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フェルメール【第298号音声版】
2026-08-31 24:58

フェルメール【第298号音声版】

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フェルメール【第298号】

大阪で再び対面できる《真珠の耳飾りの少女》.フェルメール・ブルーの正体から,CGによる絵画空間の再現,そして最新研究が明らかにしたハイライトの入れ方まで.光と色と工学の交差点をたどります.

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サマリー

本エピソードでは、現在大阪で開催中のフェルメール展にちなみ、巨匠フェルメールの作品が人々を惹きつける理由を科学的・工学的な視点から解説します。特に、「フェルメール・ブルー」と呼ばれる顔料ラピスラズリの贅沢な使い方、カメラ・オブスクラの可能性を示唆するCG再現による絵画空間の分析、そして最新研究で明らかになったハイライトの描画技法に焦点を当てます。これらの分析を通して、フェルメールが単なる写実を超え、光と色を巧みに操り、視覚的なリアリティを追求した画家であることが明らかになります。

フェルメール展の開催と作品の希少性
いちです。おはようございます。今回のエピソード論点は、フェルメールについて取り上げていきたいと思います。
このポッドキャストは、僕が毎週メールでお送りしているニュースレター【STEAMニュース】の音声版です。
STEAMニュースでは、科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
STEAMニュースは、スティームボートの取り組みのご協力でお送りしています。
というわけで、今回のエピソード【STEAMニュース】第298号から、学科のフェルメールの話題についてお届けをしていきます。
今、大阪でフェルメールの真珠の耳飾りの少女を含む2点が公開されているということで、
待ち時間がすごく長いそうなので、よかったらチケット当たったよという方は、待ち時間にこのポッドキャストを聴いていただければなと思ってお届けをしていきます。
今回のテーマはフェルメール。
改めまして1です。このエピソードは2026年8月30日に収録しています。
今ちょうどですね、大阪でフェルメール作品が公開されています。
大阪中之島美術館で開催中のフェルメール真珠の耳飾りの少女展。
これ2026年8月21日から9月27日までなんだそうです。
ちょっと期間が短いようにも感じますが、
これはですね、フェルメール作品を展示しているオランダ・デンハングのマウリッツ・ハイス美術館の改修工事に伴う特別な機械なんだそうです。
日本での展示は14年ぶりなのですが、おそらくですね、貸し出しはこれが最後だろうと言われているので、
ぜひこの機会に見ておきたいという方、チケットが抽選に変わったんですね。
すごく人気で、当初は先着順でチケット販売していたそうなのですが、
現在はチケット全て抽選制に変わっているようです。
めげずにですね、抽選申し込んでもらったらいいのかなと思っています。
番組の後半でもちょっとご紹介したいなと思うのですが、
僕はたまたま去年ですね、デンハングのマウリッツ・ハイス美術館で、
この真珠の耳飾りの少女を見る機会があったので、その感想についてもお話をさせていただければなと思っています。
この中野島美術館では、もう一つの作品、リアナと妊婦たちも展示されているそうなので、
フェルメールのね、もともと作品数が少ないので、そのうちの2点が見られるというのは貴重な機会なんじゃないかなと思います。
こうやってご紹介しているのが、ヨハネス・フェルメール、1632年生まれ、1675年発はですね、
現存作品が30数点、数え方によるんでしょうが35点ほどと言われている、貴重な画家なんですね。
あんまり作品が残っていない。だからこそこの実物と出会える機会というのはなかなかないんですね。
フェルメール・ブルーの秘密:ラピスラズリの顔料
このエピソード、そういった展覧会ガイドにするつもりはなくて、
フェルメールの絵が今も人を惹きつける理由をですね、
少しサイエンティフィックにお話しできればと思います。テーマは3つです。
フェルメールブルーの解説、そしてCGによるフェルメール絵画の再現について、
そして最新研究が見せてくれたフェルメールのハイライトの入れ方の特徴です。
まずはフェルメールブルーについてお話ししていこうかなと思います。
よかったらネットでフェルメールであるとか、真珠の耳飾りの少女とかね、検索していただくと画像が出てくるかなと思うのですが、
やはりね、青をですね、真珠の耳飾りの少女でいえば、ずきんとか布の陰、そして室内の空気までどこか青い光が染み込んでいるように見えます。
この印象の中心にあるのが、ラピスラズリという顔料なんです。
石の名前で、日本語ではルリというふうに言います。
ラピスラズリとですね、僕が関わっている古代エジプトでいうと、ツタンカーメンのマスクの青いところ、あれもラピスラズリです。
ラピスラズリは別名ウルトラマリンですね。本当にこの深い青なんですね。
この深い青を人類が合成できるようになったのは、つい最近20世紀のことなので、当時はね、産地から持ってくるしかなくて非常に希少な顔料だったんです。
ウルトラマリンというのも、これはラテン語でウルトラというのは何々を越えていくもの。
マリンですから海を越えてやってくるもの、遠くの国から輸入しているものということになります。
ラピスラズリの主な産地は、今のアフガニスタンにあたる山岳地帯でした。
フェルメールはオランダの方なので、随分遠くから輸入したということになります。
17世紀には、金と型を並べるほど高価でした。
フェルメールがこのラピスラズリをふんだんに使ったというのが、当時としては非常に珍しいことで、
それゆえフェルメールの作品に使われる青はフェルメールブルーとも呼ばれています。
2018年、マウリッツハイスを中心とする研究プロジェクト、The Girl in the Spotlight、スポットライトを浴びる少女というプロジェクトでは、
真珠の耳飾りの少女の青を改めて調べました。
頭巾の青には高品質のウルトラマリン、ラピスラズリが使われ、粒子の大きさ、不純物の少なさから、上等な顔料であることがわかっています。
さらに、ラピスラズリを加熱してから粉末にした可能性も指摘されています。
熱を加えて粉砕すると粉砕しやすくなることもあり、色もより鮮やかになるそうなんですね。
つまりは生成にもお金をかけているということなんでしょう。
興味深いのはフェルメールが青を青い場所だけに置いていない点なんですね。
黄色い上着の影にもウルトラマリンが混ざり、肌や背景との関係の中でこの青を効果的に働かせています。
青は装飾だけではなく光の温度感を決める材料でもあったんですね。
今絵の具屋でウルトラマリンという風に書いて売られているチューブの大半は19世紀以降に発明された合成ウルトラマリンです。
さっき20世紀と言っちゃったかもしれませんが、19世紀に発明されていたようです。
フェルメールが触れた青と僕たちが簡単に買える青。
簡単にというのはちょっと言い過ぎで、他の色よりは若干高いですが、それでも当時のウルトラマリンに比べると格段に安い青ですね。
簡単に買える青とは同じ名前でもその希少性という意味では全然違うものになります。
ものすごく贅沢な絵の具の使い方をしたということで、もし大阪で展示を見ることができれば、そんな風に貴重な顔料を使ったんだよというのも見てもらえるといいなと思います。
これが本当のルリの色なんですね。
北斎ブルーとか広茂ブルーとか、あれはプロシアンブルーという別の青なので、あれも深くていい色だと思うんですが、
プロシアンブルーは化学合成された青で、フェルメールの時代はまだなかったんですね。
なのでフェルメールとしてはこの遠くから運ばれてきたラピスザラズリを使わないといけなかった、非常に高価な青を使わざるを得なかったということになります。
CGによるフェルメール絵画空間の再現とカメラ・オブスクラ
フェルメールの絵はしばしば写真のようだという風に言われます。
実際彼が黒く暗い箱に小さな穴やレンズをつけて外の景色を投影する装置カメラオブスクラを使っていたのではないかという議論が長く続いていました。
これは何かというと、カメラオブスクラ、あるいはカメラオブスキュラというのは何かというと、フィルムが発明される前のカメラですね。
カメラって小部屋という意味なんですが、本当にデジカメのカメです。
フィルムがない時代、ましてデジカメがない時代なので、カメラの中に人が入って写された絵を画家が絵の具でなぞるんですね。
これがカメラの語源にもなっています。
このカメラオブスクラをフェルメールは使ったんじゃないかとも言われています。
カメラオブスクラというのは繰り返しになるんですが、真っ暗な小部屋、暗室に小さな穴を開けて外の光を暗室の中に導くことで、外の景色が暗室内の壁に映されるという仕掛けです。
後にその小さな穴のところにレンズを1枚、虫眼鏡でしょうかね。
突レンズを1枚はめることで、より花を広く広げて明るく景色を映し出すということに成功するわけなんですが、
これを使ってフェルメールは絵を描いたんじゃないかとも言われてはいるんです。
僕はちょっと怪異的ではあるんですが、この仮説を現代のコンピューターグラフィックスで検証を体験しようとした試みもありました。
突版印刷、現突版の鑑賞システムビューペイントは、牛乳を注ぐ女、これもフェルメールの名作ですね。
牛乳を注ぐ女を透視図法の読み解きとCGシミュレーションに基づいて、3次元空間で再構築し、
絵には描かれていない背面や頭上からの視点で部屋を覗けるようにしました。
絵画を平面から立体空間へ戻すことで、
画家がどの視点を選び何を意図的に省略したのかが見えてくるんですね。
これは突版の作品なんですが、何箇所かでレプリカを見ることが当時できました。
最近だと大阪でも10年くらい前ですが、見ることができました。
牛乳を注ぐ女、こちらはオランダの国立美術館の方に展示されているんですが、
これをCGで再現して、視点を変えられるんですね。
牛乳を注ぐ女を後ろから見たらとか、真上から見たらとか、
正面から見たらもちろん絵画と一緒になるように設計されているんですが、
これでわかるのがフェルメールはこの作品に関して言うとかなり正確に3次元空間を平面に映しとっているということ。
画家としてのアレンジというのはどうしても本来はあるものなので、
3次元空間を平面に描くときにちょっとアレンジが入るものなんですが、
フェルメールはそういった意図的な歪みを極力廃止していた、採用しなかったということで、
ひょっとしたらカメラオブスキュラーを使ったんじゃないかと言われるのもわからんでもないかなと思うんですが、
ただね、この作品に関して言うと牛乳を注いでますから、
牛乳を無限に注げるわけじゃないので、絵を描いている間ずっと注いでるわけにいかないので、
そんな噴水とかじゃないんですからね。
その記憶の中の牛乳を注いでいるシーンというのを描いたんだと思うんですが、
フェルメールひょっとしたら脳内に3DCGが描かれていて、それをキャンバスに映しとっていたのかもしれません。
そしてハイライトの入れ方ですね。
最新研究が明かすハイライトの描画技法
ハイライトというのはこの絵の中でキラキラっとしている部分ですね。
フェルメールの画面で一番目を奪うのはこの小さな白い光、ハイライトなんです。
真珠、目、唇、布の折り目、これらの白い点が絵全体を締めて生きているように見せています。
ザ・ガール・イン・ザ・スポットライトの研究では、デジタル顕微鏡などでこの点描、これフランス語でpointilléと呼ぶそうなのですが、これを精密に観察しました。
頭巾や上着には小さな丸い点が群れ、布の質感と光の煌めきを同時に作り出しています。
中には重なり合ったダブルドットもあり、厚みは周囲の絵の具より数十マイクロメートルほど盛り上がっているものもあります。
唇や目のハイライト、ごく細い二重の筆で潤いを演出し、ややぼやけた光の印象につながっています。
新しい知見として、アメリカ・ワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アートの技術調査、これ2020年から2022年にかけて行われた調査なのですが、
真珠や金属の反射面の丸いハイライトがカメラ・オブ・スクラに見られる桜園、光が少し滲んだものです。
カメラ・オブ・スクラを使ったかどうかは別にして、フェルメールはどんな風に光が滲むのかを知った上で絵に描いたのではないかとも考えられるわけです。
フェルメールは顔料を上に乗せていっていますので、ハイライトは最後の仕上げになります。
鉛筆画や木炭画では、最後に消しゴムや練りゴムなど、絵によっては髪剃りでハイライトを入れるのですが、フェルメールのように顔料を重ねていく場合は最後の仕上げになります。
ということはこれ同時に何を光だとみなすかというね、鉛筆画でもあるんですね。
フェルメールというのは3Dの3次元の空間を完璧に映し取るだけではなくて、光の方、オプティクスの方をおそらく見たまま映し取ったのではなくて、
いかにリアリティを感じさせるかという、感性的なリアリティを求めたのではないかと、再現したのではないかと僕は思います。
フェルメール鑑賞の新たな視点と個人的な感想
もし大阪で真珠の耳飾りの少女を見る機会があれば、本当に短時間しか見られないそうなんですね。参加された方のレポートを読んでいると待ち時間が長くて、写真撮って出て行ってくださいみたいな感じなんだそうですが、
それでも一瞬でもフェルメールが描こうとしたリアリティを見てもらえると嬉しいなと思います。
メールでお送りしているニュースレタースティームニュースの方では、今週の書籍としてフェルメールのカメラ光と空間の謎を解くという書籍も紹介させていただいています。
こちらももしフェルメールに興味が出てきたら読み解いてみていただけるといいんじゃないかなと思うんですが、どうでしょう。
いろんな見方、純粋に絵画として、この時代の絵画あるいはオランダの絵画という風に興味を広げていく方向もあると思うので、ご参考にしていただければと思います。
番組後半というか、最後にオランダデンハングで僕が見た真珠の耳飾りの少女の感想をお伝えします。
これは女性絵の少しばかりのおせっかいなんですが、美術館に飾られている絵というのは男性が描いたものが多いんですね。
男性が描いた女性のポートレート、これ断言するんですけれども、理想の女性像です。
真珠の耳飾りの少女だってこれフェルメールが描いた理想の女性像で、ひょっとしたら非実在少女なんですよ。ありもしない女性なんですよ。
だからもしも女性が付き合い始めの彼氏に美術館デートを誘われたら、美術館やめといた方がいいですという話なんです。
要するに美術館に描かれている女性ポートレートはバーチャル彼女なんですよ。勝てるわけないんですよ、比べたら。
だから美術館はやめて、違うところデートするといいんじゃないかなとおせっかいなことを思っています。
皆さんのコメントもいただければと思います。最後まで聞いてくださってありがとうございました。SteamFMのいちでした。
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