2023-08-12 20:43

【第5回】デザイナーとクリエイターの違い

#5 デザイナーとクリエイターの違い


▽トーク概要 

・混同されがちなデザイナーとクリエイターという職業(共通点・相違点)

・日米におけるデザイナーとクリエイターの認識の差

・似た意味で使われる”アーティスト”

・デザイン会社ではどのような人材が求められるのか?


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サマリー

サンフランシスコのデザイン会社で働いているデザイナーは、日本で働くデザイナーとの違いについて話し合い、デザイナーとクリエーターの役割の違いを明らかにしています。クリエイティブディレクターは、アーティストとデザイナーの間に位置する職業であり、チームワークと相互理解を重視しながら、ビジネスに役立つ結果を出すことを目指しています。

デザイナーとクリエーターの違いを考える
サンフランシスコ・デザイントーク、ポッドキャスターの伊藤です。
この番組は、サンフランシスコにあるデザイン会社の社長が、
日本で働くデザイナー、デザイナーを目指されている方、
デザインをビジネスに取り入れたい方向けに、
デザインに対するインサイトや今後のデザイナーの在り方、
プロダクターや企業のデザイン戦略について深く話します。
おはようございます。
おはようございます。BTRAXのCEOのBrandonです。
最近は元気ですか、Brandonさん。
最近ちょっと、サンフランシスコに日本から訪問される方々が増えて、
週末も渋谷区の中学生のグループが来て、
企業家のこととかスタートアップデザインに関しての話をして、
若干声が枯れがちなんで、のど飴を舐めながら頑張っています。
いよいよ喉までケアするようになってきた。
ポッドキャスターということで、
今日の本題に入っていくんですけど、
今日のテーマはデザイナーとクリエイターの違いについて話していきます。
よろしくお願いします。
何でそもそもこのテーマを話そうと思った理由とかあったりしますか。
あります。我々はデザイン会社という職種をしているんですけれども、
ここ最近で関わらせていただいているプロジェクトのいくつかが、
いわゆるデザインの領域以上にクリエイティブっていうことをする、
クリエイティブワークって言われるものが少し増えてきたんですね。
その中で求められるアウトプット等を作っていくときに、
うちのデザイナー、特にアメリカ側のデザイナーが、
あれ、これ我々できますかね、みたいな反応がちょっと出てきたんですよ。
そこでふと社内でその辺の話をしたんですね。
デザイナーの仕事とクリエイターって言われる人たちの仕事って、
似て結構非なるものなんだなっていうのがそこで表面化していきまして、
それで自分自身としても会社の方向性としてクリエイティブワークをやっていくに際して、
どのようなマインドセットとかスキルセットが必要なのかっていうのが、
アメリカと日本のデザイン教育との違い
ここ半年くらいで経営面とか人材とかチームビルディングスキルケーパビリティで
研究していたり追求していたりしたことだったので、
一回その辺をまとめてお話できればなと思っております。
ありがとうございます。
じゃあ、まず最初にデザイナーとクリエイターそれぞれの役割とか、
あとは共通点、それから違う部分みたいなのをちょっとお願いします。
はい、わかりました。
デザイナーとクリエイターって特に日本では混合されがちだったりとか、
同じ人とか同じ会社が両方やってたりします。
その一番の理由は、作り出すものが結構ビジュアルデザインになっているってことですね。
グラフィックデザインであったり動画とかモーショングラフィックス、
あとは物理的なものであれば店舗のデザインとかインテリアとか、
そういったものがアウトプットとして提供されるので、
デザインワークとクリエイティブワークって似たように思われがちなんですけど、
最初アウトプットが近いんですが、
根本的にそれが達成しようと思っている、やろうとしている事柄とか出発点が違うんですよね。
もうちょっと詳しく説明させていただくと、
ごくごく単純に説明すると、
デザインの役割は、最初のエピソードでも言いましたけど、
課題や問題の解決、それに対するソリューションを考えていくっていう仕事なんですけれども、
クリエイティブワークの多くが、具体的な課題とかゴール設定がそこまでされないままに、
人の心を揺さぶるものとか、人の気持ちを集めてくるものとか、
注目されるものを作り出すっていう、そういったような役割になってくるので、
特にアメリカのデザイン学校とか、デザイン会社で教えているデザイナー教育とは、
ちょっと違うっていうのがありますね。
なので、デザイナーがデザインワークをする時に、アメリカではデザインブリーフっていうものを作るんですね。
日本語で言うと、要件定義みたいな。
こういう内容で、こういうスケジュールで、こういうゴールでやっていこうみたいなのがあるんですけど、
それがクリエイティブワークでは、ちょっと内容が結構違うスタート地点になってくるっていう、
そういった感じでありますね。
どういうスタート地点になってくるんですかね。
デザインの場合は、今抱えている課題があって、それを解決するためのゴール設定と、それに必要なスケジュールって引かれるんですけど、
クリエイティブワークの場合は、こういうアウトプットチャンネル、例えばテレビCMとか、
イベントでの展示とか、SNSのポストとか、ランディングページとか、そういうのが決められて、
そこに対して、より世の中で話題になるようなコンテンツを作ってくださいとかいう。
それ結構ざっくりになりがちなんですよね。
これって実は、日米の話そろそろしようかなと思ってたんですけど、
日本の広告であるというか広告業界では、ごく日常でやられているやり方で、日本ではすごい一般的なんですよ。
日本ではクリエイティブワークの方が世の中に昔からたくさんあったんだろうなと思ってて、
むしろいわゆるロジカルなデザインの方が最近後付けで増えてきてて、
アメリカはクリエイティブワークっていうものはあるっちゃあるんですけど、
それ以上にデザインを経営に活用するっていうことがメインストリームになっているわゆえに、
クリエイティブ系の人よりもデザイナーの方が圧倒的に多いんですね。
デザイナーとクリエイターの役割の違い
もう少し詳しく言うと、実は日本でよくクリエイターって言うじゃないですか。
あれ和製英語なんですよ実は。
クリエイターっていう単語自体はあるんですけど、意味合いがアメリカでクリエイターって言うと、
まず人々が聞いて想像するのは神ですね。想像無視っていう。
はいはいはい、想像主みたいな。
ザ・クリエイターみたいな感じだと想像主なので、
俺クリエイターなんだったらお前は神かって言われるっていうぐらいに、
ちょっと和製英語になってて。
っていうのは、みんな何か作るじゃないですか。文章でも何でもいいんですけど。
なので全員が言っちゃえばクリエイターだし、
でもクリエイターっていう言葉を名乗った瞬間に、
天地、天地創造したみたいな感じの、
世界を全部作ったイコール神みたいになっちゃうので、
その仕事の肩書きでクリエイターって言ってる人は基本いないんですよね。
アーティストっていうのもあるし、デザイナーっていうのもあるし、
クリエイティブディレクターっていうのもあるよね。
なんだけどクリエイターって言っちゃうと、
お前は全てを作るやつかみたいな感じになっちゃうので、
ないんですけど日本だとすごい便利な和製英語として解釈されますよね。
3Dを作る人とか映画に関係してる人とか、
ゲーム、ゲームクリエイターって呼びますよね。
ゲームクリエイター。
アメリカだとゲームデザイナーとか、
3Dアーティストとか、そういう風に言われ方が変わってくるものだったりはします。
それこそゲームなんて、解決する課題ってあんまなくないじゃないですか。
ゲームを作る会社が、
俺たちは世の中のこの課題を解決するためにゲームを作るぜっていうスタート地点じゃないと思うんですよ。
世の中に面白いものを提供しようだけじゃないですか。
確かに。めちゃくちゃわかりやすいですね。
デザイナーに、世の中に面白いものを提供したいんで何かデザインしてって言ったら固まっちゃうんですよね。
え、すいませんちょっと、ユーザーペルソナーはどうなってるんですかとか、KPI的にはどうしますかとか。
それで予算緩和とかそういうビジネス的スペックがないとデザインワークってすごくしにくいんで。
そこは特にアメリカだと、アメリカ側のデザイナーにクリエイティブ系のプロジェクトで相談した時に、
全然必要な情報集まってないじゃんっていう風になっちゃって。
で、日本側のスタッフに聞いたら、え、全然問題ないじゃないっていうわけ。
で、どうやら、これも最近学んだんですけど、日本ってデザイナー系の人ってクリエイティブワークもできて当たり前。
両立してるっていうか、両方できる人が多い。
もっと言うと、美大とかでクリエイティブワーク、いわゆる概念としては、
グラフィックデザイン、映像デザインとか、デザインとかついてるんですけど、
イラストレーションとか、3Dとか、動画編集とかもそうなんですけど、あとゲーム。
これ全部クリエイティブワークなんですけど、
それを結構アウトプットを表現していくっていうのを美大とかで教えられるんですね。
プラス、デザイン理論も学ぶみたいな。
僕の感覚だと、日本の美大出身者何名か自デザイナー日本側にいるんですけど、
6割か7割ぐらいはクリエイティブ側のことを教えられてるんですよね。
インスタレーションとか、展示会とか。
あと、いわゆるアーティスティックな作品を作るってやつ。
それは教える教授とかがそうらしくて。
僕もそうなんですけど、アメリカのデザインスクール行くと、
それ絶対ダメっていうかですね、プレゼンする時に、
俺が表現したかったのはとかって言うとめちゃくちゃ怒られるんですよ。
お前の表現はどうでもいいと。
これが課題対決に直結してるデザインであるってことをプレゼンしろみたいなこと言われるぐらいに、
エゴの、自分のこだわりとかエゴを中心に物を作り出すってことを
アメリカのデザイン学校では禁止されるんですね。
でも日本だと自己表現っていうのをある程度やらされるんで、
そういうスキルが身についたデザイナーが、
デザイナーと名乗りデザインワークをした時に、
結構頻繁にこじれるんですよね。
クライアントさんがこうやれって言ってんのに、こうしてほしいって言ってんのに、
デザイナーさんがちょっと違うものを作ってきた時に、
なんでですかって言ったら、いやこれ、僕なりにちょっとこだわってやってみましたみたいな。
いやちょっとそれは頼んでないですよ。
でもだって美大でそうやれって言われたからってなるんで。
そうなんですよ。
ここで、ちょっとアーティストって言葉出たんで、
クリエイターってアーティストに近いんですよね、むしろ。
アーティストって、ミュージシャンとか絵を描く人とかいるんですけど、
ピュアにアーティストっていうのは自分の表現したいことだけを表現する。
それに対してお金をもらって、何かしらの商業的な作品を作ると、
いわゆる世の中でクリエイターっていう役職になっていくわけじゃないですか。
クリエイターのカテゴリーの違い
自分で絵描いてて、個展開くだけだったら、クリエイターというよりはアーティスト。
そのスキルを使って、企業のロゴをデザインしたりだとか、
企業のプロモーションビデオとか、
動画を、プロモーション動画、CMみたいなのを作る。
これクリエイティブディレクターとかいう名前になっていくんですけど、
なると商業的なアーティストってなっていくんで、
アーティスト、クリエイター、デザイナーっていうのが、
3つぐらいのカテゴリーで、
アーティストとデザイナーの間に、
クリエイターみたいな職業になってくるのかなっていう感じを僕は持ってますけどね。
うーん、なるほど。
すごい難しいですね。
日米でそもそもそれぞれの言葉の広さというか、
言葉の意味の広さが違うCMみたいなことですよね。
そうなんですよね。
アメリカだと、今の最後に言ったデザイナー、クリエイター、アーティストっていう
3つの差が関係するというのはアメリカの話なのか、
アメリカだとクリエイターってまず大きなものがあってっていう、
その中にデザイナー、アーティストがあるみたいな。
いや、そんなことなくて、
アメリカの方がよりアーティストとデザイナーがくっきり分かれてる。
くっきり分かれてるので、キャリアを考えるときに、
どっちを目指すかっていうのは大学の時点で選びますね。
僕が行った大学もアート部門、
アート専攻とデザイン専攻って全く被ってないんですよ。
ビルが違うぐらいなんですよね。
キャンパスのビルが。
で、アートを専攻している学生とデザインを専攻している学生は
同じ授業がないぐらいなんですよ。
似て非なるものなので、ある意味混ぜるのは危険なところがあって、
それぞれのフィロソフィーが違うっていうか、
やるべき責務が違うっていうのを認識しているので、
そこを下手に混ぜてしまうと、
実際仕事をしたときにややこしくなるから分けてる。
アーティストとデザイナーの違い
ただ、アーティストになった人がデザイン会社とか
デザインと言われるプロジェクトに
アサインされることは結構あるんですよね。
うちの会社が最近、
ヤンマーっていう日本のクライアントさんの仕事で
アニメエキスポっていうイベントで展示したときは、
フリーランスで活躍しているアーティストを何名さんが声かけて、
一緒にプロジェクトに入ってもらって、
絵を描く部分だけをやってもらったりとか、
映像を作る部分だけを関わってもらったりしながら、
一つの作品を作り上げるっていうのをやっていて、
アーティストは専門分野に特化しているんですよね。
スペシャリスト。
デザイナーとかクリエイティブディレクターぐらいの仕事っていうのは、
全体を見ながら取りまとめて、
ビジネスに役立つ結果を出すっていうので、
ある程度視野の広い、ジェネラルな視点を持っている。
それを混合チームとして一つの作品を作り上げるっていう、
そういう役割なんですよね。
なので、クリエイティブワークっていうのは、
チームワークがすごく必要とされて、
その中にアーティストの役割をする人もいれば、
デザイナー的役割をする人がいて、
上手にプロジェクトを前に進め、
最終的にはクリエイティブサウンドを求める、
アウトプット結果を出していくっていう、
そういうのが仕事ですね。
アーティストの人とデザイナーの人って2種類あったときに、
どっちとも一緒にクリエイティブワークだと協力してやっていく必要があると思うんですけど、
仕事の頼み方とか、
一緒に働く上で、
こういうふうに関わり方を気をつけている部分とか、
協業みたいなところでいうと、
それ素晴らしい質問でして、
すごくそこね、
さっき言ったように、
根本的にアーティストとデザイナーって、
見ている方向性とか、
思考プロセスが違うので、
気をつけないと、
うまくいかないことがありますね。
デザイナーから見ると、
アーティストの人たちっていうのは、
非現実的な、
夢物語ばかり語り、
理想論をもとに表現表現って言ってる、
めんどくさい奴らって思われがちだし、
アーティスト的な人たちからデザイナーを見ると、
現実的すぎて面白いもの、
こんな考え方じゃ生み出されないよね、みたいな。
スケジュールとか予算の話ばっかりしてて、
そんなのにこだわってたら、
いい作品って言うと、
俺たちが目指すのは、
クリエイティブディレクターの役割と重要性
世の中を驚かせることなんで、
あんまり納期とか、
予算とか売上とか、
数字の話ばっかりしちゃってると、
すごいスケールの小さい作品しか
生み出せませんよ、みたいな。
そんな話になるのを、
間を取り持って、
クリエイティブディレクターとか
アートディレクターっていう役職の人が、
お互いをまあまあまあって言いながら、
俺たちが目指すのは、
お互い良い作品を作って、
俺たちが目指すのは、
お互い良いものを作るってことじゃ、みたいな。
だったらお互い妥協しながら
良いものを作ろうぜ、みたいな。
現場はそんな感じになりますよ。
結局どっちの視点も最終的な、
まあ持っとかないといけない、
アーティストであろうとデザイナー的な視点、
それがデザイナーであろうとアーティスト的な視点も
持った上で、それでも業務をやっていく
ってなっていくと思うんですけど、
結局、デザイン会社的に
どういう人材が
求めてるのかというか、
そこらへんはちょっと
そうですね。
そこはね、
日本とアメリカで
採用する時に
より
より補強してほしい
スキルセットが
それぞれ違うなっていうのは
だいぶ見えてきて、
すっごい単純に言うと
アメリカのデザイナーには
もう少しアーティストとか
クリエイティブ系の視点や
マインドセットを
理解してもらう柔軟性が
欲しいし、
日本のデザイナーの子たちには
デザインってもっともっと
ロジカルで
ビジネスに直結してるよ
っていうのを理解してもらって
特殊な役割じゃなくて
デザイナーもちゃんと
ビジネスのことを理解するべきだし
クリエイティブワークの
ビジネスに対するインパクトを
認識してもらうみたいな
そこの現実的な部分も
相互理解をしてくれる
オーバーラップする範囲を
増やしてほしい
増やそうとして
チームづくりをしてる感じですね
それは社内で
研修みたいなのをやっていくのか
具体的な取り組みみたいな
理解を深めるとか
あったりしますか
うちの会社は
週に1回チームビルディング
っていうミーティングをしていて
日本にいるスタッフと
アメリカにいるスタッフ
オンラインミーティング型で
それで
最近やったプロジェクトとか
作ったアウトプットを
おもとに説明して
それぞれの視点で
こういう風に作ったとか
こういう風な結果が出たとか
っていうのを
理解し合えるように
している状態ですね
なので
チームワークで
物を作るっていうことを
なるべく多く
増やそうとしている感じですね
サンフランシスコデザイントークでは
番組に対する質問や
取り扱ってほしいテーマ
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ということで
今回の放送終了します
ありがとうございました
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