はい。
普通のアパートの賃貸契約だとだいたい2年ごとの更新じゃないですか。
そうですね。でも土地の上に建物を建てるわけですから2年では到底足りませんよね。
普通釈地権の存続期間は法律によって最短で30年と定められています。
30年かなり長いですね。
ええ。そしてここからが重要視していただきたいポイントなんですが。
はい。何でしょうか。
仮にですね、土地の貸主と借り主がお互いに満面の笑みで完全に合意して、じゃあ期間は10年にしましょうという契約書を作成したとしますよね。
なるほど。当事者同士が納得して10年と決めたわけですね。
ええ。しかしどれだけお互いが納得していようと法律の力が優先されて強制的に30年に引き上げられてしまうんです。
えっと強制的にですか。
はい。これは当事者の合意よりも法律が優先される強行規定と呼ばれる絶対的なルールなんですよ。
たとえ契約書に10年とはっきり書いてあっても、法律の力で強制的に30年になってしまうなんてすごいパワーですよね。
本当にそうですね。
でも理由はよくわかります。あなたもちょっと考えてみてほしいんですが、例えば果樹園を作るために木を植えるなら収穫までに時間がかかるから5年じゃ短すぎますよね。
ええ。
建物も同じで、家を建てたのにたった10年で育ちにして返せと言われたら、借り主は大損害で自己破産してしまいますよ。
だから法律で最低30年と守られているんですね。建物の寿命を考えれば当然の保護ですよね。
まさにその通りです。過去の歴史の中で、地主側の力が強すぎて借りる側が泣き寝入りしてきたという背景があるからこそ、このような強行規定でバランスをとっているわけです。
最低30年は守られることがわかりました。では30年経った後はどうなるのでしょうか。
契約の最終日にはどうなるか気になりますよね。
はい。31年目の初日に時間切れだから家を壊して出て行ってと追い出されてしまうんでしょうか。
いえいえ、そこにも借り主を守る仕組みがきちんと用意されています。それが行進というルールですね。
行進ですね。
はい。では釈知釈加法における行進期間のルールをゆっくりと確認していきましょう。最初の行進、つまり1回目の行進については期間は20年となります。
最初の30年が終わった後の1回目の行進は20年なんですね。
ええ。そしてさらにその20年が経過した後の2回目以降の行進については期間は10年となります。
つまり30年、20年、10年という順番ですね。
ここで興味深いのはこの年数の減り方なんです。ただ適当に数字を減らしているわけではないんですよ。
と言いますと?
非常に理にかなったグラデーション構造になっているんです。どんなに頑丈な家でも物理的な寿命がやってきますよね。
ええ、古くなりますからね。
最初の30年が経過した時点でその家はすでに築30年。そこからさらに20年行進すれば築50年。その次は築60年となります。
なるほど。建物が等規されていればいいんですね。
じゃあ、税金の関係などで同居している未成年の長男や妻の名義で建物を等規しておくのはどうですか?
家族なんだから問題ないですよね。
ああ、そこが試験委員が手ぐすめ引いて待っている最大の落とし穴なんですよ。
え、ダメなんですか?
はい、明確に否定させていただきます。
等規は必ず例外なく借地権者本人の名義でなければならないんです。
家族でも絶対にダメなんですか?
長男や妻の名義では不可です。対抗できません。
もし、家族名義にしていて土地のオーナーが変わったら、最悪の場合、本当に家を取り壊して立ち退かなければならなくなります。
ひえー、それは厳しすぎませんか。なぜそんな優遇の効かないルールになっているんでしょうか?
これをより大きな視点で結びつけてみると、なぜそこまで厳格なのかが見えてきます。
大きな視点ですか?
はい。等規という制度は、見ず知らずの第三者が外から見た時に、権利関係が明確に分かるためのシステムなんですね。
ええ、誰が見ても分かるようにするためのものですよね。
もし、第三者が土地を買おうと調査した時、土地を借りている契約者はAさんなように、建物の名義がBさん、つまりAさんの妻だったらどう思いますか?
ああ、第三者から見たら契約者と畳の持ち主が違うから、誰と交渉すればいいのか大混乱してしまいますね。
そういうことです。第三者には、彼らが円満な家族かどうかなんて、書類上からは絶対に分かりません。契約者と等規名義人が一致していないと、取引の安全性が保てないんです。
なるほど。見ず知らずの第三者を守るための絶対に譲れないラインだったんですね。
ええ。条を挟まない厳格なルールというわけです。
いやあ、税金対策の軽い気持ちで名義を変えたらとんでもないことになるところでした。
本当に気をつけないといけないポイントですね。
さて、ここからが本当に面白いところなんですが、ここまでは借りる側が強く守られる、更新するルールでした。
でも、これだと貸す側の地主は一度貸したら永遠に土地が返ってこないのではと怖くて貸せませんよね。
おっしゃる通りです。借り主を保護しすぎた結果、土地が有効活用されないという問題が起きてしまったんです。
そこで登場するのが更新がない定期借地権ですね。
ええ、必ず返ってくる土地というわけです。
この定期借地権には種類があって、ルールが全く異なるんですよね。
比較して教えていただけますか。
はい。特に重要な一般定期借地権と事業用定期借地権を比較しましょう。
まず一般定期借地権ですが、期間は50年以上です。
50年以上、かなり長いですね。
はい。そして書面での契約が必要です。
最近は電子的記録も含まれますが、とにかく形に残るものでなければなりません。
ただし、厚生省書でなくても良いというのがポイントです。
普通の契約書でも構いません。
なるほど。一般定期借地権は50年以上で書面であればいいと。
ではもう一つの事業用定期借地権はどうですか。
こちらはもっぱら事業用、つまりビジネスのために建物を建てる目的限定です。
居住用は付加ですね。
そして期間は10年以上50年未満となります。
10年以上50年未満。ビジネスのスピードに合わせてるんですね。
はい。そして最大の特徴ですが、必ず厚生省書でなければならないという絶対的なルールがあります。
必ず厚生省書。資料にも、卓研試験で厚生省書じゃなきゃいけないのはこれだかいという豆知識がありましたね。
そうなんです。普通の書面では無効になってしまいます。
このルールの強力さを示す具体的なエピソードがあるんですよね。
東京のお台場にあった大江戸温泉という巨大な施設をご存知ですか。
はい。大人気の温泉テーマパークですよね。
実はあの施設は東京都の土地を20年間の事業用定期借地権で借りていたんです。
ということは20年経ったら。
はい。どんなに大人気で儲かっていようと、期間満了とともに、あの立派な建物を自腹で解体して、さらちにして東京都に返還しなければならなかったんです。
うわ、もったいない。でも法律のルールだから例外は認められないんですね。
ええ。延長の交渉は一切通用しませんでした。それが定期借地権の強力さなんです。
リスナーのあなたも事業用定期借地権を覚えるときには、あの大江戸温泉が跡形もなくさらちになった光景をぜひ思い浮かべてみてくださいね。
強烈なイメージと結びつけると忘れませんからね。
では、これは結局どういう意味を持つのでしょうか。
そうですね。全体を振り返ってみましょう。
借地権、つまり普通借地権は最低30年で本人の登記で守られるという借りる側を徹底的に守るルールでした。
一方で定期借地権は一般は50年以上で書面、事業用は10年から50年未満で絶対公正証書という厳格な手続の代わりにカス側を守るルールでした。
その対比が非常に重要です。
この違いは試験において確実に点数を取るための宝の山です。
私たちの日常の生活空間やビジネスの裏側にはこうした明確なルールのバランスが存在しているんですね。
本当にその通りです。そしてこれは重要な問題を提起しています。
重要な問題ですか。
現在の法律では普通借地権は最低30年、一般定期は50年とされていますよね。
しかし建築技術が進歩して家が100年以上余裕で持つようになったり、逆にビジネスの寿命が数年に短縮している現代において、この年数の枠組みは未来の私たちのライフスタイルに本当に合っているのでしょうか。
確かに。家の寿命とビジネスの寿命が法律ができた当時とは完全に逆転してきている気がします。
もしあなたがルールを作る側だとしたら一体何年に設定しますか。
あなたがもしルールを作るなら何年に設定するか。ぜひテキストを閉じたら少し考えてみてください。