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2023-01-13 24:58

不思議の国のアリスの不思議ではない話【第113号音声版】 #113

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1️⃣イギリスの数学者チャールズ・ドジソンは「ロジックパズル」の名手でした

2️⃣最初期の写真家でもあった彼はルイス・キャロル名義の児童文学作家になりました

3️⃣名作「不思議の国のアリス」のアリスには叶わぬ恋の物語がありました

 

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ニュースレター「STEAM NEWS」

金谷一朗(いち)

TEDxDejimaStudioファウンダー・パイナップルコンピューター代表・長崎大学情報データ科学部教授

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遅すぎるということはない。何かに取り組もうとするのであれば。レオナルド・ダ・ビンチ
いちです。おはようございます。このポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター
スティームニュースの音声版です。スティームニュースでは科学、技術、工学、アート、数学に関する話題をお届けしています。
スティームニュースはスティームボートのりくみーのご協力でお送りしています。冒頭でご紹介したのはレオナルド・ダ・ビンチのスティームな言葉。
彼自身は若い頃から才能を発揮していたのですが、彼は時間は使おうとするものにとっては十分な長さがあると言っています。
勇気をもらいますね。
さてsteam.fmエピソード113では不思議の国のアリスの不思議ではない話をお届けします。
このエピソードは2023年1月13日に収録しています。今回も25分間どうぞお付き合いください。
イギリスの数学者チャールズ・ラトゥイッチ・ドジソンはかつてこんな問題を出しました。
次の前提から何を導き出せますか?
前提1 赤ん坊は非論理的だ
前提2 ワニを操ることができる人は軽蔑されない
前提3 非論理的な人は軽蔑される
意味があるのかないのか不思議に見えますがともかく何が導けるかを考えてみましょう。
前提はこうでした。1番赤ん坊は非論理的だ。2番ワニを操ることができる人は軽蔑されない。
3番非論理的な人は軽蔑される。
前提2はワニを操ることができる人は軽蔑されないでしたからここから軽蔑される人はワニを操ることができないと導けます。
ワニを操れる人は決して軽蔑されないのですからある人が軽蔑されるとしたらそれはその人がワニを操れないからに違いありません。
このように考えることを「対偶を考える」というふうに呼びます。
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前提3は非論理的な人は軽蔑されるでした。これと先ほどの前提2の対偶をくっつけると
前提3は非論理的な人はワニを操ることができないというふうに導くことができるわけですね。
最後に前提1「赤ん坊は非論理的だ」を考えてみます。
前提2、前提3とくっつけると結果として「赤ん坊はワニを操ることができない」が導けます。
赤ん坊はワニを操ることができない。
これで全ての前提を使い切りましたのでこの赤ん坊はワニを操ることができないが結論になります。
もちろんこの対偶を考えてワニを操ることができれば赤ん坊ではないと答えても正解になります。
このような問題をロジックパズルというふうに呼ぶんですね。 ロジソンはロジックパズルの名手かつパイオニアでもありました。
彼の後継者にはアメリカの数学者マーティンガードナーや同じくアメリカの数学者レイモンドスマリアンがいます。
面白いことに2人とも手品師でもあったんですよね。 特に数学者レイモンドスマリアンは
この本の名はという本を書いているんです。 これどう答えたら正解なんでしょうね。
本といえば小説ハリーポッター。 僕の大好きな小説です。小説ハリーポッターと賢者の石の中で
スネープ先生が仕掛けた罠というのが出てくるんですね。 こちら映画版ではカットされてしまっているんですが、
小説の方には出てきます。スネープ先生がハリーたちに罠を仕掛けるんですね。 その罠を前にして
魔女のハーマヨニーグレンジャーが 「これは魔法じゃないわ、ロジックよ」って叫ぶところがあるんです。
ハリーとハーマヨニーの前に7つの薬瓶が置かれているんですね。 そしてヒントが与えられています。
こんなヒントです。 前には危険、後ろは安全。
君が見つけさえすれば2つが君を救うだろう。 7つのうちの1つだけ君を前進させるだろう。
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別の1つで退却の道が開けるその人に。 2つの瓶はイラクサシュ。
残る3つは殺人者。 列に紛れて隠れてる。
長々痛くないならばどれかを選んでみるがいい。 君が選ぶのに役に立つ4つのヒントを差し上げよう。
まず第一のヒントだが どんなにズルく隠れても
毒入り瓶のある場所はいつもイラクサシュの左。 第二のヒントは両端の
2つの瓶は種類が違う。 君が前進したいなら
2つのどちらもともではない。 第三のヒントは見た通り
7つの瓶は大きさが違う。 小人も巨人もどちらにも
死の毒薬は入ってない。 第四のヒントは双子の薬。
ちょっと見た目は違っても 左端から2番目と右の端から2番目の
瓶の中身は同じ味。
ハーマヨニーはこのヒントをもとにロジックパズルを解いて正しい薬瓶を見つけるんですね。
この部分ハリーポッターファンの特に日本のハリーポッターファンの間では有名なのですが 日本語訳がですね実は若干不正確でこのままだと正解にはたどり着けません。
メールで送りしているニュースレタースティームニュースの方では正しい翻訳もご紹介をしています。 ただですね
これあの原文を当たっても実は この小説だけでは答えが出ないんですね。
なぜかというと瓶の大きさがヒントになっているんですが本文中には瓶の大きさについては書かれていないんです。
差し絵があれば別なんですけれどもね。 というわけでメールで送りしているニュースレターでは変わって差し絵もお届けしています。
本当差し絵大事なんです。
差し絵の大切さを本当に理解していた作家といえばもちろんイギリスのルイス・キャロルでしょう。
不思議の国のアリスの作者ですね。 彼は看板画家ジョン・テニエルをくどきにくどいてアリスの差し絵を書いてもらいました。
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有名なアリスの差し絵やチェシャ猫というね、似た後洗った猫の差し絵なんかも目にしたことがあるかもしれません。
ネットでね不思議の国のアリスっていう風に画像検索をしていただくと先に出てくるのがこのジョン・テニエルの差し絵になります。
ハーフトーン印刷技術のなかった時代ですから完全にペン先だけで陰影を表現しているんですね。
これ本当にね絵が上手くないと書けないですよ。 例えて言うと
宮崎駿さんがほぼこのペン先だけで陰影をつけていて、さらっとね一枚スクリーントーンで服の色であるとか水面の様子とかをね描かれるんですが、
彼もほぼペン先で陰影を描かれているのでそれに近いかもしれません。つまりすごい画力があるということです。
不思議の国のアリスは作家ルイス・キャロルが少女 アリス・リデルのために語ったストーリーを元にしたものです。
不思議の国のアリスはビクトリア町にあたる1865年に刊行されました。 児童書といえば良い子に育つとか頭が良くなるとかがタイトルにつく時代だったそうですから、
本書は衝撃的なデビューを果たしました。 ルイス・キャロルが差し絵にこだわった理由は、彼がグラフィカルなものに多大な興味を示していたからに他なりません。
例えばコンクリート・ポエトリーという、視覚に訴える詩を不思議の国のアリスの中にも登場させているんですね。
「ネズミのしっぽ」という詩があるんですけれども、この詩がですね、ネズミのしっぽのようにクニャクニャクニャクニャって波打つように書かれているんですね。
これ当時の印刷技術を考えても、これだいぶ頑張ったなというか無理をしたなというか、無茶させやがってっていう風にね、あの印刷書の親父なんかは思ったんじゃないかと思います。
またキャロルは1856年という、まだカメラが一般的ではなかった時代にカメラを手に入れて少女の写真を多数撮影しています。
1856年ですから写真フィルムはまだありません。写真看板もまだありません。
写真出版という、撮影もそれから現像もそれなりに手間のかかった時代なんですが、この時代
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ルイス・キャロルはですね、アリス・リデルの両親の再三の苦情をも押し切って、少女アリスのコスプレ写真を撮影し続けました。
そうなんです。コスプレ写真を撮っているんです。 またアリスではありませんでしたが、ルイス・キャロルは少女のヌード写真やスケッチも作成していました。
まあそのため彼を小児性愛者ではないかと疑う意見も根強くはあるんですが、現在のところ否定的な見解の方が多いようです。
不思議の国のアリスの作者ルイス・キャロルは、人喰いワニのジレンマーというパラドックスを発表しています。
このようなパラドックスです。 ナイル川の下半でワニが赤ん坊をかすめとった。
その母親は赤ん坊を返してくれるようにワニに懇願した。 「う~む」とワニは答えた。
「もしお前が次に俺が何をするかを言い当てたら、赤ん坊を返してやろう。 言い当てなかったら赤ん坊は食ってしまうぞ。」
母親は狂わんばかりに叫んだ。 「あなたは赤ん坊を食べてしまうでしょう。」
「さてと」と賢いワニは答える。 「赤ん坊は返すわけにはいかんな。 だって返したらお前が言い当てなかったことになるんだからな。
言い当てなかったら赤ん坊を食ってしまうと言っただろう。」 もっと賢い母親は言った。
「それは逆よ。 あなたは私の赤ん坊を食べるわけにはいきませんよ。
なぜなら食べようとするなら、私はあなたがすることを言い当てたことになるのですからね。
私が言い当てたら赤ん坊を返すと約束しましたよね。」
さてワニはどうしたらいいんでしょう。ワニも困ってしまいますよね。 これ矛盾するのでパラドックスというふうに呼びます。
ワニと赤ん坊。聞き覚えがありませんか?
冒頭に登場した数学者チャールズ・ラトウィッチ・ドジソンこそ、作家ルイス・キャロルの本名でした。
不思議の国のアリスには続編「鏡の国のアリス」があります。 不思議の国のアリスが書かれたのはアリスが10歳から13歳の時でした。
鏡の国のアリスはその6年後に出版されています。 こちらではアリスがチェスの駒になって盤面を動いていきます。
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鏡の国のアリスが出版された翌年、アリスはオールバニ公爵レオポルド王子と知り合うんですね。
レオポルド王子はアリスに恋をしたと言われていますが、アリスが受け入れたかどうかはわかっていません。
身分の違いもありましたし、まあビクトリア朝時代ですからね。
あからさまにオープンに恋愛もしづらい時代ということになりますから、アリスの本心をひょっとしたら王子も知ることができなかったかもしれません。
レオポルド王子は1882年にヨーロッパの王族と結婚し、まあ、戦略結婚ですね。
長女としてイギリス王女アリスを授かります。 一方不思議の国の方のアリスは1880年に
28歳で結婚し、3人の男の子を設けています。 1883年に生まれた次男には
レオポルドと名付けました。 残念ながら長男と次男は第一次世界大戦で戦死しています。
彼女自身も第一次世界大戦には赤十字のボランティアとして参加しています。
レオポルド王子は娘にアリスと名前を付け、 アリスは息子にレオポルドと名前を付けています。
2人は結ばれませんでしたが、 心はお互い惹かれ合っていたのかもしれません。
1934年アリスは自宅で 息を引き取りました。
ただアリスの産男は第一次大戦を生き延びています。 アリスの孫娘の写真というのが今ネットでも閲覧できます。
メールでお送りしているニュースレタースティームニュースにはリンクを貼っていますので、 もしご興味があればリンクをたどってみてください。
どことなくアリスに似ているような気もします。
というわけでこのエピソードでは不思議の国のアリスにまつわるお話をお届けしました。
不思議の国のアリスの作者ルイス・キャロルは実は数学者チャールズ・ラトウィッチ・ドジソンだったわけですね。
そして彼が切り開いたのがロジックパズルという数学を用いたパズルだったわけですね。
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ロジックとマジック、いつも対比されるものなんですが、 マジックに見えてもロジックであったりすることがある。
これはハリーポッターの大幹賢者の石の中のメッセージでもハンマーウニーが伝えてくれたメッセージでもあるんじゃないかなと思います。
作家のアーサー・シークラークが高度に進歩した技術は法と区別がつかなくなるという名言を残していますが、
数学の難しい問題もマジックに見えるということがあるんじゃないかな。
特にこのチャールズ・ドジソンの後継者というふうに僕は勝手に呼んでいるマーティン・ガードナーやレイモンド・スマリアンの本、
特にスマリアンはこのロジックパズルをたくさん考案して本にしていますので、
よかったらAmazonとかでねレイモンド・スマリアンで検索してもらうとすごく頭の体操になるというかもう眠れなくなるような問題がいっぱいあるので、
読んでいただけたらなと思います。
メールでお送りしているニュースデータ、steamnewsの方では今週の書籍、今週のテッドトークをご紹介しているのですが、
このepisode、steam.fmのepisodeではニュースデータとは違う書籍をですねご紹介したいなと思います。
これはですねアリスにまつわる、まあ短いストーリーで、僕の大好きなアイザック・アシモフが書いたミステリー短編、今手元にあるんですけどもね。
黒ゴケグモの貝の第一巻ですね。残念ながらデジタル化されていないので、僕もあの紙の本をわざわざ購入して、以前持っていたんですけれどもね。
いずれデジタル化されるだろうと思って引っ越しのタイミングで捨てちゃったんですが、しまったまだデジタル化されてないと思ってもう一度紙の本を購入し直したという本です。
この本の中に第一巻なんですが、めくっていくとですね、エピソード11ですね。
これ全部で12話ずつ収録されているんですが、それの第1巻の11話に「不思議な省略」というタイトルの短編が入っています。
これがですね、不思議の国のアリスを題材にした短編推理小説になっているんですね。
すごく面白いです。
実はこのsteam.fm、そしてニュースレター、steamnewsの内容をお届けするのに、この本をヒントに書こうかなと思ったのですが、
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やはりアリスといえばドジッソンのロジックパズルかなと思って、方向転換して今回お届けしたような内容にしました。
さてさて、今週はですね、日曜日月曜日と将棋の王将戦がありました。
僕は将棋ドシロートなのですが、youtubeでね、中継があったので、
藤井壮太王将と、挑戦者派部吉原九段の将棋を拝見していたのですが、
いやーもう僕みたいなドシロートでも感動するぐらい、すごい名曲でした。
最後にはね、偶然なんですが、もう腰抜かすような演出効果まで現れてしまって、
もう将棋ってなんかこう1対1のゲームじゃなくて、
2人で寄付を作り上げるという、アート活動なんだなあっていうこと。名人同士の対戦になるとそういうことなんでしょうね。
なんてことをね、感じた週の始まりでした。
将棋については、スティームニュースの第69号、去年のね、ちょうど今頃お送りした第69号で触れています。
「騎士藤井壮太の戦う世界」というタイトルなんですが、こちらですね、あの無料公開、一般公開しています。
あの web にアクセスしていただければ見ていただくことができます。
メールアドレスとかをね、登録しなくても読めるようになっていますので、もちろん登録していただけると大変嬉しいんですが、
参考程度に読んでもいいよという方も、ぜひねアクセスしていただけたらなと思います。
最後にお知らせです。この steam.fm ではコーヒーの差し入れを受け付けております。
大変厚かましいお願いで恐縮なのですが、概要欄にコーヒーの差し入れのリンクを置かせていただいております。
すでにですね、何名かの方からコーヒーの差し入れをいただいております。本当にありがとうございます。
大切に使わせていただいております。
これあのコーヒーだけじゃなくて、なんかこう聞いてくださっている方がいらっしゃるんだというね実感になって、
また次のエピソードを頑張ろうというね気持ちにもなります。本当にありがとうございます。
今週末は共通テスト、もしね受験生の方聞いていらっしゃればですね、平常心で試験会場に向かっていただければなと思います。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。 steam.fm の一でした。
24:02
time to do
sleeping up
none see
dangerous to turn
pulled
paris
me
back to the night sky
oh i don't we just leave this world alone
can't keep waiting till next time i try to say it's time but you don't move
24:58

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