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tantotの時々読書日記第10回です。
今日はですね、ガブリエール・ガルシアマルケスのエレンディラ、ちくま文庫の本について話したいと思います。
ガルシアマルケスといえばですね、今年の一番の話題作といってもいい、100年の孤独が文庫化されたというのは非常に、読書界では話題になってましたけど、
私は、100年の孤独が文庫化されたのをきっかけに、文庫化したわけではなく、うちにもともとあった短編、あった単行本を改めて読み直したり、
100年の孤独を代わりに読むを読んだり、さらにこの前は文振東京で、ついに100年の孤独を代わりに読むを代わりに読むを手に入れて読んだりというような形で、
非常に100年の孤独についても楽しませていただきました。
今日はちょっと100年の孤独ではなくて、同じガルシアマルケスのエレンデラという短編集を紹介したいと思っています。
こちらは1983年に単行本が出て、文庫版は88年ということでだいぶ古いですね。
短編が1、2、3、4、5、6、7、8、7編かな、入っていまして、表題作にもなっています。
まずこの短編集2つぐらい取り上げたいんですけど、1つが表題作にもなっているエレンデラ、正式なタイトルは無垢なエレンデラと無情な祖母の信じ難い悲惨の物語ということで、
このエレンデラの何が興味深いかって、100年の孤独を読んだ人は知って、当然ご存知だと思うんですけど、エレンデラ、マコンドに来てるんですよね。
なので、他の作品に登場しているというような感じで、
これエレンデラの方が後に書かれたのかな、どっちが先なのかわかんないんですけど、
なのでこのエレンデラ、100年の孤独のスピンオフ的な感じなんだ、そんな感じです。
話としては、エレンデラっていう若い娘が非常に悲惨な生活を送っていると、
これはなぜかエレンデラの祖母が無情な感じで、エレンデラのことをある意味売春させて、
全然エレンデラのことを考えない、売春させて歩くみたいな、そんな感じで、話としては酷い話ではあるんですけど、
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このガルシアン・マルケスの小説の特徴なんですが、やっぱりすごい乾いてるんですよね。
なので、ドロドロしていなくて、乾いてて、なおかつマジックリアリズムみたいな言葉もありますけど、
すごく現実離れした感じの話なので、酷い話ではあるんですけど、本当に作り話として読める話で、
そういう意味ではすごく、話としては不思議な、変な話っていう感じになっています。
もう一個が、この短編集、僕結構好きなのが、最初の一編、一番最初に入っている、
大きな翼のあるひどく年取った男っていう短編で、これすごく短い。
本当に文庫で20ページくらい、20ページもないから10ページちょっとの短編なんですけど、
何かっていうと、ある町に羽の生えた天使らしきものが突然現れると。
ただそれがめちゃめちゃ年取った男で、もうヨボヨボであると。
そのヨボヨボのじいさんが、すごい大事にされるわけでもなく、適当な扱いを受けて、
どっかの小屋に、一応世話はされていると。
ただ天使にしては、ちょっとヨボヨボで年老いているので、みんな別にそんなに大事にもしないし、目もくれないみたいな感じで。
最後、老人天使がヨボヨボながらも飛んでいって、水平線の彼方に消えていくというような、そんな感じの話なんですけど。
天使がヨボヨボで年取っていたら、天使ってすごくみんなの憧れになりうるような存在が、
すごくヨボヨボで年取って、全然魅力的じゃなくて、みたいなものだったらどうなるのかみたいな、
そういう試行実験というか、なんとなく一般的な機体とのズレみたいなのを描いている感じで、
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確かにみんな結局、美しくて若くて美しくて、スッとシュッとしてっていうものを期待していて、
こんな年取ってヨボヨボの天使なんか誰も期待していない。
いくら仮にそれが天使だったとしても、誰も期待していないし、大事にもしてくれないんだろうなっていう、
現実の残酷さというか、寂しさみたいなものを感じさせる。
すごい短い話なんですけど、そういう寂しさ、現実の無常さみたいな、
そういうのを感じることができる、すごくいいお話だなというふうに思いました。
ちょっとだけ読んでみましょうか。
一番最初のシーンなんですけど、天使が倒れているんですね。
間近に寄って初めてわかったが、それはひどく年取った男でぬかるみにうつ伏せに倒れ、
もがけばもがくほど大きな翼が邪魔になって立ち上がることができずにいた。
みたいなね。
一番最後。
しかし、ついに天使は飛び立った。
エリセンダー、自分のために、そして天使のために、ホット&の吐息をついた。
およぼれたハゲタカのようなハラハラする羽ばたきではあったが、
なんとか体を支えながらバスへのイエイエを飛んで飛んでいく天使の姿が見えた。
玉ねぎを刻み終えるまで、エリセンダーは天使を見続けた。
見ることがもはや不可能になるまで見続けた。
なぜならその時の天使は、もはや彼女の日常生活の障害ではなくなり、
水平線の彼女の想像の一点でしかなかったからである。
そんな感じで最後はハッピーエンドなのか、なんかわかんないけど、いい終わり方だなというふうに思います。
エレンディラ、これ私の持っているのは筑波文化版ですけど、多分解版されたりしているのかな、もう既に。
ただすごく読みやすいですし、100年の孤独を読んですごくよかったなと思った人はこういう短編に提出してもいいですし、
100年の孤独はまだ取り組みにはちょっと重いという人は逆にこの短編集からガルシアンマルゲが入ってみてもいいのかなというふうに思います。
そんな感じで、ちょっと今日長くなっちゃいました。
以上になります。ありがとうございました。