2020-09-26 17:12

第148回 【対談】教えて、あなたの働き方!(ゲスト:栄養士・フードコーディネーター①)

社会保険労務士の田村が様々な業種で活躍する人の働き方や信条・哲学をインタビューし、新しい働き方を学ぶラジオ番組『教えて、あなたの働き方!』本日のゲストは栄養士・フードコーディネーターの稲垣美和さんをお呼びし対談します。


作り手と買い手の“翻訳者”としての役割


今回お迎えしたのは、フードコーディネーターとして20年以上にわたり第一線で活躍している稲垣美和さん。大手食品メーカーやコンビニの商品開発、地域の加工品プロデュースなど、食と人をつなぐプロフェッショナルです。


稲垣さんが働く上で大切にしているのは、「作り手の思い」と「買い手の感覚」をつなぐ“通訳”のような役割。商品の背景にある作り手の想いや事情は、必ずしも消費者に伝わるとは限りません。だからこそ、消費者の目線を持ち、生活者としてのリアルな感覚を翻訳することで、商品価値を社会に届ける──それが稲垣さんのスタンスです。四六時中マーケティング。情報は“録画して棚に入れる”感覚で


稲垣さんのマーケティングの感覚は、日常と完全に地続きです。テレビを見ていても、コンビニに立ち寄っても、無意識に人の行動を観察し、消費行動の傾向を「録画」するような意識でストックしているとのこと。


この“ドライブレコーダー的”視点は、自動的に情報を蓄積し、後から必要な場面で引き出せる仕組みになっているそうです。「あの時のあの行動は、こういう文脈だったのか」と、時間差で意味づけされる情報も多く、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちな働き方でもあります。


そのため、「オンオフを切り替える」のではなく、「オフでも自然に録画が回っている状態に慣れること」が稲垣さん流のスタイルです。経験は“情報の引き出し”。組み合わせの力で価値を生む


稲垣さんが意識しているのは、情報や出来事を“棚にしまっておく”こと。そして、別の場面で「このケースに使えるかも」と引き出す。ここで重要なのが、全く別ジャンルの経験を組み合わせて使える“横断力”です。


ただ情報をため込むだけでなく、「過去のAと今のBを掛け合わせるとCが生まれるかも」という思考が、実践に活かされていると語ります。これにはやはり経験の量だけでなく、「気づき方」「つなぎ方」の訓練が必要とのこと。マーケティングを日常に溶け込ませながら、組み合わせで価値をつくる姿勢が、フードコーディネーターとしての力量を支えています。“自分じゃない視点”を持つために──想像して、一歩引く習慣


働く中で得た気づきとして稲垣さんが語っていたのは、「自分とは違う視点」を持つ難しさと大切さ。商品を考える時、どうしても「自分だったらこう買う」「こう思う」となりがちですが、それはあくまで“ひとつの感覚”にすぎません。


そこで稲垣さんが実践しているのが、「一歩引いて想像してみる」こと。苦手なタイプの人であっても、その人の生活スタイルや価値観を想像し、「こういう背景があるのかも」と解釈してみる。理解できなくても“わからないままに棚にしまう”ことで、否定せずに受け止める準備が整う──この姿勢が、多様な消費者に向き合う上での根底にあるといいます。


「話を聞く」ことの修行。すぐに答えようとしないために


もう一つ稲垣さんが意識しているのは、「人の話を無になって聞くこと」。会話の中でありがちなのが、「次に何を返そうか」と構えながら相手の話を聞いてしまうというパターン。稲垣さん自身もつい「良いことを返したい」「すぐ答えなきゃ」と考えてしまいがちだと話していました。


だからこそ、まずは“反応を考えずに聞く”ということを自分に課していると語ります。「まず一度全部聞いてみる」。このスタンスが、自分の枠から外れた視点を取り入れる原点となっているのです。


人の価値観に寄り添う力──社労士にも通じる視点とは


田村も対談を通じて共感していたのが、「経営者や従業員の価値観をどう受け止め、橋渡しするか」という社労士の仕事との共通点です。中小企業では、経営者一人の価値観が組織風土を決めてしまうことも多く、だからこそ「別の視点」「違う考え方もある」と伝える役割が社労士にも求められています。


稲垣さんのように、自分の感覚だけで判断せず、「相手の背景を想像し、尊重しながら伝える力」は、どんな職業でも問われる“人と向き合う力”なのかもしれません。


~お知らせ~

サニーデーフライデーは、社会保険労務士として活動する田村が普段のサムライ業という固いイメージから外れ、様々な分野で活躍する方やその道の専門家・スペシャリストと語るトーク番組です。


人生に前向きでポジティブな方をゲストとしてお呼びし、経営者や従業員として働くリスナーの皆様が明日から明るく過ごせて、心や気持ちがパッと晴れるそんな『働き方を考える』ラジオをお送りします。


話すテーマは社労士業、働き方改革、キャリア、海外駐在、外国人雇用、海外放浪等です。


パーソナリティー:田村陽太

産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナー等のPRブランディング事業も手掛ける。


カバーアート制作:小野寺玲奈


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この番組は、社会保険労務士の田村が、様々な業種で活躍する人の働き方や心情、哲学をインタビューし、新しい働き方を学ぶラジオ番組です。
名付けて、教えて、あなたの働き方。本日も素敵なゲストをお呼びしております。私から簡単にご紹介させていただきます。
食の専門家のコンサルタントとして、20年以上の経験の中で大手食品メーカーのパッケージコーディネートや消費者向けメニュー開発を多数担当。
その他にも、雑誌やテレビでのメニュー開発、大手コンビニエンスデザート開発、マーケティング、地方産品の加工食品開発、飲食店、コンセプト、メニュー開発など、長年にわたって食の企業と消費者をつなぐ仕事に携わっており、
特に女性の購買心理に基づいた商品開発を得意とし、コンセプトからパッケージまでトータルな支援を行っている栄養士・フードコーディネーターの稲垣美和さんです。
稲垣さん、よろしくお願いいたします。
おはようございます。よろしくお願いします。
お願いいたします。
今日はサニー・デザイデーの収録にご参加いただきまして、ありがとうございます。
お呼びいただいてありがとうございます。
ありがとうございます。
今から質問を始めていきたいんですけれども、稲垣さんに2つお願いがございます。
1つ目は、普段私が社長のお仕事をしていまして、悩んでいるのが、相手にわかりやすく説明する力、心の中とか頭の中をしっかりと解説する力が足りないなと思っています。
なので、稲垣さんのお話をヒアリングさせてもらっていて、私にはそれができないなとか、どういう感覚かわからないということが出てきましたら、それはどういう意味ですかという質問が入ります。
2つ目は、様々な先輩方から、自分が今までに知らない知識とか人生訓とかを教えてもらって、日々勉強させていただいております。
今後もまだまだいろんなことを知りたいなというふうに思っています。
なので、私が稲垣さんをヒアリングさせていただいて、今自分にはできないんですけれども、いつかその能力を身につけたいなとか、できるようになりたいなということが出てきましたら、なんでそれができるんですかという質問が入ります。
以上のお願い事項なんですけれども、よろしいでしょうか。
はい、わかりました。お願いします。
はい、ありがとうございます。
稲垣さん、一つ目の質問なんですけれども、今まで稲垣さんが栄養士であったりとか、フードコーディネーターのお仕事をしている中で、働く上で大事にしていること、お客さんとの対応であったりとか、自分自身の働くモチベーションを維持したりとか、何か働く上で大事にしていることを教えていただけたらなと思います。
03:24
はい、私はフードコーディネーターという仕事をして長年しているんですけれども、どちらかというと、よく話すんですが、私の仕事は、例えば食品メーカーさんだったりとか、それからその生産者の方の作りたい方の思いというのと、それからその買って実際に使われる方の思いというのをうまく通訳するような仕事だと思っているんですね。
作られる方というのは、作り手の思いとか都合とかということもいろいろあったりして、どうしてもその作り手の理論で商品を作ってしまうんですが、買いたい方というのはまた自分が使いやすいかとか値段はどうかとか、食品なので味はどうなのかということで、買い手の理論をぶつけてくるというところで、そこがぴったり合えばいいんですけれども、
買い手の理論はだいたい合わないということがよくあるんですね。
私は買われる方とお話をすることも多いです。自分自身が消費者なので、消費者目線というところからも含めて、作られている方にどういうふうに表現したら、買ってくださる方は作り手の意図を理解してくださるかというような仕事をさせていただいていると思っています。
まずは働き方というよりも、根本的なところとして、まず売り場で何が起こっているかとか、それから世の中で何が起こっていて、それが消費者の行動にどういう関係が出てくるのかということをずっと長年見続けています。
例としては、例えばコンビニエンスストアに入ったら、この時間どういう人がどういうお買い物をして、どういう消費をしているのかなとか、それからレストランなんかに入っても客層を見たりとか、どのくらいでとかいうようなことを考えてしまうので、
私の仕事とプライベートの線引きがずっと難しいというのが悩みの一つでもあるんですけれども、家にいてテレビを見ていても、何かネットニュースを見ても、外に出かけて何か買い物食事をしても、常にマーケティングの場というところが、いわゆる働き方の一つのスタイルになってしまっているというところがあるんですね。
06:04
実はコンビニの仕事をしていた時なんかも、それが本当に毎日のことだったので、ちょっと苦しくなってしまうことがあったんですけれども、要は結局四六時中アンテナを張っているので、ヘトヘトになっちゃうという。
そういうことがあって、そこはうまくオンオフを切り替えるというのを徐々に身につけてきたのが、あとはオンオフを切り替えるというか、自動運転にする。マーケティングを自動運転にしておくというのかな。
自分としては消費行動を楽しみつつ、マーケティングの録画も回しておくみたいな、そんなような働き方をしていますね。だからモチベーションという話になってくると、常にそれをやっているモチベーションを保つというところが、ちょっと難しいところでありますね。
なるほど。やっぱり購買者の方からの視線であったりとか、意見というのをメーカーさんであったり、その方にお伝えする、翻訳するというお仕事柄。やっぱり日頃の自分が見たことというのを、アンテナを張り巡らせるというのはすごい大事ですけど、
そこら辺のプライベートと仕事の切り分けというところをうまく永木さんなりに、自分自身で、先ほどの自動で録画を回しているような感覚。
ドライブレコーダー状態ですね。
そういうのは、いつでも録画というのを頭の中に戻せるような形で、リラックスしている状態みたいな感じで、日々やっているという感じですか。
はい。その時、例えば目の前で何かが起こっていて、その時にはその意味がわからなかったとしても、後になっていろんな要素をつなぎ合わせた時に、
だからああいうことが起きてたんだ、みたいな材料の一つとして棚に入れておいて、後からこれとこれを組み合わせるとこうだ、こういうことかな、みたいな、そういう情報収集の引き出しみたいな感じですね。
すごい今、めっちゃ分かった感じがします。
思い当たります。
時間が経ったら、この材料がここに活かされるんだ、みたいなのがいっぱい永木さんの中にあるみたいな感覚とか経験の中にあって、
この時にはこれを引き出してきて、これを出そうみたいな感じですか。
そうですね。例えば、コンサルティングみたいなことをしていて、お客様と話したりしながら、商品を開発していく上でいろんなことを話しながら、
そういえばこういうことがあったっていうのをその引き出しから出してきて、こういうケースがあるのでこれに当てはまらないでしょうか、みたいな形の使い方をするためのストックをしている感じですね。
09:07
ああ、そうですよね。
お仕事だけじゃなくて、プライベートでもそういう録画機能というか、見たものが自分の中に入ってくれば、
それがたくさんの時間に、他の人と比べて多い引き出しになりますしね。
そうですね。皆さん、お金少ながら同じことをもちろんされていると思うんですね、どなたも。
それが経験なのかもしれないんですけど、
それをうまく引っ張り出してくっつけるっていうスピードをどれだけ早められるかとか、
意見関係のないことをうまくくっつけて合成するみたいなことを、だんだん訓練の中で徐々にできてくるようになると、そのスピードが上がってくる感じですね。
分かりました。ありがとうございます。
激しくうなずいたような。
そうですね。自分が今後仕事をしていく中で、そういう視点で全部が吸収してお客さんにつなげられるようなところっていうのを、
日々アンテナ張り巡らさなきゃいけないなっていうのを今聞いて、稲垣さんの話を聞いて思ったので、すごい勉強になりました。
ご参考になれば。いつも皆さんとお会いする時も、いろいろ情報収集させていただいてます。
ありがとうございます。僕の知識であれば、収集していただけると。
はい。お助けになります。ありがとうございます。
ありがとうございます。
それでは次の質問に行きたいんですけれども、そういう考えに至った経緯とか、きっかけが何かありましたら、エピソードとかあれば教えていただけたらなと思います。
そうですね。やっぱり仕事を始めた時というか若い時は、自分の思いとか自分が表現したいとか、自分が作りたいとかっていうものをやっぱり形にしたいという思いがすごく強かったので、
これいいんじゃないって仲間うちで盛り上がってみたんだけれども、実際売り出してみたら全然ダメだったみたいな、そういうことがやはりあったのもありますし、
もともとちょっと人を見ることが好き。
そうですね。たぶん思春期の頃とか自分がどう見られているかっていうのがすごく気になったと思うんですけれども、
大人になってくると他人がどうなんだろうっていうことがすごく気になるというか、
人はどういうふうに思って動いてるんだろうなっていうことが、これは別に仕事とはあんまり関係なくもともと好きなところもあると思うんですね。すごく人に興味があります。
なので、あんまり好きとか嫌いとか、ああいう行動はいいとか良くないとかいうことじゃなくて、
12:07
なぜそういう風なんだろうみたいなことを常々考えてしまう癖があるので。
お仕事を始めた時には自分の思いをお客さんに伝えたいという思いが強かったですけど、
経験を積み重ねていく中で、もともとの自分の人が好きであったりとか、人がどのように考えているっていう視点でもって、
お客さんに対するとかプライベートでも接するみたいなところが強くなってきたみたいな感じですか?
そうですね。やっぱり物を売る時に、作ったり売ったりする時にそこの先にいるのはお客様だと思うので、
ただ私は全ての人にはなれませんよね。
全ての人になれないし、私は私の生活があり、やっぱりその金銭感覚があり、家庭の構成とかそういうのもあったりとかするので、
ちょっとそこは切り離して、私以外の人の視点にも立てるようにっていうことを考えたのが、
30代ぐらいは一生懸命そういうことをやろうと思っていました。
一つ質問していいですか?
はい。
私以外の視点を持つっていうところの自分の感覚、自分の感覚では負に落ちるけれども、
人の感覚ってたまにこうなんでそういうふうに考えるんだろうって負に落ちないところもあると思うんですけど、
相手の考え方とかを自分の中に吸収する時の、稲垣さん自身の物事の捉え方というか工夫してることって何かありますか?
相手の気持ちになる工夫みたいなってあるんですか?
そうですね。やっぱりどうしても人の好き嫌いとかってやっぱりあるじゃないですか。
どうしても好きだなとか苦手だなとかって思うところがあったりすると、
やっぱり好きだなと思う人って、食べるものでもそうですけど結構点数甘いですよね。
で、苦手なものってやっぱりちょっとすごく点数が辛くなってしまうので、
何か苦手とかは全然わからないとかって思う人でもちょっと一歩引いて、
きっとこの人はこういう生活をしてるのかな、こういう感覚なのかなとか、
そういう感じで、もちろん正解はないですよ、そこに。
正解はないんですけれども、ちょっと一歩引いて想像してみるっていう。
想像してもわからないときは、ちょっと自分にはわからないかもしれないけど、
こういうふうに思う人もいるんだというふうに、一旦ちょっとそこで棚にしまうみたいな。
めっちゃ深いですね。
その人の生活スタイルとか、どんなふうにして過ごしてるんだろうっていうのを、
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一回永木さんの中で置き換えてみるみたいな。
こうやってみて、棚にしまっていくみたいな感じですか?
そうですね。
例えば、何か相談とかそういう会議とかしてるときもそうなんですけど、
ついつい人の話聞いてるときって、次どう言ってやろうって思っちゃうじゃないですか。
めっちゃ思いますね。
これ結構あるあるですよね。
ありますね。
私もつい自分で、はってそれになってしまってるときがあって、
いけないと思うんですけども、
まず一回聞く、無になって聞くみたいなことは、
今でもまだ全然修行中で、
ついつい何かこう、何かいいこと言わなきゃいけないとか、
いい結果を、解決策を言わなきゃいけないとかって、
つい思いながらね、
人の話聞いてしまう、みたいなところがあるんですけど、
それはちょっと日々、なるべくやらないように、
今私聞いてるようで聞いてなかった、みたいなことにならないように、
それは努力しています。
なんかすごい、自分自身も聞いてて、
何か自省しなきゃいけない、反省しなきゃいけないなって思いました。
本当、これはね、いつもそうですよね。
そうですね。変わりました。
はい、そんな感じです。
ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。
次回も、このお話の続編をお送りいたします。
魅力的なお話たっぷりです。お楽しみに。
シャローシュラジオサニーデイ・フライデイ、DJの田村洋太でした。
それでは次回も、リスナーの皆様のお耳にかかれることを楽しみにしております。
今日も気をつけて、いってらっしゃい。
17:12

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