製造現場の人事異動の現状
どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、科学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介する番組です。
今回は、リッスンさんの企画に参加しています。
その名も、ハルーララつながリッスン10デイズ。
共通トークテーマが、新年度に思うことということで、今回は人事異動が多い新年度に製造現場は人が変わらないという点についてお話ししてみたいと思います。
まず製造現場の定義を決めておきたいんですけれども、それは実際に製造作業に従事する人としておきます。
ですので、私のような生産技術の人は少し外れてきます。
製造現場の方は、あまり異動する印象が私はないなぁと思いますけれども、反対に技術職の方ですね、生産技術とか製造技術と呼ばれる方は比較的異動が多いかなと思います。
科学メーカーを例に挙げますと、一連の開発工程になってきますので、技術職の方が研究職に移動したり、研究職の方が技術職に移動したりということはあります。
なぜ製造現場で異動が少ないのか。
一つ目は、複雑なプロセスの理解には年単位の経験が必要になるということです。
特に化学プラントというのは非常に長い工程を経て、複雑な処理が必要になってきます。
化学反応を伴いますので、実際に系中で何が起こっているか把握するのというのは目では見えません。
ですので、温度や流量、圧力などを使って相対的に判断をしていきます。
そこから実際にプロセスがどうなっているかというのを想像しなければならないので、運転を管理するのには経験が必要になってきます。
そしてもう一つ、異常時の対応というのは経験者の判断がやはり重要になってきます。
それによって助かる命も助からなくなるということがあり得ます。
またトラブル経験者は能力が格段に上がるというイメージもありますね。
そうしてそのまま現場のリーダーへと上がっていきます。
経験を積んでレベルが上がった現場の作業者の方は、当然その部署ごとに重宝されていきますので、自然とそのまま移動なく上がっていくことになります。
もちろん悪いことではなくて、それぞれの経験を後輩に伝えていけるというメリットもありますね。
ただ同じ顔ぶれだからこその課題というのもあります。
その一つが今の作業が当たり前になってしまうということです。
今やっている作業が当たり前になってしまって、新しい視点で変えようとならなくなってしまう恐れがあります。
私のような一歩引いた人間が改善のきっかけを作っていかなければならないと感じています。
そしていつも通りが思考停止の危険性を生んでしまいます。
だんだんと作業が形外化してきて、やらなくなるということはないと思いますけれども、何も考えずに同じ作業を繰り返してしまうという危険性もあります。
同じ顔ぶれだからこそ、だんだん人が入ってくる、入れ替わるということがなくなってきて、教育というものが減ってきます。
今問題になっているベテラン層の退職、これに伴って技術がなくなっていくというリスクが伴います。
今各社が取り組んでいると思いますけれども、暗黙値の部分を形式値に変換する難しさというのがありますね。
新入社員の採用課題
ここまでは人事異動のところに注目してお話ししましたけれども、新入社員の部分でも少し問題があります。
特に製造業、製造現場のところというのは新入社員が入りづらくなっています。
やはり作業がきついというイメージもありますので、自然と例えばIT系の方に進んでいったりということはあるんだろうなと私も感じます。
ですので、いつでも人を受け入れる体制が必要になってきます。
新卒採用の方が入りたいと思ってくれる環境を整えることはもちろんなんですけれども、中途採用としていつでも人を受け入れる体制というのも必要になってきます。
いつでもだけでなく誰でもという視点も必要です。
少子高齢化で人口減少が激しくなっている状態で製造業の人気というのは低迷していっています。
ましてや現場の作業というのは一層人気がなくなっていっています。
少しでも働き手が増えていくために多様な労働者が活躍できるような環境も必要になります。
例えば、高齢者や女性のような体力的に不利な方、あとは外国人の方ですね。
国籍というよりは日本語が苦手な方というイメージを持った方がいいかもしれないです。
多様な労働者が活躍していくためにもいくつか課題を解決しなければなりません。
これまでは若い日本人の男性がどんどん活躍していた時代から、これから高齢者や女性や外国人をはじめとした今まで入ってこなかった方々も一緒に仕事をすることになります。
多様な労働者の必要性
当然、今まで起きなかったトラブルも起きるようになってくる恐れがあります。
例えば、高齢者の方であれば手順が覚えられないとか、外国人の方であれば正しく話した内容が伝わっていないとか、そういうことがきっかけで品質のトラブルにつながるかもしれません。
月並みかもしれませんけれども、マニュアルを作成したり、ある程度機械的に作業ができるようにするというところは大事になってきます。
もし機械的に作業ができる環境が作れるのであれば、そこから自動化にもつながって必要な人員というのも少なくなるかもしれません。
また、操作が覚えられないとか話が伝わっていないとか、そういうことは品質だけではなくて労働災害、安全にも当然つながってきます。
そもそも間違った操作ができないようにする。 もしくは人が誤って操作しても危険を生じないようにする。そういった形で設計しなければなりません。
新しく入ってきた方には当然技術を伝えていかなければなりません。 今は技術職も含めて転職が当たり前の時代になってきて人がどんどんやめていってしまいます。
最近思うのは、人を育てるような状況ではないのかなと思ってきておりまして、中堅どころの会社というのは
人を育てると大企業に転職していってしまうという形がだんだんと出来上がっているなぁと感じています。
それが悪いことではなくて、新しい人がすぐに慣れて活躍できる環境をどんどん作っていかなければいけませんね。
個人的には中途の人が入れ替わりでどんどん入ってきて活躍して、そうしてすぐ辞めてしまってもいいんじゃないかなと思っています。
惰性で何十年も居続けるよりは、3年しか居ないけど、この3年で思いっきり成果を出して次のところで頑張りますという方の方が
最終的には会社にとっても、転職される方にとっても、そして一緒に働く人にとってもプラスになるのかなと思います。
ここからアフタートークです。 今回から冒頭の挨拶を少し変えてみました。
これまでは科学や工場に関するトピックを分かりやすく紹介して身近に感じてもらう番組ですと話していましたけれども、
身近に感じてもらうってちょっとズーズーしいなぁと思いまして、 単純に分かりやすく紹介する番組ですとつけてみました。
こういう変化っていうのは仕事をしているとちょっとやりにくくて、自分一人で行っているからこそ承認も何もなくて自由にできてやっぱりいいですね。
とはいえ、直してほしいところとかこんなことやってほしいなどありましたら概要欄にあるお便りフォームからぜひ投稿してください。
今回はここまでです。 フラントライフでは科学や工場に関するトピックを扱っています。
毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので、通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
プラント技術に関する専門的な内容はkemfacというブログで解説しています。
最後にこのプラントライフがいいなと思っていただけたら番組のフォローや各ポッドキャスターアプリから評価をお願いします。
そうしていただけると今後の励みになります。 それではお聞きいただきありがとうございました。