院基本料における看護補助者に係る加算の見直しでは、看護補助加算と看護補助体制充実加算の算定可能期間が入院31日目以降に拡大されます。看護補助加算には「ハ イ及びロ以外」(50点)が追加され、看護補助体制充実加算にも入院31日目以降の新区分(加算1:60点、加算2:55点、加算3:51点)が設けられます。

⑭ 入院料に包括されない除外薬剤・注射薬の範囲の見直しでは、生物学的製剤とJAK阻害薬が全入院料共通の除外薬剤に追加されます。回復期リハビリテーション病棟入院料等には抗悪性腫瘍剤・医療用麻薬・腎性貧血治療薬が追加されるほか、複数の別表が一つに統合されます。

⑮ DPC/PDPSの見直しでは、5つのポイントが改定されます。DPC標準病院群が「標準病院群1」と「標準病院群2」に細分化されること、機能評価係数Ⅱの複雑性係数の算出方法が変更されること、地域医療係数に4疾患領域の評価が導入されること、入院期間Ⅱが変動係数の低い分類で中央値に移行すること、再転棟時の期間制限が撤廃されることが主な内容です。

▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】入院医療の評価見直し3項目|看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPSを解説

⑯〜⑱ 短期滞在手術・地域加算・看護補助者の名称変更

入院医療の提供体制に関する3つの見直しが行われます。手術の外来移行促進、地域手当の再編、加算名称の明確化が目的です。

⑯ 短期滞在手術等基本料の見直しでは、4つのポイントで包括的に改定されます。基本料1の「ロ イ以外の場合」がほぼ半額に引き下げられること、基本料3の対象手術が追加されること、DPC対象病院での基本料3算定に統一されること、外来実施率が高い手術の点数差縮小と「入院手術対応加算」の新設が行われます。

⑰ 地域加算の見直しでは、令和6年の人事院勧告に伴い、級地区分が7段階から5段階に再編されます。点数体系は18点・14点・11点・7点・4点の5段階に整理されます。点数が著しく変動する地域には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。

⑱ 看護補助者に係る加算の名称の見直しでは、療養病棟入院基本料等4つの入院料の「看護補助体制充実加算」が「看護補助・患者ケア体制充実加算」に改称されます。直接患者ケアの評価内容を名称に反映させるための変更です。

▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】入院医療の提供体制整備|短期滞在手術・地域加算・看護補助者の3項目を解説

まとめ

令和8年度改定の「Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備」では、入院医療に関する18項目が見直されます。急性期入院医療(①〜④)では、救急搬送件数・手術件数の実績を施設基準に組み込んだ入院基本料の新設と、加算の統合・区分再編が行われます。高度急性期入院医療(⑤〜⑧)では、ICU・HCU・SCUの3つの管理料に実績要件が新設され、ICUと救命救急入院料では区分が簡素化されます。地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設(⑨〜⑫)では、患者の状態と医療資源投入量をより適切に反映する評価に改められます。看護補助加算・除外薬剤・DPC(⑬〜⑮)では、看護体制の強化、高額薬剤への対応、包括払いの精緻化が実施されます。短期滞在手術・地域加算・看護補助者の名称(⑯〜⑱)では、手術の外来移行促進と地域手当の再編が行われます。各医療機関は、自院が該当する項目を特定し、届出や体制整備の準備を早期に進めることが重要です。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、2040年を見据え、病院の評価基準が「大きな看板」から「客観的なデータ」へと大きく転換します。急性期医療では救急搬送や手術件数などの厳しい実績要件が課され、回復期リハビリ病棟も患者の回復度合いを示す「実績指数」で評価されるようになります。これは、超高齢化社会と医療従事者不足に対応するため、各病院が専門特化し、限られた医療資源を最適化する機能分化を国が推進しているためであり、将来の病院選びには客観的なデータが不可欠となるでしょう。

導入と改定の背景
あの、もし、2026年、あなたの家の近くにある頼れる大病院がですね、突然、重症患者の受け入れをやめてしまったら、どう思いますか?
えっと、それはかなり困りますし、まあ普通に不安になりますよね。
ですよね。でもこれ、お医者さんの腕が落ちたからとかじゃないんですよ。実は、国が定めた、あの年間1200件という過酷な手術ノルマを達成できなかったから、かもしれないんです。
いやー、まさに衝撃的なシナリオですよね。
ということで、今回の深掘りでは、2040年を見据えた日本の医療体制のいわば大手術ですね、令和8年度の新療法修改定の資料を読み解いていきたいと思います。
はい、よろしくお願いします。
えっと、この膨大な専門資料を要約するとですね、要するに、国は病院の評価基準をこれまでの大きな看板から客観的なデータへと完全に切り替えようとしているんです。
あなたが将来お世話になる病院の景色が根底から変わるというお話ですね。
急性期医療への厳しい要求
なるほど。それで資料を読んでいて、一番驚いたのが、まさにその命の最前線である、旧世紀医療へのシビアな要求なんですよね。
本当に厳しい数字が並んでいますよね。
そうなんですよ。単に、重症患者用のベッドがありますっていう設備だけじゃダメで、新設された旧世紀病院一般入院基本料Aというものでは、年間で救急搬送を2000件以上、そして全身麻酔の手術を1200件以上こなせと。
はい。ICUとか脳卒中ケアでも、超旧世紀脳卒中加産が年間20回以上とか、かなり具体的な治療件数が必須になっていますからね。
いや、これって例えるなら、レストランが高級店と名乗るだけじゃなくて、毎日100食のフルコースを作っている証拠を出せと言われているようなものですよね。
まさにそんな感じです。
2040年問題と専門特化の必要性
でもこれ、なぜここまで極端なノルマを課すんですか。規模の小さい地方の病院には、ちょっと厳しすぎるんじゃないかと思うんですが。
そこすごく重要な疑問ですよね。背景にあるのは、2040年にピークを迎える超高齢化と深刻な医療の担い手不足なんです。
ああ、なるほど。お医者さんや看護師さんの数が足りないっていう。
ええ。これまでのように、どの町の病院にもあらゆる病気の手術ができる外科医を待機させておく余裕が、もう今の日本にはないんですよ。
ということは、実績を出している場所に患者も医師も集約させたいわけですね。
まさにその通りです。
これって、航空会社のハブ&スポークのモデルと同じですよね。すべての地方空港からジャンボジェットを飛ばしたら会社が破綻するから、長距離の大型フライトは巨大なハブ空港に集約させて。
はいはい。
地方の空港は、そこへの総ゲートが近距離に特化するみたいな。
地域医療への配慮と役割分担
はい。まさにそのイメージです。ただ、そのハブ構想を聞くと、じゃあ地方に住んでいる人はどうなるの?という疑問が湧きませんか?
ええ。人口の少ない地域の病院は、そもそも患者の歩数が少ないから、絶対にそのノルマを達成できませんよね。
これ、地方の医療が切り捨てられて崩壊するんじゃないかって心配になります。
だからこそ、人口20万人未満の地域には配慮して、旧世紀総合体制加算5といった、ちゃんとした別の評価基準も新設されているんです。
あ、なるほど。抜け道というか、別の基準があるんですね。
そうなんです。重要なのは、国がやりたいのは単なる地方の切り捨てではなくて、各病院に、うちの地域事情ならこの分野に特化するという明確な役割分担を促している点なんです。
何でもやる状態からの機能分化ですね。
ええ、その通りです。
ハブ病院に重症患者を集めて、地方は別の役割を担うと。
回復期医療におけるデータ重視の評価
でもハブ病院に患者が集中するとなると、当然ベッドを回転させるために、手術が終わった患者さんはどんどん次の病院へ移されますよね。
ええ、そうならざるを得ないですね。
となると、その受け皿になるリハビリなんかの回復期病棟には相当なプレッシャーがかかるんじゃないですか。
その視点はすごく鋭いです。そしてここでも、データ市場主義が牙を拭くことになります。
これまでの回復期リハビリ病棟は、極端に言えば毎日リハビリを提供したというプロセスだけでも評価されていました。
はい、リハビリをやった時間とか日数ですよね。
ええ、でも改定後は入院量の点数が引き上げられる一方で、患者さんが自力で歩けるようになったか、といった実績指数32以上という厳しい回復基準が新設されます。
えっと、じゃあ結果が出ないとダメってことですか。
そうなんです。数値化された身体機能の改善度合いを証明しないと、病院側は十分な報酬を得られなくなります。
いやー、リハビリをやったというプロセスじゃなくて、歩けるようになったという結果を出せと、それは厳しいですね。
さらに療養病棟でも、末期の心不全とか腎不全が非がんの緩和ケアに追加されたりしていますし、短期滞在の手術はどんどん外来への移行が促進されています。
医療資源最適化への国の執念
つまり、手術はさっと外来で終わらせて、リハビリは数字でしっかり成果を出して、慢性期にはより手厚い緩和ケアを提供するってことですよね。
はい、そういうことです。
これ全体を見ると、患者の回復ステージに合わせて限られた医療資源を極限まで無駄なく最適化しようとする国の執念を感じますね。
ええ、無駄を削ぎ落として得意分野を磨き上げる。すべての病院が生き残りをかけて専門特化していくのが、これからの医療マップのリアルなんです。
将来の病院選びと医療マップの変化
なるほどな。つまり、あなたが将来自分や家族のために病院を選ぶとき、あの大きな総合病院なら何でも見てくれるから安心というかつての常識はもはや通用しなくなるということですね。
ええ、そうですね。何の手術件数が多いのかとか、どのリハビリで回復の実績を出しているのかという客観的なデータが、その病院の真の実力を知るための強力で身近な指標になるということですね。
まさにその通りです。今回の改定で病院の専門特化が加速することがはっきりと見えてきました。
ええ、本当に大きな転換期ですね。そこで最後に、あなたにぜひ考えてみていただきたいことがあるんです。
はい、何でしょう。
何でも見てくれる地元の総合病院が姿を変えていく2040年の世界で、もしあなたの体に原因不明の異変が起きたとき、あなたが最初に相談すべき全体を見渡せる究極の窓口は一体誰になるのでしょうか。
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