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市ですおはようございますこのポッドキャストは僕が毎週お送りしているニュースレター
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改めまして市ですこのエピソードは2022年の3月17日に収録しています 今回のエピソードではアート思考について考えていきたいと思います
アート思考とは何なんでしょうかぜひ25分間お付き合いください
ジョン前田というデザイナーであり科学者がいらっしゃいます 2008年から5年間
アメリカ最高の美術大学と言われるロードアイランドスクールオブデザインの学長を務めていました それ以前はこれまたアメリカ最高の工科大学と言われる
マサチューセッツ工科大学 mit でメディアラボ副所長を務めていました その彼が当時 mit にいた伊藤上一と一緒にクリエイティブコンパスと呼ばれることになる図を書いています
このクリエイティブコンパスどんな図かというと 正方形を4分割した図をイメージしていただきたいんですね
お弁当箱であのほら高級なお弁当とかでま四角の入れ物が4つに仕切られていたり するじゃないですかあるいは漢字で言うと田んぼの田の字ですね
まあこういった4つに仕切られた正方形 まあもしあの
理数系理工系の方が聞いていらっしゃれば 平面上のグラフ x 軸 y 軸で仕切られた平面上のグラフであるとか
複素数平面とかを想像していただいても結構ですまあ日本人なら田んぼの田の字が 一番想像しやすいかと思います
このお弁当箱の右上のボックス右上の四角の中にはアートが入っていると想像して ください右上がアート
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左上がサイエンス 左下がエンジニアリングそして右下がデザイン
縦に数えていくと右半分が上がアートでしたがデザイン 左半分が上がサイエンスでしたがエンジニアリングです
上下に分けて考えると上半分左がサイエンスで右がアート 下半分左がエンジニアリングで右がデザインです
エンジニアリングは日本語では工学って呼んだりもしますね他はイメージしやすいん じゃないですかねアートは美術であったり芸術であったりサイエンスは科学あるいは
自然科学と呼んだり デザインはもうデザインですね
デザインてなかなかねこう日本語に訳せない言葉 ナンバーワンとは言わないけれども
あのほらシステムとかで日本語に翻訳できなくてカタカナで使うことが多いんです けれどもデザインも日本語に翻訳するといろんな意味が設計であったりとか
それからなんでしょうねその 衣装ってそのファッションとかの衣装の方ですね衣装という意味でも使われたりもするので
なかなかこう一つの単語に置き換えることはできないのでカタカナでデザインって言ってしまうんですけれども
そのデザインですね
このクリエイティブコンパスについて伊藤 上一は次のように語っています
これあの彼の英語ブログを彼自身が日本語に翻訳しているのでその日本語訳から一部引用させていただきます
このフレームワークが最初に話題に出たのはジョン前田との会話中だったと思う 発端となった見解は芸術家と科学者の間の連携相性が良くデザイナーとエンジニアとの間でも連携相性が良いのに対して
科学者とエンジニアおよび芸術家とデザイナーだと相性が悪いというものだった
おーなかなか興味深い内容ですね
芸術家と科学者の間の連携相性が良くの部分なんですが原文ではワークウェルトゥゲザーって書いてあるんですけれども
まあ連携相性が良くという訳でニュアンスは伝わっていると思います
デザイナーとエンジニアとの間でも連携相性が良いという風に主張されています
職場によってはデザイナーとエンジニアというのはしょっちゅう顔を付き合わせていると思うんですけれども
まあちょっと想像してみてくださいデザイナーとエンジニアが一緒にいるところ
相性いいかっていうと何なことあるかいって思われるかもしれないんですが
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まあそういった俗人的な関係性ではなく職業としての相性ということを伊藤 上一は言われているんだと思います
例えばですねウェブサービスを作る会社でデザイナーエンジニアの片方が欠けているということはまあありえないじゃないですか
あとですね僕なんかが感じるのは国産のカーナビとかを見ていると
それも当然エンジニアとデザイナーが協力して設計しているんだとは思うんですけれども
これデザイナーにもうちょっと発言権を与えないとダメじゃないかなとか思うこともあります
芸術家と科学者の間についてもそりゃあ喧嘩別れしたりっていくらでもあるので
まあそういった俗人的な話ではないと思うんですね
もちろん芸術家同士科学者同士だって揉めるわけですから
相手の立場が変われば仲良くいくようになるかというとそういうわけではなくて
そういう人間対人間の話ではなくてそういう立場立場立ち位置が一緒にやっていくことができるしできるべきだというお話なんだと思うんですね
ジョン・前田が言いたかったのは芸術家と科学者と目指すところは同じということなんだと思うんです
この点については後でもう一度振り返りたいと思ってるんですね
深くお話ししたいと思ってるんですが
その前に伊藤 上一の引用を続けたいと思います
エンジニアとデザイナーは物事の実用性に着目し
観察と問題の制約の把握を通じて解決法を編み出すことで世界を理解しようとする傾向にある
一方で芸術家と科学者は自然や数学からインスピレーションを受け
純粋なる内的なクリエイティビティを通じて想像を行い
多くの人が芸術家と科学者との関係を理解し
その中で芸術家と科学者は自然な世界を理解し
その中で芸術家と科学者は自然な世界を理解し
その中で芸術家と科学者は自然な世界を理解し
その中で芸術家と科学者は自然な世界を理解し
あるいは役割のような捉え方ですね
僕自身もエンジニアもデザイナーも問題を解決する人というふうに捉えています
別な言い方をすると病を治そうとする医者
ハリーポッターには「癒すもの」と書いて「医者」というのが出てくるんですけれども
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そちらもイメージとしては近いのかもしれないです
もちろんエンジニアとデザイナーでは主に使うスキルが異なるんじゃないでしょうか
エンジニアはテクノロジーを、デザイナーはアートを得意とすることが多いと思いますし
またそういう教育を受けていると思います
でもこう考えてください
テクノロジーの語源はギリシャ語のテクネ
アートの語源はラテン語のアルス
そして両方はもともと同じ意味だったんですね
明治の日本人たちがテクノロジーを技術と訳し
アートを美術と訳したのは決して間違いではないものの
アートには技術の意味もあることを
僕たちは思い出しておく必要があるように思います
そういえば英語のアートにはまだ技術の意味が少しは残っていますよね
例えばマーシャルアートっていう言い方をしたときのアートは技術ですし
東アジアが誇る名著
孫子の兵法
こちらの英訳はThe Art of Warというんですが
直訳すると戦争の技術、戦争の芸術になってしまうんですけれども
技術ではなくて意味は戦争の技術
The Art of Warは戦争の技術という本ですね
日本語では兵法
何が言いたいかというと
アートとテクノロジーはもともと同じ意味から出発しているということです
伊藤 上一はこう続けています
しかし僕は面白く印象深い想像を行うには
これら4つの証言をすべて使うことを求められる場合が多いと考えている
これら4つの証言とは
サイエンス、アート、エンジニアリング、デザインです
4つ入ったお弁当箱を思い出してください
サイエンス、アート、エンジニアリング、デザイン
僕はですね、こういった主張を読むときは何が書かれているかではなく
何が書かれていないかに注目すると
より深く意味がわかるんじゃないかなと思っています
このクリエイティブコンパスが主張するところは
クリエイティブな仕事をするためには
サイエンス、アート、エンジニアリング、デザインの視点が必要だということを
そしてひとまずはその4つで良いということに読めるわけですね
いやこの4つ豊かで学問の全部やんって思ってしまうかもしれません
せやかて苦道ですよね
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実は原作では一度も言われてないそうなんですけれども
せやかて苦道ってこれはちょっと小ネタなので一旦置いておきます
もちろん学問の流度、文化異能の異なる話ではあるんですが
こんな話があります
日本学術会議の任命問題で揉めた時に
Q&Aサイトのクォーラにこんな質問が出されたんですね
日本学術会議の会員数が200人以上いるんですけれども
この参加人数もっと絞ってもいいんじゃないでしょうか
という質問だったんです
この質問に対して僕はこんな風に回答しました
日本学術会議は一応建前上日本の科学者の内側に対する代表機関ですから
日本が取り組んでいる科学研究を網羅的に拾い上げる必要があります
日本の科学者は建前上全員が科学研究費助成金を国に申請します
この助成金の申請分野の数だけ研究分野があるということになるんですね
この研究分野の数なんですけれども
日本学術振興会が学術分野の最目標というのを公表しています
こちらの最目標の項目数だけ研究分野がある学術分野があるとすると
これは300ぐらいになります
学術分野当然重複もしていますし
一人の研究者が複数の研究分野カバーしていることもあるので
およそ200人の学術会議メンバーという数は
肌感覚としては妥当だなということになるんですね
この300の学術分野大分類で分けても14人分かれています
もちろん中にはちょっと不自然な分類もあるにはあります
主にはその分野の研究者が少ないと
これとこれをくっつけて一つの大分類にしましょうというのが
行われているんじゃないかなと思われる節もあります
例えば数学と物理学は1個になっていたりとかですね
これだいぶちゃうやんと思うんですけれども
そこは1個になっていたりとかします
とはいえオーダーで考えると学術分野の数は3桁あって
大分類が2桁あって
でも我々が今気にしないといけないのは
たかだか4つですよという話になるのかもしれないです
ある道の研究者というものは
その道を極めるために一点に集中する必要があるものです
例えばこの催目標の中の情報学という1分野があるんですが
その中にさらに1207番完成情報学という学術分野があるんですね
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その道を極めようと思えば
もう何年も何十年も集中することになるかもしれません
一方でこの伊藤 上一とジョン 前田の主張は
それでももしクリエイティブな成果を残したいのなら
アート・デザイン・エンジニアリングの視点を一つずつ追加で持ちなさいということだと思うんです
完成情報学の研究者が
刑事法学や熱工学の専門家である必要はありません
しかしアーティスト・デザイナー・エンジニアの目線を持っている必要はあるということなんですね
引用を続けてみたいと思います
我々がこのコンパスモデルの中心に到達するために活用できる教訓や考え方は多種多様にあると僕は考える
鍵となるのはこの4つの証言をできるだけお互いに近づけるように心がけることだ
これはサイエンティスト・アーティスト・デザイナー・エンジニアの4つの目線を同時に持てと
これめちゃくちゃ難しいこと言ってるんですが
同時に持てというふうに言ってるんでしょうね
それが無理であってもたとえ1人であれば無理であっても
この4種類の人種4種類の職業を1箇所に集めて
お互いにリスペクトし合う関係を強制的にでも作るということはできるかもしれません
スティーブ・ジョブズは映画会社ピクサーの本社ビルを設計するにあたって
この点を非常に強く意識しました
彼は初めトイレを1箇所にしようとしたんですね
そうすればアトリエを使う人もラボを使う人も必ずトイレで顔を合わせることになります
結局ですねこの1つのトイレ案なんですが建築家に却下されてしまいました
さすがにトイレないと不便だし
ひょっとしたらその法律上の制約というものがあるのかもしれないです
結局ですねスティーブ・ジョブズどうしたかというと
その代わりに食堂を1箇所にするという案が採用されました
実を言うとですね僕もこのサンフランシスコのピクサー本社に招待していただいたことがあって
この食堂でピザを食べたことがあります
初めて招待を受けた時は前日にサンディエゴで仕事があったんですよね
でサンディエゴの空港のトイレで男子トイレでシャーってやってたところですね
そこになんか僕よりもヒゲモジャのアジア人が来たので
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誰やこいつと思ってですね思わず顔を覗き込んだんですよ
宮崎駿さんでした
その直後に友人から電話があったんですね
彼曰く「ちょごめんな日本から急に来客あって招待できへんねんごめんほんまごめん」
っていう風に言われまして
僕も「ええよええよ」と「また来るし」と答えて
その場はね丸く収まって
サンフランシスコには当然もう飛行機乗るところだったので寄ったんですけれども
その日は何もせず
次の日か次の次の日ぐらいに日本へね帰国をしたんですが
どうしてもこの僕の友人がピクさんにいる間にもう一度訪問しようと思って
その翌月再びサンフランシスコで用事があったので
友人にピクさんを招待してもらいました
彼は申し訳なさそうに「いやあの時ごめんほんまごめん知らんかったんやけど来客宮崎駿やってん」
という風に言われて
僕をその時はピクさんを案内してくれたんですけれども
「宮崎駿さんでしたか」と「まあそりゃしょうがないですよね」
「そうと知っていればサンディエゴのトイレで彼に握手を求める権利ぐらいは僕にもあったかもしれないです」
「まあピザ美味しかったので許します」
最後に伊藤 上一から少しだけ引用をしておきたいと思います
伝統的な専門分野が横行する環境や機能的に分断された組織では
この創造性のコンパスを活用できるタイプの人材は育たない
しかし変化の度合いが指数関数的に早まりつつあり
既存のものが崩れ乱れることが例外でない今の世界において
我々が現在直面している課題
ましてや今後直面する課題に効果的に対処するには
この方法で発想するよう心がけるのが寛容に思える
この点は何度も繰り返し強調しておくべきだと思うんですね
既存のものが崩れ乱れることが例外ではない今の世界は
歴史を通して現代を見るとその意味がより強くわかります
いつの時代もそれなりに変化があったはずとか
現代だって後世から見れば平穏な時代だろうという見方は打ち砕かれます
後世の歴史家は現代に不安定なラベルを張ると思うんです
そしてこのような不安定な時代には問題を見つけることさえも困難になるんです
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それは末端の問題を見つけるということではなくて
本質の問題を見つけることが困難ということかもしれないですし
そうではなくて本質なんてものがない問題を解く方法を見つけることかもしれません
サイエンティストは主に末端の問題ではなく本質の問題を見つけなさいという訓練を受け続けます
一方アーティストはこれはアーティスト全部に言えることではないかもしれないんですが
僕が尊敬するアーティストたちと話し合い彼ら彼女らの作品を通して感じたことは
少なくとも一部のアーティストは本質なんてものがない問題を見つけ解くことに
苦しみもがきながら前進しているんじゃないかということです
これが僕はアート思考というふうに呼ばれるものの意味だと捉えています
アート思考というとどうしてもアーティストが作品を生み出すプロセスを真似て
プロダクトを生み出そうという意味に捉えられがちですしそのように報道や解説がなされることが多いです
そしてアーティストが作品を生み出すプロセスこれがいつも思いつきや思い込みと誤解されているんです
これは仕方のないことかもしれないです
アーティストが作品を生み出すプロセスこれもし言語化できたら作品じゃないですからこれ論文ですから
ですから言語化できないから作品にしてるんですよね
ジョン・マエダと伊藤 上一の主張はサイエンティストのようにアーティストのようにエンジニアのようにデザイナーのように問題を見つけなさいということです
それは一流の科学者エンジニアデザイナーにとってはすでに当たり前のことなんですが
観察だけではなく洞察を思考だけでなく瞑想をということなのかもしれません
問題の本質を見つける訓練というのは抽象化と秩序を見出すことなんですけれども
そうではなくて本質がひょっとしたらないあるいは移り変わっていくもの
そういったものを見つけるには人間そのものを観察し洞察しそのためには考えるだけではなく
禅のように瞑想することも必要なのかもしれません
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ではまた次回のエピソードでお会いしましょう
いちでした
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