デザイナーの役割と思考
サンフランシスコ・デザイントーク、この番組は、サンフランシスコと東京に拠点を置くデザイン会社、BTRAXのCEO、ブランドンと、デザイナーの彩香が、日本で働くデザイナーや、デザインをビジネスに取り入れたい方向けに、様々なトピックについて、深く話します。
本日もサンフランシスコ・デザイントークを始めていきたいと思います。MCを務めます、りゅういちです。ブランドンさん、本日もよろしくお願いします。
本日のテーマなんですけど、デザイナーを主に目指す人向けの内容だったりとか、あとはデザイナーを目指してなくても、企業で働く人で、デザイン大事だなと思っている人がいると思うので、そういう人たちの向けの質問でやっていきたいなと思います。
まずちょっと質問なんですけど、デザインって大事だなとか、今後時代背景できるのも重要そうだなと思う人って、僕も含めてなんですけど、その考えでデザイナーを目指していいものなのか、最近だとエンジニア大事だよね、少し前だと、エンジニア目指してみようみたいな発想を考えていいのかみたいな。
デザインの重要性とかデザインの領域が広がりすぎちゃって、僕一時期考えていたことがあって、デザイナーが専門職じゃなくて、マインドセットの域なんじゃないかと思って、デザイン思考とかその考え方だと思うんだけど。
なので、どこまでがデザインなのかとか、逆に言うとデザインを専門的に考えずに、みんなが持つべきことなんじゃないかっていう質問あったりして、デザイナーって仕事、役職をやる場合とデザイナー的マインドセットを持ってる人の違いは何なんだろうなとか考えたときに、
やっぱりなんだろうな、僕的には基本に戻るとものづくりをするってことこそがデザイナーの心髄だと思ってる派なので、デザイン原理主義派なので、概念的なこととかイメージとかマインドセットだけでデザインをやりたいって思うのは、
僕的にはちょっと違うかなと思って、これ専門用語で言うとクラフトのデザインって言われるんですけど、作る、手を動かして何かを作り出すデザインの役割っていうのはクラフト、クラフトってのは工作とかそういうやつだと思うんですけど、
クラフトをやっぱりちゃんとやれる人やりたい人じゃないとデザイナー、やんなほうがいいよって思って、デザイナー的マインドセットはみんな持ってほしいんだけど、専門職としてのデザイナーになるんであればクラフトはできるようになってよ、下手でもいいからスケッチをするとか、段ボールでもいいから試作品作るとか、
何でもいいんだけど、手を動かして物を作り出す、頭の中だけで雰囲気とかイメージとか論理だけでデザインを頭で勝ちに語るだけじゃなくて、手を動かして何かしらをアウトプットするってことをして初めてデザイナーと僕は思っています。
ありがとうございます。
じゃあちょっと次の質問になるんですけど、もしデザイナーを目指す人にとってキャリアパスってすごく興味深いところなのかな、気になるところなのかなと思ってて、
ビートラックスの例とかも交えていただければと思うんですけど、会社に入ってデザイナーとして入って、どんな感じに任される仕事とか携わる仕事が変わっていくのかなっていうのが知りたいです。
まさにこれもうちの社内で結構以前に議論して考えたことがあるんですけど、どんな仕事でも現場からまず始まるじゃないですか、手を動かす足で稼ぐ人と会う等々で、それがどんどん出世していくとマネージャーになったりとか管理職になったりして、
現場から離れて現場を頑張っている人たちを応援する役割だったりとか、管理する役割になってくるじゃないですか。
デザイナーって仕事は特性上、ある程度エキスパート性が高い仕事なので、人によってキャリアパスとして最終的にマネージメント側になっていきたいタイプと、より作り出すってことに極めていきたいタイプに分かれるわけです。
いわゆる職人型になるかマネージャー型になるか、どっちもありと考えていて、そこに分岐が発生すると思っているんです。
いわゆる世界最高峰の職人的デザイナー技術を持って、唯一無二なクオリティのものを作り出せる人になるのか、優秀なデザイナーを束ねてチームとして成果を出せる人になるのか。
デザイナーの世界では、アートディレクターとかクリエイティブディレクターっていうのは、ある程度職人寄りだったりするんですね。
デザインマネージャーとかデザインリーダーシップみたいな概念になると、自分で手を動かすのをなるべくしないようにして現場のデザイナーたちに作ってもらう。
それに対して一番やりやすい仕組みを作ったりとか、組織を作ったりとか。
会社全体、チーム全体としてのデザインキャパシティとキャパビリティを上げる役割をする。
うちの会社って実は両方いるんですけど、やっぱりその人によってどっち側に行きたいかっていうのは、どっかのタイミングで選ぶ瞬間が出てくると思います。
どっちに自分がワクワクするかということだと思います。
ちなみに僕は、個人の話していいですか。
僕は最初職人として世界最高のデザインを目指してやってたんですけど、
とあることがきっかけで、完全にマネージメントとかリーダー側に行こうって決めました。
このビートラックスを始めた当時、しばらくは自分がトップデザイナーで、
ポジティブインパクトの重要性
自分のデザイン力を武器になり上がっていこうと思ってしばらくやってたぐらいだったんです。
なんだけど、とある時にすげえデザイナーが来たんですよ。
うちの会社に。
それもインターンで。
インターンで来たんですね。
サムライスコのデザインスクールに行ってるデザイナーの子が、インターンしたいです。
僕がその時に、自分が一番イケてるデザイナーだと思って、
作ってたものがあったんですよ。
ちょっとデジタルで動くものだったりするんですけど。
それを見せて、インターンだから、
これを改善してみてごらんってやってもらったんです。
その彼が僕に、どう動かしたいんですか?
どういうデザインアウトプットとして持ってきたいんですか?みたいなのを聞かれて、
僕途中まで作ってたもんね。
バーって聞いて、分かりましたってしばらくメモとか取って、
すいません、1から作り直していいですか?って。
いや、いいけどって。
俺これまで数週間かけて作ったんだけど。
そしたら彼が、分かりましたって。
それで数日で、僕が欲しいようなものを完璧な精度で作り出したのよ。
見た目のクオリティーを動かすっていうことも含めて。
インタラクションだったんですけど、インタラクティビーのっていうのがあるもの。
そこには少しのコーディング、プログラミングも必要とする世界だった。
それをやってのけちゃったもん。
インターンですよ。
これは、まずいと思った。
2つまずいと思ったんですよ。
1つは、自分の能力がまだまだ足りないと思ったんですね。
もう1個は、こいつを敵にしたらまずいと思ったんですよ。
競争相手になるもの。
その瞬間から、こういうすごいやつを束ねる役割になろうと思ったの。
それがきっかけで。
それで、デザイン会社を始めたばっかだったけど、
自分は覚悟を決めて、リーダー職となって、
世界にいるすごいデザイナーとかを見つけてきて、
その人たちにいい仕事ができるプロジェクトとかシステムとかプロセスを作り出す役割に徹しようって、
そこで腹を切った。
でも、ブランドンさんも大学でデザイン学科やれて、
教具は彼と似てると思うんですけど、
何が差を分けたんですかね。
多分ね、何にエキサイトするかのポイントだったと思うんですよね。
その彼は、自分が作り出す。
自分の手を動かすことによって作り出して、
世の中に対してポジティブインパクトを与えるっていう、
そのループっていうか、その一周させることが彼とはすごい重要だった。
僕的には、自分の関わっているプロジェクトが、
どんなチーム編成であれ、
インパクトの大きいものを作り出せれば、
それだけでワクワクするタイプなんですよ。
それが自分がリーダーだとよりワクワクするっていう。
その子としてのこだわりを追求したいタイプと、
僕はチームとしていいものができればそれでいいじゃん。
むしろチームでやったほうが作り出せるインパクト大きいじゃんと思った。
実際に個人でやってた時、会社を始める前にフリーランスとかやってたんですけど、
その時に自分としてとてもいいデザインって作り出したのが何件かあったんですよ、仕事でね、プロで。
だけど、そのインパクトの小ささに若干がっかりしたんですよ。
やっぱり一人で作り出せるものって限界あるからね。
なので、僕は作り出したものとそれが世の中に対して与えるインパクトの両方がすごい重要で、
どっちかかけても嫌なタイプの。
職人的デザイナーの人によっては、素晴らしいものを高い精度で作り出せれば、
そのインパクトの大きさに関係なくそれで十分ワクワクできるっていうタイプもいるわけ。
いい悪い関係ないですよ。
僕はそういう個人として高い精度のものを作り出すことにワクワクする人を集めて、
それでより社会にとってポジティブインパクトを作り出せる会社を作れば最高じゃんって、
両方のモチベーションをキープできるじゃんと思って、そういう会社にしようと思ってやってる。
そうですね、今年も2、3ヶ月前にビートラックスに入ったばかりですけど、
才能あふれた方が集まっている場だなとすごく感じているので、
フランドスが思い描いていた通りになっている感じですね。
そう思うでしょ。全然なんだよね。
そうなんですか。
これはね、終わりはないし、これで十分って思うこともないとは思うけど、
理想が高ければ高いほど、いつまで経っても達成できている気がしないわけ。
以前に仕事させてもらった後、日本のスタートアップで上場した企業があるんですね。成功した。
そこの社長が言ってたし、実際にインタビューとかでも答えてたんだけど、
やりたいことの3%も実現していません。
超共感できたわ。全く同じで。
俺が目指しているのはこんなレベルじゃないぞっていうのはあるし、
逆にね、それで満足しちゃったらそれで終わるじゃん。
ゴールじゃん。ゲームクリアじゃん。クリア後の世界ってつまんないじゃん。
僕にとっては全然冒険中なんで、
本当に3%ですね。理想の3%しか実現していない感じがしますよ。
なるほどですね。
ブランドンさんの冒険に付き合ってくれる方、どしどし募集しているみたいなので。
今僕が話してきたことに対して、それでもいいって言うんだったら。
そうですね。デザイナーの採用してますので、採用ページから。
そうなんですよね。デザイナーの能力とかって、
妥協しちゃダメで、この程度でいいっていう世界じゃないから、
デザインの重要性
上には上があるし、ベターにはベターがあるんで、そこを追求する仕事だと思うし、
すごい奴っていうのは世の中に山ほどいて、
逆にこんなこと言ったらすごい良くないのかもしれないけど、
どれだけ頑張ってもいいものが作り出せない人もいるんですよ。
そういう人にとっては残酷な世界でもあるんだけどね。
その中で、この人はすごいなって思う人をその会社は採用するようにはしてますよ。
ありがとうございます。
じゃあちょっと次の質問はこれまでと打って変わって、
企業で実際に働かれている非デザイナーの方ですね。
デザイナーでないけど、デザインって大事だよねって思ってる人たちって大勢いらっしゃるんですけど、
そういう企業で働く非デザイナーの人が、デザイン的な考え方とか知識とか経験とか、
ここまで欲しいよねみたいな目安って何かあったりしますか?
えっとね、今のリュウジの質問は少し上級者向けだなと思ったんですね。
どういうことかっていうと、ほらデザインって重要だなと思ってる方々って言ったと思うんですけど、
デザイナーと一緒に仕事をする人たち、非デザイナーの方々、
そのデザイナーは社内であったり社外であったり、リュウジみたいなエージェンシーだったりするんですけど、
その中で多くの方はデザインの重要性がそこまで実感できてないけれども、
仕事的にデザイナーと仕事してる人が多いと思うんですよ。
デザインってすごい重要だなって思っていただいてる時点で、相当レベルの高い世界観が作れると思うんですけど、
多くの場合はそんなことは望めないし望むべきではないですね。
デザインってよくわからないけれども、とりあえずデザイナーと仕事をしなきゃいけないんでしてますよって方が大半だし、それでいいと思う。
クライアントとデザイナーの関係
そうなった時に、まず最初に理解してほしいこととしては、
デザイナーっていうのは専門的なスキルを持った人たち、スペシャリストの人たちなので、
ある程度デザイナーの人たちを信用していただきたいということなんですね。
これはどういうことかというと、
例えばうちみたいにクライアント側が仕事をする場合は、クライアントって発注する側じゃないですか。
お金を払う側もある。
クライアントさん側の判断で全てが決まってくるので、
クライアントさんの考えとかディシジョン、決定のレベルをデザイナーは超えることはできないんです。
例えば、ABCっていうアイデアを出してデザインを作るじゃないですか。
A案最高、B案、C案捨て案、よくやるんですけど、
C案選ばれたらもうC案になるわけですよ。
A案は選ばれないわけ。
デザイナーが意図した絶対Aを選んでほしいなって思うのに、
お願いしている側がCがいいんじゃないですか。
だったらもうそれになるし、
もっとしんどいのはデザインを作って出すんだけど、
いわゆる修正案とかが来るわけよ、フィードバックは必ず。
そのフィードバックがデザイナー的にこれはやらない方がいいのになって思うのが、
何度も重なってしまうと、
フィードバックをいただいて改善すればするほど質が下がってしまうんですよね。
何を言いたいかというと、
デザイナーっていうデザインを生業にしているプロの方に対して、
デザインのことがまだよく理解できていない方、もちろん全く問題ないです。
ただその方の一意見を全て採用しようとしてしまうと、
その方のデザイン性を超えるデザインは、
どんな優秀なデザイナーからも出てこないんですね。
却下されたり上書きされちゃうから。
なのでそこの信頼関係ってめちゃくちゃ重要なので、
デザイナーを信頼できる、
逆に言うとデザイナーがデザイナーでない方と、
より信頼性の高まるコミュニケーションができるような仕組みを生み出すっていうのはめちゃくちゃ重要で、
そこがない限り良いデザインっていうのは世界に出てかないですね。
たまにすっごい有名なデザイナーとか優秀なデザイナーを起用した案件で、
アウトプットがあれ微妙だなって思うのがあったりするんですよ。
どんな業界で。
世界で有名な何々を起用、何々さんを起用しましたとか、
何々アワード取ったデザイナー、アーティストの方が。
だけどあれ、あの人の仕事にしてはそんなにデザイン性高くないなとか、
あんまり微妙だなと思う時は、
それの多くはさっき言ったような組織的な問題とか、
場合によっては社内政治みたいなのが発生してしまって、
そのデザイナーさんが最高のレベルのものを作ったと思っても
却下されたりとか、様々な理由で変更させられてしまっている状態。
いつの間にかそのデザイナーさんに多くのお金を払ってお願いした側の会社さんの意向を
なぞるだけの仕事になってしまっている残念な状況というのが、
それなりにあるとは思いますね。
よく聞く話でもあるし、実体験でもあります。
なので、せっかくデザイナーさんと一緒に仕事するのであれば、
その方の能力を最大限発揮させられるようなプロセスとか仕組みを作るといいな、
という思いはありますよね。
今聞いていて、そういうのってよく大企業、日本の大企業とかによくありがちなのかなと思っているんですけど、
とはいっても日本の大企業ってブランド力があるので、
ブランド見せたいみたいなデザイナー目線であんまりだなと思っています。
なんとか企業のブランド力で失敗しているかわからないというか、
いや別に広まってないみたいな、大企業にいる人がこれ失敗したとは全然思わないんだけど。
それはビジネス的な結果としてそれなりになんとかなるからということですかね。
そうですね。
まあね、短期的にはね。
なんですけど、そういうのをずっと繰り返していくと、
どっかのタイミングで、あそこのブランドっていけてないよねとか、
あー昔なんかいい感じだったブランドだよねみたいな感じになる危険性が実際あります。
うちの会社でも日本のブランドの海外でのどういう受け止め方をしているかというリサーチの案件を定期的にやったりするんですけど、
とあるブランド、名前は言えないんですけど、とあるブランドさんのブランドイメージリサーチをニューヨークでしたことがあったんですよ。
ブランドの再発明
その時にある程度その若い世代、Z世代みたいな若い世代に意識調査、実際に来てもらって色々ディスカッションさせてもらった時に、
あーなんか聞いたことある、お母さんとかお父さんの世代の時に行けてたブランドだよねとか、
いや私はそのブランドは今興味ないけど、上の世代の人たちにはまだ支持されてるっていうイメージがありますみたいなことをやっぱり言ってたんですよ。
それって結構危険な状態に陥ってるじゃないですか。
何が言いたいかというと、そのブランド力がすごいあった時代の延長戦とエクステンションで、
悪く言うと惰性でずっとそれで安泰なやり方を続けていると、新しい世代がそのブランドのことをよく知らない世代からすると、
昔あった、親の世代に流行ってたっていうオールドブランドの楽園を押されちゃうわけよ。
なのでブランドっていうのは常に再発明、リインベントし続けなければいけないと僕は思ってるんですけど、
ブランド力があるってことにアグラをかいて、安全なやり方やルーティーンにはまってしまうと、若い世代があまりそこに興味を持たないブランドになってしまう危険性がありますね。
商品に関しても同じだと思います。
それを防ぐためにはリブランディングみたいなことを?
リブランディングってほどの大げさなものじゃなかったとしても、細かいメッセージングやキャンペーンや商品作りにおいて、
何かしら責めてる姿勢とか、ビジョンの体現をきっちりするとか、守りに入ってないとか、正しいことだけの追求ばっかりをやらないってことなんですよ。
これって結構盲点で、日本の企業さんとかって間違わないことを重要視するがゆえに、正しさ重視で案件を進めるんです。
これは商品作りもそうだし、マーケティングキャンペーンもそうなんですけど、正確性を最優先すると、正確性と遊び心とか面白さとか楽しさって相反しがちなんです。
なので、気づいたら尺子定規な教科書になぞったようなブランド、メッセージ、商品が生み出されていくわけですよ。
学校の勉強好きな人もいるけど、多くは遊びとかのが好きじゃないですか。
なので、お前真面目かっていう状態になりすぎるのもちょっと微妙だよねと僕は思っている。
確かに。ありがとうございます。
ちょっと戻るんですけど、さっき企業で働く人はデザインのことよくわかんないって人が多いんじゃないかって話でしたけど、
そこからデザインの大切なところ、重要性に気づいてもらうためには、
例えばデザイン志向をまずは知ってもらうってところがあるんですけど、それ以上何か必要だったんですか?
ありますあります。これはデザイナーの人にインタビューしたとすると、ほとんどの人が同じことを言うんですね。
例えば一つプロジェクトが終わりましたと、あの案件もっといい仕事できたとしたら何を変えますかっていう振り返りをミーティングをしたときに、
うちの社内でもよくするんですけど、だいたいこういうふうに言います。もっと早い段階で関わりたかった。
そのプロジェクトに入るタイミングなんですよ。
日本の企業は多くはデザイン工程って後半なんですよ。最終に近いところにデザイナー呼んできたりするわけ。
いろいろ決まって、あとはよく言われる色を塗るとかお化粧するみたいなフェーズに入って、
デザイナーさんよろしくお願いします。残りの部分をお願いしますと言って、色を塗るだけなんですね。
でもデザイナー的には、これって課題解決からスタートしてるはずだから、そこから入れてくれればもっともっといいアウトプットを一緒に作れたはずなのに、
全部それ決まっちゃったんでもう変えれないんですよ。それが商品だったり、マーケティングだったり、ウェブサイトだったりするんですけど、
ウェブサイトだったら構造、構成、コンテンツ、見せ方、場合によっては写真とか使う画像も全部決まってて、
これを上手いこと合わせていい感じにデザインしてくださいと言われると、ちょっと待って、このウェブサイトが目指してるものを作るんであれば、
そもそもページ構成変えたほうが良くないですか?それも全部終わっちゃった話なんで、今更ひっくり返せないんですよとなると、
デザインの初期関与の重要性
じゃあできる範囲でやってみますか?ってなるんだけど。もうちょっと早い段階で入れてほしいな。もっと言うと、プロジェクトのスタート時点から関わりたかったなっていうのが一番多い共通意見なんですよね。
例えばUIのデザインするにしても商品企画の時から入ってくれれば、こういうUIありきで商品を企画できるのもあるだろうし、自動車とかもどの業界もそうだと思うんですけど、
デザイナーをもっと活用してくれればいいのにと思ってるデザイナーが多い。
我々が住んでいるサンフランシスコとか、近くのシリコンバレーっていう地域のスタートアップっていう会社は、最初からデザイナーに関わっていることが最近増えていて、
何かしらをサービス、デジタルサービスとか作るにしても、どういうユーザー体験を提供するサービスにしようか、そこからもう考えが始まってるので、
テクノロジーの話をするのと同時にユーザー体験の話を一緒に、同じイコールコンディションでできる、同じタイミングでするので、
商品の魅力が最大限伝わるようなユーザー体験も組み込まれたサービス設計ができる。
でもまだまだ日本の企業の多くは、最終工程で、UXデザインですら最終工程で入れてくれとか言うんで、
例えば料理を作る時に、おいしい料理を作るっていうのは、おいしい素材を買いに行くところから始まるじゃないですか。
豊洲にフレッシュな魚を買うとか、どこどこの農家の野菜とかお米とかを仕入れるところから始まるじゃないですか。
それを切ったりとかして下ごしらえして、調理して最高のメニューができるじゃないですか、お皿が。
まるでデザイナーが、もう全部下ごしらえ終わって、切り終わった素材を、あとはフライパンの中に入れるだけですって、
3分クッキングの最後のシーンみたいなところで呼ばれて、じゃあ焼いてくださいって。
ちょっと待ってください、これ仕入れからやり直せませんかって。
もう仕入れもう終わってるんだってなるわけ。
そこが辛いとこだよなって。
素材の仕入れのフェーズから声かけてくれれば、もっといい農家してたのにとか、
もっといい仕入れ先分かってたんですけどっていうのがある感じで、もっと早い段階で入れていく。
ただ構造的にそれがしにくい組織構造とかはまだまだ多いですっていうことなので、
ビートラックスでは新規事業を作りをするときに、最初のアイディエーションからうちのスタッフが一緒に入って、
デザイン的にも品質の高い商品を作るアイディアを出しをしているという、そういう状態です。
これ面白いですね。
エンジニアとかは序盤に要件定義とかがあって、スタートから関わるじゃないですか。
そうですね。SEさんとかね。
多分このマインドセットをデザイナーにも当てはめればいいのかなって思っていたので。
そうなんです。
そうなんですけど、まだまだデザイナーって言葉を聞くと装飾をする人たちってイメージがあるから、
最初からデザイナーなんて入れなくていいよねって思いがちなんですけど、
今の時代デザインは課題解決の手段なので、なるべく早い段階で入れた方がいいものができますよと声を大にして言いたい。
デザイナーのキャリアとマインドセット
そうですね。前職のちょっと話になるんですけど、私も前の会社もちょっとネットで名前を調べたときに、
最近サービスデザイナー、UXデザイナーっぽい人を積極採用して、そういう人をフィーチャーしている記事があったんですよ。
デザインが大事ですって言ってるんですけど、よくよく見てみると、やっぱり最近前の会社は金融業界なので、
お年寄りの方とか高齢者の方は対象にすることが多くて、ユニバーサルデザイン的なものが国からもすごく求められている。
それに対応するためにデザイナーを採用しているってところもあるので、少しずつ。
そこはいい取り組みですよね。アクセシビリティとかユニバーサルデザインを最初から組み込むっていう姿勢はとても素晴らしいと思います。
そうですね。少しずつ変わってきているのかなというところは感じています。
ちょっとまとめに入っていきたいんですけど、まずデザインって大事だから、目指していいものなのかっていうと、そうでもないですよと。
作るってところ。
目指すのはいいんですが、目指すなら作れる人になってくださいってことですね。
これを先にまずは持っていきましょうということで、次にデザイナーのキャリアパスのところですね。
作ることにフォーカスする人と、マネジメントサイドに移る人が途中で分岐してくると。
ブランドさんは後者のほうを選ばれたと。いろんな理由があってと。
どこかのタイミングでね。
最後に企業で働く非デザイナーの人たちの持ってほしいマインドセットってところなんですけど、今ちょっと話があったとおり、初期段階からデザイナーを入れて、
UXデザインのところからしっかり考えていくっていうところがすごく大事だというところで、まとめてさせていただきたいと思います。
ブランドさん本日もありがとうございました。
ありがとうございました。
このエピソードを楽しんでいただけた方は、ぜひ高評価、チャンネルフォローよろしくお願いします。
また、サンフランシスコデザイントークは番組に対する質問や取り扱ってほしいテーマを募集しています。
番組概要欄にあるGoogleフォーム、Spotifyでお聞きの方は、各エピソードのQ&A欄からお送りいただけますので、お便りお待ちしております。
最後までお聞きいただきありがとうございました。
次回もお楽しみに。