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2025-07-01 07:40

第6講「法の下の平等」

第6講では、「法の下の平等」について学びました。形式的平等と実質的平等、絶対的平等と相対的平等といった概念について説明した後、合衆国憲法第14修正、尊属殺重罰規定や国籍法における違憲判決といった具体的な判例について検討しています。また「差異へのこだわり」を克服することが平和と人権創出の鍵であるという哲学的視点も提示しています。

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今の日本で、差別とか不平等って聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?
大学の講義で、学生さんに聞いてみたんですね。そしたら、やっぱり多かったのが、男女間の格差とかジェンダーの問題でした。
今回はまさにその核心に触れるテーマですね。日本国憲法第14条、法の下の平等、ここに深く切り込んでいきたいと思います。
大学の講義資料ですとか、ニュース報道、歴史とか哲学的な視点も含めて、あなたが共有してくださったいろいろな情報源をひも解きながら、理想と現実、そして課題を探っていきましょうか。
はい。憲法が掲げている平等って具体的にどういうことなのか。それから、なぜ日本のジェンダーギャップってなかなか縮まらないのか。どうすればより平等な社会に近づけるのか、一緒に考えていきたいですね。
まず、基本の確認からですが、憲法14条1項、すべて国民は法の下に平等であって、と始まりますよね。
ええ、そうです。その後に、人種、信条、性別、社会的身分、および門地により差別されない、と続きます。ここで挙げられている理由が、あくまで例を示したものなのか、これは判例、つまり裁判所の判断で見られる考え方ですけど、それとも歴史的な背景から特に重要な意味を持つのか、こちらは学説、研究者の間で有力な考え方ですね。
ちょっと解釈が分かれる点なんです。あとは、貴族制度の禁止2項、栄典に伴う特権の否定3項なんかも平等の原則を具体化したものと言えますね。
なるほど。しかしその理想と現実のギャップが大きいわけですよね。2024年のジェンダーギャップ指数、日本は146カ国中118位、G7最下位っていうのは、あらてめと聞くと、やっぱり衝撃的ですね。特に経済120位と、あと政治113位の分野での遅れが指摘されていると。
そうなんです。対象的なのがもう15年連続で世界一位のアイスランドですね。
15年、すごいですね。
彼らの取り組みで興味深いのは、幼少期からの平等教育ですとか、企業の役員比率を法律で義務づけてる、男女とも4割以上、それから父親の育休取得率も7割超えとか、そういう制度面ももちろんなんですけど、1975年の女性の休日っていう大規模なストライキ、あれが大きな転換点になったと言われてるんですね。
ありましたね。
女性の確か9割が参加したとか、これが社会の意識を大きく変えたと。だから単なる政策の積み重ねだけじゃない、その社会的なムーブメントの力っていうのを感じさせますね。
なるほど。じゃあ日本の状況を改善するために、その抗議ではどんな意見が出てましたか。
いや本当に色々ありました。教育改革、それからメディアによる固定観念の是正、あとは育休制度とか賃金格差の是正、クォーター制みたいな法整備ですね。
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それから政治とか企業における女性リーダーの育成投与とか、本当に多岐に渡る提案がありましたね。
ただ、その制度を変えるだけじゃもしかしたら不十分かもしれないというような視点もありましたよね。あのハーバード大学での講演にあった一本の矢の話。
そうですね。自分自身の心の中にある差異へのこだわり、つまり無意識の偏見とか差別意識を矢に例えて、まずそれと向き合うことが重要なんだと。社会の仕組みを変えることと、私たち一人一人のその内面にある意識を変えること、この両方が必要だという指摘は重いですよね。
領土っていう言葉自体も少し掘り下げると、結構奥が深いですよね。形式的平等と実質的平等っていう。
形式的平等っていうのは機械の平等ですね。憲法14条が主に保障するのはこっちだと考えられています。実質的平等は結果の平等を意味していて、これは憲法25条の生存権とか、いわゆる社会権の領域で追求される。そういう整理が一般的ですね。
なるほど。あと差別の種類にも直接差別と間接差別がありました。後者はちょっと分かりにくいかもしれませんけど。
そうですね。間接差別。これは一見すると誰に対しても同じ中立的なルールに見えるんだけれども、結果として特定のグループに不利益が生じちゃう。そういうケースです。
ふむふむ。
例えば、身長制限を採用基準に設けた場合、性別による平均的な対角差から事実上どちらかの性を排除する結果になりかねないとかですね。
AGC社の家賃補助に関する裁判。あれは日本で司法が初めて間接差別を認めた重要な事例とされています。
ああ、そうなんですね。
あとは選択的夫婦別姓の文外なんかも、現在の制度が結果的に女性に不利益を与えてるんじゃないかという点で間接差別に当たるのではという議論がありますね。
なるほど。一見中立に見えてもその結果が問題になる場合があると。実際に最高裁が憲法14条違反、つまり違憲と判断したケースを見ていくと。
特に本人の努力とかではどうしようもない事柄に基づく区別に対して、裁判所がより厳しい目で合理性を審査する。そういう傾向が見えてきますね。
まさにその通りですね。例えば、親殺しの刑罰を他の殺人より重く定めていた存続殺重罰規定。これは区別自体は合憲としながらも、刑罰が重すぎる点で違憲とされました。
少数意見では区別自体が違憲だと主張されましたが、それから日本人の父と外国人の母の間に生まれた子について、両親の婚姻を国籍取得の要件としていた国籍法の規定、あるいは婚外児の相続分を婚内児の半分としていた民法の規定。
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これらも子どもには責任のない事柄による差別だとして、違憲と判断されています。
こうした判例というのは、社会が変わっていく中で重要の捉え方も更新されてきた証拠とも言えますかね。
そう言えるでしょうね。そして近年もずっと続いてますけど、一票の格差の問題。これもまさに投票価値の平等14条と選挙制度をどう設計するかという国会の裁量のバランスが問われる現代的な課題ですね。
いやー今回は憲法14条の法の下の平等を軸にして、その理想からジェンダーギャップという現実、アイスランドの事例、それから差別の種類、具体的な判例までかなり多角的に見てきましたね。
ええ、これらの知識はきっとあなたが社会の様々な問題、特に公平さに関わる問題を読み解いて、解決策を考える上で何か新しい視点を与えてくれるんじゃないかと思います。
最後にあなたに一つ問いを投げかけて終わりたいと思います。アメリカのドキュメンタリーで、合衆国憲法修正第14条、まあ平等保護条項とかを含むものですが、これがアメリカという国の約束事の中心なんだとそういう風に語られていました。
じゃあ、補たんなおって、日本の憲法第14条は私たちの日常とか意識の中でどれほどの重みを持っているでしょうか?権利を主張したり、不平等を是正するための生きた規範としてどれだけ機能しているとあなたは感じますか?あなたにとっての憲法第14条の意味、それを改めて考えてみる、そんなきっかけになれば幸いです。
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