今回はジェンダーに関する2つの作品に注目しました。 では早速いきましょう。
まず最初にご紹介するのは、保湿クリームなのでおなじみのワセリンのトランスジェンダー向けの商品のキャンペーンです。
これはトランスジェンダーの人の多いタイでワセリンが発売した保湿ローションの開発の舞台裏を紹介した動画なんですが、
僕がこれがいいと思った理由はですね、キャンペーンって言ってしまうとちょっと実は語弊があるんですね。
これキャンペーンって言うと商品ができた後にそれをメッセージとして世の中に打ち出して認知度を上げて買ってもらうっていうものがキャンペーンだと思うんですが、
これは商品開発のところからちゃんとお客様の声を聞いて、そしてそれを商品に反映させて売り出すという開発の部分からちゃんとできているものなんですね。
いわゆるマーケティングって言うと、さっきみたいに出来上がったものをどういう立ち位置で売り出そうかとかそういうふうに見られがちなんですが、
でも実は最も大事なのがそのものを作る時点で、じゃあこれがどういう立ち位置でどういうメッセージでどういう人たちに売っていくのかっていうことを、
そのものを作るところから考えることが実はすごく大事なんですよ。
今回紹介しているワセリンはトランスジェンダーでいわゆるマイノリティと言われる人たちに話をしてみたら、実は課題を持っていたと。
そこに対して商品開発をして、だからもう作っている段階でメッセージが決まっているってことですよね。
トランスジェンダーの人たちを応援しますよ。私たちはトランスジェンダーの人たちに気に入ってもらえる製品を一緒に作るんですよっていうメッセージがありますよね。
ここ4,5年ちょっとトレンド的になってはしまっていると思うんですけども、D&I、ダイバーシティ、多様性っていうところだったりエクイティ、インクルージョンっていうところで考えると、
どっちかっていうとそれもマーケティング活動であったりとか、ちょっと表面的なところが実は結構あったのかなっていうふうに思うんですけども、
それだけじゃなくて、ちゃんとものづくりのところからそういうマイノリティの人たちもインクルーシブに活動していくっていうのは非常に大事なことで、
これって口で言うのは簡単なんですけども、なかなかできている会社って少ないと思うんですよ。
そうですね。レイさんにご紹介いただいて私もこの動画見たんですけれども、そもそもまず生物学上男性で生まれた人が女性に性転換する場合に、
ホルモン剤とか性転換の手術とかを受けると肌が3倍も乾燥しやすくなるなんて私は全然知らなくて、
そんな違うのかと思って、だったらやっぱりそういう3倍肌が乾燥する人用のクリームとか保湿ローションってそれは必要だよなぁなんていうふうに思いました。
そうですね。このトランスジェンダーでその性転換って別に最近の技術でもないしもう何十年もある技術だし、
タイは世界一ぐらいトランスジェンダーの人たちが多いっていうことなので、マイノリティではあるとは思うんですけども、数的にはそんなに少ないことではないと思うんですよね。
でも一般企業がそこに目を向けてなかったっていう事実も、これは現状を世の中を物語っているなとは思ったんですけども、
そういうところにようやく気づいて、今さらっていうことを言ってしまうとそうかもしれないんですけども、
でもやっぱりやることに意義があって、ちゃんとトランスジェンダーの人たちに寄り添ってその人たちの肌の変化に着目をして、
2年間かけて一緒に製品開発を行ったっていうのは、そこの僕は姿勢とコミットメントが素晴らしいなと思いました。
すごいですよね。私なんかこのCMで最後に、これはもう私たちのための製品なのってすごい嬉しそうに言うのが印象的で、
男性とか女性って、洋服売り場に行っても男性用コーナー、女性用コーナーって当然あるし、
こういう化粧品売り場に行っても男性用のヒゲ剃りのクリーム売ってるコーナーとか、女性用の保湿ローション売ってるコーナーとかって、
分かれていることが当たり前、自分たちに向けた製品があるっていうのが当たり前のことだから、
トランスジェンダーの人たちは今までそういう自分たちに向けた製品っていうのを受け取る立場にいなかったんだっていう、
だからこれはすごく嬉しいことなんだっていうのが、もうこのCMを見るまで気がつかなくてすごく新鮮でした。
そうですね。だから今までは一般的とか普通って思われていて、男性用の何々、女性用の何々っていうのが、
特に最近になってここ数年、例えばトイレとかもアメリカなんかだとオールジェンダーっていう風になっていて、
ジェンダレスになっているっていうのがかなり一気に普及はしていると思うんですけども、
今までもう何十年も、トイレに行かなきゃいけないって普通の自然の行為じゃないですか。
それをするのもどっちに行ったらいいかわかんないとか、こっちに行ったら嫌な目をされるしみたいなことを思いながら、
そうですよね。
ずっと生活していた人たちが結構いたんだなっていうことを思うと、ちょっと自分に対しての反省だったりとか、
胸が痛くなるようなところもあったんですけども、でもやっぱりちゃんとこうやってワセリンみたいな大企業がそういうところに向き合っていって、
その人たちのために製品を開発してメッセージを打ち出すっていうのはすごく意味のあることだなと思いました。
すごく意味があることですね。
しかもトランスジェンダーの人って、タイは人数としては他の国よりは割合は多いかもしれないですけど、
世界中どの国にもいると思うので、本当にグローバルな製品にワセリンみたいな大企業が作るのであれば、今後なっていく可能性もあるんじゃないかっていうふうに思って、
やっぱり時代が変わっていく一つのきっかけなんじゃないかなって思うとちょっと嬉しいなって思います。
そうですね。なので、もちろん世の中が変わっていくことって法律が変わらなきゃとかそういうこともあるんですけども、
でも一般企業がこういうことをやっていくことによって世の中が動いていくんだなっていうのをすごく実感した作品でした。
この作品は今年のカンヌライオンズの変革部門のグランプリに選ばれています。
ぜひ映像は詳細欄にURLを貼っておきますのでご覧ください。
さて続いてはどんな作品ご紹介いただけますか?