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どうも、かねまるです。
プラントライフは、化学プラントの技術者が、科学や工場に関するトピックをわかりやすく紹介する番組です。
技術士試験の概要
皆さんは、技術士という資格をご存知でしょうか。
今年、私が受験する予定の資格試験になっています。
最近は、この技術士試験の勉強にかかりきりになってて、あまり他のことに手がつけられていないので、
せっかくですので、今回は技術士のお話をしてみようと思います。
まず、技術士というのは、技術士法で定められている日本の国家資格の一つです。
技術という言葉が入っています通り、科学技術に関する高度な専門知識と応用能力を持っている技術者、これを認定するような資格です。
他の資格と違うのは、国家資格であって技術士法で定められている点でしょうか。
試験に合格して、その後に国に登録をしないと技術士というものを名乗れません。
登録してない人が技術士を名乗ると法で裁かれます。
技術というと幅広いですよね。
実際に技術士の試験というのは21の専門技術部門に分かれています。
私は科学部門で受験する予定です。
その他にも建設や機械、電気電子、情報工学、応用理学など様々な技術分野がカバーされています。
基本的に技術士の受験者というのは建設部門や機械部門、電気電子部門が多いです。
そんな中、科学部門の技術士というのは現在1764名。
全体の比率で言うと1.43%です。
少ないですよね。
試験内容と評価基準
毎年の受験者数で言うと200名弱です。
なぜそんなマイナーな資格を受験するのかと言いますと、試験の内容が非常に良かったというところがあります。
技術士試験は一次試験と二次試験に分かれます。
一次試験はマーク式になってまして、一般的な資格試験に近い内容となっています。
特別なのは二次試験です。
自分の業務経歴書を提出します。
そして試験は論文を書くのと口頭試験を行うことです。
論文は大きく4つに構成されてまして、600字の原稿を1から3枚でそれぞれ書いていきます。
口頭試験については論文の試験が合格した人だけに行われまして、受験者が技術士としてふさわしいか、それが判断されます。
そんな技術士試験に合格する人、それはどんな人だと思いますか?
高い技術で素晴らしい成果、大きな成果をあげた人、そんなイメージを持ちませんか?
令和より前の試験についてはこのイメージに近い内容だったかもしれないんですけれども、令和になってから試験の評価基準が変わりました。
成し遂げた成果ですとか、持っている技術の高さというよりも、一定の専門性を持っていながら複雑な問題を解決する資質があるということを証明している印象です。
この資質があるというところが重要でして、技術士試験に合格した人は技術者のゴールではなくて中間地点にあるだけです。
文部科学省から技術者キャリア形成スキームというものが公開されています。
これは最初のステージ1から最上のステージ5まで設定されています。
技術士に合格した人はステージ3です。
各ステージに対してどんな技術者像であるかですとか、業務上に必要な能力、これが書かれています。
技術士というのは真ん中のステージ3なんですよね。
合格してからどんどんレベルを上げていく、そんな作業が必要になります。
技術士試験で評価されるのは個々の内容、例えばどんな電池を開発したか、そんな話ではなくてコンピテンシーという8つの資質能力で判断されます。
技術者としての資質
簡単にそれぞれのコンピテンシーを紹介します。
専門的学識はわかりやすいですね。
その分野、私だと科学部門、もっと言いますと科学部門はさらに有機化学、無機化学、高分子、科学プロセス、この4つに分かれています。
私は科学プロセスという分野で受験しますので、科学部門全体に関する知識はもちろんのこと、科学プロセス、科学工学系ですとか、プラントの運営などそのあたりの知識というのは深掘りして聞かれることになります。
これらの知識を持っているかというところが専門的学識ですね。
技術史でいう専門的学識というのは、国が持っている法律ですとか、自然条件、これらを知っているかというところも範囲に入ります。
次が問題解決です。
何か問題があったら、これをやったら解決する、そんなわかりやすい問題ってあまり実務ではないですよね。
いろんな複雑な内容があって、どのように調査するか考えて、調べて、どんな制約があって、何をすればよいか、こういうものを見つけないといけません。
そしてトレードオフということもありますね。
例えば、機能をどんどん上げていくと費用がかかってしまって利益が保てなくなる。
あっちを立てればこっちが立たなくなる。そんな問題に対して合理的な提案を出す。これが問題解決になります。
次がマネジメントです。
社内にはリソースというものが限られています。
人もそうです。
リソースはお金だけではなくて、人、設備、情報、いろいろなものが制限された中で実行していかなければなりません。
達成したい目的に対して、限られたリソースをどのように配分していくか、そのようなところがマネジメントでは問われます。
次は評価です。
業務を行うにあたって、それぞれマイルストーンがあって、その段階段階でどんな結果が得られたか、最終の結果はどうだったか、この業務が次にどう繋がっていくか、こうしたことを考えられるかということが評価にあたります。
次はコミュニケーションです。
業務にあたって、上位者ですとかお客さん、もしくは公的機関、様々な関係者との間で一措を行う能力です。
論文試験で言うと、文章の分かりやすさで判断されますね。
直接試験では評価しづらいところではありますけれども、海外の業務の場合は文化的な内容を理解しているかというところも問われます。
次はリーダーシップです。
業務にあたって様々な部署、そして会社外の人たち、その人たちが求めるものというのはみんな違います。
すべての要求を叶えていくと仕事として成り立たなくなってしまいますので、このそれぞれの要求を調整して取りまとめること、それがリーダーシップとして求められています。
ですのでリーダーシップという一般的な単語の意味とは少し離れるかもしれませんね。
最後に技術者倫理。
これは名前の通り技術者としての倫理能力を試されます。
業務を行うにあたって公衆の安全ですとか健康や福利を最優先に行えるか。
社会や文化、そして環境に対して影響を考えているか。
法令を守っているか。
こうしたところが技術者倫理として問われます。
ここまで技術士試験で問われるコンピテンシーの紹介をしましたが、意外と内容というのはビジネス力に近いような内容だと思いませんか。
技術者としての資質を上げるための試験勉強として非常にいいなという印象を受けてまして、私も受験しながらこの能力が身についている。
そう実感しています。
この話を聞いて受験してみようかな、そう思う方がいらっしゃればぜひ問題をまず見てみてください。
おそらく難しいと思うかもしれないので、時間をかけて来年度の受験を考えてみてください。
今回はここまでです。
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