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2026-03-12 05:36

【令和8年度改定】地域包括医療病棟が3つの入院料に再編|点数・要件の変更点を解説

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令和8年度診療報酬改定では、地域包括医療病棟入院料が大幅に見直されます。令和6年度改定で新設されたこの病棟は、高齢者の中等症救急疾患の受け皿として期待されていますが、厳しい施設基準が届出の障壁となっていました。今回の改定では、高齢者の生理学的特徴と診療実態を踏まえ、入院料の体系、施設基準、加算の3つの領域で見直しが行われます。

今回の見直しのポイントは3つです。第一に、入院料が手術・緊急入院の有無と急性期病棟の併設状況に応じて再編されます。第二に、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算が2段階(110点・50点)に見直されます。第三に、平均在院日数や重症度、医療・看護必要度の基準が、85歳以上の患者割合を考慮して緩和されます。

入院料の再編:手術・緊急入院の有無と急性期病棟併設状況で区分化

地域包括医療病棟入院料は、現行の一律3,050点から、「入院料1」と「入院料2」の2つに分かれます。さらに、各入院料の中に「入院料1」「入院料2」「入院料3」の3区分が設けられます(以下、混同を避けるため、上位区分をカッコ付きの「入院料1」「入院料2」、下位区分を「イ・ロ・ハ」と表記します)。

「入院料1」は、院内に一般病棟入院基本料を算定する病棟を有していないことが施設基準に含まれます。点数は、イ(入院料1)が3,367点、ロ(入院料2)が3,267点、ハ(入院料3)が3,117点です。急性期病棟を併設しない医療機関は、包括期の病棟のみで救急患者の受入から治療までを一貫して担う必要があります。その負担を考慮し、「入院料2」よりも高い点数が設定されました。

「入院料2」は、「入院料1」のイからネまでの施設基準を満たすものが対象です。「入院料1」と異なり、一般病棟入院基本料を算定する病棟の有無は問われません。点数は、イ(入院料1)が3,316点、ロ(入院料2)が3,216点、ハ(入院料3)が3,066点です。結果として、院内に急性期病棟を持つ医療機関は「入院料1」の要件を満たさないため「入院料2」を算定することになります。

イ・ロ・ハの3区分は、緊急入院の有無と手術の実施状況によって決まります。イ(入院料1)は、緊急入院の患者であって、入院時の主傷病に対して入院中に手術を実施しないものが対象です。ロ(入院料2)は、緊急入院かつ手術を実施するもの、または予定入院かつ手術を実施しないものが対象です。ハ(入院料3)は、予定入院かつ手術を実施するものが対象です。

この区分の背景には、医療資源投入量の実態があります。中医協の審議資料(入院医療等の調査・評価分科会)によると、手術のない緊急入院の患者は手術を行う予定入院の患者と比べて、包括範囲内の出来高実績点数が平均で約440点高いことが示されています。地域包括医療病棟で頻度の高い誤嚥性肺炎や尿路感染症などの内科系疾患は、手術を伴わない緊急入院が大半を占めます。こうした疾患では、包括される点数の割合が高い一方で、出来高で算定できる医療が少ないという構造的な課題がありました。今回の区分化により、この不均衡が是正されます。

リハ・栄養・口腔連携加算の2段階化:加算1は110点、加算2は50点

リハビリテーション・栄養・口腔連携加算は、現行の一律80点から、加算1(110点)と加算2(50点)の2段階に見直されます。

加算1(110点)は、より充実した体制のもとでリハビリテーション・栄養管理・口腔管理を一体的に実施する場合に算定できます。現行の80点から30点の引き上げとなり、多職種による包括的な取組を積極的に行う医療機関の評価が強化されます。

加算2(50点)は、加算1の要件を満たさない場合でも、一定の体制を整備して取り組む医療機関が算定できる区分です。この新設により、段階的に体制を整備しようとする医療機関にも算定の道が開かれました。

算定期間は、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日を限度とする点は、現行と変わりません。栄養サポートチーム加算との併算定ができない点も同様です。

施設基準の緩和:85歳以上の患者割合に配慮した新たな基準

施設基準は、平均在院日数、ADL低下割合、重症度・医療・看護必要度の3項目で見直されます。

平均在院日数は、現行の「21日以内」から「20日以内を原則とし、85歳以上の患者の割合が2割を増すごとに1日を加えた日数以内」に変更されます。中医協の審議資料によると、85歳以上の高齢者は85歳未満の患者と比較して在院日数の中央値が5~6日長く、高齢であること自体が在院日数延長の独立した危険因子とされています。この変更により、85歳以上の患者を多く受け入れる医療機関ほど基準が段階的に緩和されます。たとえば、85歳以上の患者割合が2割の場合は21日以内、4割の場合は22日以内が基準となります。

ADL低下割合についても、85歳以上の患者割合に応じた基準の緩和が行われます。改定資料には「退院時のADLが低下したものの割合について、85歳以上の患者の割合に応じて基準を緩和する」との方針が示されています。ただし、具体的な数値は個別改定項目の資料には記載されておらず、告示・通知で詳細が示される見込みです。中医協の審議資料では、85歳以上の高齢者や要介護認定者はADLが低下する割合が高い傾向にあること、約40%の地域包括医療病棟でADL低下患者が5%を超えていることが報告されており、こうした実態を踏まえた見直しとなります。

重症度、医療・看護必要度は、評価方法が「割合」から「指数」に変更されます。必要度Ⅰは現行の「基準を満たす患者を16%以上入院させる」から「基準を満たす患者の割合に係る指数が19%以上」に変わります。必要度Ⅱは現行の「15%以上」から「指数18%以上」に変わります。地域包括医療病棟で頻度の高い誤嚥性肺炎や尿路感染症などの内科系疾患は、A項目やC項目の点数が低い傾向にあります。指数への変更により、こうした疾患を多く診療する病棟の特性がより適切に反映されるようになります。

まとめ

令和8年度改定では、地域包括医療病棟が3つの観点から見直されます。入院料は手術・緊急入院の有無と急性期病棟の併設状況に応じて区分化され、最高3,367点(入院料1・イ)から最低3,066点(入院料2・ハ)まで、診療内容に応じた評価が行われます。リハ・栄養・口腔連携加算は110点と50点の2段階となり、体制の充実度に応じた評価が可能になります。施設基準では、85歳以上の患者割合に配慮した平均在院日数やADL低下割合の基準緩和、重症度・医療・看護必要度の指数化が実施されます。これらの見直しにより、高齢者の中等症救急疾患の受け皿としての機能がより発揮されることが期待されます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、高齢者医療の現実に対応するため、地域包括医療病棟の入院料が大幅に見直されます。手術を伴わない緊急入院患者の医療資源投入量が高い実態を踏まえ、入院料は診療内容や急性期病棟の併設状況に応じて細分化され、最高3,367点から最低3,066点までの区分が新設されました。また、リハビリ・栄養・口腔連携加算は2段階に、施設基準は85歳以上の患者割合を考慮して緩和され、超高齢社会における医療提供体制の適応が図られています。

令和8年度診療報酬改定の概要
常に学びを求めるあなたへ。今回は、手元の資料を基に、令和8年度の診療報酬改定について深掘りしていきたいと思います。
はい。診療報酬の改定って聞くと、なんか複雑な点数計算の変更みたいに思えるかもしれないですね。
そうなんですよね。でも今回のミッションは、その数字の裏に隠された高齢者医療のリアルな実態を解き明かすことです。なぜこんな大幅なルール変更が必要だったのか、一緒に読み解いていきましょう。
よろしくお願いします。
入院料再編の背景と詳細
早速なんですけど、資料を読んでて一番驚いたデータがあって、普通、手術をする患者さんの方が医療スタッフの手間もコストもかかるって思いませんか?
まあそう思うのが一般的ですよね。
ですよね。でも手術を伴わない救急入院の方が予定手術をする患者さんより、包括範囲内の出来高実績が約440点も高いって書いてあって、これちょっと専門用語が多くて戸惑うんですが、どういうことなんですか?
確かにそこは一番の驚きポイントですよね。医療費の計算って通常は包括という定額制なんですけど、実際に行われた個別の治療とかケアを出来高、つまり積み上げ式で計算し直してみたんです。
ちなみに医療の1点は10円換算なので、
ということは約4,400円ですか?
そうです。手術なしの患者さんの方が1日当たり約4,400円分も余計にケアの手間がかかっていたというデータなんですよ。
手術してないのに毎日4,400円分のケアが追加で必要になるって、それどういう患者さんなんですか?
地域包括医療病棟で多いのは、五塩性肺炎とか尿炉感染症といった高齢者特有の内科系疾患ですね。
なるほど。メスを入れるわけではない病気ですね。
メスは入れませんが、食事のサポートや頻繁な体位変換など、日々の非常に手厚いケアが欠かせないんです。
結果として現場の負担が大きいのに、定額制のままでは割に合わないという構造的な課題がありました。
それで今回入院料が細分化されたんですね。
そうなんです。救世機病棟の有無や手術の有無などで、最高3,367点から最低3,066点までの区分が新設されました。
手術の有無だけでは測れない現場の負担がようやくシステムに反映されたわけですね。
チーム医療とリハ・栄養・口腔連携加算の2段階化
でも、そういった複雑な高齢の患者さんを見るのって、お医者さんや看護師さんだけの仕事じゃないですよね。
おっしゃる通りです。
資料にあったチーム医療の話につながってくると思うんですか。
素晴らしい視点ですね。まさに多職種によるチームケアが鍵になります。
これまで一律80点だったリハビリ・栄養・空港連携加算が、今回は110点と50点の2段階に分かれました。
80点からあえて2つに分けたのにはどんな意図があるんでしょうか。
単純に手厚いチーム医療を提供する大きな病院を110点として高く評価するだけではないんです。
重要なのは50点という区分を作ったことですね。
と言いますと、
これによって、まだ大規模なリハビリチームを持たない地域の小さなクリニックや病院でも、
まずはここから始めましょうというステップアップの足掛かりができたんです。
ゼロか100かじゃなくて、小さな病院も体制を整えやすくなるわけですね。
それは心強いです。
85歳以上患者への配慮と施設基準の緩和
そしてもう一つ、今回の改定でずっと気になっていたキーワードが、
85歳以上という年齢のくくりなんです。
はい、そこも大きなポイントです。
これを聞いているあなたも身近な高齢者の方を思い浮かべてみてください。
やっぱり年齢とともに回復のペースって変わりますよね。
制度はそこをどう考慮しているんでしょうか。
生物学的な現実がついにルールに反映されたと言えます。
資料のデータを見ると、85歳以上の高齢者はそれ未満の患者と比較して、
在院日数の中央値が5日から6日長くて、
結構長くなりますね。
ええ、それに日常の動作、いわゆるADLも低下しやすい、
という明確な生理学的特徴が示されています。
ということは、治るまでに物理的な時間がかかるという現実に対して、
入院できる期間のルールも変わったんですか。
はい、現場の感覚に制度が追いついた形ですね。
これまで原則20日とされていた平均在院日数の増減が、
85歳以上の割合が2割増すごとに1日延長されると緩和されました。
なるほど。
さらに、重症度などを測る基準も従来の厳格な割合から、
より内科系疾患の実態を反映しやすい19%や18%といった
指数での評価へと変わっています。
改定の意義と社会への問いかけ
今日の話を振り返ると、令和8年度改定は単なる数字の調整ではなかったんですね。
ええ、全く違います。
85歳以上という超高齢者の生理学的な特徴と、
それに直面する医療現場のリアルな負担に対して、
システム全体を適応させた結果だったということがよくわかりました。
高齢であること自体が回復に影響するという事実を、
制度が正面から受け止めた大きな転換点ですね。
これは医療業界だけの話ではありませんね。
医療制度が85歳以上という年齢による回復ペースの違いや、
現実に合わせてこれだけ明確にシステムへ組み込んだ今、
社会のほかのインフラやサービスは、
この超高齢化の現実にどうルールを書き換えていくべきでしょうか。
非常に重要なテーマですね。
あなたもぜひこの問いを持ち帰ってご自身で考えてみてください。
それでは今回の深掘りはこの辺で。
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