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  2. 第9講 経済的自由、人身の自由
2025-06-04 07:35

第9講 経済的自由、人身の自由

この講義資料は、経済的自由と人身の自由に焦点を当てています。職業の自由に対する規制の合憲性を、薬事法判決の判断枠組みを引用して検討し、消極目的規制と積極目的規制の概念や比例原則について説明しています。また、財産権の変遷と適正手続の保障に触れ、特に合衆国憲法第14修正や第三者所有物没収事件の判例を挙げています。さらに、死刑の合憲性や残虐な刑罰に関する判例、および死刑確定者の人権に関する訴訟にも言及しています。

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今回いただいた、あの、抗議の録音とか、判例資料、あと、報道映像を拝見しました。
で、今回は、憲法が定めている権利、特に、経済的な自由の職業選択の自由と、あとは、国家権力に対する個人の保護、適正手続き、
それから、今も議論が多い、死刑制度、この辺りに焦点を当てて、具体的な規制とか、社会問題の中でどう機能しているのか、
見ていきたいな、と思っています。
なるほど。いただいた資料、本当に、あの、条文の解釈から、具体的な判例、あと、国内外の運用の実態まで、かなり多角的ですよね。
ええ、そうですね。
これらを、こう、つなぎ合わせていくと、単なる知識っていうよりは、なんか、社会を見る解像度がぐっと上がる感じがしますね。
まず、憲法22条の職業選択の自由ですが、これ、資料によると、もともとは封建的な未論性からの解放みたいな意味合いがあったと。
ええ、その通りです。で、現代では、単にどんな仕事を選ぶかっていうだけじゃなくて、それをどう遂行するか、まあ、つまり営業の自由ですね。
ああ、営業の自由。
で、それも含まれると、資料にあった弁護士さんとか、ラーメン屋さんの例えありましたよね。
ありましたね。わかりやすかったです。
どんなスタイルでとか、どんな価格でとか、それも自由の一部だという解釈です。
ええ、でも、まあ、自由とは言っても、お医者さんの免許とか、薬局の許可とか、クリーニング店の届出とか、資料には規制の例もたくさんありました。
そうですね。
この自由と規制の線引きっていうのは、どう考えればいいんでしょうか。
そこがまさに憲法解釈の肝心なところですよね。資料で詳しく解説されてた、薬局距離制限事件、薬事法の判決です。
ああ、はいはい。
あれが結構重要な判断基準を示していて、規制の目的が消極的な弊害防止なのか、それとも積極的な福祉の増進なのか、これによって裁判所の審査の厳しさが変わるっていう考え方ですね。
目的負担論。
なるほど。あの判決だと、薬局の距離制限は過等競争を防ぐっていうよりは、むしろ新しく入るのを阻むみたいな、そういう積極的な性格が強いと見られたんでしたよね。
そうなんです。
目的を達成する手段としても、ちょっとやりすぎじゃないかみたいな視点も大事だと。
その通りです。非礼原則って呼ばれる考え方ですね。規制の手段がまず目的達成に負荷しているか。
2つ目、必要最小限度化。そして3、得られる利益と制限される利益のバランス。これが取れているか、相当性。これを吟味するんです。
資料に薬の副作用の例えがありましたけど、効果があっても副作用が強すぎたら使えないのと同じで、規制も目的は正しくても、手段が過剰だったらダメということですね。
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なるほど。わかりやすいです。国家権力と個人の権利のバランスっていう点は、次のテーマの適正手続きにもつながってきますね。
憲法31条の法定手続きの保障。これって単に法律があればいいってもんじゃなくて、その手続き自体がちゃんと公正、適正じゃなきゃダメっていう。
はい、そうです。これは非常に重要な原則です。
かなり重要な意味合いですよね。
資料にあった第三者所有物募集事件、あれは象徴的ですよね。犯罪に直接関わってない人の財産を知らせたり、言い分を聞いたりする機会も与えずに募集するのは、これは違憲だと。手続きの保障がいかに大事かを示してます。
それから成田新法事件では、この適正手続きが刑事だけじゃなくて、行政手続きのも及ぶ可能性があると示唆されましたね。
はい、行政手続きにも。
ただ、治安によって求められる手続きのレベルは、まあ散らるかもしれないとも言及されてますけどね。
なるほど。そして、個人の身体とか生命に対する一番厳しい制約に関連するのが36条。
はい。
拷問及び残虐な刑罰の絶対的禁止、これはもう絶対なんですね。
ええ、絶対的禁止です。
狩猟にあったブルナイのシャリア刑法、窃盗で手首切断とか、同性愛行為で盗跡死刑とか、こういうのがまさにこの条文が想定しているような事態なんですね。
そうですね。あと、グアンタナモ収容所での尋問の問題とか、映画のモーリタニアンで描かれていたような状況。
ああ。
これも、この文脈で考えるべき非常に深刻な事例だと思います。絶対的に禁止っていう言葉の重みがやっぱり感じられますよね。
本当ですね。で、この残虐な刑罰との関連で日本の死刑制度が議論になると。
ええ。
最高裁は1948年にも死刑制度そのものは合憲だと判断しているんですよね。でも執行方法等が人道上の面値から残虐と認められる場合はダメだとも言っている。
そうなんです。その留保が重要で。で、資料で特に焦点が当たってたのが、日本の死刑執行の当日告知の運用なんです。
ああ、当日告知。
執行のほんの1時間か2時間前に本人に告げるっていうこの慣行が、果たして31条の適正鉄度記とか人間の尊厳に照らしてどうなのかと。
うーん。
これが今まさに最高裁で争われている点ですね。あのスライドのアンケート閣下もありましたけど国民の中でもかなり意見が分かれているようですし。
アメリカのテキサス州とかだと数ヶ月前に執行日が告知されるって資料にありました。情報も比較的オープンだと。
ええ。
この日米の違いってかなり大きいですよね。
大きいですね。
日本で当日告知が続いている理由は死刑州の審譲の安定のためって説明されてるみたいですけど。
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ええまあそれが公式な説明なんですがそれに対して資料ではいやむしろその情報公開の欠如が国民的な議論を妨げてるんじゃないかっていう批判的な視点も提示されてましたね。
なるほど。
元裁判員の方の声とか弁護士会の問題提起なんかもその問題を浮き彫りにしていると。
あと死刑州の処遇っていう点で東京高知城での自殺事案がきっかけで色鉛筆の使用まで制限されたっていう訴訟。
ああ色鉛筆訴訟。
あれも人権保障のあり方を深く考えさせられる事例として挙げられていました。
こうして見てくると憲法の条文っていうのが薬局の場所の話から死刑州の処遇まで本当になんかいろんな現実の問題とつながってるんだなってよくわかりますね。
そうですね。特に死刑をめぐる情報公開の日米の違いはちょっと考えさせられました。
まさに。では最後にあなたに一つ問いを投げかけてみたいなと思うんです。
はい。
最高裁自身も言ってるように残虐性の基準っていうのは時代とか社会状況によって変化し得るものですよね。
ええ。
だとすればですよ。将来情報公開が極端に制限された今の日本の死刑執行のあり方っていうのは人道上の面値からどういうふうに評価される可能性があるでしょうか。
そしてその最も重い刑罰と社会がどう向き合うかっていうのはもしかしたらその社会が何を大切にしているのかを映し出す鏡なのかもしれないですね。
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