大阪万博訪問
どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、化学や工場に関するトピックをわかりやすく紹介する番組です。
先日開催されたばかりの大阪関西万博に行ってきました。
すでにいろいろな報道で内容は紹介されていると思いますけれども、行かなければ見つけられないような化学のものっていうのを今回紹介してみたいと思います。
全部で6種類、合わせて技術的な補足もしてみたいと思います。
まず一つ目がリサイクルプラスチックの食器ですね。
食事をした時に出てくる容器に、日東電工のプラスチック容器が使われていました。
リサイクルプラスチックと記載されていましたので、おそらく生産工程から出たハイプラスチックを利用していると思います。
日東電工のプラスチック容器というのは、過去に東京オリンピックやパラリンピックで使われていたそうです。
そんな日東電工のハイプラスチックのリサイクル率というのは約50%と公開されています。
ここはテープの製品が多いんですけれども、テープ製品を機材と粘着剤に分離できる技術があります。
そもそもリサイクルするには単一材料に分離しなければなりません。
そのため技術的に難しい部類になります。 リサイクルされた粘着剤は再利用されます。
そして機材はペットなどの樹脂です。 樹脂はフィルム化して再度テープになります。
一部は作業服にもなるそうです。 2つ目は再生資源を使った優遇を見つけました。
万博というのは結構いろんなところに小さな公園のような広場があります。 その広場の一つにボーネール運動という子供がいらっしゃる方なら有名な会社の優遇があります。
その優遇に再生資源が使われていました。 洗廃器物とプラスチックゴミを95%以上使った優遇の支柱、柱ですね。
テックスメイドという名前の素材が使われています。 他にも漁で使う網が海に捨てられているんですけれども、それを使った壁というのが用いられていました。
漁で使う網というのは海洋プラスチックゴミのだいたい10%を占めるそうです。 これを回収して再利用されています。
再生資源を使った支柱や壁というのは特に触った感じわかりませんでした。 壁に貼ってあるシールを見つけて、それで気がつきました。
新しい建築技術の紹介
3つ目が紙製の人工芝です。 黄錠というオージファイバー製の素材が使われていました。
これは和紙が原料の糸になっています。 和紙はマニラーサが原料になっておりまして、主にフィリピンやエクアドルに生息しています。
2、3年という早いスパンで成長しますので、 その過程でCO2を吸収しますし、利用にとても最適という特徴があります。
では和紙からどのように糸を作るかという話ですけれども、 和紙を細長く切って寄るような操作になります。
紙から作られた糸は小線紙と呼ばれます。 また軽くて質感が良いというのも特徴ですね。
私も学生の頃よく朝の服を着ていました。 非常に肌触りが良くて、特に夏服に使いやすかったですね。
この和紙で作られた糸を人工芝としても使っているということで、 とても肌触りが良い芝になります。
普段はポリエチレンやポリプロピレンのような石油来の原料樹脂が使われています。
この糸でどのように人工芝を作るのかという話ですけれども、
ベースの布に少し浮いたような形で波々に糸を縫い込んでいって、 先端をカットすることで芝のようなものになっていきます。
縫い込んだ後は抜けないように裏からコーティングして作られます。
4つ目が3Dプリント建築された休憩所です。 これは竹中工務展が作ったものになりまして、
一体造形という形で3Dプリンターを使って建築されています。 この3Dプリント建築自体は比較的新しい技術ではあるんですけれども、よく聞かれると思います。
今回何が新しいかと言いますと、 成分解析プラスチックを使って3Dプリント建築したというところにあります。
ダイセルのキャフブローという作産セルロース樹脂を使って建築されています。
このキャフブローは木材や面下などの食用でないバイオマスの由来の素材を使っています。
バイオマスの素材というと、 食用のものを転用して食料問題に発展したりということがありますけれども、
このキャフブローに関しては木材などを使用しているということになりますね。 その素材にヒーフタル酸系の化素材を配合して加熱成形できるようにしています。
今回ヒーフタル酸系が使われていますけれども、 ヒーフタル酸系の化素材というのは人体の有害性の懸念があるので既成対象になっているものもあります。
それもあってあえてヒーフタル酸系の化素材を配合しているということになります。 作産セルロース樹脂のキャフブローは土壌分解性とか海洋分解性も示します。
まずは水との過水分解や微生物の反応でセルロースと作産に分解します。 最終的には水や二酸化炭素に精分解されます。
機械的な特性があるのはもちろんなんですけど、 透明性が高かったり抗菌性があるというのも特徴です。
実際見に行ったんですけれども非常に透明性が高い素材になっていました。 ちょっとテカテカしているのでザープラスチックというような見た目ですね。
3Dプリント建築されたものの外側には仕上げ材として紙が貼られています。 この紙は牛乳パックなどが原料になっておりまして、
中に草木の種が入っています。 この種を入れて紙すきをして作られています。
紙すき自体も子どもたちに実施してもらって体験型のイベントになっていたようです。 紙の中に草木の種が入っているということで、
建築された建物の周りにはちょっとずつ芽が出ているんですよね。 だんだんと森に侵食されているような見た目になってきてまして、おそらく万博の後半ではもっとモジャモジャしたような建物に変わっていると思います。
万博が終わったら取り壊すことになるんですけれども、 この欠片を紙すきをした子どもたちに再度配って
森に返してもらうということになります。 主に休憩所としてこの建物は使われているんですけれども、一部トイレにもなっていました。
5つ目はナトリウムイオン電池で駆動する自動販売機です。 一つだけアサヒイン魚の自動販売機がナトリウムイオン電池で駆動していました。
太陽光発電した電気をナトリウムイオン電池に貯めています。 ナトリウムイオン電池はレアメタルを使用していないことで、
今後利用が期待されている電池の一つになります。 レアメタルというのは地球上に存在が少なかったり、採掘が困難で流通量が少ないという、まさに名前の通りレアな金属になります。
多くのレアメタルは採掘時にエネルギーをたくさん消費するということで、環境面でも問題になっています。
代表的な電池はリチウムイオン電池ですね。 これは製極材料にコバルトが使われていたり、電解液にリチウムが使われていたりします。
これらはレアメタルです。 特にコバルトは採掘時の安全性ですとか環境破壊というのが問題になっています。
その一方でナトリウムというのは大量に存在する元素になります。 ナトリウムNAは身近なところにたくさんありまして、それが海ですね。
塩にナトリウムが含まれています。 これを電気分解することで手に入れることができます。
ただナトリウムイオン電池になるとエネルギー密度が低いデメリットがあります。 これは単質量あたりのエネルギー量が少ないので、
例えば重くなったり大きくなったりということになってしまいます。 それでも今後のことを考えるとナトリウムイオン電池っていうのは採用が期待されている部類になります。
新しいテクノロジーの紹介
今回使われていたアサヒ飲料の自動販売機というのは、もともとCO2を食べる自販機として売り出されていたようです。
中に待機中の二酸化炭素を吸収するような二酸化炭素吸収剤が搭載されているようで、
その吸収した二酸化炭素をアスファルトやコンクリートの原料などに使うということが予定されていました。
ですので電池のレアメタルの問題ももちろんのことなんですけれど、 太陽光で駆動しますしCO2を吸収するというかなりSDGs寄りな自動販売機になっています。
吸収した二酸化炭素はアスファルトやコンクリートの原料に使うことが考えられているそうです。
二酸化炭素の資源利用というのはシャープ7番、CO2が資源になるって知ってた?
注目のCCUS技術という放送もぜひ聞いてみてください。
最後6番目は有機白膜太陽電池の屋根がついたベンチです。
モレスコの有機白膜太陽電池、これが使われたベンチがありました。
名前はOP3-2というものです。
太陽電池は太陽光で発電するものですね。
有名なのが一軒家の屋根の上に取り付いているソーラーパネルです。
このソーラーパネルはシリコンの太陽電池になっています。
それに対して今回モレスコが作っているものは有機白膜太陽電池です。
これはシリコンではなくて有機半導体が使われていまして、有機半導体の層を電極で挟んだような構造になっています。
従来のシリコン太陽電池よりも安価でフレキシブルで、そして軽量なのが特徴です。
できた有機白膜太陽電池は薄くて軽くて透過性があります。
今回モレスコでは電子看板などを製造販売する縦石工備社と、電装部品などを販売する東海リカクリエイトと一緒に製造しまして、ベンチとして仕上げています。
見た目は土から芽が出たような葉っぱの見た目になっておりまして、その葉っぱ部分に有機白膜太陽電池が付いています。
ベンチの真ん中のところに支柱が一本立ってて、そこから両端に葉っぱが湾曲して広がっているようなイメージですね。
薄くて軽くて透過性があるという特徴を生かして、葉っぱのデザインに仕上げています。
有機白膜太陽電池はデザイン性に優れておりまして、
これをタペストリーとして使用して窓に貼り付けるというような使い方もできます。
発電しながらインテリアの一部として機能する役割があります。
街中でソーラーパネルがたくさん並んでいるというものを見ますけれども、少し景観が損なわれるというところがありますよね。
有機白膜太陽電池を使うことで景観を損なうことなく発電もできるということになります。
ここからアフタートークです。
万博の楽しみ方
万博、とても楽しかったです。
うちは子供と一緒に行ったんですけれども、あらゆるところに小さな公園のような遊び場がたくさんありました。
また各地にちっちゃいですけれどポケモンがいまして、子供が喜んでいましたね。
そしてさすがだなと思ったのは、どこでもベビーカー使えるというところですね。
全然荷物がいっぱいだったりベビーカーをしていたとしても困るようなことはありませんでした。
あとトイレも充実していて、個人的には子連れの方に行ってもらいたいイベントですね。
一個注意点がありまして、私は例えばオランダのパビリオンとか電力館とか行ってみたんですけれども、映像が出てくるんですよね。
その映像が大きい音だったり、ちょっと環境問題に訴求するような映像になるので、少し怖い部分も出てきたりします。
ですのでパビリオンというよりは外の遊び場とか、建物とかそういうものを楽しんでもらった方が小さいお子さんには良いかなと思いました。
今回はここまでです。
プラントライフでは科学や工場に関するトピックを扱っています。
毎週水曜日の朝6時に定期配信していますので、通勤時間や朝の準備などにお聞きください。
番組へのお便りは概要欄にあるお便りフォームから投稿ください。
プラント技術に関する専門的な内容はkemfacというブログで解説しています。
最後にこのプラントライフがいいなと思っていただけたら、番組のフォローや各ポッドキャストアプリから評価お願いします。
そうしていただけると今後の励みになります。
それではお聞きいただきありがとうございました。