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[音楽]
いちです。こんばんは。このポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター、スティームニュースの音声版です
スティームニュースでは、科学、工学、技術、アート、数学に関する話題をお届けしています
今週は自身が優れたアーティストであり、数学者であったにもかかわらず、ベータ、つまりナンバー2とあだなされた数学者のことを取り上げたいと思います
現在、新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るっているようで、日本でも変異株の一つであるデルタ株が急増しているそうです
ご存知の通り、変異株の名前は最初に見つかった国名ではなく、ギリシャ文字を順番に割り当てることになりました
従来のイギリス株はα、南アフリカ株はβ、ブラジル株はγ、インド株はデルタと呼びます
つまりβというのは2番目という意味なんですね
今夜は古代ギリシャの数学者、天文学者、そしてアーティストで大変な功績を残したにもかかわらず、β、つまり2番目とあだなされた人物にスポットライトを当てていこうと思います
その人物はエラトステネスという方です
名前を知らなくても仕方ないんです。2番目だから
しかし彼が2番と呼ばれるのも、歴史上あまり有名でないのも、運が悪かったとしか言いようがないんですね
なぜならα、つまり1番がすごすぎたんです
そのα、エラトステネスの親友でもあった数学者アルキメデスです
エラトステネスは紀元前275年生まれのギリシャ人です
彼が生きた時代はヘレニズムと呼ばれているんですが、300年続いたこの時代の中でもエラトステネスの生きた時代こそが最盛期と言えるでしょう
ヘレニズムは紀元前30年、クレオパトラ7世の自殺によって幕を閉じています
エラトステネスは歴史上初めて測量に基づく世界地図を作ろうとした人です
それまでも世界地図らしきものはあったのですが、それは継ぎはぎだらけで一貫した緯度経度のないものでした
まずエラトステネスは地球が球体であることを確信していたことに着目してください
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そして太陽は地球から大変遠いため、地球のどこにいても太陽からの光は平行に降り注ぐということも
エラトステネスは確信していました エラトステネスのこの2つの確信は現代から見ても正確なものでした
そして彼は歴史上初めて地球の大きさを測ろうとしたんです なんともスケールの大きな話ですね
彼はゲシの生後、古代エジプトの都市シエネ、現在のアスワンで太陽が天頂を通過することを書物を通して知っていました
アスワンは北緯24度5分に位置する街で北海気線、こちら北緯23度26分のほぼ上にありますからこの知識はおおむね正しいものでした
太陽が天頂に来ると地面に立てた棒から影が消えるのでそれを知ることができます
また井戸が真下まで照らされることでも知ることができます
一方ヘラトステネスは非時計による観測から彼の住むアレクサンドリアでは太陽が7.2度、つまり円周の1/50傾いていることを知りました
これは地球が球体だとするとシエネから真北に1/50ほどいったところにアレクサンドリアがあることを意味します
彼はシエネとアレクサンドリアの距離を商人たちの往復記録から5000スタディアと見積もります
1スタディオン、スタディオンというのはスタディアの単数計ですね、この1スタディオンは約160メートルから190メートルの間です
スタディオンの由来は面白く砂漠において太陽の上端が地平線に現れてから下端が地平線を離れるまでの間に人間が太陽に向かって歩く距離とされています
日の出あるいは日の入りは約2分続くので2分で歩ける距離ということになりますね
日本の不動産屋さんの場合駅から徒歩2分というのは駅から160メートルを意味しますのでこれは忠実に1スタディオンということになります
地球の大きさはシエネとアレクサンドリアを結んだ距離すなわち5000スタディアの50倍で25万スタディアだったということになります
これがエラトステネスが計測した地球の周長で当時エジプトで採用されていた1スタディオン=157.5メートルを採用すると
39,375キロメートルとなります
これは驚異的に正確な数字です
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実際にはアレクサンドリアはシエネの真北から0.5度ずれていること
アレクサンドリアとシエネの間の距離の見積もりに正確性を着せないこと
エラトステネスの使ったスタディオンが何メートルだったか正確にはわかっていないことなどから
彼の推定はおそらく10%以上の誤差を含むものだったと考えられます
とはいえこのような制約条件の下では信じられないぐらい高精度な推定ですし
彼の方法論には全く狂いはありません
エラトステネスの推定は10世紀のアラビアの天文学者ビールーニーによる極めて正確な計測に置き換えられるまで
およそ1200年にわたって使われ続けました
これでもβ、つまりナンバー2とあだ名されるなんて
古代アレクサンドリアどれだけ選手層が厚いのかという気になりますよね
情報科学あるいは計算機科学の学生であればエラトステネスの名前をすでに聞いたことがあるかもしれません
エラトステネスの古いという有名なアルゴリズムはこのエラトステネスが考案したものとされています
エラトステネスの古いは素数を発見するための方法です
古代アレクサンドリアにはもちろんコンピューターありませんでしたから
手計算のためのアルゴリズムなのですが
大変巧妙かつシンプルなので現在でもプログラミングの練習によく用いられています
例えば100以下の整数の中から素数を見つけ出すとします
まず紙に2から100までの数を書き並べます
2から始めるのは1が定義上素数ではないからです
次に2を残して2の倍数、4、6、8と続く倍数ですね
これにすべて取り消し線を入れていきます
2つおきにピッピッと写真を入れていくだけですからこれは簡単な作業です
2の倍数が終わったら次は3を残して3の倍数、6、9、12と続く3の倍数ですね
これに取り消し線を入れていきます
この時6や12はすでに消されているのですが構わず20に消してしまいます
3以外の3の倍数をすべて消し去ったら次は4の出番なんですが
2の時にすでに4は消してしまっているので
次の作業は5を残して5の倍数、10、15、20を消していくことになります
やってみると47を最後に作業が続行できなくなることがわかります
結局消されずに残った数は
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79、83、89、97となります
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これが100以下の素数のすべてです
このように整数を不類にかけることからこの方法はエラトステネスの不類と呼ばれています
素数は現代の数学者の心さえも捉えて離さないのですが
2200年前の数学者エラトステネスもまた素数に心を奪われていたと言えるんじゃないでしょうか
エラトステネスは紀元前236年エジプトのオオプトレマエオス三世によって
アレクサンドリア図書館の館長に任命されました
少なくとも紀元前204年までは館長だったそうですから
近俗32年以上になります
見習いたいものです
当時のアレクサンドリア図書館は世界の学問の中心地でした
現在で例えるならオクスフォード大学とスタンフォード大学と
ハーバード大学とカリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学とケインブリッジ大学を
一箇所に集めたようなものです
いや多分それ以上なんですね
現在のどのような大学も2000年の長きにわたって影響を残し続けたことはありません
時点を挙げるならば
1088年設立のイタリアのボローニャ大学が一番近いでしょうか
16世紀をそして歴史を代表する科学者ガリレオ・ガリレイはボローニャ大学に在籍していました
アレクサンドリア図書館は学術と芸術の神様ムーサー
英語名ミューズに捧げられた学堂ムセイオンの基幹として建てられました
ムセイオンはもちろん英語のミュージアムつまり博物館の語源です
エラトステネスはこのムセイオンの館長も兼任していたようです
アレクサンドリアのムセイオンはエジプトのプトレマイオス朝初代王のプトレマイオス一世が資材を積み込んで世界の英知を集めたものでした
推定ではパピルスに書かれた書物が4万冊から40万冊もあったということです
残念なことにアレクサンドリアのムセイオンは数世紀をかけて徐々に衰退し
最後はローマ時代のテロ活動によって破壊されました
もしアレクサンドリア図書館が存続していたならヨーロッパの歴史は随分と違う姿だったかもしれません
アイザー・カーシモフのSF小説「ファウンデーション」では図書館が重要な役割を果たしていますが、きっと彼の頭の中にはアレクサンドリア図書館のことがあったのではないでしょうか
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アレクサンドリアには現在、新アレクサンドリア図書館が建っています
この図書館は2001年にアレクサンドリア図書館があった場所に再建されました
僕自身も訪問したことがあるんですが素晴らしい施設です
ジフトを訪れることがあればぜひアレクサンドリアに足を伸ばしてみてください
最後にエラトステネスの親友アルキメデスのことをお話ししておきたいと思います
エラトステネスがデータならば彼の親友アルキメデスは絶対的なアルファーと言えるんじゃないでしょうか
同じく古代ギリシャのピタゴラスやユークリッドと並ぶ突出した数学者であり
古代ギリシャ人としては珍しいことなんですが結出したエンジニアでもあったんです
一般的には理念的で学術や芸術に秀た古代ギリシャ人と
現実的で工事や政治に秀た古代ローマ人を想像しがちなんですが
古代ギリシャ随一の学者ともいえるアルキメデスは極めて優秀なエンジニアという顔も持っていました
アルキメデスの発明とされるアルキメディアンスクリューは現在に至るまで使われ続けています
また当時の戦争のために鉄鋼を利用した投石機、カタパルトや最新兵器アルキメデスのカギツメを発明しています
このカギツメは現代で言えばクレーンあるいはカンチレバーというべきもので
沿岸に近づいた敵の船を転覆させることができたそうです
それどころかどうやらアルキメデスの熱光線と呼ばれる光線兵器まで発明していた可能性も指摘されています
これは沿岸にいる敵の船を太陽光線を集めて焼いてしまうものでした
今でいうレーザー兵器のようなもんですね
エラトステネスは白学の人で数学や天文学はもちろん詩人でもあり音楽理論にも貢献した人なのですが
アルキメデスの前ではβの地位に甘んじなければなかったんでしょうね
とはいえエラトステネスの業績は歴史的にも第一級と言い切れると思います
エラトステネスは82歳までいきました 当時の知識人の習慣に従ったのか職を絶って自殺したと言われています
今夜はβとあだなされた大数学者であり大天文学者であるエラトステネスをご紹介しました
メールでお送りしている方のスティームニュースではおすすめ漫画としてアドアストラという書籍もご紹介しています
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こちらはポエニ戦争ですね
ハンニバルとローマのスキピオが戦った戦争を描いた漫画なんですが
この中にアルキメデスも登場しています
ご興味ありましたらぜひお読みになってみてください
というわけで今週も聞いてくださってありがとうございました
また次回お目にかかりましょう
いちでした
♪ We stayed up late to watch a movie April fools I think it's Tuesday
♪ Spring had just arrived and so our clothes were hanging loosely
♪ We stepped outside to the old petrol station
♪ Out of nowhere started raining, kinda suited the occasion
♪ Reminded me of when we spent our whole summer vacation
♪ 2011, sleep out in my basement
♪ Looking back at all the things I read you spent those two weeks wasted
♪ Some cider love we tasted, find your love you chased
♪ I
♪ Ooh, ooh, ooh, ooh
♪ If I
♪ If I never told you
♪ That I wanna hold you
♪ That I wanna hold you
♪ I just wish it was all news
♪ If I never told you
♪ That I wanna hold you
♪ That I wanna hold you
♪ I wish it was all news
♪ Right now
♪ 'Cause you're coming over to my house
♪ You're coming over to my house
♪ Around us don't care any about
♪ Right now
♪ 'Cause you're coming over to my house
♪ You're coming over to my house
♪ Around us don't care any about
もう一度手投げます。