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令和8年度改定:非がん患者の緩和ケアはどう変わるか|対象疾患の追加と包括範囲の見直し
2026-07-16 06:47

令和8年度改定:非がん患者の緩和ケアはどう変わるか|対象疾患の追加と包括範囲の見直し

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緩和ケアの診療報酬は、これまで悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群及び末期心不全の患者を主な対象として評価されてきました。しかし、末期の呼吸器疾患や腎不全の患者も、呼吸困難、倦怠感、痛みといった身体的苦痛をがん患者と同程度の頻度で抱えており、現行の評価体系ではその苦痛に対する専門的な緩和ケアを十分に評価できていませんでした。令和8年度診療報酬改定は、この対象疾患のずれを是正するため、非がん患者に対する緩和ケアの評価を見直します。本稿では、その見直しの内容を3点に整理して解説します。

見直しの柱は、対象疾患の拡大と包括範囲の見直しの2つです。第1に、緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料及び在宅麻薬等注射指導管理料等の対象に、末期呼吸器疾患患者と末期腎不全患者が加わります。第2に、緩和ケア病棟入院料の対象患者に、終末期の末期腎不全患者が加わります。第3に、緩和ケア病棟入院料の包括範囲から神経ブロックが除外され、出来高で算定できるようになります。

1. 緩和ケア診療加算等の対象に、末期呼吸器疾患と末期腎不全が加わる

緩和ケア診療加算等の対象疾患には、末期呼吸器疾患と末期腎不全が追加されます。追加の対象となるのは、緩和ケア診療加算(A226-2)、外来緩和ケア管理料、在宅麻薬等注射指導管理料(C108)、注入ポンプ加算(C161)及び携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算(C166)です。ただし、現行の対象疾患は項目ごとに異なります。したがって、追加される疾患も項目ごとに2通りに分かれます。

第1の系統は、緩和ケア診療加算と外来緩和ケア管理料です。この2項目の現行の対象は、悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群及び末期心不全の患者です。呼吸器疾患と腎不全は、いずれも対象に入っていません。そのため、この2項目には末期呼吸器疾患と末期腎不全の2疾患が追加されます。

第2の系統は、在宅麻薬等注射指導管理料、注入ポンプ加算及び携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算です。この3項目の現行の対象には、末期の心不全と呼吸器疾患の患者が既に含まれています。含まれていないのは、腎不全だけです。そのため、この3項目に追加されるのは末期の腎不全のみです。この追加を受けて、在宅麻薬等注射指導管理料の「3」は、名称が「心不全、呼吸器疾患又は腎不全の場合」(1,500点)に改められます。

この2通りの追加のうち、範囲が大きく広がるのは第1の系統です。緩和ケア診療加算の改定案は、算定対象を「一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、末期心不全、末期呼吸器疾患又は末期腎不全の患者」と規定します。これらの患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者が、患者の同意に基づく緩和ケアチームの診療を受けた場合に算定できます。外来緩和ケア管理料についても、同様の取扱いとなります。

対象拡大にあたり、末期呼吸器疾患の患者には3つの要件がすべて示されます。第1に、呼吸器疾患に対して適切な治療が実施されていることです。第2に、在宅酸素療法又はNPPV(非侵襲的陽圧換気)を継続的に実施していることです。第3に、過去半年以内に10%以上の体重減少を認めることです。これら3要件のいずれにも該当する患者が、末期呼吸器疾患の患者に当たります。

一方、末期腎不全の患者には、2通りの該当パターンが示されます。共通する前提は、腎不全に対して適切な治療が実施されていること、及び器質的な腎障害により慢性的に日本腎臓学会慢性腎臓病重症度分類Stage G5以上に該当し腎代替療法を必要とする状態であることの2点です。この2点に加え、血液透析療法又は腹膜透析療法を実施しており、かつPalliative Performance Scale(PPS)が40%以下である患者が、第1のパターンに該当します。もう一方は、腎代替療法を必要とする状態であるものの、透析療法の開始又は継続が困難な患者です。

これらの対象拡大に伴い、施設基準も同様に見直されます。緩和ケア診療加算の施設基準では、緩和ケアに関する研修を受けた医師の配置要件について、対象疾患の記載に末期呼吸器疾患と末期腎不全が加わります。注2に規定する施設基準についても、同じ記載の見直しが行われます。

2. 緩和ケア病棟入院料の対象患者に、終末期の末期腎不全患者が加わる

緩和ケア病棟入院料の対象患者には、終末期の末期腎不全患者が追加されます。透析の差し控えや中断を選択した末期腎不全患者は、末期のがん患者と同様に急速に身体機能が悪化し、密度の高い緩和ケアを要します。この臨床経過を踏まえ、緩和ケア病棟の対象患者が見直されました。

対象患者の追加は、算定要件の注1に反映されます。現行の注1は、悪性腫瘍の患者及び後天性免疫不全症候群の患者以外が入院した場合、特別入院基本料の例により算定すると規定していました。改定案では、この例外規定の対象から終末期の末期腎不全の患者が外れます。つまり、終末期の末期腎不全患者は、緩和ケア病棟入院料そのものを算定できるようになります。

算定要件の見直しに合わせて、施設基準も改められます。緩和ケア病棟入院料1の施設基準では、入院させる患者の範囲に「終末期の末期腎不全に罹患している患者」が加わります。緩和ケアに関する研修を受けた医師の配置要件についても、対象疾患に終末期の末期腎不全の患者が加わります。

3. 緩和ケア病棟入院料の包括範囲から神経ブロックが除外される

緩和ケア病棟入院料の包括範囲からは、神経ブロックが除外されます。神経ブロックは、緩和的放射線治療と同じくがん疼痛に対して有効な場合があります。しかし現行では、放射線照射が包括範囲外で出来高算定できる一方、神経ブロックは包括範囲内に置かれていました。この取扱いの差がある中で、緩和ケア病棟入院患者への神経ブロックの実施割合は、放射線治療と比較して低い状況にあります。

包括範囲からの除外は、算定要件の注3に反映されます。改定案では、包括範囲から除く費用として、第11部第2節神経ブロック料が新たに列挙されます。あわせて、神経ブロックに係る第3節薬剤料及び第4節特定保険医療材料料も除外されます。したがって、緩和ケア病棟入院患者に神経ブロックを実施した場合、手技料と関連する薬剤料・材料料を出来高で算定できます。

なお、緩和ケア病棟入院料は、点数自体も引き上げられます。緩和ケア病棟入院料1は、30日以内の期間が5,135点から5,277点に、31日以上60日以内の期間が4,582点から4,724点に、61日以上の期間が3,373点から3,515点になります。緩和ケア病棟入院料2は、30日以内の期間が4,897点から5,025点に、31日以上60日以内の期間が4,427点から4,555点に、61日以上の期間が3,321点から3,449点になります。この引き上げの理由は、個別改定項目の文書には示されていません。

まとめ:対象疾患の拡大と包括範囲の見直しが2本柱

令和8年度改定は、非がん患者に対する緩和ケアの評価を2つの方向で見直します。対象疾患の面では、緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料及び在宅麻薬等注射指導管理料等に末期呼吸器疾患患者と末期腎不全患者が加わり、緩和ケア病棟入院料には終末期の末期腎不全患者が加わります。包括範囲の面では、緩和ケア病棟入院料から神経ブロックが除外され、出来高算定が可能になります。対象疾患の追加には要件が細かく定められているため、算定を検討する医療機関は、末期呼吸器疾患の3要件と末期腎不全の2パターンの要件を早期に確認してください。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定により、これまでがん患者などが主な対象だった緩和ケアが、末期呼吸器疾患や末期腎不全の患者にも拡大されます。これにより、病名に関わらず強い苦痛を抱える患者が専門的なケアを受けられるようになりますが、限られた医療リソースを考慮し、対象患者には厳格な要件が設けられています。また、緩和ケア病棟入院料の包括範囲から神経ブロックが除外され、出来高算定が可能になることで、医療機関がためらうことなく高度な疼痛緩和治療を提供できる環境が整います。

緩和ケアの現状と改定の意義
あの、聞いてくださっているあなたに、ちょっと想像してみてほしいんです。 絶え間ない激しい痛みに苦しんでいるのに、カルテの病名がガンではなくジンフゼンだっていうだけで、最高レベルの緩和ケアを受ける資格がないと、制度に告げられる状況を。
えー、それはすごく辛いですよね。
そうなんです。でも、実はこれ、つい最近までの日本の医療の現実だったんですよね。
はい、おっしゃる通りです。医療は必ずしも全ての苦痛を平等に救えるわけではないという、かなりシビアな現実ですよね。
そこで、今回の徹底解剖で私たちが深掘りする資料は、令和8年度診療報酬改定、非ガン患者の緩和ケアの変更点についてです。
えー、これは非常に重要なテーマですね。
はい。私たちのミッションは、日本の医療制度が患者の真の苦痛にどうやって追いつこうとしているのか、その最前線を解明することです。よし、これを紐解いていきましょう。
目に見えない痛みに、こう制度がようやく向き合い始めた、すごく大きな一歩と言えますね。
本当にそうですよね。痛みの重さは同じなのに、病名で線を引き捨てていた、この見えない苦痛をついに制度が認めたわけですが、具体的に誰がこの痛みの救命ボートに乗れるようになったんでしょうか。
対象疾患の拡大と新たな患者層
そうですね。これまで緩和ケアの専門的な対象として評価されてきたのは、主にガン、それからHIV、あと末期の心不全くらいだったんですよ。
あー、かなり限定的だったんですね。
でも今回の改定で、あなたに末期呼吸器疾患と末期心不全の患者さんが加わりました。彼らもガン患者さんと同等の強烈な痛みとか呼吸困難、倦怠感を抱えているからです。
なるほど。特に苦痛が強い状態ということですね。
はい。特に透析を中止した末期心不全の患者さんは急速に状態が悪化してしまうので、今回緩和ケア病棟の対象にも追加されたんです。
厳格な算定要件とその背景
ガンと同じレベルの苦痛だと認められたなら、該当する患者さんはすぐにそのケアを受けられるようになったんですか?なんかちょっと裏があるような気もするんですが。
あー、鋭いですね。ここで興味深いのは、ただ扉を大きく開いたわけではないということなんです。
えー、どういうことですか?
例えば、末期心不全の場合、ステージG-5であることが前提とされています。これ、腎臓の機能がほぼ停止して、自力で老廃物を排出できない最終段階のことなんですね。
はいはい。
その上で、透析中でPPSという活動能力の指標が40%以下、つまりベッドでの生活が中心であるか、透析の継続自体が困難な状態といったかなり厳しい基準があるんです。
えー、そこまで厳しいんですか。呼吸器疾患の方もですか?
えー、呼吸器疾患の場合も、継続的な在宅酸素療法とか、過去半年以内で10%以上の体重減少があることなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。
ちょっと待ってください。なぜそこまで厳密な数値のハードルを設けるんですか?目の前で苦しんでいるなら早く助けてあげればいいのにと思っちゃうんですが。
お気持ちはわかります。でも、緩和ケアの専門的なリソース、つまり専門医の数とかベッド数にはどうしても限りがあるんですよね。
あー、なるほど。医療崩壊を防ぐためですか?
そうなんです。だからこそ、体重減少とか活動能力の低下といった客観的な数値を用いて、患者さんが本当に人生の最終段階の軌道にあるか、それを正確に測ろうとしているんです。
最も必要としている人に確実に咳を用意するための合理的な仕組みですね。
つまり、これまでは入り口の審査が厳しすぎた痛みの緩和というVIPルームにようやく正当な患者が入れるようになった。でも、限られた救命ボートの咳を確保するために厳しいルールはあると。
ええ、そういうことです。
神経ブロックの包括範囲見直し
でも、一度そのボートに乗れたとして、そこで受けられる治療のメニュー、そのルールにも変更があったんですよね。
はい、あります。そこで鍵になるのが、神経ブロックという強力な痛みの緩和技術なんです。
神経ブロック、はい。
これまで、緩和ケア病棟では、この処置にかかる費用は包括範囲、つまり定額の入院基本料の中に含まれていたんですよ。
ということは、今まで病院側からすれば、定額制の食べ放題コースの中ですごく高価なメニューを提供するようなものだったってことですか。
まさにその通りです。予算が固定されているから、高価な材料である神経ブロックを使えば使うほど、病院側が赤字になってしまうという状況でした。
患者の痛みを止めるほど経営的に苦しくなるなんて矛盾してますよね。それが今回、アラカート、つまり単品注文に変わったと。
はい、これを全体像に結びつけると、まさにそのジレンマが解消されたことになります。
今回から包括範囲から除外されて、でき高算定、つまり別料金として個別に請求できるようになったんです。
なるほど、もうすでにでき高算定だった放射線治療と同じように、コストの壁が取り払われて、患者が本当に必要な痛みの治療を受けやすくなるんですね。
ええ、医療機関がためらうことなく高度な治療を提供できる環境が整ったと言えます。
医療制度と苦痛の未来
つまり、これは何を意味するのでしょうか。あなたが今、医療従事者でなくても、あるいは健康であったとしても、この改定は重要なんです。
ええ、本当にそうですね。
なぜなら、これは社会が苦痛をどう定義して、どうやって制度という形あるもので救済するかという進化の物語だからです。
あなたやあなたの愛する人が人生の最終段階を迎えた時、どんなケアの選択肢を持てるのかに直結する話なんですよね。
はい。苦痛を取り除くという基本的な尊厳が、制度の枠組みによっていかに守られるかを示しています。そして、これは重要な問題を提起しています。
と言いますと。
今回、呼吸器疾患と腎不全の患者さんが、ようやく緩和ケアの対象として認められましたよね。
はい、やっと認められました。
だとしたら、現在の医療制度の資格に置かれて、将来の改定を待ちわびながら、今この瞬間も制度上見過ごされている激しい苦痛は、他にどれだけ存在するのでしょうか。
ああ、確かに。私たちの社会が引いている医療とケアの境界線は、果たして本当に全ての苦痛をカバーできているのか。
そうですね。
病名や数値では測りきれない痛みに、私たちはどう寄り添う道なのか。聞いてくださっているあなたも、ぜひこの次なる境界線について考えてみてください。
06:47

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