1. レイ・イナモト「世界のクリエイティブ思考」
  2. #094 注目のクリエイティブ 〜..
2024-10-01 16:28

#094 注目のクリエイティブ 〜ジェンダー平等を加速させるカンヌ受賞作〜

第94回は、レイ・イナモトがカンヌライオンズ2024で見つけた注目作品を紹介します。

今回ご紹介するのは、トランスジェンダーの人の多いタイで、ワセリンが発売した保湿ローションの

開発の舞台裏を紹介した作品と、フランスの通信会社Orangeのサッカーに関する作品です。

どちらもクリエイティビティの力でジェンダー平等を加速させるアプローチが注目されました。


◆Vaseline’s “Transition Body Lotion”: Supporting the Transgender Community

https://www.youtube.com/watch?v=WNz9rZJYY_g


◆Orange - la Compil des Bleues

https://www.youtube.com/watch?v=QVNZRHIZVL8


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Summary

このエピソードでは、カンヌライオンズで評価されたトランスジェンダー向けのワセリンのキャンペーンと、女性サッカー選手をフィーチャーしたオレンジの映像作品が紹介されている。特に、商品開発における多様性の重要性と、ジェンダー平等を促進する努力が強調されている。また、女性のスポーツに対する偏見に対してディープフェイク映像を用いた作品が紹介され、受賞したことについて語られている。ジェンダー平等の重要性と目標達成への取り組みも強調されている。

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This is Reina Moro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone. This is Reina Moro. 皆さんこんにちは。ニューヨークと東京を拠点にするグローバルインベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのレイ・イナモトです。
目まぐるしいスピードで世の中が変化する中、この番組は変革の伴奏者として、日本人が世界で必要不可欠な存在となるためのヒントを探ります。
今回も前回に引き続き、注目のクリエイティブをお届けします。 今日も番組を一緒にお届けするのは、この番組のプロデューサー、竹村幸子さんです。
はい、レイさんよろしくお願いします。 今回も前回に引き続き、カンヌライオンズで見つけた注目作品をご紹介いただきます。
前回は、時代を超えて愛される老舗ブランドの作品をピックアップしていただきましたが、 今日はどんな作品をご紹介いただけるんですか?
ワセリンのトランスジェンダー向けキャンペーン
今回はジェンダーに関する2つの作品に注目しました。 では早速いきましょう。
まず最初にご紹介するのは、保湿クリームなのでおなじみのワセリンのトランスジェンダー向けの商品のキャンペーンです。
これはトランスジェンダーの人の多いタイでワセリンが発売した保湿ローションの開発の舞台裏を紹介した動画なんですが、
僕がこれがいいと思った理由はですね、キャンペーンって言ってしまうとちょっと実は語弊があるんですね。
これキャンペーンって言うと商品ができた後にそれをメッセージとして世の中に打ち出して認知度を上げて買ってもらうっていうものがキャンペーンだと思うんですが、
これは商品開発のところからちゃんとお客様の声を聞いて、そしてそれを商品に反映させて売り出すという開発の部分からちゃんとできているものなんですね。
いわゆるマーケティングって言うと、さっきみたいに出来上がったものをどういう立ち位置で売り出そうかとかそういうふうに見られがちなんですが、
でも実は最も大事なのがそのものを作る時点で、じゃあこれがどういう立ち位置でどういうメッセージでどういう人たちに売っていくのかっていうことを、
そのものを作るところから考えることが実はすごく大事なんですよ。
今回紹介しているワセリンはトランスジェンダーでいわゆるマイノリティと言われる人たちに話をしてみたら、実は課題を持っていたと。
そこに対して商品開発をして、だからもう作っている段階でメッセージが決まっているってことですよね。
トランスジェンダーの人たちを応援しますよ。私たちはトランスジェンダーの人たちに気に入ってもらえる製品を一緒に作るんですよっていうメッセージがありますよね。
ここ4,5年ちょっとトレンド的になってはしまっていると思うんですけども、D&I、ダイバーシティ、多様性っていうところだったりエクイティ、インクルージョンっていうところで考えると、
どっちかっていうとそれもマーケティング活動であったりとか、ちょっと表面的なところが実は結構あったのかなっていうふうに思うんですけども、
それだけじゃなくて、ちゃんとものづくりのところからそういうマイノリティの人たちもインクルーシブに活動していくっていうのは非常に大事なことで、
これって口で言うのは簡単なんですけども、なかなかできている会社って少ないと思うんですよ。
そうですね。レイさんにご紹介いただいて私もこの動画見たんですけれども、そもそもまず生物学上男性で生まれた人が女性に性転換する場合に、
ホルモン剤とか性転換の手術とかを受けると肌が3倍も乾燥しやすくなるなんて私は全然知らなくて、
そんな違うのかと思って、だったらやっぱりそういう3倍肌が乾燥する人用のクリームとか保湿ローションってそれは必要だよなぁなんていうふうに思いました。
そうですね。このトランスジェンダーでその性転換って別に最近の技術でもないしもう何十年もある技術だし、
タイは世界一ぐらいトランスジェンダーの人たちが多いっていうことなので、マイノリティではあるとは思うんですけども、数的にはそんなに少ないことではないと思うんですよね。
でも一般企業がそこに目を向けてなかったっていう事実も、これは現状を世の中を物語っているなとは思ったんですけども、
そういうところにようやく気づいて、今さらっていうことを言ってしまうとそうかもしれないんですけども、
でもやっぱりやることに意義があって、ちゃんとトランスジェンダーの人たちに寄り添ってその人たちの肌の変化に着目をして、
2年間かけて一緒に製品開発を行ったっていうのは、そこの僕は姿勢とコミットメントが素晴らしいなと思いました。
すごいですよね。私なんかこのCMで最後に、これはもう私たちのための製品なのってすごい嬉しそうに言うのが印象的で、
男性とか女性って、洋服売り場に行っても男性用コーナー、女性用コーナーって当然あるし、
こういう化粧品売り場に行っても男性用のヒゲ剃りのクリーム売ってるコーナーとか、女性用の保湿ローション売ってるコーナーとかって、
分かれていることが当たり前、自分たちに向けた製品があるっていうのが当たり前のことだから、
トランスジェンダーの人たちは今までそういう自分たちに向けた製品っていうのを受け取る立場にいなかったんだっていう、
だからこれはすごく嬉しいことなんだっていうのが、もうこのCMを見るまで気がつかなくてすごく新鮮でした。
そうですね。だから今までは一般的とか普通って思われていて、男性用の何々、女性用の何々っていうのが、
特に最近になってここ数年、例えばトイレとかもアメリカなんかだとオールジェンダーっていう風になっていて、
ジェンダレスになっているっていうのがかなり一気に普及はしていると思うんですけども、
今までもう何十年も、トイレに行かなきゃいけないって普通の自然の行為じゃないですか。
それをするのもどっちに行ったらいいかわかんないとか、こっちに行ったら嫌な目をされるしみたいなことを思いながら、
そうですよね。
ずっと生活していた人たちが結構いたんだなっていうことを思うと、ちょっと自分に対しての反省だったりとか、
胸が痛くなるようなところもあったんですけども、でもやっぱりちゃんとこうやってワセリンみたいな大企業がそういうところに向き合っていって、
その人たちのために製品を開発してメッセージを打ち出すっていうのはすごく意味のあることだなと思いました。
すごく意味があることですね。
しかもトランスジェンダーの人って、タイは人数としては他の国よりは割合は多いかもしれないですけど、
世界中どの国にもいると思うので、本当にグローバルな製品にワセリンみたいな大企業が作るのであれば、今後なっていく可能性もあるんじゃないかっていうふうに思って、
やっぱり時代が変わっていく一つのきっかけなんじゃないかなって思うとちょっと嬉しいなって思います。
そうですね。なので、もちろん世の中が変わっていくことって法律が変わらなきゃとかそういうこともあるんですけども、
でも一般企業がこういうことをやっていくことによって世の中が動いていくんだなっていうのをすごく実感した作品でした。
この作品は今年のカンヌライオンズの変革部門のグランプリに選ばれています。
ぜひ映像は詳細欄にURLを貼っておきますのでご覧ください。
さて続いてはどんな作品ご紹介いただけますか?
オレンジのウィメンズフットボール作品
はい。最後に選んだのはフランスの通信会社オレンジのサッカーに関する作品です。
はい。
これはですね、ここ1年最も目立っていた作品なんじゃないかなと思うんですが、
ウェメンズフットボール、ウェメンズのWOMENっていうのもMが大文字になっていて、
女性なのか男性なのかっていうのをそういうふうにちょっとあえて曖昧に表してはいるんですが、
これはいわゆるもう普通の男子サッカーのような光景なんですが、
そこにフランスのトップ選手たちがたくさん出てくるんですね。
例えばグリーズマンとかコマンだったりとかジルートだったりとかエンバペとか、
日本でも結構知られているようなスーパースターの人たちがスーパープレイをしているシーンが、
いろんなこのゲームの映像が流れてくるわけです。
それが最初の15秒ぐらい流れるんですけども、
15秒で経つと、実はあなたが見ていたこの映像は本当ではないですっていうふうに巻き戻されるんですね。
巻き戻されて、画面がまず男性がゴールを決めていたところが一気に変わって、
実はその裏側には女性だったっていうのが、それが特殊効果で男性になっていたっていうことがそこで明かされるんですけども、
実は一人だけじゃなくて全部のスーパープレイが全部女子のサッカー選手がしていたっていうことが後半でわかるんです。
で、最後のメッセージとしてこの通信会社のオレンジは、我々は男性も女性も変わりなく皆さんをサポートしてますよ、応援してますよっていう、
これもそのジェンダーそしてダイバーシティに関するメッセージではあるんですが、
ディープフェイク映像の影響
それをすごく高度な技術を使って、でもわかりやすくストレートに表現している素晴らしい作品だなと思いました。
男性のプレイの方が女性よりも見応えがあるっていうふうに思われている世の中の流れに対するちょっと皮肉っぽい作品でもありますよね。
例えばその女子サッカーとか女子バスケットとかやっぱりちょっとスピードが違うよねとかパワーが違うよねとか技術が違うよねっていうふうに思っちゃっていたところもあると思うんですね。
でも見せ方をちょこっと変えて男性の顔、そして体格をちょこっと男性っぽくしただけでプレイ自体は全部女性なんですよ。
でも男性がしているとこれすごいと思って、それが女性ってことがわかった時に実は女性も男性とほぼ同じぐらいのスーパープレイをしてたんだっていうことがそこで僕も初めて気づかされて
ちょっと今まで偏見を持った目で見てたなっていう自分に気づいちゃいました。
しかもですねサッカーの場合実は男子選手よりもすごい女子選手っていうのがたくさんいるみたいなんですよ。
男子サッカーで国際大会で史上最もゴールを決めているのはクリスティアーノ・ロナウド選手でその回数123回なんですけど
女子サッカーにはこれを上回る190回以上のゴールを記録している選手がなんと7人もいるそうなんです。
それはすごいですね。それは全く僕は知らなかったので驚きですね。
真っ向からジェンダーの不平等に声を上げるんじゃなくて女子サッカーへの偏見をすごく巧みにこのディープフェイク映像を使って表現しているのっていうのがすごいなというふうに思って
誰もが嫌にならない形で女子サッカーって本当はすごいのに男子サッカーほど評価されてないよね。もっと女子サッカー応援しようよっていうそういうメッセージが伝わるなあなんていうふうに思いました。
同じことをやっていても性別が違うことが理由で生徒に評価されないっていうのは
さっき僕が言ったみたいに無意識な偏見なところもあると思うんですけども逆に意識的に女性だと評価されないみたいなところもあると思うのでそれは本当に良くないですし
それをある意味浮き彫りにしているっていうところはすごくいいなと思います。
カンヌライオンズ受賞作品の紹介
はい、この作品は今年のカンヌライオンズのエンターテイメントスポーツ部門のグランプリに選ばれています。この映像も是非是非URL貼っておきますのでご覧になってみてください。
さてここまでお送りしてきました。レイナモトの世界のクリエイティブ思考。今回は前編後編にわたり注目のクリエイティブで今年のカンヌライオンズで僕が気になった作品を合わせて4つご紹介しました。
前編で紹介したのは老舗のブランド2つを選んで、今後の日本の在り方、そしてどうやって世界に挑戦していくかみたいなところがヒントになる作品を2つ選びました。
後編はジェンダーに関するトピックを真剣に捉えている作品、この2つを紹介して、これも日本の社会だったりとか日本の企業の在り方っていうところに何かきっかけになればいいなと思い紹介させていただきました。
やっぱり時代が変わるきっかけになるなっていうのをすごく感じて、ジェンダー平等ってSDGsの中にも入っていて、みんなで一緒に達成しようねって言っているゴールなんですけれども、SDGsの目標の中でもやっぱり達成できる可能性が非常に低い。
何年ももっとかかる?下手したら100年とかかかるようなものだっていうふうに捉えられていて、でもちょっとずつでもいいから前に進めていきたいっていう気持ちがあったので、今回のワセリンみたいな大企業がトランスジェンダーに向けて製品を作ったりとか、
あとサッカーというテーマを取り上げて、フランスの通信会社が男女同じことやってても正当に評価されないっておかしいよねみたいなメッセージを発信してくれるっていうのは、なんかすごい励まされるなみたいな、諦めなければジェンダー平等っていつかは達成できるんだみたいな気持ちになりました。
だからこういうものを見ると、世の中を変えていくのってなかなか一人の力ではできないっていうふうに思っちゃうのはそれは普通で、確かに難しいことではあるとは思うんですが、でもこういうものを見ると、こういうアイデアを発案した人は多分数人なわけで、企業と協力をしていくことによって世の中に出していったりとかできるわけじゃないですか。
そうすると、何千人何万人の力がないとしても、ほんの数人がいることが何千人何万人何百万人に届く可能性がある。そうすることによって世の中が少しずつ動くきっかけにはなると思うんですね。
本当そうですね。クリエイティビティで世界を変えようとしている人たちがいるってすごいことですよね。
なので、アイディアだったりとかそれを形にするっていうのは、極端なところ一人でもできることで、それが特に今の時代はSNSとかですぐ世の中に広がっていくっていうことも可能なので、
これ一人じゃ無理ですよね、みたいに諦めずにいいアイディア、そしていいものっていうのはちゃんと認められる可能性もあるし、そうすることによって世の中が少しずつ動いていくっていうのは一人の手でもできることなんだっていうのを、こういうものを見ると僕はすごく実感するので、皆さんもそれはぜひ実感していただきたいと思います。
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