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さて今回は、日本の憲法、その中でも基本的人権ですね。ここに深く焦点を当てていきます。
抗議の音声記録とか、教科書の抜粋、あと反例解説の書き起こしなんかも、いろいろな資料をお預かりしました。
これらの資料からですね、憲法が保障する人権って一体何なのか、そして特に誰がその権利を持っているのか、この核心部分を読み解いていくのが今回のテーマですね。
特に外国人の方、それから法人、あとは私たち個人の間、そういう場面で人権問題に憲法がどう関わるか、その辺りを見ていきましょう。
まず資料全体をこう見渡すと、いろいろな人権が本当にリストアップされてますよね。
国からの自由を保障する自由権とか、人間らしい生活を求める社会権、あとは政治に参加する賛成権、国に何かを求める国務請求権、そして新しい人権の根拠にもなるっていう幸福追求権。
まさに人権のカタログみたいな感じですよね。
本当ですね。ただ今回の資料が特に深く掘り下げているのは、じゃあ誰がこれらの権利を持っているの?っていうその点なんです。つまり人権の共有主体の問題ですね。
なるほど。最初のポイントが日本国籍を持たない外国人の方。
はい。ここはマクリーン事件の最高裁判決がやっぱり大きな鍵になりますか。
マクリーン事件ですね。ここで最高裁が示したのが、いわゆる権利性質説。
権利性質説。
はい。これは簡単に言うと、権利そのものの性質を見て、これは日本国民だけに限定すべきか、それとも外国人にも保障されるべきなのか、それを判断するとそういう考え方です。
結果として、権利の性質上、日本国民のみを対象とするものを除き、基本的には外国人にも保障が及びますよ、とされました。
なるほど。性質で判断するわけですね。
はい。
ただ、全部じゃない例外もあると。
そうなんです。例えば、入国の自由とか、国政への選挙権、あとは一定以上の公務員になる権利、社会権の一部なんかも性質上保障が及ばない、あるいは制限されると考えられていますね。
特に、マクリーンさん自身の言葉も資料にありましたけど、外国人にとっては真実を口にするのは危険なことになるだろうっていう。
ありましたね。
これは、政治活動を理由に在留許可が更新されなかったことへの、表現の自由への萎縮効果みたいなものを指摘していて。
そうですね。現代で言えば、SNSでの発言なんかにも通じるような、結構重い問いかけですよね、これは。
いや、本当にそう思います。で、次は法人。会社みたいな組織ですね。
ええ。
八幡製鉄事件。これも有名ですね。法人に人権はあるのかっていう論点。
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そうですね。八幡製鉄事件。ここで最高裁は、法人にも性質上可能な限り人権保障が及ぶと、そういう判断をしました。
具体的には、この事件では政治献金の自由、つまり政治活動の自由が認められたというわけです。
ああ、八幡製鉄が企業献金の話に繋がってくるわけですね。
ええ。
ただ、いただいた資料の中には、こういう献金に対して、世論はかなり厳しい見方をしているっていうデータもありましたよね。
ありましたね。世論調査の結果とか。
この法人の政治活動の自由っていう判例と、国民感情との間には、なんかかなりギャップがあるようにも感じるんですけど。
ああ、それは非常に鋭いご指摘ですね。まさにそこが、その法解釈と社会の価値観がぶつかるところなんですよ。
判例はあくまで法的な理屈として、政治活動の自由を認めたわけですけども。
はい。
それが社会的にどう受け止められて、どう規制されるわけかっていうのは、また別の次元の議論として、ずっと続いているわけですね。
資料の世論調査が示しているように、やっぱり多くの人がその影響力みたいなものを懸念している。
この緊張関係自体が、法と社会の関係を考える上ですごく重要なんです。
なるほど、なるほど。そして3つ目ですね。
私たち個人の間での人権問題。
例えば、会社が採用の時に思想とか心情を利用に不採用にするみたいなケース。これに憲法は直接何が言えるんですかね。
それが三菱女子事件ですね。
三菱女子。
学生運動の経歴を価格していたことを理由に、本採用を拒否された河野達夫さんのケースです。
これについて最高裁は、憲法の人権規定というのは原則として国と個人の関係を起立するものだから、私人同士の関係には直接は適用されないとそういう判断をしたんです。
直接断言ってなると、じゃあ企業は憲法とか関係なく採用差別とかし放題に。
いや、そういうわけではないんです。
そうなんですね。
そこで最高裁が示したのが間接的要説っていう考え方なんです。
間接的要説。
これは民法とか労働法とか、そういう司法のルールを解釈したり適用したりする際に、憲法の人権保障の精神、例えば個人の尊厳とか法の下の平等とか、そういう趣旨を十分に考慮しなさいよと、そういうアプローチなんですね。
つまり、憲法の価値観が司法の解釈を通じて間接的に影響を与えていくということです。
なるほど。直接じゃないけど間接的に効いてくると。
そういうことです。だから、現代の就職活動での例えばSNS調査の問題とか、プライバシーや思想信領の自由を考える上で、この考え方は今も非常に重要です。
いや、面白いですね。そして最後に憲法13条の幸福追求案。
はい、13条。
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すべて国民は個人として尊重されるっていうあの条文ですね。これがプライバシー権みたいに憲法にはっきり書かれていない新しい人権の根拠にもなっている。
まさにその通りです。非常に重要な条文で、最近注目された旧郵政保護法を違憲とした最高裁判決でも、この13条が保障する個人の尊厳を侵害するものだという点が決定的な理由の一つになりました。
ほう。時代が変わって、社会が変化して、新しい人権課題みたいなものが出てきた時に、この13条がその受け皿となる。そういう可能性を秘めている条文なんですね。
うーん、深いですね。外国人、法人、それから私人間の関係、そして新しい人権、人権の範囲とか主体をめぐる議論というのは、本当に社会の変化を映し出してますね。
ええ、本当にそう思います。今回の資料全体を通して見えてくるのは、憲法上の権利というものが何かカチッと固まったものじゃなくてですね、常にその社会の現実との間で揺れ動いたり解釈されたり、時には争われたりしながら形作られていくという非常にダイナミックなプロセスそのものなんですよね。
うーん、権利性質説とか間接的要説みたいな法的思考っていうのは、ある意味その理想と現実のバランスをなんとか取ろうとする裁判所の工夫とも言えるかもしれませんね。
なるほどな。こうしてみると、人権って本当に身近な問題なんだと感じますね。あなたが普段の生活とか社会との関わりの中で、あ、これはもしかしたら個人の尊厳とか病老に関わる問題かもしれないなって感じるのは、どんな場面でしょうか。
ちょっと立ち止まって、ご自身の権利意識と照らし合わせてみる。そんなきっかけを今回の資料は与えてくれたのかもしれません。