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ボイスドラマ フェルメール真珠の耳飾りの少女
静かで穏やかな午後、カフェのテラス席に座るトミーとマリア。 トミーは手に持ったスマートフォンでイヤホンの音量を確認している。
ねえトミー、準備はいい? うん、いつでもオッケーだよ。ありがとうマリア、わざわざ付き合ってくれて。
いいのいいの、フェルメールの絵、前からトミーにいつかちゃんと説明してあげたいと思ってたから。
それにしても真珠の耳飾りの少女、本当に素晴らしい絵だよね。 マリアがそういうくらいだから、
きっととても美しいんだろうな。 うん、本当に。
じゃあまずは全体の構図から説明するね。 絵の中心に一人の少女が描かれているの。
顔が少し左を向いていて、体は右側を向いている。 ちょうどこっちを振り返ったようなポーズかな。
背景は何も描かれていない、ただの真っ暗な空間。 だからこの少女がより際立って見えるのよ。
トミーはマリアの説明に耳を傾けながら、そっと目を閉じる。 少女は画面いっぱいに描かれているわけじゃなくて上半身だけ。
だから顔の表情や着ているものにすごく目が行くの。
背景は真っ暗なんだね。 じゃあ光はどこから当たっているの?
いい質問だね。光は左上の方から当たっているみたい。 少女の顔の左側、そして首筋、耳元が明るく照らされていて、右側は少し影になっている。
そのおかげで少女の顔に立体感が出ているんだよ。 じゃあ次に色彩について話すね。
この絵の主役は何と言ってもそのターバンと服の色の組み合わせだと思う。 ターバンは鮮やかな青色。
でもただの青じゃなくてちょっとくすんだような深みのある青。 この青色が彼女の顔をすごく引き立てているの。
青いターバンか。 そう。
そしてそのターバンの下から垂れている布があるんだけど、それは黄色なの。 この青と黄色の組み合わせがこの絵にすごくインパクトを与えている。
着ている服は? 黄色かかった茶色のような地味な色。
だけどその上から白い襟が見えていてその白がまた顔を明るく見せている。 なるほど。
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青と黄色と白は彼女を際立たせているんだね。 そう。
あと肌の色は白くて透明感がある感じ。 頬はほんのり赤みがさしていて唇も少し赤みがある。
すごく生々しくて、まるでそこに本物の少女がいるみたい。 そんなに生き生きとしているんだ。
うん。 そして髪の色はね、見えないの。
ターバンで全部覆われているから。 だから彼女がどんな髪の色をしているのかは想像するしかない。
へー、そうなんだ。 そしてトミーが一番聞きたいだろう、目の色。
彼女の目は茶色。でもただの茶色じゃなくて光が反射してキラキラしているの。 そしてその視線が本当にすごい。
少し悲しべにも見えるし、何かを訴えかけているようにも見える。 でもまっすぐに私たち鑑賞者を見つめているの。
この視線がこの絵の最大の魅力だと思う。 僕たちをまっすぐに見てるんだね。
そう。 そしてこの絵のタイトルにもなっている
真珠の耳飾り。これもすごく特徴的なの。 真珠って普通は丸くて白いイメージがあるけど、この真珠は形がちょっといびつで、下の方が少し大きい涙の形をしている。
そして左耳にだけ一つぶら下がっている。 片耳だけなんだ。
そう、この真珠がね、まるで光を吸い込んでいるみたいに鈍く光っているの。 それがまた上品で美しいんだよ。
ナレーターは少女の絵をトミーに言葉で届ける。 トミーは目を閉じたまま心の中でその少女の姿を思い描いているようだった。
トミー、ありがとう。 なんだか本当にその少女が目の前にいるような気がしてきたよ。
よかった。 トミーの頭の中にこの美しい少女が描かれたなら私も嬉しい。
