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53 調整機構は設計者の逃げなのか?
2026-09-21 15:14

53 調整機構は設計者の逃げなのか?

メカ設計のお話です。

「調整機構は設計者の逃げなのか?」

長穴やストッパボルトで位置を微調整できるようする調整機構。

生産設備設計の視点でお話します。

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サマリー

機械設計における調整機構は、設計者の逃げではなく、加工誤差や組み立てのばらつき、ガタ、たわみを低コストで吸収する合理的な方法だと説明する。CAD上では90度でも、実機では89度や91度になり得る一方、精度を極限まで高めると加工費・納期・測定負担が増える。長穴などを使う場合も、基準・方向・手順が明確で、再現性やメンテナンス性を備えた設計が必要になる。4ステーションのインデックステーブルで調整機構を省いた失敗例を振り返り、生産台数やコスト、納期、保守性に応じて精度追求と調整機構を組み合わせるのが設計者の腕だとまとめる。

調整機構は設計者の逃げなのか
はい、ごきげんよう。おつかれさまです。 ヲタクと技術とコーヒーとへようこそ。
パスナー力のよへです。 この番組は、好きなものをただ好きと言いたい。そんな配信です。
今回のテーマは、技術界。
調整できるようにしておくのは設計の逃げなのか、というテーマです。
はい、これは機械設計の話ですね。
機械設計機械を設計しておりますと、
例えば、ここ、位置を微調整できるように長穴にしておこう、だとか、
ストッパーボルトで押し当て位置を調整できるようにしよう。
それから、薄い金属板のシム。
これを挟んで、ちょっと高さを微調整できるようにしよう、といった設計をすることがあります。
ですが、設計を始めたばかりの頃って、
図面通り作ったら、調整なんかしなくても一発でビシッと決まるのがいい設計なんじゃないか、と思ってしまいがちなんです。
調整が必要ってことは、設計段階で寸法を決めきれていない。
組み立て現場に後島と押し付けるような設計者の逃げなんじゃないか、という誤解があります。
実際に機械を作っていくと、現実はそんな簡単なもんじゃないな、というのがわかる。
例えば、ある部品間を回転させて、90度の位置をピッタリ停止させたい。
CAD上では、当然90度に設定できます。
リンクの長さだとか、回転の角度とか部品寸法、ストッパーの位置とかも計算通り、理論上は100%90度、90.00度できるんです。
現実の誤差が生まれる理由
ところが、実際に部品を加工して組み立ててみると、89度とか91度になってしまう。
ものによっては、同じ図面で作った1号機と2号機。
同じ図面で同じように作って、同じように組み立てたはずなんですけども、微妙に停止位置が変わっている。
こういうこともあります。
じゃあ、なぜそんなことが起きるのかですね。
簡単です。加工交差。
組み立てのばらつき。
ガタとか隙間。
それから、たわみ変形。こんなのがあります。
加工交差というのは、100mmの寸法で作ってよって図面に書いても、実際には100.0000mmになるというのはできません。
99.98とか100.02とか。
誤差。加工交差というのがあります。
似たようなものですね。組み立て時のばらつきがあります。
組み立てた時の締め付け具合、位置合わせとかでも、わずかなズレが生じます。
ガタと隙間。軸と穴とか、レアリングの内部隙間とか。
ものを動かすためには、ギャップが、隙間が必要なんですね。
それから、たわみ変形。
例えば、フレームの溶接歪みだとか、アルミフレームの硬さとか、ゴムや樹脂パーツのたわみ。
それから全てのものは、合体ではないんです。
ちょっとした力で、ちょびっとだけ変形するんですよ。
これがたわみ。自由によるたわみ。
こういったものがありまして、誤差が積み上がっていく。
要するに、CAD上の理想形状には存在しない誤差とか変形っていうのが現実世界には存在する。
精度追求と調整のコスト
これが機械設計の面白さでもありながら、一番面倒なところでもある。
じゃあ、加工誤差ですね。
全部の部品精度を極限まで上げて、誤差を厳しくしてやればいいのかというと、そうはいきません。
例えば、加工誤差をプラマイ0.1mmだったやつをプラマイ0.01mm、0.001mmっていう風に厳しくしてやって、超高精度に作ってやる。
こうやっていけば、調整なしに近づけることは可能なんですけども、
簡単にわかりますよね。
加工費がむちゃくちゃ上がっていくんですよ。
納期も大幅に伸びます。
さらに細かいことを言うと、きっつい精度で測定をしろっていう話になります。
今度、測定誤差っていうのが乗ってくるんですね。
もうそこまで乗ってくると、測るだけでものすごい面倒くさいんですよ。
こうなってくると、お値段がバンバン上がっていく。
こんなにやるんだったら、部品の精度はそこそこ安く、安めに抑えておいて、納期も短くして、最後にストッパーボルトとかシングとか一箇所で調整して合わせるっていう方が、機械全体として圧倒的に安くなるっていう発想が出るんですね。
つまり調整機を入れるっていうのは逃げじゃなくて、現実世界にあるばらつきを吸収すると。
そういう設計であるっていう風にも言えます。
ただね、とりあえず長穴っていうのはね、なかなか立ちが悪いんですよ。
全部長穴にして調整できるようにしようっていう話でもございません。
調整箇所が多すぎるっていう機械は、なかなか悪魔ですね。
調整しやすい機構の条件
組み立てる人によって再現性がなくなっていく。
調整作業っていうのがすごい時間かかるんです。
どこに合わせられるかもわからない。
さらにあるのは、メンテナンスとか分解交換するたびにもう一回調整しなければならない。
今度は基準どこなのよ。
どういう風に合わせていったらこれは正しく組み上がるの?
測りながら組めなんていうのはなかなかしんどいんですね。
調整できるっていうことと、正しく調整できるように設計されているっていうのは全く別のものなんですね。
良い調整機構っていうのはターゲットとなる基準が決まっている。
調整する方向や手順が明確で一度決めたら簡単にはずれない。
こういうのが良い調整機構です。
例えばこの長穴を緩めてこっちのボルトもいじって、スペーサーも入れ替えて、ここも合わせてみたいな。
何回も何回も調整が必要っていう設計はやってられませんね。
これが一品物の生産設備みたいなやつなのか、大量生産される量産品なのかの答えが変わってきます。
一品物だったら組み立てに30分かけて調整するっていうのでもまあまあいけるんですよ。
1回だけだから。
これが大量生産するやつ。
1日に1000台とか作る量産品で毎回30分調整してたんですよ。
できるわけがない。
量産品だったら多少部品コスト払ってでも、ジグ使うとか部品精度で追い込んでやって調整なしで組んでやる。
こういう風にした方が全体の価値が上がると。
インデックステーブルでの失敗例
過去の自分の経験で調整機構なしにしたっていうのがございまして、やらかしたんですね。
昔、物を作った時に加工精度で追い込んで調整機構なしにしていこうと設計をしたんですね。
自分が作ったインデックステーブル、ぐるぐる回りながらやるやつのインデックステーブルに4つのステーション、作業位置が4つあるような機械を作ったんですね。
それの位置関係っていうのをインデックステーブル上で加工交差で縛ってやって、位置決めピンで固定する。
ステーションに置くジグっていうのを位置決めピンで固定するって構造したんですね。
図面上だとできると、加工交差も入ってる、搭配にしてあるんで大丈夫になったんですけど、実際に組み上がってみると4つのステーションの位置がちょっとずつずれてるんですね。
ステーション位置に合わせて調整しました。
下のユニット調整します。
くるっと回って仕事させようとしたら、今度ステーション2はなんかちょっとずれてる。
まあいけるかな。
今度ステーション3は一番遠いところですね。
ステーション3はものすごいずれてる。
全く仕事にならない。
離れたステーションに行けば行くほど、累積の誤差みたいなのがどんどん表れていくんですね。
一体どこに合わせりゃ正解なんだみたいな状態になってしまいました。
これまた一二目ピンでG5を固定しちゃってるので、現場でステーション3が大ずれしてるからステーション3だけずらして合わせ込めばいいって思うっていうのもできない。
どうしようもないですね、これは。
これ加工で追い込むって言っても、全部乗っけて3次元測定機に乗せて、位置いじくってみたいなのはできませんね。
なんとかするというので、せっかく作った一二目ピンを引っこ抜いて、これで原物を合わせるシークっていうのをやったっていうのが正直なところですね。
なんで、再現ができなくなったっていうのがあります。
インデックステープでやるんだったら、基準となるように一箇所詰めて、ベースプレートの方から生えてくるような形にしてあって、そこに合わせて各ステーションを一二目で調整できる。
長穴とかノック穴を持たせて、シム入れて調整するみたいな機構を作ってやるっていうのが正しい姿なんじゃないかなと思います。
本当にあの時は大変でした。
CADと現実、フィジカルAIのギャップ
次に、キャドと現実のギャップを見るっていうのが一つの設計なんだろうなと思います。
キャドの中では、100mmは100mm、100.000mmっていうのがですし、90度は厳密に90度、直角。
全ての部品が合体をして振る舞う、そういうのがキャドの中になっています。
キャドです。キャAじゃないです。CAEじゃなくてキャド。
現実の物体ですと必ず寸法のバランスキーがあったりとかします。
3Dプリンターでも収縮したりとか、いろんな成形上限によって寸法が出ないっていうのがよくありますね。
それから最近のフィジカルAIっていうのもありますね。
仮想空間ですと、理想的な位置にサポーボータの角度を何度動かしたら指先の先端がここに来るっていうのが、
仮想空間のシミュレーションでここに来るとなってるんですけども、
現実のアームですと、そうは動かないんですね。
こんなフィジカルAIの課題っていうのもあります。
どんだけ高度なシミュレーションを行っても、現実の世界では原則機のバックラッシュだとか、
アームのたわみっていうのは発生するので、指先のアームの先端のところはちょっとズレる。
設計者が選ぶ最適なバランス
誤差が出てしまうっていうのがあります。
CAD上で設計した理想の形と現実に出来上がる複雑な機械っていうのがありますけども、
その間にある疑想的なギャップとかはどうやって埋めるのかっていうのもあるんですけども、
加工精度をゴリゴリに追い込んで誤差を潰していくのか、
これとも最後ジグを使って吸収するとか、
またそれも合わせ技ですけども、調整機構を廃止して逃がすのか、
逃がすとか追い込んでやる、これもありますね。
コスト、納期、生産台数、それからメンテナンス性、
この辺トータルで考えて最適なアプローチを選択するっていうのが、
機械設計者のノウハウとか腕の見せ所なんじゃないかなと思っています。
これはまだ人間が得意な分野というか、
AIがまだ苦手な分野じゃないかなというふうに思っております。
というわけで今回のまとめです。
今回はテーマ、調整できるようにしておくのは設計の逃げなのかという点でお話しさせていただきました。
最後におさらいとしましては、
1つ、調整機構は逃げではない。
現実の加工誤差や歪みを低コストで吸収するための合理的で重要な設計戦略。
こういうふうに考えています。
2つ目、調整できると調整しやすいっていうのは違うよと。
とりあえず長穴っていうのはダメです。
基準とか方向、手順が明確で迷わない調整機構、
これに落とし込むっていうのが不可欠でございます。
3つ目、理想と現実のギャップを埋める。
コストの大きい生産台数に合わせて加工精度で潰していくのか、
調整機構で追い込んでいくのか、
この辺のバランスを見極めるっていうのが設計者のお仕事ですよ。
設計者の腕の見せ所ですよっていうのがこの辺ですね。
ちゃんと考えて長穴を作るとか、
ちゃんと考えて調整機構を作るとか、
こういう根拠を持っているようになりたいなと思っております。
この言い方からわかる通り、まだ頑張ってます。
うまくできたらいいなと思いながら、
この反省点はほぼ自分のためです。
それでは今回はこの辺で、
オタクと技術とコーヒーと、
アスナリチア・ヨヘでした。
バイバイ。
15:14

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