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2024-01-13 16:31

読書ラジオ『なめらかで熱くて甘苦しくて』川上弘美

いつも聴いていただきありがとうございます。
いつかリベンジします!

⭐︎本紹介
なめらかで熱くて甘苦しくて (新潮文庫) https://amzn.asia/d/8LF5G7t
(配信の冒頭部分は本の説明文・あらすじを読み上げています。)

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#読書 #読書ラジオ #読書感想

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00:06
こんばんは、ゆうこです。このチャンネルでは、私の読書録や日々の学びを音声配信しています。
今日は、川上弘美さんの『なめらかで熱くて甘苦しくて』という本について話してみようと思います。
少女の想像の中の奇妙なセックス、女の自由を今も奪う幻の手首の紐、
母の乳房から情欲を吸い出す貪欲な英児と、遥か千年を越えて女を口説く男たち、
やがて洪水は現実から非現実へと溢れ出し、それを宿す人々を飲み込んでいく。
水、土、空気、火の四つの幻想、そして世界の名を持つ魅惑的な物語が解き放つ。
生命の巡りと、愛し、海、老いていく女たちの愛おしい人生、というか、わけわかんないですね。
もうこの文庫本の裏表紙にあるあらすじを読んでても、そんな話だったっけなと思いますが。
あの、いろんな本を読んできた中で、川上博美さんの書く本っていうのは、「三度目の恋」という本を読んだことあるんですけれども、
感想を話すのが暴かれるというか、すごく難しいなと思います。
言葉にできない、言語化できないことをすごく言語化している小説家さんなんじゃないかなと思うし、
それを読んで感じた言葉も、何か形容しがたいというか、何を言ったらいいのかわからない。
感想を何か言おうとして、何か言う必要あんのかなって思ったりする。
いやーなんか、すごい本でした。
没入しちゃいました。
いや何なんでしょうね、これ。
っていう感想ぐらいしか出てこないんですよね。
なので、この配信を撮るかちょっと悩んでて、
今も喋ってますけれども、どうしようかなと悩みつつ話してみますが、
短編小説ですね。
アクア・テラー・アエラ・イグニス・ムンドゥスといって、ラデン語で水・土・空気・火・世界というタイトルがついた短編になります。
03:11
この本のタイトルは、滑らかで熱くて甘苦しくてなんですけれども、確かに滑らかです。
その滑らかさっていうのは、この小説に出てくる後半の短編になればなるほどその傾向が強くなるんですけれども、
この小説では主語とか所有格とか目的語みたいなものが明確にされないまま文章が書かれている傾向がすごくあって、
これは誰が語っているのかとか、その語りの中のそれっていうのは誰のものなのかとか、
そもそも何を指してその動作をしようとしているのかっていうのがどんどん曖昧になっていくんですよね。
すごく抽象的になっていきます。
そして、その登場人物の名前すらも出てこない短編とかもあってですね、
あなたとか私とか、あとはそれと言ってみたり、子供のことを白者と、ひらがなで白者と言ってみたり、
夫のことをカタカナで夫とか、どんどんその私たちが知っている誰かのイメージを壊していくような表現で登場人物の表現とか語りが進んでいくので、どんどんぼやけていきます。
いったいこれは誰の何の、どんなことを読んでいるのかっていうのが読者がどんどんわからなくなっていくんですけど、要するにぼかされて抽象化していくんですよね。
で、単なるその人間というふうに聞くと、そこには血が流れていて、感情を持っていて、
言葉を発してっていうものを想像するんですけれども、ただの肉の塊というか、それと感情とその人間の名前みたいなものが全部バラバラに分解されていくような、そんなイメージを持っていくんですよね。
本当は私という人間なのに、私というアイデンティティと、その感情と体っていうのはバラバラのようなもののように思えてくる、そんなような小説が後半の短編になればなろうとそんな感じになるんですけれども、だからどんどん抽象化されていってわけわかんなくなるんですけど、
06:14
川上博美さんの文章がめちゃくちゃ美しくて、一文一文がとても短くシンプルに書かれているので、スルスル読めていけるんですよね。
そういうところの、登場する世界の滑らかさ、それぞれが分解されていって、でも一つのものとして語られていく、どんどん混ざり合っていくマーブル模様のような世界を短文で語っていく小説っていうところで、滑らかさはめちゃくちゃあります。
で、暑くて甘苦しくてっていうのがちょっとよくわからなくて、この小説に出てくる、まあ世界だったり人の体温っていうのは、結構ぬるい感じがするんですよね。
体温よりちょっと低いかな、みたいな。
で、甘苦しくてというのもあるんですけど、という言葉もちょっとわからなくて、甘い部分があまりないなぁと思うんですよね。
甘いがないから苦いもないよなぁと思って、後半の暑くて甘苦しくてっていう言葉はどういうことなんだろうっていうのは、今もわからずなままです。
で、ものの名前が私たちのイメージと異なるものに置き換えて説明されるとか、主語とか所有画が取っ払われてしまう世界の中で、
自分の話をしているのか、この登場人物の話なのか、どんどんわからず溶け合っていく感覚があります。
そうしていくうちに、私がすごく思ったのは、自分はなんて感性のない、無感性に近い人間なんだろうっていうことを痛感するわけです。
河上博美さんが書く文章、一つ一つにすごく驚かされるし、その感性の鋭さと自分を比較して、
私はなんてぼんやりと、今までの生きるとか死ぬとか、生に対する体験とか考えを、いかにぼんやり通り過ぎてきてしまったんだろうっていうことを思い知らされます。
一方で、そんな鈍感な私だからこそ、こうやって生きながらえてきたのかもしれないなと思うんですよね。
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それぐらいここに出てくる女性たちっていうのは、とにかく感性が素晴らしいです。
そこを表現している河上博美さんも素晴らしいんですけど、誰もが儚いんですよね。
力強い女性っていうのも出てくるんですけれども、実体が伴ってないというか、どこか漂っていたり、フワフワしていたり、儚く消え去ってしまう女性っていうのが多いので、
やっぱり生きていくためには鈍感さも必要なのかなと、変なところで自分自身を感心したりしました。
そして、この小説のテーマは命ですね。生きて死ぬまで、そこに体が誕生して土に帰っていくだけではなく、
魂がどう世の中を漂っているかみたいなことが表現されていたり、
その魂が今生きているその人の魂じゃなくて、どこかでその時代ではない誰かの魂と繋がっているとか、そんなことが表現されていくので、かなりファンタジーです。
だから、訳わかんないなぁと思ったり、もしこれをリアルな生活の中でこんな風に思いながら生活をしている人がいるんだとすると、
その人すごいんだろうなぁ、でもすごい大変だろうなぁって思ったりしました。
あとは性ですね。立心弁の性について書かれているんですけれども、ここに出てくる表現のように、私は性欲とかを感じたことがないので、
ただただ驚きというか、それについても、なんて私はすごい貧しい体験しかしてないんじゃないかなぁなんて思ったりしました。
だからね、なんか、この本の感想を言っているつもりではあるんですけれども、何一つ感想になっていない気がしますね。
本来であれば、この短編の一つ一つにちょっと踏み込んでいって、何か言えたらいいなぁと思うんですけれども、それをやるのもすごく野暮な気がするんですよね。
何なんだろう。だからといって川上博美さんの小説はもういいやとはならなくて、もっと読みたい気持ちになってはいるんですよね。
でもすごく自分とは縁通い世界の話なんだなぁとも思う。
12:01
すごく不思議な感覚です。
あらすじを最初に読んで、これを聞いた人がどんなお話なのかって全く想像できないし、なんだその話って思っちゃうかもしれないんですけど、
ちょっとね、読んでみてほしい。特に女性はね、読んでみてほしいですね。そして私が今どれだけ戸惑いながらこの感想を話しているのかっていうのを、ぜひ共感してみてほしいし、
もしかしたら私じゃない他の誰かはこれを読んで、まあそういうことよねーってなる人がいるのかなぁ。
そんなことをね、ちょっと知りたいなぁと思いました。
でもね、また読んでみたいと思わせる何かがあるとすれば、これって、
日本語で書かれていて出てくる世界は多分日本が舞台なんですけれども、表現の仕方というかその物語はですね、どこか
ギリシャ神話というか、そういう昔の神々が出てきたりするような世界を描いているようでもある。
だからエロスとか聖とかし、でラテン語でね、このタイトルが書かれたりするのもちょっと古典的なイメージをすごく思わせたりします。
ギリシャ神話のような話でもあり、日本の舞台なので、どこか日本昔話というか、私たちがよく知っているすごくわかりやすいシンプルなお話のような気もする。
でさらに言うと、世界観としてはちょっと演歌みたいな感じなんですよね。
あの、これは、なんて言ったらいいかわかんない。
どこで私がこの本を読んで、あ、演歌だなと思ったのかっていうのもうまく説明できないんですけど、
その世界、短い日本語のセンテンスから、その世界はすごく強烈にイメージできるし、すごく懐かしい感覚を持つ、ありありとそのイメージができる。
で、物悲しいというか、そういう変化の要素がすごく詰まっているような気もする。
何の説明にもなっていませんね。ないですね。ギリシャ神話で日本、昔話でもあり演歌でもあるって、どんな話やねんって思われると思いますが。
15:12
ぜひチャレンジャー、チャレンジいただける方がいたら、ぜひ読んでいただいて、こういう話ですよと説明いただいたり、私のこの戸惑いに共感してくれる人がいたら嬉しいなと思います。
いや、川上博美さんは、ちょっと今の私じゃ全く立ち打ちできないなぁと、非常に打ちのめされた本でもあり、でも何か懐かしさを感じてしまうという、すごく不思議な読書体験でした。
過去一訳わかんない感想でしたね。大変申し訳ないです。ということで、今日は滑らかで熱くて甘苦しくて、川上博美さんの本について話してみました。
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今日も最後まで聞いていただいてありがとうございました。ではでは。
16:31

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