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CDI・ESBLが加算対象に|令和8年度改定の感染症対策を解説
2026-08-11 05:38

CDI・ESBLが加算対象に|令和8年度改定の感染症対策を解説

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令和6年度改定で、感染管理が特に重要な入院患者への評価が整備されました。このとき、特定感染症入院医療管理加算が新設され、二類感染症患者療養環境特別加算が特定感染症患者療養環境特別加算に改称されたうえで対象範囲を拡大しました。この2つの加算は、感染症法に位置づけられた三類~五類感染症などを対象疾病としてきました。しかし対象疾病の範囲は、感染症法に位置づけのないクロストリジオイデス・ディフィシル感染症(CDI)とESBL産生腸内細菌目細菌感染症をカバーできていません。この2疾患は接触感染で院内感染を起こし、在院日数の延長や死亡率の上昇につながるため、個室隔離が推奨されています。本稿では、この課題に対応した令和8年度改定の見直し内容と、算定にあたっての留意点を解説します。

令和8年度改定では、両加算の対象疾病にCDIとESBL産生腸内細菌目細菌感染症を追加します。追加の受け皿として、告示に感染症法の類型によらない区分を新設します。算定にあたっては、分離・同定による菌の検出と薬剤耐性の確認を行い、当該感染症と診断する必要があります。単なる保菌者は、いずれの加算でも対象になりません。

1.見直しの背景:個室隔離が推奨されるのに評価されない2疾患があった

見直しの背景には、感染症法の類型と院内感染対策の必要性がずれているという課題があります。両加算はこれまで、感染症法上の分類(二類~五類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症)を対象疾病の骨格としてきました。この骨格は、届出や公衆衛生上の対応が必要な感染症を広く拾えます。一方で、院内感染対策として個室管理が推奨されながら感染症法の対象疾病になっていない感染症は、骨格から漏れていました。CDIとESBL産生腸内細菌目細菌感染症が、その代表例です。

CDIは、下痢や偽膜性腸炎を引き起こし、入院期間を平均10日程度延長させる腸管感染症です。国内では入院患者10,000人あたり7.4人が発症し、ICUでは22.2人と発症率が高まります。発症した患者では、1人あたりの総入院費用が1.3~1.8倍程度に増加するという報告もあります。原因菌はアルコール消毒では死滅しない「芽胞」をつくるため、患者の個室隔離と、手袋・ガウンを用いた接触感染対策が推奨されています。

ESBL産生腸内細菌目細菌感染症は、治療可能な抗菌薬が限られ、血流感染時の全死亡率を1.7倍に高める薬剤耐性菌感染症です。国内では大腸菌の約30%、肺炎桿菌の約15%がESBL産生菌とされ、全国の病院の約9割でこれらの菌が検出されています。ESBL産生菌もまた接触感染で拡散するため、気道分泌物や創部浸出液が多い患者では、個室隔離を優先的に実施することが望ましいとされています。

この2疾患の取扱いが、中医協で論点として整理されました。整理された論点は、「感染症法の対象疾病ではないが、個室管理が推奨される感染症をどう評価するか」というものです。令和8年度改定は、この論点に対して対象疾病の範囲を見直すという答えを示しました。

2.見直しの内容:告示に受け皿を設け、通知に2疾患を明記する

見直しの内容は、告示への区分新設と通知への疾患名追加という2段構えです。告示では、感染症法の類型に当てはまらない感染症を受け止める区分を新たに設けます。通知では、その区分に該当する具体的な疾患としてCDIとESBL産生腸内細菌目細菌感染症を明記します。この2段構えにより、感染症法の類型に含まれない感染症も対象疾病に位置づけられます。

特定感染症入院医療管理加算では、告示の算定要件に「その他他者に感染させた場合に重症になるおそれがある感染症の患者」を追加します。現行の告示は、三類感染症、四類感染症、五類感染症、指定感染症の患者とその疑似症患者を対象としてきました。改定案では、これらに加えて上記の区分を規定します。通知の対象疾患リストの末尾には、クロストリジオイデス・ディフィシル感染症と基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌目細菌感染症を追加します。

特定感染症患者療養環境特別加算では、告示の算定要件に「その他個室管理が必要な感染症」を追加します。現行の告示は、二類感染症から五類感染症まで、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症の患者とその疑似症患者を対象としてきました。改定案では、これらに加えて上記の区分を規定します。通知の対象疾患リストにも、クロストリジオイデス・ディフィシル感染症と基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生腸内細菌目細菌感染症を追加します。

なお、療養環境特別加算で2疾患が追加されるのは、通知のうち個室加算の対象者を定めるリストです。告示に新設される区分の名称も「その他個室管理が必要な感染症」であり、陰圧室加算の対象疾患を追加する記載は改定資料に示されていません。実際の運用は、告示・通知の最終的な発出内容で確認してください。

3.算定上の留意点:診断の確定と記録が算定の前提になる

算定上の留意点は、診断の確定、保菌者の除外、記録の3点です。追加された2疾患は、いずれも検査で診断を確定させたうえで算定します。診断が確定していない段階での隔離は、加算の対象になりません。算定にあたっては、レセプトへの記載も求められます。

診断の確定には、症状や所見からの疑い、分離・同定による菌の検出、薬剤耐性の確認という3段階が必要です。通知では、既に対象となっている薬剤耐性菌感染症などと同じ扱いとして、CDIとESBL産生腸内細菌目細菌感染症を診断確定の要件が課される疾患群に位置づけました。この要件は、両加算に共通して適用されます。

単なる保菌者は、両加算のいずれでも対象になりません。菌が検出されただけの状態と、感染症を発症した状態を区別する必要があります。ESBL産生菌の保菌者に対して感染予防目的で個室管理を行った場合も、加算の算定対象にはならない点に注意が必要です。

診療報酬明細書の摘要欄には、対象となった感染症を記載します。特定感染症入院医療管理加算では当該患者に係る感染症を、特定感染症患者療養環境特別加算では個室管理を必要とする原因となった感染症を記載するよう、通知で求められています。この記載義務は現行から続く取扱いであり、今回追加される2疾患でも同様に記載が必要です。

算定期間の考え方は、従来の取扱いを引き継ぎます。特定感染症入院医療管理加算は、1入院につき7日を限度として算定します。ただし、他の患者に感染させるおそれが高いことが明らかで、感染対策の必要性が特に認められる患者では、この7日の限度が適用されません。疑似症患者については、いずれの加算も初日に限り算定します。

4.実務対応:検査から記録までの流れを院内で共有する

実務対応として、検査体制、隔離判断、記録の3つを改定前に点検することをおすすめします。今回の見直しは点数の新設ではなく、対象疾病の範囲の拡大です。改定資料にも、施設基準を変更する記載はありません。一方で、算定漏れを防ぐには、現場の運用を対象疾病の追加に合わせて整える必要があります。以下は改定資料の記載ではなく、算定要件から導かれる点検の視点です。

検査体制については、通知が求める「分離・同定による当該細菌の検出及び薬剤耐性の確認」まで到達できる運用かを確認します。CDIとESBL産生腸内細菌目細菌感染症は、いずれもこの要件が課される疾患群に位置づけられました。検査を外部委託している場合は、結果の返却時期と隔離開始日の関係を整理しておきます。

隔離判断については、感染管理部門が用いる隔離基準と、加算の算定要件との対応を明確にします。院内の隔離基準は、保菌者への予防的隔離を含むことが少なくありません。予防的隔離と、発症患者に対する加算算定対象の隔離を区別できる運用にしておくと、算定判断が容易になります。

記録については、主治医の判断と摘要欄記載をつなぐ様式を準備します。診療録には、他者へ感染させるおそれがあると医師が認めた旨と、個室管理の必要性を残します。医事課がこの記録を確認して摘要欄に感染症名を記載する流れをつくると、算定と記録の齟齬を防げます。

5.まとめ:感染症法の枠を超えて院内感染対策を評価する改定

令和8年度改定では、特定感染症入院医療管理加算と特定感染症患者療養環境特別加算の対象疾病に、CDIとESBL産生腸内細菌目細菌感染症を追加します。追加の受け皿として、告示には感染症法の類型によらない区分が新設されます。算定には、分離・同定による菌の検出と薬剤耐性の確認を経た診断が必要であり、単なる保菌者は対象になりません。院内では、検査体制、隔離判断、記録の運用を改定前に点検しておくことが、確実な算定につながります。



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サマリー

これまで個室隔離が必要なクロストリジオイデス・ディフィシル感染症(CDI)やESBL産生腸内細菌目細菌感染症が、感染症法の分類から漏れ、医療制度上の評価対象外でした。令和8年度改定では、これらの疾患を「その他個室管理が必要な感染症」という新たな区分で加算対象に追加。ただし、算定には菌の検出と薬剤耐性の確認による診断確定が必須であり、単なる保菌者は対象外となるため、病院内での検査・診断・記録の緻密な連携が求められます。

厄介な感染症と医療制度の矛盾
あのー、アルコール消毒が全く効かなくて、入院が10日も長引くような感染症とか。 あるいは、こう、抗生物質を切り刻んで無効化しちゃう細菌とか。
ええ。すごく厄介ですよね。
ですよね。でも実は、これまでこういう危険な菌を防ぐために、病院が患者さんを個室に隔離しても、国の制度上は評価ゼロ、つまり病院の完全な持ち出しだったってご存知でしたか?
まあ、病院が感染対策に本気になればなるほど赤字になるっていうすごく大きな矛盾がこれまであったんですよね。
いや、本当に。ということで、今回は令和8年度の医療制度改定に関する専門資料を深く読み解いていきましょうか。
一見、岡大ルールの話なんですけど、これ現場のリアルな葛藤とか、ルールの裏側にある戦いの記録なんですよね。
そうですね。あなたが次に病院を訪れた時、なぜあの患者さんは個室にいるのか、その裏にある組織の苦労が見えてくるはずです。
今回の改定でようやくそのズレが修正され始めたんですが、主役となるのがCDIとESBLという2つの厄介な感染症なんです。
CDIとESBLの脅威
ちょっと待ってください。そのCDIとESBL、資料を見るとメカニズムが本当に恐ろしいですよね。
CDIは滅法という硬いバリアを作るから、アルコール消毒を弾き返してしまうと。
はい、その通りです。しかも治療にかかる送付費用も1.3倍から1.8倍に跳ね上がります。
それはきつい。ESBLに至っては、普通の抗生物質をハサミみたいにちょきちょき切り刻んで無効化するコースを出すんですよね。
ええ。だから使える薬が最後の手段として数十位しか残らなくて、血液に感染した時の死亡率は1.7倍にもなります。
しかも驚くことに、全国の約9割の病院に住んでいるんですよ。
えっと、9割の病院ですか。これだけ危険で、しかもどこにでもいて絶対に個室隔離が必要なのに、なんで今まで評価されてこなかったんでしょうか。
感染症法の「VIPリスト」問題
なんか感染症の世界にVIPリストみたいなのがあるってことですか。
まさにその表現がぴったりでして、感染症法という法律で2類から5類に指定されている特定の病気だけが、そのVIPリストに載っていたんですよ。
前がなければ、どれだけ危険な患者さんでも、いわばエントランスの警備員に止められてしまう状態でした。
つまり、病院に対する個室隔離の特別手当である加算が一切下りなかったんです。
それは現場としてはたまったもんじゃないですね。
はい。制度が公衆衛生上の脅威を優先するあまり、CDIやESBLのような接触感染で院内に広がる脅威が長年システムから漏れていたわけです。
法律の壁を越える改定内容
そこで今回ついにルールが変わったと、法律の壁をすり抜けるようなかなり思い切った解決策が取られたわけですよね。
法律のVIPリストそのものを書き換えるんじゃなくて、その他個室管理が必要な感染症っていう新しい特別枠を作った?
はい。いわばVIPルームの増設を行ったような形です。ただ、その新しいVIPルームに入るための審査は非常に厳格なんですよ。
厳格な算定要件と保菌者の除外
と言いますと?
資料にあるんですが、分離童貞による菌の検出が必須条件となっています。
出ましたね、専門用語。要するに、ただ怪しいって疑うだけじゃダメってことですよね?
その通りです。病院の検査室で実際に患者さんから採集した検体をシャーレで数日かけて培養して、菌の正体を完全に特定しなければなりません。
数日もかかるんですか?
ええ。さらに、それが本当に薬の効かないタイセイ菌かどうかの確認テストも必要になります。現場には相当な検査の手間と時間がかかるんです。
そこなんですよ。私がこの資料で一番引っかかっているのが、単なる補菌者は対象外っていうルールなんです。
症状が出ていなくても、菌を持っている人を予防のために隔離した方が、病院全体の安全性は高まりますよね?なんでそこは評価されないんですか?
いや、おっしゃる通りなんですが、そこが医療報酬という制度のシビアな限界なんですよ。
このシステムは、あくまで今まさに発症して苦しんでいる患者さんへの治療に対してお金を払うものであって、
ああ、なるほど。
根のための予防には保険を適用しないという大原則があるんです。だから、現場の医師はバイオ検査で菌を見つけるだけでなく、
これはただの補菌ではなく、明らかに感染症を引き起こしていると明確に判断する必要があります。
じゃあ、それを見つけてカルテに記録して、イジカと連携しないとこの加算は受け取れないってことですか?
病院内での緻密な連携の必要性
そういうことです。
いやー、ただ枠を広げただけじゃなくて、病院側には検査・診断・記録というきごめて緻密な連携が求められるわけですね。
ええ。それでも、接触感染を防ぐという現場の真のニーズに制度がようやく寄り添ったことは大きな前進だと思います。
制度改善の意義と残された課題
法律の固い枠組みを実態に合わせたという意味で非常に意義深い改定ですね。
確かにそうですね。今回の深い分析を通して、私たちが安全に医療を受けるための緻密なルールの裏側が見えてきました。
でも、最後に一つ怖い疑問が残るんですよ。
と言いますと?
今回、CDIとESBLはようやくシステムのレーダーに捕獲されましたよね。
でも、私たちの医療制度の安全網から未だに漏れていて、今この瞬間も病院の片隅で静かに進化し続けている未知の体制菌って他にどれほど存在するんでしょうか?
ああ、それは確かに恐ろしい視点ですね。
まだ誰も気づいていないだけの裏のBIPがすぐそこに存在しているのかもしれません。
あなたも次に病院へ行った時、ちょっとだけそんな見えない戦いを想像してみてくださいね。
05:38

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