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【令和8年度診療報酬改定】感染対策向上加算1に微生物学的検査体制加算30点を新設
2026-08-09 05:33

【令和8年度診療報酬改定】感染対策向上加算1に微生物学的検査体制加算30点を新設

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令和8年度診療報酬改定で、感染対策向上加算が見直されます。この見直しの対象は、感染対策向上加算1を届け出る医療機関です。感染対策向上加算1の届出医療機関のうち、院内に微生物学的検査室を「有する」と回答した施設は約6割です(感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)登録データ)。この検査室の有無で、薬剤耐性菌の検出割合に差がみられます。この差を踏まえ、抗菌薬適正使用を推進する評価の仕組みが求められました。本稿では、新設される加算の内容、算定要件と施設基準、見直しの背景、医療機関に求められる対応を順に解説します。

今回の見直しは、院内に微生物学的検査室を有する医療機関を新たに評価する、という1点に集約されます。第一に、微生物学的検査体制加算として30点が新設されます。第二に、施設基準は告示と通知の2段階で定められ、検査室を「有する」だけでなく「業務に活用する」ことが求められます。第三に、見直しの根拠は、微生物学的検査室の有無で薬剤耐性菌の分離率に有意差があるという調査データです。第四に、届出を予定する医療機関は、検査室の位置づけと業務実態の整理が必要になります。

1. 新設される微生物学的検査体制加算の内容

微生物学的検査体制加算は、感染対策向上加算1に上乗せして算定する30点の加算です。この加算は、感染対策向上加算の注として新設されます。感染対策向上加算1を算定する保険医療機関に入院している患者について、所定点数に30点を更に加算する構造です。

この加算の対象となるのは、感染対策向上加算1を算定する場合に限られます。感染対策向上加算2および3には、同様の加算が設けられていません。院内の抗菌薬適正使用の監視体制が施設基準に組み込まれているのは加算1と加算2ですが、今回の新設は加算1のみを対象としています。加算2を届け出る医療機関は、この加算を算定できません。

加算1のみを対象とした設計は、告示の条番号にも表れています。感染対策向上加算の施設基準等を定める告示(二十九の二)に、微生物学的検査体制加算の施設基準が(5)として新たに加わります。この追加に伴い、現行の(5)から(7)は(6)から(8)に繰り下がります。同様に、算定要件の注も1つずつ繰り下がるため、通知や届出様式を参照する際は番号のずれに注意が必要です。

2. 算定要件と施設基準

微生物学的検査体制加算の施設基準は、告示と通知の2段階で構成されます。告示が枠組みを定め、通知が具体的な運用を定める形です。この2段階の要件を両方満たさなければ、届出はできません。

告示が定める要件は、「当該保険医療機関内に微生物学的検査室を有していること」の1点です。この要件は、外部の検査機関への委託ではなく、院内に検査室を置くことを求めています。検査の外注が中心の医療機関は、この時点で要件を満たしません。

通知が定める要件は、2つあります。1つ目は、感染対策向上加算1の届出を行っている保険医療機関であることです。2つ目は、当該保険医療機関内に微生物学的検査室を有しており、感染対策向上加算1の施設基準通知に定める1の(10)、(14)および(21)に係る業務等に活用していることです。ここで参照される(10)、(14)および(21)は、感染対策向上加算1の施設基準通知に定める各項目を指します。個別改定項目の資料には各項目の本文が示されていないため、該当する業務の内容は通知本文で必ず確認してください。

通知が「活用していること」を求める点が、今回の要件の要です。検査室を設置しているだけでは足りず、感染制御チームの業務と検査室が結びついている必要があります。届出にあたっては、検査結果の共有経路、耐性菌検出時の報告の流れ、抗菌薬使用に対する助言の記録などを、業務の実態として示せるよう整理しておくことが求められます。

3. 見直しの背景

今回の見直しの背景には、微生物学的検査室の有無と薬剤耐性菌の検出状況を比較した調査データがあります。このデータは、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)の登録データにもとづくものです。中央社会保険医療協議会の議論では、このデータが評価の見直しを検討する論拠として示されました。

調査データが示す第一の事実は、微生物学的検査室の保有割合が加算区分によって大きく異なることです。感染対策向上加算1の届出医療機関1,121施設では、約60%が検査室を「あり」と回答しました。一方、感染対策向上加算2の届出医療機関653施設では、「あり」の回答が約17%にとどまります。ただし、いずれの区分でも約26%が未記入であるため、この割合は回答状況を含めて読む必要があります。

調査データが示す第二の事実は、検査室を有する施設で薬剤耐性菌の分離率が低いことです。感染対策向上加算1の届出医療機関551施設(検査室なし110、検査室あり441)を比較すると、MRSAの分離率の中央値は検査室なしの6.8%に対し、検査室ありは4.9%でした。第3世代セファロスポリン耐性大腸菌は5.0%に対し2.9%、フルオロキノロン耐性大腸菌は6.3%に対し4.0%です。いずれの差も統計的に有意(p<0.01)でした。

ただし、このデータは検査室の設置が耐性菌を減らしたことを直接示すものではありません。検査室ありの施設は、病床数の中央値が395床と、検査室なしの241床を上回ります。平均在院日数の中央値も12.70日と、検査室なしの17.44日より短くなっています。施設規模などの違いが背景にある点を踏まえて読む必要があります。

これらの事実を踏まえ、支払側委員は評価の見直しを求めました。具体的には、微生物学的検査室の有無により評価にメリハリを付けるべきとする意見が示されています。この意見と、微生物学的検査室が抗菌薬適正使用に果たす役割を踏まえ、新たな評価の新設に至りました。

4. 医療機関に求められる対応

届出を予定する医療機関には、3つの確認作業が求められます。確認の順序は、加算1の届出状況、検査室の有無、業務での活用実態です。この順に自院の状況を点検すると、対応の要否と課題が整理できます。

第一に確認すべきは、感染対策向上加算1の届出状況です。加算1を届け出ていない医療機関は、微生物学的検査体制加算を算定できません。加算2または加算3を届け出ている医療機関は、まず加算1の施設基準を満たせるかどうかから検討することになります。

第二に確認すべきは、微生物学的検査室の有無です。院内に検査室があれば、要件の入口はクリアします。検査を外部委託している医療機関は、院内での検査体制の構築が前提となるため、投資判断を含めた中期的な検討が必要です。

第三に確認すべきは、検査室の業務での活用実態です。検査室があっても、感染制御チームの業務と結びついていなければ要件を満たしません。日常業務の記録が要件に対応しているかを、通知に定める該当項目に沿って確認してください。記録が不十分な場合は、届出前に運用の見直しと記録様式の整備を進める必要があります。

まとめ

令和8年度診療報酬改定では、感染対策向上加算1に微生物学的検査体制加算30点が新設されます。この加算の施設基準は、告示が「院内に微生物学的検査室を有すること」を、通知が「加算1の届出」と「検査室の業務活用」を定める2段階の構成です。見直しの根拠は、検査室を有する施設で薬剤耐性菌の分離率が有意に低いという調査データにあります。加算1を届け出る医療機関は、検査室の有無と業務での活用実態を早めに点検し、届出に向けた準備を進めてください。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定で、感染対策向上加算1に微生物学的検査体制加算30点が新設されます。この加算は、院内に微生物学的検査室を有し、かつ感染制御チームの業務に積極的に活用している医療機関が対象です。薬剤耐性菌の分離率が検査室を有する施設で有意に低いという調査データが背景にあり、国は抗菌薬適正使用推進への強いメッセージとして評価を見直しました。医療機関は、加算1の届出状況、検査室の有無、そして業務での活用実態を早急に確認し、準備を進める必要があります。

新設される加算の概要と重要性
あの院内に検査室の、いわゆる箱ですよね。 それを置くだけで薬剤耐性菌が魔法のように減るなんてことがあると思いますか?
いや、さすがにそんな単純な話はないですよね。 ですよね。よし、紐解いていきましょう。
実は今回の診療報酬改定の裏には、その単純なデータから導き出された、ちょっと驚きのカラクリがあるんです。
今日は、あなたが医療現場に関わっている、あるいは医療制度の行方に関心があるなら絶対に知っておくべき内容を、私たちと一緒に深掘りしていきます。
今回の徹底解説、テーマはズバリ、令和8年度診療報酬改定です。 その中でも感染対策の最高評価である、感染対策向上加算1、ここに新設された微生物学検査耐性加算30点にフォーカスします。
はい。なぜ今、病院内にある自前の微生物検査室が、薬剤耐性菌との戦いでこれほど重要視されているのか。
その背景にあるデータと、医療機関が直面するリアルな課題を解き明かすのが今回のミッションですね。
算定要件と「業務活用」の厳格な基準
そもそもなんですけど、この新設された30点という加算は、誰がどんな条件を満たせば算定できるんでしょうか。対象は加算1の届出施設のみ、ってことは?
ええ、つまり検査を外部に委託している病院はNGということになります。 なるほど、外部委託はダメなんですね。
はい、そしてここには2段階の厳しい基準が設けられているんです。 2段階ですか。
えーと、まず国が定める告示レベルで院内に検査室を有すること、そして詳細な通知レベルでその検査室を業務に活用していること、この2つが明記されています。
ここからが本当に面白いんですが、これってスポーツジムの会員証を持っているだけではダメで、実際に通って汗を流している記録がないと評価されないのと同じですよね。
ただ箱としての検査室があるだけでは意味がないと。 まさにその通りです。ここで興味深いのは単なる箱ではなくて、検査結果をどう共有しているかとか、
体制菌が検出された時の報告ルートはどうなっているかとか。 実態ですね。
はい。何より抗菌薬の使用に対して検査室からどんな助言が行われているかという感染制御チームとの生きた原型、その記録が厳しく問われる点こそが改定の勘なんです。
見直しの背景:J-SIPHEデータと国の政策的判断
なるほど。でもそこまで厳しいハードルを設けてまで、なぜ国は院内での活用にこだわるんでしょうか。
その根拠となったのが、J-SAIFという国の感染対策プラットフォームがまとめた調査データなんです。
J-SAIFですね。どんな数字が出たんですか。
このデータによると、代表的な体制菌であるMRSAなどの分離率が検査室ありの施設では統計的に優位に低かったんですよ。
そうなんですね。
例えばMRSAの場合、検査室なしの施設が6.8%だったのに対し、ありの施設は4.9%だったんです。
いや、ちょっと待ってください。冒頭で箱を置くだけじゃ魔法のように減らないって言いましたよね。
はい、いましたね。
データを見ると、そもそも検査室がある病院って病床数の中央値が395床で、ない病院の241よりかなり大きいじゃないですか。
ええ、しかも在院日数も12.7日とない病院の17.4日より短い。
これって単に施設規模や患者層の違いが出ているだけなんじゃないですかね。
あ、それは非常に鋭いツッコミですね。これを全体像と結びつけるとすごく面白いんですが、相関関係と因果関係の混同には注意が必要です。
ですよね、やっぱり。単なる規模の違いですよね。
もちろん、支払い側も施設規模の違いという背景があることは100も承知です。それでもあえて評価にメリハリをつけた政策的判断を下したんです。
政策的判断ですか。
はい。検査室が抗菌薬の適正使用に果たす役割を国として高く評価し、その仕組みを持つ病院も明確に後押ししたいという意図があるわけです。
医療機関に求められる3つの確認ステップ
なるほど。単なるデータ上の見え方じゃなくて、国からの強いメッセージなわけですね。
だとしたら、今まさに加算を取ろうとしている現場は何から手をつければいいんでしょうか。
確認すべきステップは3つあります。
まず大前提となる感染対策向上加算1の届出状況。次に院内検査室の有無。
はい。届出と検査室ですね。3つ目は。
3つ目は業務での活用実態と記録様式が整備されているか、です。
もし連携の記録が不十分なら、運用そのものを見直す必要があります。
つまりこれってどういうことかというと、ただの点数アップの話ではなくて、病院の感染対策の質そのものを問う仕組みへの変化だということですね。
新加算がもたらす医療現場への問い
ええ、まさにそういうことです。
あなたはこの学んだ知識を、どう実務や医療への理解に落とし込みますか。
最後にここで重要な疑問が浮かびます。
自前で検査室を持てない中小規模の病院と、持てる大病院の間で感染対策の質に格差が生まれてしまうんでしょうか。
ああ、それは確かに危惧されますね。
それとも、これが地域の医療連携や施設の再編を促す新たな引き金になるのでしょうか。
先ほどのスポーツジムの例えで言えば、最新のジムに通える人とそうでない人で健康格差が広がるのか、それとも地域全体で一緒に汗を流す仕組みができるのか。
ええ。
あなたはどうなると思いますか。資料の先にあるこの問いについて、ぜひご自身でもじっくり考えてみてください。
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